魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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またしてもモンハンネタですw




第20話 片角のマオウ

 

 

 

 

 

八神家に到着すると出てきたのは主のはやて。

 

今日のお留守番はザフィーラだけとの事。

 

リビングに通されてからはやてはお茶の準備でキッチンに向かっていく。

 

ザフィーラは家事スキルは皆無なので仕方ない。

 

狼形態のザフィーラはなのは達の様子を観察していた。

 

 

 

 

 

 

俺ははやてと一緒にキッチンに居た。

 

はやてはアレス君はお客さんなんだから待ってええんよ~と言ったが、俺はそれを却下してはやての車椅子を押す係を担当した。

 

お茶の準備を終えてリビングに向かう。

 

今日は翠屋特製のチーズケーキや~とはやての声が聞こえる。

 

実に楽しみだ。

 

桃子さんのあのチーズケーキは真似するがあの味は出せないのだ。

 

エヴァと2人で首を傾げてケーキを作ってるのは秘密なのだが。

 

……。

 

そうだ、最近あの『スキル』を使ってなかったな。

 

はやての気分転換になるだろうし、俺の勘を取り戻すのも良い。

 

俺は心の中でしめしめ……と思っていた。

 

 

 

 

 

リビングに到着してからはやてがお茶を入れる準備をしようとしたところで。

 

「はやて」

 

「ん?」

 

「しっかりお盆持ってろよ」

 

「へ?」

 

俺は魔力を纏った糸をはやての全身に纏わせてから。

 

左手の指をクイッと動かす。

 

「ひゃわぁ!?」

 

いきなり立ち上がるはやて。

 

その様子をなのは達は目を見開いていた。

 

ザフィーラも口を開けて呆然と眺めてる。

 

「な、なななな何事やぁ!? あ、アレス君! 私に何かしたんか!?」

 

【お兄様ったら、いきなりソレはかなり心臓に悪いですよ?】

 

顔を真っ赤にしてるはやて。いきなりだったから驚いてるのか?

 

「ん~? エヴァの二つ名を思い出してみたら?」

 

「エヴァちゃんの? 確か……『闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)』やろ?」

 

「うむ?」

 

「『不死の魔法使い(マガ・ノスフェラトゥ)』やろ?」

 

「それから?」

 

「『悪しき音信(あしきおとずれ)』やろ?」

 

「まだまだ」

 

「『禍音の使徒(かいんのしと)』やろ?」

 

「もうちょい」

 

「『童姿の闇の魔王(わらべすがたのやみのまおう)』やろ……それから……あっ」

 

はやては一息ついてからゆっくりと言った。

 

「『人形使い(ドール・マスター)』……」

 

【ん~、私はそこまで凄いことはしてないのですけど?】

 

まあ、漫画のエヴァがやったからなぁ~。

 

その言葉を聞いてなのは達の息を呑む声が聞こえた。

 

「ご名答。エヴァの姉なんだから出来てもおかしくないだろ?」

 

「失念しとったわ……確かに出来てもおかしくないわ」

 

そう言ってはやてはお茶を入れて全員の前に置く。

 

言っても俺が操作してるのだが。

 

「感覚が無いから違和感あるけど、立てるのは良いもんや」

 

部屋の中をうろうろと歩かせる。

 

「自分通りに動かへんのがもどかしいけど、まあ、しゃあないか」

 

「それは勘弁してくれ。四六時中はやてに付きっきりになってしまう」

 

「……なあ? 私の足が動くようになるまでずっと一緒に住まへんか? 一緒に添い寝からお風呂の世話まで♪」

 

この狸娘は何を仰るのか。

 

軽い目眩を覚えつつ俺は返答する。

 

「何を戯けた事を。シグナムやシャマルの役目を奪うわけにいかんだろ」

 

「シグナムとシャマルなら歓喜すると思うけどなぁ~?」

 

確かに。

 

その光景が目に浮かぶ様だ。

 

「ヴィータとザフィーラは?」

 

「ザフィーラはどうや? アレス君と一緒に住むのは反対か?」

 

「……主が望むなら反対はしません」

 

デスよねー。

 

予想通りの返答ありがとう、ザフィーラ。

 

仮にヴィータが反対してもはやて、シグナム、シャマルの3人にO☆HA☆NA☆SHIされて終わりだろう。

 

ふと、なのは達を見ると。

 

「うぉっ!」

 

背後に浮かぶのは般若の面。

 

炎が燃えさかってその中に般若が見えていた。

 

 

 

「いくらはやてちゃんでもそれは許されないの……」

「そうよ。アレスはあたしがいじめて遊ぶ玩具なんだから……」

「…………」

 

 

 

すずかは紅茶カップを持ってるが、手がカタカタと震えていた。

 

表情はニッコリ微笑んでるから余計に恐い。

 

「い、いや、ジョークやで? ただ、たまにこうやってくれるのもありがたいかな~と……」

 

苦笑いのはやて。

 

このままいくとはやての頭が冷やされるかも知れないから話を変えるか。

 

〈アレス! 聞こえるか!?〉

 

突然聞こえるヴィータの声。

 

はて、ヴィータは魔力蒐集に向かっていたはずだが。

 

〈どうした? 突然?〉

 

〈すまねぇ、休みの所。実は、厄介なヤツが現れてな〉

 

どうやら応援を求めてる様だ。

 

珍しいな、確か……今日のメンツはシグナム、ヴィータ、フェイト、シャマル、美由希さん。

 

やや前衛寄りだが、悪くないパーティーだと思う。

 

これだけのメンツが苦戦するのはあまり想像出来ないのだが。

 

〈どんなヤツだ?〉

 

〈ああ、砂漠で地面を泳ぐ魚みたいなヤツをブッ倒してから蒐集してたらな〉

 

〈うむ。それから?〉

 

なるほど。砂を泳ぐのは『ドスガレオス』だな。

 

まあ……鬱陶しいが、そんなに強いヤツじゃないな。

 

ヴィータなら音爆弾的な魔法持ってたし。

 

〈遠くの方にかなりでかい魔力反応があったからあたし達は向かって行ったんだ。そしたら、砂の中から角が生えたドラゴンみたいなヤツが現れて……〉

 

砂から出るドラゴンみたいなヤツって言うのは……『モノブロス』か『ディアブロス』のどちらかだろう。

 

どちらも砂の中に潜ったり、ちょっと鬱陶しいがそれでも5人の敵では無いと思うんだが。

 

〈確かに厄介そうではあるが。それでもヴィータ達ならそう簡単に負けないと思うぞ?〉

 

〈いや、それがもの凄いタフなんだよ。シグナムが連続で斬ってあたしが巨人族の一撃(ギガントシュラーク)で殴ってもなかなか弱くならねぇんだよ!〉

 

ヴィータの巨人族の一撃(ギガントシュラーク)で殴っても……だと? アレを耐えるなんて、相当のヤツだぞ?

 

〈ヴィータの巨人族の一撃(ギガントシュラーク)でも仕留められないだと?〉

 

〈ああ。フェイトがファランクスって言うヤツぶち込んでも効いた様に思えないんだ〉

 

……もの凄いタフだな。

 

普通のモノブロスとかディアブロスならとっくに気絶してると思うのだが。

 

そんな巫山戯たヤツが……待てよ?

 

〈ヴィータ、1つ聞くぞ? 其奴の特徴は?〉

 

〈ああ、頭の角が本来は2本みたいだけど。あたし達と会った時は既に1本折れてたんだ〉

 

俺はその言葉を聞いて背筋が寒くなってきた。

 

ゲームの中だけかと思ったら、ホントに居たんだ。

 

 

 

 

『片角のマオウ』

 

 

 

 

モンスターハンター2Gに出てくるモンスターで。

 

普通のディアブロスなのだが、そいつは初めから2本ある角のうち、片方が既に折れた状態なのだ。

 

厄介なのは、上級クエストなのに耐久力が上のクエストであるG級と同等なのだ。

 

兎に角、やたらとタフなのだ。

 

かつてゲームでやった時、上級だから楽勝だろうなと思いつつG級用の武器で行ったのにも関わらず、時間ギリギリで倒した覚えがある。

 

上級クエストの分際でG級並みとはどういう事かと。

 

〈分かった。なのはとザフィーラ連れてすぐに行く。それまで何とか持ちこたえろ〉

 

〈ああ、分かった。なるべく早く頼む〉

 

ヴィータの通信が切れる。

 

「なのは、ザフィーラ」

 

なのはとザフィーラが俺の方を向いた。

 

「シグナム達を助けに行くぞ。『片角のマオウ』が出たみたいだ」

 

 

「ブフッ!」

「ブフッ!」

 

 

その言葉を聞いてはやてとすずかの2人は紅茶を噴き出していた。

 

「わっぷぅ!」

 

アリサが少し被害を被ったみたいだが、そこはスルー。

 

「なるほど、シグナム達が苦戦するほどのヤツか」

 

「ああ、耐久力がやたらとあるんだ。ヴィータの巨人族の一撃(ギガントシュラーク)でも仕留められなかったそうだ」

 

「……なるほど。それは相当のヤツだな」

 

「にゃあ~ヴィータちゃんのアレを耐えるの?」

 

「そう言う事だ。行くぞ?」

 

俺となのは、ザフィーラの3人で転送しようとしたら。

 

 

 

「ちょっと待ちぃ!」

「あたし達も連れて行きなさい!」

「置いてきぼりは嫌!」

 

 

 

はやて、アリサ、すずかの3人も付いてくる事に。

 

まあ、家を守る人が居なくなるからその方が良いかもな。

 

あっちでシャマルに守らせる手もあるし。

 

「ああ、それじゃあ行くぞ」

 

俺達は一斉に転送した。

 

 

 

 

 

 

「キィエェェェェェェェェ!!!」

 

「ぶちぬけぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

ディアブロスとヴィータが戦っていました。

 

ヴィータのアイゼンが頭に直撃しているにも関わらず、あのディアブロスはまだ元気でした。

 

ってか、この世界のモンスターはオリジナルよりも遙かに強いと思われる。

 

「なのはとザフィーラはヴィータの援護を。俺は3人をシャマルに預けて来る」

 

「分かったの」

 

「心得た」

 

2人と分かれてから俺はシャマルの方に向かう。

 

ちなみに分身してからアリサ、すずか、はやてを抱えている。

 

 

「……」

「……」

「……」

 

 

3人は呆然とディアブロスを見ていた。

 

「でかいな」

 

俺はディアブロスを見ながら呟く。

 

目測30mはあるんじゃね?

 

確か、普通のディアブロスは平均20mらしいからかなり大きい個体だ。

 

「アレが……片角のマオウ……」

 

「ゲームで見るより遙かに凄まじいわ……」

 

ゲームと現実は違うのだよ? 3人とも。

 

「さて、とりあえずシャマルの所に行くぞ」

 

 

 

 

 

シャマルの所に行くとシグナムとフェイト、美由希さんが治療を受けていた。

 

「う~攻撃当てても怯まないよ~」

 

「う~ん……やられた……」

 

うなされてる美由希さんとフェイト。

 

確かに、あいつのタフさには辟易させられる。

 

「いつつ……あ、主はやてにアレスちゃん。無様な姿を見せて申し訳ない」

 

「いや、そんな日もある。全員が無事で良かった」

 

「そうやで~怪我は治るけど死んだらそこまでやからなぁ~」

 

「ありがとうございます。そう言って頂けると少しは気が楽になります」

 

「さて、シャマル?」

 

「はい!」

 

嬉しそうな顔で返事するシャマル。

 

尻尾があったらハタハタと振っているだろう。

 

「俺はヴィータ達の援助に向かう。だから、全員の守りを頼むぞ?」

 

「はい!」

 

「シグナムも治療が終えたらシャマルと2人でここの守り頼む」

 

「分かりました。命に代えてもここは守ります」

 

「ダメだ」

 

「え?」

 

「命に代えずに守ってくれ。勝手に死ぬのはダメだ、許さん。なあ? はやて?」

 

「そうやね。シグナム? シグナムも私達の大事な家族なんやからね」

 

「……分かりました。それでは、アレスちゃんも怪我せぬ様に」

 

「ああ。行ってくるぜ?」

 

俺はヴィータ達の所に向かって飛んでいった。

 

 

 

 

 

「大丈夫か?」

 

俺は肩で息してるヴィータに話しかける。

 

「ああ、何とか……な」

 

ディアブロスはザフィーラとなのはに標的を向けてそちらに向かっている。

 

「にゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? ディバイン・バスター喰らっても平然としてるぅ!?」

 

なのはの驚きの声が聞こえる。

 

 

 

「キィエェアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

 

 

ディアブロスは口から黒い煙を吐きながら咆吼した。

 

どうやら怒りモードになったみたいだな。

 

全くもって厄介だ。

 

確か、怒りモードになったらパワーとスピードが少し上がるハズ。

 

「ぬうぅぅぅぅぅ!?」

 

あ、ザフィーラが地中からの突き上げで吹っ飛ばされていた。

 

アレも厄介だな~。

 

足止め出来れば楽……あ。

 

そうだ、ザフィーラが居るなら出来るな。

 

〈ザフィーラ、其奴の足止め……出来るか?〉

 

〈ああ。ちとキツイが出来ないことは無い〉

 

〈どれくらい止められそうだ?〉

 

〈15秒……位だな〉

 

上等。15秒あるなら何とかなるかも。

 

〈なのは〉

 

〈うん?〉

 

〈今からスターライト・ブレイカー撃つのにどれくらいかかる?〉

 

〈ん~30秒あれば何とか〉

 

〈そうか。なら、今からザフィーラがあいつの足止めしてから俺とヴィータがあいつに一撃喰らわせる。その直後になのはがスターライト・ブレイカーでとどめを刺す。どうだ?〉

 

〈分かったの。今からチャージに入るね〉

 

なのはは空中に向かって飛んでいく。

 

「ヴィータ、巨人族の一撃(ギガントシュラーク)はあと何発いける?」

 

「あとギリギリで2発……だな」

 

「よし。俺と一緒に巨人族の一撃(ギガントシュラーク)を同時にあいつにぶちかまそう。噴進式鉄槌(ラケーテンハンマー)の要領で横殴りだ」

 

「……それは良いけど。お前、巨人族の一撃(ギガントシュラーク)って出来るのか?」

 

「出来るぞ。俺の持ってるデバイスを忘れたか? エヴァ、モード『アイゼン』」

 

【了解です、お兄様。モード『グラーフ・アイゼン』】

 

武神の魔導書が光り輝くと俺の手に握られたのはヴィータと全く同じ形状のハンマーだった。

 

「っ! へへ、それなら……いけるな!」

 

ヴィータはニヤリ……と笑った。

 

「ザフィーラ! こっちは準備出来た! 頼む!」

 

「! でぇぇぇぇい! 縛れ! 鋼の(くびき)!!!」

 

ザフィーラがそう叫ぶとディアブロスの足下から尖った魔力の刃が現れてディアブロスの足、胴体に突き刺さりその場に縫い止める。

 

 

「ギィエェアァァァァァァ!」

 

 

咆吼するディアブロス。しかし、どんなにもがいてもザフィーラのソレから逃れることは出来ない!

 

「ヴィータ!」

 

「ぶちかませぇ!! アイゼン!!!」

 

了解(ヤヴォール)!! 起爆(エクスプロズィオーン)!!!】

 

ヴィータのアイゼンがカートリッジロードする。

 

「エヴァ! 頼む!」

 

了解(ヤヴォール)!! 起爆(エクスプロズィオーン)!!!】

 

俺の手に持たれるエヴァも同じ様にカートリッジロードする。

 

身体に魔力が溢れてくる。

 

「行くぜぇ!! これを耐えられるか見せて貰うぞ!? 片角のマオウ!!」

 

アイゼンモードのエヴァの形状が変わる。

 

超巨大ハンマーに変化して俺は左回りに回転する。

 

ヴィータも同じように回転する。

 

 

 

噴進式巨人族の一撃(ラケーテン・ギガントシュラーク)!!」

噴進式巨人族の一撃(ラケーテン・ギガントシュラーク)!!」

 

 

 

高速回転で回る俺とヴィータのハンマーがディアブロスを挟み込んで一撃を加える!

 

 

 

「ギィエェェェェェェェェ!!!」

 

 

 

ディアブロスの咆吼と轟音が周りに響いて爆風の様な風が周りに広がる。

 

俺は上を見る。

 

なのはの周りに桃色の魔力光が集まる。

 

「ヴィータ、離れろ! なのはの砲撃が来るぞ!!」

 

「分かった! あんなの直撃したくねーよ!!」

 

俺とヴィータは即座にディアブロスから離れる。

 

ふらふらのディアブロス。

 

ギガントハンマーのサンドイッチを喰らって気絶しないのかよ、あいつは!!

 

 

 

「全力全壊! スターライト・ブレイカ―――――ッ!!!!」

 

 

 

 

桃色の砲撃がディアブロスを包み込んで、その直後、台風を上回る爆風が俺に襲いかかる。

 

 

「ぐぅぅぅぅ!」

 

「で、出鱈目も良いところだよ、アレは!」

 

俺とヴィータは薄目を開けて様子を見る。

 

アレが非殺傷とは思いがたいのだが。

 

ってか、既に原作のカートリッジロードしたスターライト・ブレイカーより上回ってるんじゃね?

 

そんな事を思いつつ俺は煙が晴れるのを待つ。

 

「これでまだ意識あったらもう諦める。あんなタフなヤツとやってらんねぇよ!」

 

ヴィータはそうぼやいてその場に座る。

 

「おーい」

 

シグナム達がやってくる。

 

ザフィーラは狼形態になってはやてを背に乗せて。

 

シクルゥに乗るナコルルみたいだな。

 

シグナムはアリサを抱きかかえ、シャマルはすずかを抱きかかえてる。

 

美由希さんとフェイトもフラフラした感じではあるが、こちらにやって来る。何とか回復したのであろう。

 

なのはも何事も無かった様に降りてきた。

 

「なのは……アンタのアレってホントに非殺傷設定?」

 

「にゃっ!? 非殺傷だよ?」

 

「いくら非殺傷と言っても……喰らいたくはないね」

 

「大丈夫だよ~? ちょっと痛いだけだから♪」

 

「あれでちょっと痛い……? 我が妹ながら恐ろしい」

 

身震いしてる美由希さん。

 

下手に姉妹喧嘩したら超高確率で美由希さんが負けると思うんだ。

 

俺はなのは達の会話を聞きつつもディアブロスの方を見る。

 

段々と煙が晴れてくるのを見てると、巨大隕石が落ちた様なクレーターが見えるんだが。

 

「晴れた~って……これは」

 

夜天の書を持ったシャマルは目の前の光景を見て絶句していた。

 

二の句が継げない……と言えば良いのか。

 

大きなクレーターが出来ていて、真ん中で砂に埋もれてるディアブロス。

 

ピクピク痙攣してるから一応は生きてるんだろうが。

 

「とりあえず、引っ張り出すか」

 

俺はディアブロスの角を持って引きずり出す。

 

無論、咸卦法を使って身体能力を上げてる。

 

前世なら身体能力で何とかなったんだがなぁ。

 

身体が成長し終えたら重力使って身体を鍛えるかな。

 

「……アレを簡単そうに引きずり出すお前はおかしいと思うんだ、あたしは」

 

ヴィータの呟きはスルーして。

 

シャマルはディアブロスから魔力を蒐集する。

 

ページがペラペラペラとめくれていく。

 

「……45ページ」

 

「……そうか」

 

「それだけ苦労した甲斐はあったな」

 

そのあと、俺は傷の治療をしてディアブロスを解放しておいた。

 

俺達の姿を見ると脱兎のごとく逃げていったのは余談である。

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、ヴィータのアイゼンが入ってるとはな」

 

「ああ。当然ながらシグナムのレヴァンテインも入ってるぞ?」

 

「そうか……私と同じ武器で戦えるのか。まるで夫婦の様だな?」

 

やたらに顔が赤いシグナム。

 

「夫婦……ねぇ……」

 

「年上女房は……嫌いか?」

 

……なんか、口説かれてる様に思えるのは気のせいだろうか?

 

「……シグナム? 何抜け駆けしてるのよ?」

 

ジト目でシグナムを見るシャマル。

 

ものすげー嫌な予感。

 

「待て、シャマル? ここでアレスちゃんから年上女房は嫌いだと言われてみろ。我々は明日から何を糧にして生きていけば良いのだ?」

 

「…………確かに。ソレはもの凄く重大な死活問題ね」

 

そんな事じゃなくてはやての家族として生きていけば良いじゃねぇか……と思った俺は悪くないハズだ。

 

「で? アレスちゃんは年上女房は……どうかしら?」

 

やけに血走った目で俺を見るシグナムとシャマル。

 

やっぱりこの2人は一度、頭をフォーマットした方が良いとボクは思うのですよ☆にぱー☆

 

おっと、違うモノ(古手梨花)が頭に降臨してたな。

 

「まあ、別に年上女房でも全く問題は無いが」

 

その言葉を聞いて2人の目はもの凄く輝いていた。

 

夜天の書のバグはここまで影響を及ぼしていたのか……と思わざるを得ない。

 

「主人を差し置いて……アレス君をナンパするんて!」

 

額に青筋を立ててるはやてが来る。

 

ザフィーラはやけに疲れてる様に見えるのだが。

 

「すみません、主はやて!」

 

「ごめんなさい、はやてちゃん! アレスちゃんが嬉しいことを言ってくれたから……」

 

「いーや!そもそも、私がアレス君と結婚したら2人も一緒に住めるやないか!」

 

 

「あ……」

「そうだ!」

 

 

シグナムとシャマルの顔は驚愕に溢れていた。

 

俺はザフィーラの顔を見る。

 

「……すまん」

 

そう言ってザフィーラは顔を逸らした。

 

俺はヴィータを見た。

 

「あ~砂漠はあちぃなぁ……」

 

空を眺めて俺達の方を一切見ないヴィータがそこに居た。

 

「そうやろ!? 2人の主である私がアレス君と結婚したら、家族のシグナムとシャマルにも寵愛がイってもおかしゅうない!」

 

おかしいから。

 

そもそも、シグナムとシャマルは従姉妹のお姉さん扱いだろ?

 

従姉妹丼か……。

 

新しいジャンルだな。

 

 

 

「何を言ってるのかな? かな?」

「アレスは私とアリシア姉さんとも結婚するんだよ?」

「アレス君は私とも結婚だよ?」

「アレスは私のいじめ相手よ! そう簡単に渡さないわよ!?」

 

 

 

なのは、フェイト、アリサ、すずかがやって来る。

 

わー、コレは始末に負えない予感。

 

「こうなったら、私達の中で誰が正妻にふさわしいか! 競い合おうやない! 負けた人は妾で我慢! これでどうや!」

 

「乗った!!」

「乗った!!」

「乗った!!」

「乗った!!」

 

おいおい、ちょっと前は妾で良いって言ってたのが、どうしてこうなった!?

 

「よっしゃ! それなら……とりあえず、舞台は……アレス君の家や! アレス君のお義母さんにアピールや!」

 

待てや! なんでお義母さんになってるんだよ、この狸娘は!

 

「ちょ、ま……」

 

5人は一斉に転送してしまった。

 

なのはとフェイトが一斉転送したのだ。

 

 

 

「主はやて!?」

「はやてちゃん!?」

 

 

 

後を追うようにシグナムとシャマルも転送していった。

 

呆然と佇む俺の肩を叩くのは美由希さん。

 

「もてる男は辛いわね……」

 

「妹さんを止めると言うのは?」

 

「アレス君、あたしにこの世から消えろと?」

 

「ですよねぇ~」

 

俺はヴィータとザフィーラを見る。

 

「……すまん、我は主を守護する大事な役目があって死ぬわけには」

 

「……あたしも同じだ。せめて、シグナムとシャマル位は止めたいけど……あいつら、お前が絡むと通常の3倍の力を発揮するというか……」

 

赤い彗星かよ。あれは3倍の速さだが。

 

ちなみに、実際に赤い彗星ザクはノーマルザクの1.3倍にチューンナップされた専用ザクで3倍と言うのは誇張であるらしい。

 

 

 

あと、郵便ポストはシャア専用ではない。

 

 

 

「まあ、気にするな。アレは止められないのは分かってる」

 

「すまねぇ……」

 

「さて、今日はコレくらいにして帰るか」

 

「そうだね~」

 

とりあえず、今日の魔力蒐集は終わりを告げた。

 

そして、家に帰宅する。

 

 

 

 

 

美由希さん、ザフィーラ、ヴィータ達3人と別れて家に帰ると母さんがニヤニヤしながら出迎えてきた。

 

「ただいま、母さん?」

 

「モテモテね~?」

 

もの凄い嫌な予感。

 

「嫌な予感を感じるんだが……」

 

「ご名答よ。お嫁さん候補が沢山来てから大騒ぎよ?」

 

目の前が暗くなってきた。

 

とりあえず、俺は自分の部屋に戻るべく、ドアを開けた。

 

すると……なのは、アリシア、フェイト、はやて、アリサ、すずかの6人がトランプのババ抜きで戦っていた。

 

そして、なのはの後ろには桃子さん。

 

アリシアの後ろにはプレシア女史。

 

フェイトの後ろではリニスさん。

 

はやての後ろではシグナムとシャマル。

 

すずかの後ろではノエルさん。

 

アリサ以外、保護者役の人達が手に汗握る様相で見守っていた。

 

 

 

「にゃあぁぁぁぁぁっ! ババ引いたー!」

 

「大丈夫よ! コレをアリシアちゃんに引かせれば良いのよ!」

 

「そう簡単にアリシアが引くと思わない方が良いわよ! 桃子!」

 

「私の娘をなめて貰っては困るわ!」

 

「貴女こそ、私のアリシアをなめて貰っては困るわ!」

 

「はやてちゃん、私のクラールヴィントを使えば!」

 

「あかん! そんな事したらわたしは海鳴湾の藻屑に消えるわ!」

 

「大丈夫です! その時は私とシャマルで、主はやての分も含めてアレスちゃんを愛でる事にします!」

 

「あんたはどっちの味方や!? シグナム!」

 

「何とかなのはにババを引かせたけど……」

 

「大丈夫です、フェイト。アリシアにプレシアが付く以上、私がフェイトの補佐をして見事、アレス君の正妻の座をプレゼンしますから!」

 

「ねぇ、ノエルの能力で何とか出来ないかな?」

 

「難しい質問ですが、愛しのアレスちゃんの為です! 何とかすずか様を勝利に導きます!」

 

「アレスのくせに……アレスのくせに! アレスはあたしのモノなのよ!」

 

「うぅ……なのはちゃん……! 手が読めない! アレスお兄ちゃん! 私に加護を!」

 

 

 

一言で言えば『混沌(ケイオス)』状態だった。

 

ちなみに俺の部屋はかなり広いので、この大人数でも大丈夫なのだ。

 

 

「…………」

 

 

俺は無言でドアを閉めた。

 

全員、勝負に熱中していて俺に気付いていない。

 

 

「俺は何も見ていない。気のせいだ」

 

【残念ながら、これは現実ですよ? お兄様?】

 

 

 

「なん……だと……?」

 

 

 

エヴァのツッコミが俺を現実に引き戻す!

 

何なんださっきの空間は!

 

俺の部屋が女の子の匂いで一杯になってるじゃないか!

 

まあ、ベッドの下にはいかがわしいモノは無いが。

 

あ、俺は今現在⑨歳だからあったらそれはそれで問題なんだが!

 

「なぁ? 部屋に戻った方が良いか?」

 

【ん~……。餓えた狼の中に羊を放り込む様な感じがしますけど、戻らないと暴動が起こるかも知れませんよ?】

 

「だよなぁ……」

 

俺は不承不承ながら部屋に戻る事にした。

 

 

 

 

 

 

接戦は続いたが、今回はなのはが勝利を収めた。

 

勝利に喜ぶ高町親子だったが、翠屋を士郎さんに丸投げしていた桃子さんは美由希さんに連行されていった。

 

聞けば、恭也さんと忍さんまでも手伝ってるとか。

 

それで良いのか、翠屋。

 

その後、ヴィータとザフィーラもやって来た。

 

いつまでも帰ってこない主と同僚に業を煮やして3人を連行しに来たが、あえなく玉砕。

 

八神一家はウチに泊まる事となった。

 

テスタロッサ一家も泊まることになった。

 

アリサも鮫島さんに着替え等を持ってきて貰っていた。

 

泊まる気満々ですね。

 

すずかとノエルさんも忍さんの許可を得ていた模様。

 

ノエルさんは忍さんのメイド仕事をファリン嬢に丸投げしていた。

 

すずかにこっそり聞いたら忍さんに相当頼み込んだようだ。

 

『後生ですから、一度で良いですから!』

 

後で忍さんに聞いたが、許可しなかったら自殺しかねない勢いだったから許可したとか。

 

忍さんも色々と大変だな。

 

あ~、俺の家が大きくて助かったぜ。

 

母さんも『こんな事もあろうかと、大きい家を建てておいて良かったわ』とのこと。

 

いつから真田さんになったんだ。

 

こうして、初のお泊まり会が開かれることになったのだ。

 

余談だが、週に一回、こうして俺の家に泊まる事になったのだが。

 

まあ……これから騒がしくなるなぁ。

 

 




 



片角のマオウさんの耐久力をチートにしてみましたw

あれだけの攻撃を喰らわせてようやく戦闘不能状態ですからねw

実際にあそこまでの耐久力があったら心が折れますw


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