魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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実はクロノ君は原作より有能なのかも知れないw






第12話 ついに現れた管理局!

 

 

 

 

 

 

八神家で俺の前世を暴露されてから数日経ちました。

 

あれからはやて、アリサ、すずかの3人はネギま!式魔法の鍛錬を行っています。

 

まあ、そう簡単には出来ませんがね!

 

ちなみに、悪用は絶対にしない事と言及はしておきます。

 

もっとも、あの3人なら大丈夫と信じているが。

 

そのうち、ダイオラマ魔法球の事も言及されるだろうけど、今は黙っておこう。

 

さあ、海にあるジュエルシード回収しようかな。

 

管理局は来そうに無いし、このまま探すのもアレだし。

 

そんなこんなで本日もジュエルシードを捜索していました。

 

本日のなのははフェイトと一緒になって探しています。

 

「……?」

 

何か視線を感じた。

 

俺は立ち止まって周りを見る。

 

周りは買い物帰りの主婦、中学生、高校生、会社帰りの人などが大勢いて皆俺の事など気にせず歩いていた。

 

【お兄様?】

 

「……気のせいか。何か視線を感じたのだが……? これは上?」

 

【気のせいではありませんわ。上空に何か魔力反応があります】

 

「何?」

 

俺は上を見つめた。

 

上空に浮かぶ何か。俺はそれに向けて視線を集中した。

 

人だ。人が浮いていた。

 

赤毛の少年。背広を着ているが、何処か幼げな雰囲気。

 

「……ビンゴ。アレは……転生者だ。この世界にあんなヤツは居ない」

 

俺はビルとビルの隙間に入る。

 

「頼む、エヴァ」

 

【ハイ、お兄様。起動(アンファング)!】

 

騎士甲冑を纏って一気に上空に飛び上がる。

 

「!?」

 

赤毛の少年は俺の顔を見て目を見開いた。

 

「エヴァ、結界を頼む」

 

【了解です。魔法の監獄《ゲフェングニス・デア・マギー》】

 

瞬時に展開される結界。この中にいるのは俺と目の前の赤毛の少年だけだった。

 

「君は……」

 

赤毛の少年は驚いた顔で俺の方を見ている。

 

俺は赤毛の少年の顔を見て驚いた。

 

魔法先生ネギま!の主人公、『ネギ=スプリングフィールド』だったからだ。

 

もっとも、少しつり目気味でちょっとだけ雰囲気が違っていた。

 

だが、俺には分かった。

 

こいつは……邪悪な気が満ちている。

 

巧妙に隠しているが、こいつは。

 

「……なあ、少年?」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「君は、高町なのは、フェイト・テスタロッサ、八神はやて。この3人に何か用があるのかな?」

 

「何の事でしょうか?」

 

とぼけたフリをしているネギもどき。

 

その頬には冷や汗らしきモノが流れていた。

 

「それとも、アレかな? アリサ・バニングスか月村すずかに用があるのかな?」

 

「何が言いたいのですか?」

 

「ああ、彼女達は既に俺の恋人になってるのだが?」

 

「!!」

 

その言葉を聞いてネギもどきの魔力が膨れあがってきた。

 

「ん……? どうした?」

 

「ククク、そうか。それなら……お前を殺せば彼女達は俺のモノになる訳だ」

 

本性を現したネギもどき。

 

「ほぅ? 彼女たちをどうするのか、教えて貰おうか?」

 

「知れた事を! 俺のハーレムの一員にするんだよ!!」

 

分かりやすい目標を有り難う。

 

とりあえず、こいつは天界に送り返す事が決まった。

 

「そうかそうか……」

 

俺は右手に持つレーヴァテインを握りしめた。

 

「認めると思うか!? 魔法の射手・火の101矢!!」

 

レーヴァテインから繰り出される炎の矢がネギもどきに向かって放たれる。

 

「なっ!?」

 

驚いて魔法障壁を張って攻撃を防ぐネギもどき。

 

「ふむ、この程度は防ぐか……」

 

「てめぇ! ベルカかと思ったら……俺と同じ魔法を!」

 

「それなら……奈落の業火(インケンディウム・ゲヘナエ)

 

闇の炎が巻き起こり、ネギもどきに向かって飛んで行く。

 

「ちっ!」

 

ネギもどきは避ける。意外と余裕があるよけ方だ。

 

「くそっ! 千の雷(キーリプル・アストラペー)!! 固定(スタグネット)、掌握《コンプレクシオー》、|魔力充填『術式兵装』《スプレーメントゥム・プロ・アルマティオーネム》、|雷天大壮《ヘー・アストラペー・ヒューペル・ウーラヌー・メガ・デュナメネー》!!!」

 

ネギもどきは千の雷を取り込んで精霊状態になる。

 

あの状態になると下手な攻撃は効かなくなる。

 

「ふん! 斬魔剣 弐の太刀!!」

 

俺は斬撃をネギもどきに向かって放つ。

 

精霊状態でも斬る事が出来る奥義だ。

 

前世の時に詠春から習った奥義だ。

 

滅多に使う事は無かったが、習っておいて損は無いな。

 

「っ!」

 

ネギもどきはそれを避けて一瞬で間合いを詰めて殴りかかってくる。

 

どうやら、オリジナルと一緒で中国武術も使うみたいだ。

 

下からの右パンチ。

 

俺は上体を逸らしてかわす。

 

雷並みの速度だが、弱点はある。

 

ジャックが見つけた、先行放電。

 

ネギもどきが攻撃する時、攻撃箇所に僅かな放電が起こる。

 

まあ、雷天大壮2は時間がかかるから出来ないのだろう。

 

さすがにアレになると手こずるのが目に見えてる。

 

「精霊状態でも、俺はダメージを与える事が出来るんだぜ?」

 

右手と左手の手甲に闇の気を纏う。手甲の色が黒く染まる。

 

「な、何だよてめぇ!」

 

「さぁて? とりあえず、お前みたいなヤツを捕まえる任務を負ったんだよ!」

 

ネギもどきの腹に向けてパンチを繰り出す。

 

「ごふぅ!」

 

鈍い音が響き、ネギもどきの身体がくの字に曲がる。

 

足にも気を纏ってからネギもどきの顔に蹴りを入れる。

 

「がぁ!」

 

ネギもどきは50mくらい吹っ飛んだ。

 

「どれ、氷漬けにしてやろう。リク・ラク・ラ・ラック・ライラック 契約に従い(ト・シュンボライオン) 我に従え(ディアー・コネートー・モイ・ヘー) 氷の女王(クリュスタリネー・バシレイア)。 来れ(エピゲネーテートー) とこしえのやみ(タイオーニオン・エレボス)! えいえんのひょうが(ハイオーニエ・クリュスタレ)!!」

 

その時、結界が破れて誰かが進入して。

 

「!?」

 

「あ」

 

その人物に当たって周辺が一気に凍ってしまった。

 

当然、人物はその中で氷漬けとなってしまった。

 

 

 

「……」

「……」

【……】

 

 

 

俺とネギもどき、後エヴァも呆然としていた。

 

「くっ、誰か知らないが今は感謝するか……」

 

そう言ってネギもどきは穴の開いた結界から飛んで出ていった。

 

「追いかけたいが……」

 

【お兄様! 早くしないと本当に氷漬けになりますわよ!】

 

仕方が無い。今回はあのネギもどきは諦めて氷漬けになったヤツを助けるか。

 

誰だよ、わざわざ結界破って入って来るヤツは。

 

こんな事なら俺も結界張っておけば良かったかな。

 

「ん~『おわるせかい(コズミケー・カタストロフェー)』やったらヤバいよな?」

 

【中の人が粉々になりますわよ?】

 

「仕方ない、『奈落の業火(インケンディウム・ゲヘナエ)』」

 

俺は闇の炎を出して氷を少しずつ溶かしていく。

 

「おー、これだけでかいと溶けないな。ちょっと壊していこう」

 

俺は氷を殴って少しずつ砕いていった。

 

 

 

 

 

「……そう言うことか」

 

【運が悪いと言いますか……】

 

少しずつ砕いていったら中心にいるのは……クロノだった。

 

しかし、よくベルカ式の結界を解いたモノだ。

 

ひょっとして原作より有能なのかもしれない。

 

だが、今回はその有能さが仇となったみたいだ。

 

炎の魔法で少しずつ溶かしていってようやく終わるとクロノは気絶していた。

 

脈はあるし、一応呼吸もあるから死んではいないようだ。

 

おんぶして結界を解くと魔法陣が広がり、真ん中に画面が。

 

あ、リンディさんだ。

 

青色の髪をした妙齢とは言い難い女の人が映っていた。

 

「クロノ! ようやく連絡がと……」

 

リンディさんの目が俺の顔を捉えた。

 

 

「あ……か……」

 

 

リンディさんの口は開いたまま。

 

そして、何故か頬が赤くなっていく。

 

……ああ、リンディさん。貴女もアッチ側の人でしたか。

 

俺は心の中でため息をついた。

 

「え、えええっと……あ、あ、貴方は……?」

 

少しどもってるリンディさん。

 

「えっと。何て言いましょうか……。ひょっとして、背中のこの人の関係者ですか?」

 

「え、ええ! その子の母親をやっているリンディ・ハラオウンと申します!」

 

「……藤之宮アレスと言います」

 

「アレス……ちゃんね。よし! 覚えたわ!」

 

「どうしましょうか。この人……ちょっとした事故で気を失ってしまって」

 

「それならこちらから転送ポートを開きます! すぐに来てください!」

 

リンディさんの手が鬼の様に速くキーボードを叩いていた。

 

すると、俺の横の方に緑色の転送ポートらしき場所が現れた。

 

〈お兄様……〉

 

〈なるようにしかならんだろ。幸い、俺達がジュエルシードを集めてるのは知らないはずだからな〉

 

〈そうですわね。今回も単にクロノさんが巻き込まれただけですからね〉

 

そう念話でエヴァと会話しながら俺は転送ポートに乗ってアースラに向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

アースラに着くと栗色髪の女の人がやって来た。

 

「ありゃ~見事に気絶してるね、クロノ……。あ、私はエイミィ・リミエッタだよ」

 

「藤之宮アレスだ」

 

「それじゃあアレス君。クロノをこっちに連れて来て~」

 

俺はエイミィさんに連れられて医務室に行った。

 

 

 

 

 

クロノを医務室に連れて行ってからエイミィさんに連れて行かれたのは。

 

見事な和室だった。

 

盆栽が3段に並べられて、獅子脅しが音を立てて、何故か茶道で使う茶釜がある。

 

何故、ここまで揃えられたのか……ツッコミを入れたい!

 

誰かがミッドチルダに日本製品を持ち込んだのか……と!

 

「艦長、お連れしました」

 

赤い絨毯がしかれ、その下は一応畳らしいのが。

 

そして、リンディさんは正座をしていた。

 

もっとも、ウズウズといった擬音が似合いそうな雰囲気で座っていたのだが。

 

「さあ、どうぞどうぞ♪」

 

そう言って目の前に座るように促すリンディさん。

 

あの、俺とリンディさんの膝頭が当たってるのですが。

 

「……艦長。それだとお茶とお菓子が出せないんですけど?」

 

「ああ、ごめんなさいね!」

 

そう言ってリンディさんは後ろに下がる。

 

そして俺とリンディさんの前にお茶と羊羹が置かれた。

 

ミッドチルダでは羊羹売ってるのか。

 

「それじゃあ、詳しい事情を教えて貰えるかしら?」

 

俺は事情を話すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどね、たまたまクロノがそこに入ってしまって……」

 

「はい。俺の魔法が当たってしまって」

 

そう言って俺は茶を啜った。

 

うむ、苦いぜ。

 

「しかし、凄いね~。クロノ君もろとも周囲を凍らせるなんて」

 

エイミィさんも目を丸くしていた。

 

「でも、アレスちゃんはどうやって魔法を? この世界は魔法は無いと思ってたけど?」

 

「あ~。まあ、確かに魔法は無いのですが、魔力を持った人はたまに生まれるみたいで。で、俺は漫画で見た魔法を真似したら出来たと言う事で……」

 

「漫画……」

 

エイミィさんは苦笑いしていた。

 

「(欲しいわねぇ~。クロノを一瞬で凍らせるなんて、かなりの使い手だわ。でも……無茶をしてアレスちゃんに嫌われるのは……ダメよ! そんなの!)」

 

「……」

 

何となくだがリンディさんが何を考えてるのか分かってしまった。

 

と言うか、百面相の様に表情が変わってるのだが。

 

「あ、ご、ごめんなさいね。艦長は考えると表情が出る時があるから」

 

口元が引きつっているエイミィさん。

 

「う~酷い目にあった……」

 

そう言って現れたのはクロノだった。

 

無事に回復出来たみたいだ。

 

「紹介するわね、私の息子のクロノよ」

 

「クロノ・ハラオウンだ。よろしく」

 

「藤之宮アレスだ。こちらこそよろしく」

 

クロノはリンディの隣に正座した。

 

「君が魔法を使えるのはさておき。ちょっと聞きたいことがあるのだが……」

 

うむ、ジュエルシードの事だろう。

 

「ジュエルシードと言う物を知ってるか? 青い色をして菱形の形をした宝石みたいな感じのヤツなんだが……」

 

「さあ? 初めて聞きました」

 

「そうか。知らないか……」

 

そう言ってお茶を啜るクロノ。

 

「ところで……だ。君が張ったその結界……かなり強固だったな」

 

その時、リンディさんとエイミィさんの目が光った。

 

ひょっとして、俺が張った結界に興味が出たとか?

 

ああ、古代(エンシェント)ベルカ式だもんね。ミッド式が主流だと分からないよな。

 

「ん? そうですかね?」

 

とりあえず、とぼける事にしてみた。

 

「そうよ。アレス君が張った結界は見たことない術式だったからかなり手こずったよ」

 

「そうね。まるで私達と違う術式の様な……」

 

目が少し細くなるリンディさん。ひょっとして、知ってるんじゃなかろうな。ベルカ式だと言う事に。

 

「君の見た目は確かに僕と同じに見える。だが、使用している魔法の術式は僕達と全く違う」

 

「そうね……アレス君は知ってるんじゃない? 自分が使ってる術式を」

 

「さて? 何の事でしょうか?」

 

俺は羊羹を口に放り込んだ。甘い味が口に広がった。

 

「しらばっくれてもダメよ? アレスちゃん? 貴方が持ってるその杖……古代ベルカのとある神官騎士が使用していた武器、『レーヴァテイン』と形状がそっくりなのだから」

 

しっかりばれてました。

 

なるほど、神官騎士ね。そう言うのもいたのかもしれないな。

 

「……君はベルカの使い手なのか?」

 

「なるほど、今はほとんど使い手が居ないベルカ式だったのか……」

 

エイミィさんは顎に手を当てていた。

 

「はぁ……分かりましたよ」

 

俺はそう言って騎士甲冑を解除して私服姿に戻る。

 

ちなみにエヴァはネックレス状態だ。

 

「さて、俺が使ってるのは確かにベルカ式ですよ。そして、全員に1つだけお願いがあります」

 

「それは、何かしら?」

 

「俺が持ってるデバイスを秘密にして欲しいと言う事です。皆さんが見たら……必ず驚くでしょうから」

 

「どういう事だ?」

 

「約束出来ないなら喋りません」

 

「分かったわ。他ならぬアレスちゃんの頼みですものね。クロノもエイミィも良いわよね?」

 

リンディさんがクロノとエイミィさんの顔を見た。

 

何だろう……?『私の邪魔をしたら殺すわよ』的な何かを感じたのだが。

 

「……分かりました、艦長」

 

「了解です、艦長」

 

クロノとエイミィさんも了承してくれた。

 

「それじゃあ、アレスちゃん?」

 

「分かりました。エヴァ、ブックモード」

 

【了解です、お兄様】

 

ネックレスを手に取ってエヴァに頼む。

 

ネックレスが光り輝いて1冊の本が俺の手元にあった。

 

 

「……!!!」

「そ、そんな!」

「そ、それは……闇の書?」

 

 

三者三様に驚く。

 

「さて、俺が聞いた名は『武神の魔導書』。あなた方が言う闇の書では無いですよ?」

 

「武神の魔導書……?」

 

「そう言えば、違う。違うわ。あの時見たのは……ダークブラウンで黄金の装飾が施してあった。でも、これは……」

 

「母さん?」

 

「クロノ。これは違う。あの時見た本と色が全然違うのよ」

 

「そうなのですか?」

 

そう言って、俺の本を眺めるクロノ。

 

「ああ、違うぞ。エヴァ、自己紹介だ」

 

【了解です。初めまして、私の名は『武神の魔導書』の管制人格、エヴァンジェリンと申します】

 

「……何かしら? エイミィと声が似てるような?」

 

「艦長もそう思いましたか? 何か他人の様な気がしなくて」

 

リンディさんとエイミィさんは首を傾げていた。

 

まあ、確かに似ているよな……と心の中で呟いていた。

 

「武神の魔導書か。確か、闇の書は魔法のデータをためておく蓄積型デバイスだったな」

 

「これは古代ベルカの騎士達が使っていた武器のデータが入っているだけで魔法は入っていません」

 

「なるほど、だから『レーヴァテイン』が入っていたのね」

 

「そして、闇の書と呼ばれた『夜天の魔導書』の姉妹機として制作されたデバイスだ」

 

「!!」

 

「だから、そっくりだったのね」

 

「闇の書の姉妹機ならロストロギアに該当するな」

 

クロノはジッと俺の手にある本を眺めていた。

 

「う~ん、闇の書の姉妹機なら確かにロストロギアに該当はするけど……」

 

「実際には被害とかは報告は聞いたこと無いですし……」

 

「そもそも、実在するかどうか怪しかった本だからな……。それに、アレスは制御してるから暴走する事も無い」

 

「そうね。この本に関してはアレスちゃんにお任せしとこうかしら」

 

どうやら大丈夫そうだな。難癖つけて取ろうとしたら全員眠らせてから脱出するところだったぜ。

 

「分かりました。この件に関しては上層部に報告はしないと言う事で」

 

「そうね。テキトーに報告書を書いて提出して頂戴」

 

そんなので良いのか、管理局。

 

ってかクロノ、意外と砕けてる?

 

「それでは、俺は無罪放免と言う事で」

 

「待って頂戴」

 

リンディさんからの引き留め。

 

「何か?」

 

「アレスちゃんに、ジュエルシードの捜索をお願いしたいのだけど……」

 

目をウルウルさせて俺の手を握りしめるリンディさん。

 

ああ、崩壊してますね、色々と。本来なら一晩考えてきてね~と言って相手から頼ませるのに。

 

「か、艦長!?」

 

「クロノは黙ってなさい。私のライフワークの邪魔をするのかしら?」

 

「……」

 

クロノは黙ってしまった。

 

エイミィさんは額に手を当てて上を向いていた。

 

 

『ダメだこりゃ』

 

 

不意にエイミィさんの声が聞こえたような気がした。

 

「分かりました、分かりましたよ。そんなに懇願していて断るのはアレですから」

 

「やった♪」

 

ウキウキ気分で羊羹を食べ始めたリンディさん。

 

「……とりあえず、よろしく頼む」

 

疲れた表情でお茶を飲むクロノであった。

 

 

 

 

 

 

 

「と言う事があったんだ」

 

俺は後日、プレシア女史の所にやってきた。

 

なのはとユーノ、ユナを連れて来てフェイトとアリシアを紹介してから5人はそれぞれ話をしていた。

 

おっと、アルフも当然含まれてるぞ。

 

俺とプレシア女史はこっそり離れてから昨日あった事を話した。

 

「なるほどね。とりあえず、1つだけ分かったわ」

 

「何が?」

 

「そのリンディさんとは美味しいお酒が飲めそうだ……と」

 

「何故に」

 

「そりゃあ決まってるでしょ?」

 

プレシア女史は俺の頭を撫でてきつつ一呼吸おいてから言った。

 

「アレスちゃんの可愛さが分かってると言う事よ」

 

急に時の庭園から逃げ出したくなった。

 

「帰って良いか?」

 

「何を言ってるのかしら? アレスちゃんはこれから最低1時間、私とお話をするのよ?」

 

プレシア女史はニコニコ笑ってるのだが、俺は妙なプレッシャーを感じていた。

 

それから暫くは雑談が続くのであった。

 

 

 

 

 

さて、管理局と知り合ってしまったから早くジュエルシードを揃えてしまおう。

 

ま、ショタ化したリンディさんならそれなりの手が使えそうだし。ばれても大丈夫だろう。

 

問題は、逃がしたネギもどきだよな。

 

俺の姿見られたし、そう簡単に尻尾は掴めないだろうな。

 

ちなみに、今は寝室でベッドに潜り込んでいた。

 

もちろん、隣には母さんとエヴァが添い寝していた。

 

まあ、なるようになれってヤツだな。

 

あいつの動向は注意しておこう。

 

 

 

 

 

 

と言う事で次の日に俺は海に来ていた。

 

エヴァの探索で海の中にジュエルシードが6つあるとなのは、フェイト、アルフ、ユーノとユナに話す。

 

ちなみに捜索に協力してくれた人達は今回はお休みだ。

 

空飛べないから仕方が無い。

 

「さて、海の中にあるジュエルシードをどうやって回収するかだが」

 

「魔力弾撃ち込んで強制発動は?」

 

フェイトさん、何をトンチキな事を。

 

「フェイトさん。そんな事したら管理局がすっ飛んでくるでしょうが」

 

ちなみに管理局の事は全員に教えてある。

 

「あ、そっか……」

 

ふむ。まあ、風の魔法を使って俺の周りだけ空気の玉を作って捜索が良いかもしれないな。

 

全員となるとちょっとジュエルシードが発動するかもしれないから俺1人が良いだろう。

 

一応、15分位なら息を止めていられるから大丈夫だろう。

 

「とりあえず、俺が潜って取ってくる。皆は監視していて。もし、誰かが来そうになったらどっかに隠れるなり逃げてくれ」

 

全員が頷くと俺は空気を纏って海の中に潜り込んだ。

 

 

 

 

 

あっという間に見つけて6つのジュエルシードをエヴァの結界魔法で封じてから空中に持っていく。

 

「見つけたぞ~」

 

「早いね~」

 

そして6つのジュエルシードはフェイトに渡す。

 

フェイトはそれをバルディッシュの中に入れる。

 

「これで全部集まったと」

 

「だな。さあ、プレシアさんの所に持っていこうか」

 

「うん」

 

その時、俺は感じた。

 

遠くの方から何かが飛んで来るのを。

 

そして見た。アレは……雷で出来た……槍。

 

巨大な槍がこちらに向かって飛んで来るのを!

 

「エヴァ!!!」

 

【はい! 装甲手楯(パンツァーシルト)!】

 

ベルカ式魔法陣の盾でその槍を止めた。

 

衝撃が走り、身体に少しだけ痛みが走った。

 

「ど、どうしたの!?」

 

「て、敵の攻撃!?」

 

「一体誰が!?」

 

全員が俺の方を見て驚いていた。

 

「これは……!」

 

俺は飛んできた槍を見て驚いた。

 

「これは! 『雷神槍(ディオス・ロンケー)巨神ころし(ティタノクトノン)』!!! まさか!」

 

遙か遠くに浮かぶ……ネギもどきの姿。

 

野郎! この時を待っていたのか!!

 

【お兄様! この火力は私の盾では防げません!!】

 

「なら俺以外の5人を転送しろ! このままだと巻き込まれる!」

 

【分かりました! 転送!】

 

「あ、アレス君!?」

 

「何をするんだ!?」

 

「悪いな、アレは俺に用があるみたいでな」

 

「そ、そんな!」

 

そして全員転送した。とりあえず、人質に取られる事は無いだろう。

 

【もうダメです! お兄様! 回避してください!】

 

「はぁ!!!」

 

シールドが破れ、槍が俺の腹をかするように突き刺さった。

 

「ぐぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

体中に走る電撃。

 

血液が沸騰しそうな位に身体が熱くなる。

 

【お兄様ぁ!!!】

 

「だ、大丈夫だ……エヴァ……何とか避けはしたが……」

 

「ふふふ、それでもかなりのダメージだね」

 

そう言って俺の前に現れたのはこないだのネギもどきだった。

 

既に戦闘状態になっていた。

 

しかも、両手で『千の雷』を取り込んだ状態、『雷天大壮2』になっていたのだ。

 

これはかなりまずい状態かもしれない。

 

あの状態は常時雷化で思考速度も半端なく上がっている。

 

「だが、ここで引く訳には行かないんだよ! 第5チャクラ起動!!!」

 

俺はチャクラを回して身体能力を上げた。

 

「はあぁぁぁぁぁ!」

 

「遅い!」

 

殴りかかるも払われて顔に衝撃が走る。

 

「ぐぅ!」

 

「まだまだいくぜぇ!!!」

 

ネギもどきの連続攻撃が俺の身体に突き刺さる。

 

「がっ! ぐぅ! がはぁ! うぐっ!」

 

「どうしたどうした! こないだの勢いは何処に消えたんだよ!」

 

ネギもどきの動きは分かるのだが身体がついてこない!

 

ダメだ、今の状態ではこいつに打撃を当てることも出来ない!

 

1秒間に20発以上の打撃が俺の身体に突き刺さる!

 

着実にダメージが蓄積されていく。このままでは負けてしまう。

 

「ははははははっ! さっさとくたばれよ! そうすればなのは達は俺の恋人兼性欲処理係にしてやるからよ!!!」

 

その言葉を聞いて頭に血が上った。

 

その時、頭にガチャンと撃鉄が落ちた様な感覚が襲ってきた。

 

〈お兄様! 私を出してください! このままではお兄様が殺されます!!〉

 

〈待て……今……身体に何かが起きた〉

 

〈お兄様……?〉

 

〈今なら……全チャクラ回せる! そうすれば、咸卦法で……こいつを葬る!〉

 

〈分かりました……お兄様……〉

 

「なめるなよ……小僧! 第6、第7チャクラ起動!!!」

 

今度は完璧だった。

 

身体の力がかつての力に戻ったのだ。

 

だが、長時間はまずい。短期決戦で決めないと……身体にどんな負荷がかかるか分からない。

 

一気に膨れあがる闇の力。

 

身体の動きが軽くなった。

 

さあ、反撃開始だ! この小僧に今までのお礼をたっぷりとしないとなぁ!!!

 

 

 




 



リンディさんェ…



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