魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ- 作:八坂 連也
ここらでちょっと一息
~はやて、アリサ、すずかの魔法訓練~
ユーノ達と別れてから3日後。
いつも通りの生活を満喫していた。
今はなのはと模擬戦を行っていた。
ギャラリーははやて、アリサ、すずかの3人。
3人には双眼鏡を渡しおいた。
地上で俺となのはの戦いを眺めていたのだ。
「ディバイン・バスター!!」
なのはの砲撃が俺に向かってくる。
【
俺の前にベルカ式魔法陣が現れる。少し傾斜を付けてなのはの砲撃を逸らすようにする。
「くっ!」
それでも身体に衝撃が走る。毎回思うがこれは本当に非殺傷設定なのか、疑問は尽きない。
「にゃあ! それならディバイン・バスター12連射!!」
【イエス、マスター!! ディバイン・バスター12連射!!】
連続で桃色の砲撃が繰り出される。毎回思うが、あの砲撃を連射とかオリジナルを超えてるだろ!? それとレイハさんがやたらハイテンションだ。
さすがにアレを逸らすのはイヤだから俺はそれを全て避ける。
なのはの杖の向きを見てから砲撃の来る方向を予想しているからかわすのは簡単だ。
「俺に当てたいならもう少し工夫をすることだな!」
俺は避けながらなのはの間合いを詰めて行く。
「ひゃ!」
なのはの喉元にレーヴァテインを突きつける。
「終わりだな?」
「ううぅ~……参りました……」
【これでマスターの89連敗目が決まりました】
レイハさん、傷口に塩を塗り込むような言動を…。
こうして俺となのはははやて達の所に降りる。
「……」
「……」
「……」
3人は呆然と俺達を見ていた。
「どうだった?」
「色々と言いたいことはあるけど……」
「なのは! アンタ……何よ、あの砲撃は! 固定砲台になってるじゃない!」
「にゃ!?」
アリサに頬をつねられてるなのは。
「あかん……あんなの見てるとなのはちゃんに勝てるか自信が……」
はやての顔が少し青くなってた。
「アレス君も……。あの砲撃を易々と避けるし……」
すずかも苦笑していた。
「まあ、俺はちょっと特殊と思わないと。1000年の経験があるし」
「そうやね……」
「そうだったね……」
「なのはの方は……アレだけど」
「初めてまだ1ヶ月半位やろ? この先どうなるか……。私はなのはちゃんと戦いとう無いで」
「私も。アレはバグとしか言いようが無いよ……」
酷い言われようである。確かに1ヶ月半位であの始末だからな。
「アレス!」
「な、何だよ……」
「あの巫山戯た弾幕を易々とかわして! どうなってるのよ!?」
「どうなってるって……俺には見えるんだから」
「何処ぞのニュータイプみたいに『見える!』って感じかな?」
暗い部屋、ベッドの上で1人爪を噛んでろと言うのか。
「まあ、アレス君の動体視力は凄いからねぇ」
【お兄様の見切りは凄いのですよ? 額に付いた米粒が切れて皮膚は切れない間合いで剣でもかわすのですから】
「何処の宮本武蔵よ……」
まあ、出来るのだから仕方ない。
「だからお兄ちゃんとお父さんもアレス君に当てられないんだ……」
なのはの言うとおり、今は恭也さんと士郎さんと稽古してるが未だ当たったことが無いという。
どんだけチート仕様だと自分でもツッコミを入れたいねぇ。
「それで、調子はどうだ?」
俺ははやて、アリサ、すずかの3人に訪ねる。
言わずとしれたネギま!式魔法の練習の事だ。
なのはは後ろで魔力弾を缶に当てる訓練をしていた。ってか、既に連続150回超えてるのだが。
そして弾速も速いから『カカカカカカカカカカカカカ』とか言ってるし。
缶が粉々になりそうだな。
それでも疲れた様子が無いのは……どういう事だか。
「う~ん、まだ火は出ないわ」
「わたしもや」
「わたしも」
3人ともまだ火は出ない様だ。
あれって結構時間がかかるんだよね。
原作の夕映でも相当練習してやっと出したんだし。
「まあ、急がずゆっくりとだ」
「ダイオラマ魔法球使えば?」
そう言って俺の後ろから言い放ったのはなのはだった。
「なのは?」
「あ……ごめん♪」
謝ってるわりにはニヤニヤ笑ってないか?
「ちょい待ち」
「それは聞き捨てならないわ」
「考えてみたら……アレス君の前世はエヴァのお姉さんだから……」
黒いオーラを立ち上らせて俺の前に立つはやて、アリサ、すずかの3人。
「何で早く気付かなかったのかしら……」
「アレ使えば早かった……」
「さあ! あるなら早く出して貰うで!!」
「すまん、アレはフェイトに貸してる」
「なんやとー!?」
俺は事情を説明した。
「なるほど、それなら仕方ないわ……」
「姉が小さいんじゃ、威厳も何も無いわ……」
「と言うことは、今年中に2人とも転校してくるんか?」
「ああ。一段落が付いたら俺の家の隣に引っ越してくる予定だ」
ちなみに何故か俺の家の隣はここ何年も買い手がついてないと言う。何かあるのだろうか?
「アレス君の隣……?」
「アレスの家の隣……?」
「隣……やて?」
3人の表情が怪訝な感じに変わる。
そして3人はなのはを連れて少し離れてひそひそ話を開始する。
会話の様子(アレスには聞こえてない)
「なのはちゃん、フェイトちゃんとアリシアちゃんが抜け駆けせんように見張りをお願いするわ」
「にゃっ!?」
「無論、アンタも抜け駆けしたら……どうなるか分かってるわよね?」
「なのはちゃん、私達、親友だよね?」
「わ、分かったの……」
何となく、あの3人が言う事は予想は出来るが。
まあ、大丈夫だろ。
そんなこんなでこの日は3人の訓練は続いていった。
~初出勤~
学校帰り。
なのはと2人で下校途中の事。
アリサとすずかは別の用事で別れてる。
〈アレス君、なのはちゃん〉
突然の声。どうやらリンディさんだ。
〈どうかされました?〉
〈突然でごめんなさい! 近くの次元世界に犯罪者が逃げ込んだの!〉
なるほど、要は捕まえろと言うことか。
〈良いですよ。犯人は……〉
〈データを送るわ。近くに転送ゲートを開くからすぐにお願いね!〉
「と言うわけだ。行こうか?」
「うん」
俺達は近くに現れた転送ポートに入った。
着いたら何やら大勢の人達が。
見ると一般局員と思われる人達が5人位。
全員がビックリした顔で俺となのはを見る。
「君達は……?」
「あ、リンディさんの依頼で応援に来ました、藤之宮アレスと言います」
「同じく、高町なのはです」
全員が驚いた顔をしていた。
「リンディ提督から聞いていたが……君達が?」
「詳しいことは後で。どんな状況ですか?」
「すまない。何とか包囲することは出来たのだが、相手は魔導師ランクAAA級の魔導師で少し手を焼いているのだ」
確かにAAA級は一般局員達から見たらかなり手強いだろう。
「で、君達のランクは?」
「えっと、俺は魔力総量ランクはAでした」
全員が『ブッ!!』と噴き出していた。
「私は魔力総量ランクはSです」
全員が某吉本劇場みたいにすっころんでいた。
「おー……」
「わ、分かった……とりあえず、君達ならあいつに勝てるだろう……」
隊長さんと思われる人が犯人を指差した。
確かにあれぐらいなら勝てそうだ。
よし、初の実戦だ! 行ってみようか。
「なのは、なのはは後ろで援護射撃。大丈夫、俺は当たらないから」
「うん、分かった」
「すいません、俺となのはの2人で行きますんで」
「あ、ああ。分かった。任せよう」
「それじゃ、エヴァ?」
【了解です!
俺の足下にベルカ式魔法陣が広がって一気に騎士甲冑を纏う。
「レイジングハート!」
【セットアップ】
なのはも同じようにバリアジャケットを身に纏う。
「ベルカ式だと!?」
「あの子……凄い魔力量だ!」
周りが少し騒がしくなる。
「行きます! なのは、頼む!」
「了解なの!」
俺は一気に飛行魔法で相手の方に向かって飛んで行く。
「何だてめぇは! AAAランクの俺に勝てると思ってるのかよ! ヒャッハー!」
明らかに雑魚的な台詞を吐くな。でもAAAランクと言えば結構強いんじゃなかったのか?
相手が魔法弾を10発近く放ってくるが俺は全て避けて更に間合いを詰める。
「げげっ! 速い!?」
「遅い!!」
俺はレーヴァテインで殴りかかる。
「うひょお!?」
男はシールドで俺の攻撃を防ぐ。
「てめぇ……殴りかかってくるなんて……」
「俺は遠距離は苦手でね」
そして俺は右に身体をずらす。
その直後、桃色の砲撃が男に直撃した。
バリアが砕ける音が聞こえてから爆発音が響く。
俺はシールドを張って爆発から逃れる。
「さすが、超遠距離砲撃でもこの精度か」
【相も変わらず凄まじい砲撃ですね】
あっさりと勝負が付いて拍子抜けした。
その後、ボロボロになった男を担いでからさっきの場所に戻る。
「ありがとう、助かったよ」
「いえ、大したことはしてません」
「いや、君達がいなければまだ被害が出ていたかも知れない」
「まあ、確かにそうですけど……」
「これからも、頼むよ。リンディ提督に報告しておくから」
「分かりました」
そんな感じで俺となのはの初出勤は終わるのであった。
~看板娘と看板息子?~
学校が終わってから帰宅すると玄関にメモが置いてあった。
「何々……『翠屋に来てねby母より』か。何だろう?俺の誕生日はとっくに過ぎてるし?」
【何でしょうね?】
俺とエヴァは首を傾げるしかなかった。
着替えてから翠屋に向かおうと玄関に出ると丁度なのはも出てきた。出掛けるのであろうか、私服に着替えていた。
「なのは?」
「アレス君?」
「お出かけか?」
「うん。メモがあって翠屋に来てって」
なのはの言葉を聞いて何だか妙なモノを感じた。
「俺の方も同じ様に翠屋に来てくれってメモがあったんだが……」
「アレス君も?」
「まあ、とりあえず行ってみよう」
「そうだね」
俺となのはは翠屋に向かって歩き出した。
扉を開けて中に入ると
「いらっしゃ……あら、アレスちゃんになのは」
「来た来た」
母さんと桃子さん。それに近所のおば……げふんげふん、お姉さん方が集まっていた。
「可愛い~」とか「良いわねぇ~」とか「少年……食べたい」とか。
最後の方は危険な雰囲気が漂っていたのですが!
「何事?」
「何も言わずにコレを着なさい」
そう言って母さんは箱を渡してきた。
何となく、イヤな予感を感じるのだが。
「拒否権は?」
「あると思う?」
「……分かった」
そう言うと俺は更衣室に向かっていった。
ちなみに今日はなのはが泊まりに来る予定だから拒否すれば母さんから夕飯を食べさせられる事態になるのだ。
「そう言う事か」
俺は箱を開けて納得した。
中には執事服が入っていたからだ。
着てみると少し大きいがピッタリだった。
「母さんの仕業だな」
俺の身長が135㎝きっかりで止まると知ってるから用意したのだろう。
ちなみに今は130㎝を超えたかどうかといった具合だ。
とりあえず、店内に戻るか。
「きゃあ!」
「似合ってる!」
「藤之宮さん! 1日いくらで貸してくれるの!?」
奥様方の黄色い歓声が店内に響く。
「かっこいいの……」
なのははメイド服を着せられていた。
「なのは……なのはも可愛いぞ」
ボンッ
なのはの頭から蒸気が出ていた。
「こ、これは……良い」
見ると鼻にティッシュを詰めていた桃子さんが。
……見なかったことにしよう。
「で? 説明を求めたいのだが?」
俺は『してやったり』と言いたげな母さんの顔を見ながら訪ねた。
聞けば今日は店員さんが急遽出られなくなったと。
それを聞いた母さんが秘密裏に用意していた執事服を着せて俺に手伝いをして貰おうと。
ちなみになのはは半分おまけらしい。
そしてたまたま近所の奥様方が俺が執事服を着て手伝うと聞いて連絡して呼んだらしい。
『可愛い男の子を愛でる会』と言う集まりらしい。
とどのつまりは『ショタ』の集まりだろ!
「分かったよ」
断る理由は無いのでとりあえず今日は翠屋でウエイターとしてお手伝いすることにした。
終わってみたら過去最高の売り上げを記録したとか。
確かに女子高生とか女子大生とかOLみたいな客が多かった。
俺の方を見ては顔を赤らめていた。
その中に混じって背広を着た男性客も数人いた。
目線はなのはの方ばかり追っていたが。
どさくさに紛れてロリの方も来ていたのか。
この世界の海鳴市はショタが多いのか?
何となくやるせない思いをしながらも時は流れていった。
この世界はショタが多い仕様となっておりますw