魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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 とりあえずは出会いから


第1話 早速接触!

 

「うん……」

 

眩しい光が目に入る。

 

と同時に揺さぶられる身体。

 

どうやら車に乗っているみたいだ。

 

「お目覚めですか? アレス様」

 

目を開けて見ると助手席から覗き込む艶のある黒髪をした女性。

 

記憶を辿るとどうやらこの世界での母親の様だ。

 

「ああ……って。アレス様?」

 

「はい。本来ですとアテナ様の部下であるトオル様とナミ様が夫婦役だったのですが」

 

「ですが?」

 

「急遽用事が出来てしまい、私達が代わりにアレス様の両親役を務めさせて頂きます」

 

そう言う事か。折角久しぶりの親子生活だったのにな。

 

トオルと言ったのは前世の前世で俺の父親だった『藤之宮徹』。

 

ナミと言ったのは同じく前世の前世で母親だった『藤之宮奈美』。

 

2人は死後、アテナ姉さんの部下として天使に転生したのだ。

 

「そうか……。ってちょい待ち」

 

「ハイ?」

 

「……俺の記憶が間違って無ければ……ナオミとジン……じゃないのか?」

 

俺は母親の顔をジッと眺める。

 

黒い髪で前髪に一部、銀髪が混じっている。

 

「その通りでございますわよ? アレスちゃん?」

 

口元がにやけてるぞ。

 

「全く……誰かと思ったら。陣伯父さんと直美伯母さんか」

 

「コラ。それは前世の前世でのお話でしょ。今回は念願の母親なんだからね」

 

頬を膨らませてる直美伯母さん。いや、母さんだったな。

 

「はは、分かったよ、母さん」

 

その言葉を聞いて感動したのか、フルフルと震えていた。

 

「やっぱりアレスちゃんは可愛い……。今夜も添い寝ね!」

 

相も変わらずの少年偏愛(ショタコン)ぶりだった。

 

今回の父親役を務めるのは『藤之宮陣』。

 

前世の前世においては俺の伯父にあたり、その時の名字は若本だった。

 

ちなみに外観は。

 

……剣と魔法のファンタジー系の小説とかに出る強面冒険者を思い浮かべてくれたら分かるだろう。

 

左頬に大きな切り傷が後ろからでも確認出来る。

 

センターミラーから顔が見えるが、左目部分にも大きな切り傷の跡が。

 

まあ、あえてツッコミは入れないでおくが。

 

そして、今回の母親役を務めるのは『藤之宮直美』。同じく前世の前世においては伯母にあたり、奈美の双子の姉だったのだ。

 

まあ、見ての通り前世からずっと少年偏愛(ショタコン)なのだ。しかも俺限定の。

 

「ほらほら、もうすぐ着くぞ」

 

道の先に見えるのは……道場らしい建物がある和風の家。

 

もしや、あれは。

 

 

 

 

 

 

「ん~着いた~」

 

俺はワゴン車から降りて背伸びをする。背骨がポキポキと心地良い音が聞こえる。

 

「ん~」

 

同じ様に母さんも降りて背伸びをしていた。

 

ってちょっと待て。エラい若く見えるんだが?

 

「母さん?」

 

「何かしら?」

 

「無粋な事を聞くけど……今何歳だ?」

 

「あらあら、女の人に年齢を聞くなんて」

 

ハンカチを取り出して目に当ててる。明らかに嘘泣きとわかるのだが。

 

「し、仕方ないだろ……エラい若く見えるんだから」

 

「そうね。はっきり言うと21歳」

 

「ぶふぅ!」

 

激しく吹き出す俺。

 

待てよ?俺は今何歳だ?

 

身体をぺたぺた触って確認する。

 

「……うむ、5歳位か?」

 

「ご名答。俺は23歳で直美は21歳でアレスは5歳だ」

 

……18歳と16歳で結婚して産んでる計算なんだが。

 

「だって、アレスちゃんと歳が近い方が良いし……」

 

駄々をこねる今回の母親、直美であった。

 

家を訪ねてみると、張り紙がしてあった。

 

『ご用の方はこちらまでどうぞ』

 

そこに描かれていたのは『翠屋』と呼ばれる喫茶店の場所までの地図だった。

 

俺達は近くにある翠屋に行く。

 

 

 

 

 

時計を見ると丁度午後2時頃を指していた。

 

つまりは客がほとんど……いや、全くいなかった。

 

「いらっしゃいませー」

 

現れたのは栗色髪の若い女の人。

 

「すみません。今度、隣に引っ越してきた藤之宮陣と申します。で、こちらが家内の直美で……」

 

「よろしくお願いします」

 

「息子のアレスです」

 

「おねがいします」

 

俺と母さんは深々とお辞儀する。

 

「まあまあ……私は高町桃子と申します」

 

同じ様に深々とお辞儀する桃子さん。

 

記憶を辿ると……なるほど、確か……なのはのお母さんだったはず。

 

 

「たっだいま~」

「ただいま」

 

 

店のドアが開いて2人の男女が買い物袋を持って入ってくる。

 

ダークブラウン系の髪をした2人だ。

 

男はやや切れ長の目でいわゆるイケメン系の顔。

 

女は眼鏡をかけていて三つ編みの髪。

 

「あれ、お客さん?」

 

「ええ、隣に引っ越してきた藤之宮さんよ」

 

 

「よろしく」

「よろしくお願いします」

「よろしく~」

 

 

俺達は挨拶する。

 

「俺は高町恭也です」

 

「私は高町美由希です」

 

「ほほぉ、なかなか良いお子さんで……」

 

「ええ。後2人いるのですけど……」

 

……2人?

 

妙に引っかかる。確か……妹のなのはだけだったと思うのだが。

 

「なゆたとなのはは何処に?」

 

「ん~……多分、公園じゃないかしら?」

 

「多分。あの2人、凄く仲が良いし」

 

桃子達3人は口々にそう言ってる。

 

「それじゃあ、あたし達が散歩がてら探して来ましょうか? 陣は家の片づけね」

 

と口を開くのは母さん。

 

「はあ、分かったよ。あまり遅くならないでくれよ」

 

「良いんですか?」

 

「ええ。車の旅でしたからちょっと気分転換に。それで、2人のお子さんの特徴は?」

 

「はい、なゆたは恭也と同じ髪の色で、なのはは私と同じ栗色の髪です」

 

「分かりました。綺麗な栗色ですからすぐに分かると思いますよ」

 

「ありがとうございます」

 

丁度、近所の奥様達みたいな団体さんが入ってくる。

 

「それでは、行って来ます」

 

俺と母さんは翠屋を後にした。

 

 

 

 

「さて、迷子の子猫ちゃんを探しましょうか」

 

「別に迷子になってる訳じゃ……」

 

そう言って母さんは俺の手を繋いで歩き始める。

 

……そう言えば、母さんの前世の時は身長が160㎝位はあったよな。

 

今の俺の身長は……多分、110㎝位のハズ。

 

俺は母さんの顔を見る。

 

「どうしたの?」

 

「母さん、身長何㎝?」

 

「どうしたの? 突然」

 

「いや、確か前世の時は160㎝はあったと思ったから……」

 

「うふふ。よく覚えてるわね。そうよ、今は身長142㎝だったかな?」

 

「え? 何でまた……」

 

らき☆すたの泉こなたと同じ身長かい。

 

「だって、アレスちゃんの身長は……135㎝で止まるんでしょ?」

 

「うぐ……」

 

痛い所を突く。

 

そうなのだ。俺の前世の前世は小学校4年生辺りで身長が止まって135㎝ピッタリだったのだ。

 

おかげで中学と高校の時の制服は特注品で、背広も特注品だったのだ。

 

何せ一般のSサイズでもブカブカだったのだからおして知るべし。

 

「と言う訳で、今回は奈美と同じ位にしたのです」

 

胸を張ってる母さん。ちなみに胸はかなり大きい。

 

そして顔は童顔。マニアックなロリ巨乳と言うヤツである。

 

「はあ……たまには身長180㎝とか味わってみたいよ」

 

「駄目よ! そんなのアレスちゃんじゃなくなるわ!」

 

何ソレ。俺=低身長と言う方程式でも出来とるんかいな。

 

 

 

 

しばし散策すると小さな公園が見えてきた。

 

中を見ると丁度2人の子供が砂遊びしていた。

 

男の子がダークブラウン系の髪で女の子が栗色の髪。

 

多分、高町なゆたと高町なのはであろう。

 

「あ、いたいた」

 

そう言って俺と母さんは2人に近づく。

 

 

「ふぇ?」

「……誰だ?」

 

 

訝しげな表情で俺達を見るなゆたとなのはの2人。

 

「ごめんなさいね。私は藤之宮直美。高町なゆた君となのはちゃんね?」

 

 

「はい……」

「はい」

 

 

「今日、貴方達のお家の隣に引っ越して来たのよ」

 

「え?」

 

なゆたの顔が一瞬驚愕に染まる。

 

無論、俺はその顔を見逃す訳が無い。

 

「で、こちらが息子のアレス」

 

「初めまして。アレスだよ」

 

「うん、アレス君。よろしくね」

 

「よ……よろしく……」

 

満面の笑みのなのはと妙によそよそしいなゆた。

 

なのはは魔力がボチボチ流れ出ている。

 

制御の仕方を知ってるハズ無いから当たり前だ。

 

だが、なゆたの方は……まるで知っているかのように。きちんと制御してほとんどゼロに押さえている。

 

普通のヤツなら気付かないだろうが、俺の目を誤魔化すにはまだまだ鍛錬が足りない様だ。

 

「それじゃ、2人を見つけた事だし。アレスちゃん、帰りましょうか?」

 

「うん」

 

「2人ともどうする? 一緒に帰る?」

 

「う~ん……」

 

「なのは、帰ろうか」

 

悩むなのはをなゆたが促す。

 

「それじゃあ、帰りましょう」

 

こうして俺達は自宅に向けて帰宅する。

 

 

 

 

「それじゃあ、今晩は引っ越しソバを持って行くからね~」

 

「バイバイ」

 

俺と母さんは2人と別れる。

 

 

「バイバ~イ」

「さようなら」

 

 

その時、俺は僅かに魔力を放出する。

 

 

「!!」

 

 

なゆたの顔色が一瞬……僅かに変わった。

 

「どうしたの? なゆた?」

 

「いや、何でも無いよ……。何でも……」

 

気を取り直したなゆたは俺の方をやや睨む様に眺める。

 

「どうしたの?」

 

俺はとぼけて訪ねる。

 

「いや、ごめん……何でも……ない」

 

「変なの。それじゃアレス君、バイバ~イ」

 

そう言ってなゆたとなのはの2人は自宅に入って行った。

 

「どうだった?やっぱり……なゆたは『クロ』だった?」

 

母さんが訪ねて来る。

 

「ああ。間違いなく、転生者だ。俺の魔力に見事に反応した」

 

「そう。と言う事は……」

 

「間違いなく、近いウチに俺に勝負を仕掛けて来ると思う」

 

「ごめんなさいね。あたしと陣は能力を封印して転生してるからほとんど人間と変わらないの」

 

「良いよ。父さんと母さんを巻き込む訳に行かないし」

 

「ありがとう、アレスちゃん……」

 

そう言って母さんは頭を撫でてきた。

 

 

 

 

 

高町家に行って夕食を食べた後。

 

俺は風呂に入っていた。

 

母さんと。

 

「1人で入れるのに……」

 

「駄目よ。5歳と言ったらまだ一緒にお風呂に入るんだから」

 

満面の笑みで言い放つ母さん。

 

「分かったよ……分かったから……」

 

身体を洗った後、一緒に湯船に浸かる。

 

後ろから抱きかかえる様に入ってるから。

 

背中に凄く柔らかい感触が! 当たってるんですがね!

 

「うふふ~アレスちゃんと一緒~」

 

もの凄くご機嫌だった!

 

「はあ……」

 

ちなみに食事の時に聞いたのは高町家の大黒柱でもある士郎さんは大怪我で意識不明と言う事であった。

 

うむ、この点は予定通りだな。

 

 

 

 

部屋に帰る。

 

ちなみに、俺専用の部屋なんだが、母さんがルンルン気分で添い寝に来るのだ。

 

なんか、このまま高校生になってもこの状態が続きそうで怖いんだが。

 

「そう言えば……チャクラは何処まで回せるんだ?」

 

俺は身体に力を入れ、チャクラを回しみる。

 

「ふむ、第2チャクラ迄で第3チャクラがちょっとだけ回せる状態か」

 

せめて9歳頃までに第5チャクラか第6チャクラまで回せる様になっておかないとな。

 

「うん?」

 

本棚を見ると……妙な本が目に入った。

 

「ちょっと待てや」

 

俺はその本を本棚から取りだした。

 

真っ黒い表紙で十字に鎖で封印されてる、見るからに怪しい本だった。

 

「……何で……『夜天の書』がここにあるんだよ。これははやてのだろう」

 

古代(エンシェント)ベルカ式のロストギア。闇の書と呼ばれて幾多の人を不幸に追いやった壊れた魔導書。

 

「……む? そう言えば……アレはどちらかと言えばこげ茶色に近い色だったよな?」

 

頭に浮かぶのはこげ茶色で黄金の装飾が施された姿。

 

だが、目の前にある本は漆黒で所々に赤い装飾。

 

よく見ると……違う。

 

「そうか、これが今回の相棒……か」

 

俺は魔導書を撫でる。

 

もし、夜天の書と同じなら9歳の誕生日に起動するハズだ。

 

「後4年。待っててくれよな、エヴァ」

 

『はい、待ってますよ? お兄様』

 

不意にそんな声が聞こえた……様な気がした。

 

俺は本を本棚に戻した。

 

 

 




いきなり、なのはの双子として転生していますw

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