魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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段々となのは達の性格が変わってきましたよ?





第11話 近状報告とはやての家に行ってみた

 

 

 

 

 

それから2日後。

 

土曜日を迎えて学校は休みだ。

 

本来ならジュエルシード探しと思っていたが、フェイトが一緒にプレシア女史の所に行こうと誘ってきた。

 

ふむ、薬を飲んで体力も回復しただろうから一度行ってみた方が良いだろう。

 

今回はフェイトとプレシア女史の和解……まあ、和解だよな、一応。

 

仲直り的な目的で行くのだからなのははお休みだ。

 

出る時になのはに捕まり説明したら『う~』と薄目で睨まれた。

 

今度、連れて行ってやるから我慢しろと言って何とか納得して貰った。

 

そんなこんなでフェイトとアルフが住むマンションの屋上に転移した。

 

 

 

 

 

 

 

「来たぞ~」

 

来るとフェイトとアルフが待っていた。

 

「うん、時間通りだね」

 

「遅れたらたっぷりとイヤミを言ってあげようと思ったのに……」

 

その時はそれなりの反撃はさせてもらうからな?

 

「それは残念。ほら、土産だ」

 

俺は翠屋のケーキを入れた箱を渡す。

 

「ありがとう。良いの?」

 

「良いよ。俺からの快気祝いと言う事で」

 

「気が早く無いかい?」

 

「ま、アレで治ってなかったら考える」

 

そう言って俺達は時の庭園に向けて転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「チィーッス、三河屋で~す」

 

転移した先にはプレシア女史が椅子に座っていた。

 

 

「……三河屋?」

「……?」

 

 

フェイトとアルフはよく分かってないらしい。

 

「あら、丁度良かったわ。醤油がきれてたのよ。あと、可愛い男の子分が不足していてね……」

 

そう言ってプレシア女史は立ち上がって俺達の方に向かって歩いてきた。

 

最後の台詞がもの凄く、イヤな予感を感じたんですがね!

 

そして、頭を撫でてくるプレシア女史。

 

 

「あ……」

「おぅ……」

 

 

フェイトとアルフは驚いた顔で俺とプレシア女史の様子を見ていた。

 

「おかえり、フェイト、アルフ」

 

そう言ってフェイトの頭を撫でるプレシア女史。

 

「……た、ただいま……母さん……」

 

フェイトの目から涙が溢れてきた。

 

「うんうん……」

 

アルフの目からも涙が溢れていた。

 

『えへへ、良かったね』

 

いつの間にか俺の隣に来ていたアリシア。

 

無論、プレシア女史、フェイト、アルフにはアリシアの姿は見えていない。

 

「やっぱり親子ってああでないとな」

 

『そうだね。後は、あたしが復活するだけだね』

 

「そうだな。アリシアもフェイトと一緒に居たいだろ?」

 

『当たり前だよ、アレスお兄ちゃん! 復活したらアレスお兄ちゃんのお嫁さんになるんだからね!』

 

「……気が早いだろ、アリシア……」

 

俺は苦笑するしかなかった。

 

気が付くとプレシア女史、フェイト、アルフが不思議そうな表情で俺の顔を見ていた。

 

「……ひょっとして、アリシアがいるのかしら?」

 

 

「アリシア?」

「アリシア?」

 

 

プレシア女史のツッコミとフェイトとアルフ同時のツッコミ。

 

「ああ、居るぞ。念の為に言っておくが、独り言呟いてる訳じゃないぞ」

 

「ごめん、思い切り独り言かと思ってた……」

 

両手の指をつついて顔を赤くしてるフェイトが居た。

 

「……まあ、説明してやれ」

 

「分かったわ。実はね……」

 

プレシア女史の説明が始まった。

 

 

 

 

 

 

「そうだったんだ……」

 

「ごめんなさいね、フェイト。貴女は私の娘よ」

 

そう言って頭を撫でていたプレシア女史。

 

「良かった……良かったよ……」

 

アルフも目から涙を流していた。

 

「……そうそう、思い出したわ」

 

そう言って俺に早足で近づいてくるプレシア女史。

 

「あの薬は何?」

 

「あれか? 難病と言われてる病気を一発で治す万能薬だが?」

 

「ええ。確かに、飲んだら胸の苦しみが取れたから凄い万能薬と言うのは分かったわよ。けど……」

 

プレシア女史は一呼吸置いてから言った。

 

「あの味は何? 言葉で言い表せなかったわよ?」

 

「……あの薬の欠点でな。そこは我慢してくれ」

 

「それならあの時に言って貰いたかったわね……。飲んだ瞬間、吐きそうになったわ。それに、水飲んでも歯磨きして口の中を洗っても味がずっと残ってたわよ……」

 

プレシア女史の顔が青くなっていた。

 

『お母さんったら、半日は凄く苦虫潰した様な顔してたのよ?』

 

隣ではアリシアがクスクス笑っていた。

 

う~む。今度、エヴァと一緒に永遠亭のえーりんさんの所に行って薬の作り方を教わってこようかな。

 

あの人なら同じ効能でもうちょっと美味い味の薬を作れるだろうし。なんせ『あらゆる薬をつくる程度の能力』と言う能力を持ってるからなぁ。

 

ま、余所の話は置いといて。

 

「良いだろ。病気は治ったんだから」

 

「そりゃ、確かに全快したけど……。何か釈然としないわね」

 

「気にするな。フェイトとアルフに紹介しなくて良いのか?」

 

「え?」

 

「誰を?」

 

フェイトとアルフは目を丸くしていた。

 

「誰って……フェイトのお姉さんだよ」

 

「え? アリシア姉さんは……事故で亡くなったって……」

 

「死んだ人をどうやって紹介するんだよ~」

 

「まあ、ここにいるぞ?」

 

さっきから俺の横でニコニコ微笑んでるアリシア。

 

「……ひょっとして、アリシアはそこにいるのかしら?」

 

「俺の右目を忘れたのか?」

 

「……そうだったわね。貴方のそれは……もはやレアスキルだわ」

 

「さっきから何の話してんだよ~!」

 

アルフが吼えた。

 

「だから、アリシアを紹介するんだよ。ほれ」

 

俺は右手に魔力を込めてアリシアの頭を撫でた。

 

すると、アリシアの身体が光り輝いた。

 

「えへへ。フェイト、あたしがアリシアだよ」

 

「え……? ええ!?」

 

「ちょ……フェイトにそっくりな」

 

「アリシア~!」

 

プレシア女史がアリシアに抱きつこうとしてまたすり抜けていた。

 

「あ、身体が無いんだった……」

 

 

「……説明を求む……」

「私も……これは……」

 

 

フェイトとアルフは呆然とプレシア女史の姿を眺めていた。

 

俺は2人に俺の右目の能力を教えた。

 

 

 

 

 

「は~トンでもないスキルだよ、それは」

 

「幽霊……ホントに居たんだ……」

 

フェイトとアルフは俺の顔を呆然と眺めていた。

 

「ま、俺は常にアリシアと会話出来るんだ」

 

「良いなぁ~私もアリシアとお話したいなぁ……」

 

「ん~……まあ、こればかりはちょっと仕方ないと言うか」

 

「だよね。無理言ってごめん」

 

「それで……ジュエルシードはどれくらい集まったのかしら?」

 

俺とフェイトの所に来るプレシア女史。

 

後ろではアルフとアリシアが会話していた。

 

「えっと……15個……」

 

そう言ってバルディッシュからジュエルシードを取り出す。

 

「そう、後6個ね。頑張ってるわね、フェイト」

 

「ううん、私だけじゃない。アレスやなのはも一緒だから……」

 

「なのは?」

 

「ああ、俺の幼馴染みだよ。フェイトと同じミッド式の魔法を使うんだ」

 

「へぇ~。そう、今度連れて来なさい」

 

「母さん……うん、紹介するね」

 

もう、プレシア女史とフェイトは大丈夫だろう。

 

だいぶ話が変わってしまったが、これで良かったと俺は思う。

 

「……そう言えば、ジュエルシードは輸送中に何かに襲われて地球に落ちたらしいんだが? 何か、知ってるか?」

 

 

「……」

 

 

俺がプレシア女史を見ると顔を青くして、妙な汗をかきながら視線をあさっての方に向けた。

 

「……母さん?」

 

フェイトが怪訝な顔でプレシア女史を見る。

 

「まさかとは思うが……プレシアさん……アンタの仕業とか……」

 

「……」

 

無言で頷くプレシア女史。

 

「管理局のお尋ね者か?」

 

「多分……」

 

「どうすんだよ。自首するか?」

 

「そ、それは……アルハザードに行ってアリシアを復活させるから……捕まる訳には……」

 

だよな。捕まったらどんな結果が待ってるか、明らかに分かる。

 

それに、プレシア女史の能力を考えると。管理局に良いようにこき使われる可能性が高い。

 

「さて、どうしようかね」

 

【それなら、やはり偽装死ですね。プレシアさんはジュエルシードの暴走に巻き込まれて次元の狭間に旅立ってしまいました~と】

 

エヴァの提案。うむ、喋らないと空気と化すからな。

 

「ウチのデバイスからの案はどうだ?」

 

「う~ん、それだとずっとアルハザードに居る事になるわねぇ……」

 

「それなら、地球に来いよ。あそこは管理局の管轄にならないし」

 

「そうね。あそこなら管理局員達も来ないと思うし。そこにしましょうか」

 

「そうだな。っと、そうそう、最近知り合った女の子なんだが。どうも、俺の持つ『武神の魔導書』の姉妹機を持ってる可能性が高いのだが」

 

その言葉を聞いて眉をピクリと上に上げるプレシア女史。

 

「……夜天の魔導書かしら?」

 

【ええ。私と全く同じデザインと言えば夜天の魔導書しかありません。その子、足が悪くて動かないんですよ】

 

「……そう言えば、その夜天の書は確か10年位前に何か事件を起こしてた様な」

 

「そうか。壊れてる可能性が高いな」

 

「そうね。……遠回しに、私に直せと?」

 

「いんや。オリジナルを持ってる俺でも修復可能と読んでる。ただ、興味は?」

 

「非常にあるわね。ついでに言えば、貴方のデバイスと身体も」

 

……何を言ってるのだろうか、この人は。ツッコミを入れたら話が変な方に進むからあえて入れない!

 

「母さん?」

 

不思議そうな表情でプレシア女史の顔を見るフェイト。

 

「コホン。そうそう、フェイトに聞きたい事があったのよ。フェイト、アレスちゃんのお嫁に行かない?」

 

「へ?」

 

口を開けて呆然とプレシア女史を見るフェイト。

 

「だって、こんな可愛い義息子が出来るのよ? 貴女かアリシアがアレスちゃんのお嫁さんになればアレスちゃんは私の義息子になるのよ?」

 

「か、母さん?」

 

「あたしがなるー!!」

 

突然乱入してきたのはアリシアだった。

 

アルフは床に座っていた。狼形態になって。

 

「あ、アリシア!?」

 

「フェイトがアレスお兄ちゃんのお嫁さんにならないならアタシがお嫁さんになるよ!」

 

「そう、それならアリシアにお願いしようかしら?」

 

何を勝手に話を進めてるのか。俺の意見はどうなってる。

 

「(母さんの期待に応えなきゃ……!)わ、私がアレスのお嫁さんになるよ!」

 

フェイトが暴走を始めた模様。暴走特急フェイト号は止まりそうにありません。

 

「そう? 私はアレスちゃんが義息子になるなら構わないわよ?」

 

「……それは確定事項なのか?」

 

「アレスお兄ちゃんはアリシアの事嫌いなの?」

 

「アレスは私の事嫌いなの?」

 

右側にアリシアが涙を浮かべて立って、左腕にはフェイトが抱きついてきていた。

 

え? 何この美少女2人に責められてる様な展開は?

 

「いや、2人とも嫌いでは無いが……」

 

「やった~♪」

 

「ほっ……」

 

安堵の息を漏らす2人。

 

「ま、仮にフェイトと結婚してもあたしはアレスお兄ちゃんの愛人になるけどね」

 

「ぶ――――――――――っ!!!」

 

アリシアのとんでも発言で俺は盛大に噴き出した。

 

「プレシアさん、アンタどんな教育を……」

 

プレシア女史を見ると首が千切れん位、横に振っていた。

 

「……まさか」

 

俺はアルフを見た。

 

 

「~♪」

 

 

わざとらしい口笛を吹くアルフ。

 

「……ちょっと、身体を動かしたくなったな」

 

「え゛?」

 

「ヲヲ、そこの可愛い狼さん。ちょっと俺の模擬戦やらないか? エヴァ、頼む」

 

【……全殺し(ホームラン)しちゃダメですよ、お兄様? 半殺しを目標にしてくださいね。起動(アンファング)

 

不穏当な台詞をかわしつつ俺は騎士甲冑を身に纏う。

 

「プレシアさん、どんなのが見たいですか?」

 

「そうね、大剣は出来るのかしら?」

 

「大丈夫だ。エヴァ、『素戔男尊(スサノオ)』モード」

 

【了解です。モード『素戔男尊(スサノオ)』】

 

いつも使ってる杖のレーヴァテインが長さ1.7m、幅40㎝位、厚さ4㎝位の大剣に変わった。

 

 

「わ、大きい」

「凄い……」

「あらあら、これは凄いわね」

 

 

アリシア、フェイト、プレシア女史の順で感想を述べる。

 

「ちょっとー!! そんなの喰らったら死んじゃうよ!」

 

「大丈夫だ、きちんと非殺傷設定にしておく」

 

「そ、そんなでかい剣……が……」

 

アルフはすこしずつ後ずさりする。

 

「さて、純真無垢な女の子に妙な事を吹き込んだ悪い狼さんにお仕置きしないとな」

 

「え? アルフなにか悪いこと言ったの?」

 

「ええ。アリシアにちょっとイケない事を教えたからね。フェイト、貴女は手出ししちゃダメよ」

 

「うん、分かった」

 

「助けておくれ~フェイト~!」

 

「楽しいお仕置きタイムだ!!!」

 

アルフと俺の強制模擬戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

「きゅ~」

 

目を回して気絶してるアルフ。

 

頭には大きなタンコブが出来ていた。

 

「わぁ~アレスお兄ちゃんつよ~い」

 

「あんな大きな剣でも素早さが全然変わってない……」

 

「全く、私は大魔導師と呼ばれてるけど、貴方とだけは戦いたくないわ……」

 

プレシア女史は苦笑いしてアルフの様子を見ていた。

 

「ま、お粗末様でした」

 

俺は騎士甲冑を解除して元の服に戻る。

 

「あ……」

 

アリシアの身体が透け始める。

 

「やれやれ、時間だな」

 

「そう……バイバイかな?」

 

「と言ってもここから居なくなる訳じゃない。見えなくなるだけできちんと居るからな」

 

「あ、そっか」

 

そしてアリシアの姿が見えなくなる……のはプレシア女史とフェイトだけの話で俺にはしっかりと見えてるが。

 

「さて、とりあえずは15個。確かに納めたからな」

 

「分かったわ。後6個、お願いね? フェイト」

 

「うん、母さん」

 

「それじゃ、俺達は帰るぞ」

 

俺は気絶してるアルフを背中に背負って転送魔法を発動させる。

 

「ええ。また会いましょう」

 

『バイバイ、アレスお兄ちゃん、フェイト』

 

「じゃあな、プレシアさんにアリシア」

 

「バイバイ、お母さん、アリシア」

 

俺達は元の場所に向けて転移した。

 

 

 

 

 

 

 

次の日。すずかからはやての家に遊びに行こうと誘われた。

 

無論、なのはも誘われた。そしたらなのはがフェイトちゃんを紹介しようと言い出した。

 

善は急げとフェイトを呼び出す。

 

フェイトはすぐにやって来た。

 

アルフの事を聞いたら今日は家でごろ寝するとの事。

 

ユーノとユナは……デートだった。

 

まあ、単にユーノがユナに強制連行されただけだが。

 

フェイトもやってきて、なのはとお話。

 

昨日の顛末を話す。

 

「今度、お母さんに紹介しなさいって言われたから招待するね」

 

「うん♪」

 

等々、色々話をしながら月村邸に到着した。

 

玄関に居たのはアリサとすずか。

 

「あ、来た来た」

 

「チッ、遅れたらここぞとばかりに責めてあげたのに……」

 

アリサ、俺に恨みでもあるんかい。

 

「来て早々それかい。俺に恨みでもあるのか?」

 

「恨みは無いわよ。まあ、将来の結婚生活に置いて有利になるだろうと……」

 

結婚生活……? アリサ、とうとう頭がバグったのか?

 

「アリサ、俺は大人しい、可憐な少女が好みなんだが……?」

 

「目の前にいるじゃない!」

 

「モーニングスター持って団体に殴り込みをかけそうな少女はちょっと……」

 

俺の言葉を聞いてなのはとすずかは肩を震わせていた。笑いをこらえてる模様。

 

「そっか……アレスはそう言うのが好みなんだ……」

 

フェイトの呟きはスルーだ。聞こえないぞ。

 

「ちょっと!? あたしはそんなの持って殴り込みなんてかけないわよ!」

 

「だが、俺には違和感が無いように思えるのだが……」

 

「あんた、あたしの事どう思ってるのよ!?」

 

「さあ? それはアリサの想像に任せるよ」

 

「吐け! 良いから吐きなさい!!」

 

アリサが俺に組み付いて来そうになるが。

 

「さて、はやての家は何処だ?」

 

「避けるな!」

 

俺はアリサからの攻撃を避ける様に歩き始めた。

 

ちなみに、すずかとフェイトはいつの間にか自己紹介を交わしていた。

 

 

 

 

 

はやての家に到着。

 

道中にアリサとフェイトも自己紹介を交わしていた。

 

そして、魔法の話もしっかりとしていた。

 

インターホンを鳴らしてからはやての指示で中に入る。

 

うむ、生八神家ですな。

 

しかし、車椅子の少女が1人で生活とは……。何か釈然としないな。

 

はやての自室に通される。

 

……。なのは達は良いが、俺まで通すのはいかがかと思うのだが。

 

フェイトの自己紹介。ああ、これで機動六課の3人が揃ったのか。

 

「お茶入れてくるな~」

 

「あ、私も手伝うよ」

 

そう言ってはやてとフェイトは出ていった。

 

ちなみに、俺達は菓子を持ってきていたのでそれも渡してある。

 

中に入ると本棚だらけ。本が沢山ありましたよ。

 

活字だらけの本だけかと思ったら、漫画もありました。

 

有名どころの本から結構マニアックな本もチラホラと。

 

そして、俺は一角を見て背中から冷や汗が流れた。

 

「『魔法先生ネギま!』……。あったのか……」

 

俺は聞こえないように呟く。

 

〈お兄様……これって……〉

 

エヴァが念話で俺に語りかける。

 

〈ああ。俺達の前世の世界。尤も、エヴァは双子じゃないから話はだいぶ違うが……。世界観は全く一緒だ〉

 

〈……私の名前、どうしましょう?〉

 

〈今更、変更出来ないだろ。まあ、エヴァのファンなんだと言って誤魔化すさ〉

 

〈ごめんなさい、お兄様……〉

 

〈謝るな、エヴァ。まさかこの世界に『ネギま!』があるなんて俺も予想外だったんだ〉

 

俺はネギま!を手に取る。

 

1巻を手に取って中を開く。

 

前世の前世で読んだ内容と全く一緒だった。

 

3巻を手に取って中を開いた。

 

ああ、なまはげ扱いの恐いエヴァです。

 

多分、俺のデバイスと関係無いと思われたら良いけど、多分無理か。

 

俺はそう思いつつ本を元に戻す。

 

「アレス君もネギま読んでるの?」

 

後ろからすずかの声が。

 

首を後ろに向けるといつの間にかすずかが後ろに立っていた。

 

「いや、何となく、気になったと言うか……」

 

「何よ? アンタもハーレム系のラッキースケベ属性に憧れてるのかしら?」

 

アリサも食い付いて来た!

 

 

「何や何や? 面白そうな話やなぁ」

「何の話かな?」

 

 

はやてとフェイトもお茶を持って登場してきた!

 

「アレスがね、女子中学生に揉みくちゃにされたいんだって」

 

アリサがロクでもないことを言い放った。

 

「ほほぉ~なかなかワルですな、お代官様?」

 

はやてがニヤニヤしながら俺の方を見ていた。

 

考えてみたら、今の状況もそれに近い様な気がするのだが。

 

ちなみに、なのはとフェイトはイマイチ分からないからネギま!を読んでいた。

 

「お代官じゃねぇ。そんな事してたらご老公とか暴れん坊とかそう言うのに成敗されるだろうが」

 

「そんなの呼ばなくても、あたしがたっぷりと成敗してあげるわよ?」

 

アリサがニヤニヤ笑っていた。

 

「ほほぉ? またいつぞやみたいに頬を撫でて撫でて撫でまくってやろうか?」

 

「あんた……可憐な美少女の頬を撫でてタダで済むと思ってるの?」

 

「んん~? 俺はタダで済むと思ってるが。それとも、違うところ撫でてやろうか?」

 

「撫でてみなさいよ。その時は責任取って貰う為にアンタに嫁ぐから!」

 

「ごめんさない……カイザーナックル装着して殴ってくる様なお嫁さんはちょっと……」

 

「あたしがいつそんな物騒なモノ装着して殴って来たのよ!!」

 

そう言ってアリサは殴りかかってきた。

 

「ほら、装着はしてないが殴りかかってきてるじゃないか!」

 

「うるさいうるさいうるさーい! アンタが減らず口を減らせばそれで万事解決なのよぉ!」

 

「ホンマ、仲がええんやな」

 

「そうなの。大体学校でもこんな感じなのよ」

 

すずかとはやてが俺とアリサの戦いを面白そうに眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

「これ……」

 

なのはがネギま!を見ながら口を開いた。

 

ちなみに戦いはまたもすずかに捕まって、アリサの関節技を喰らってしまった。

 

今度はオ○ップと言うパロ・ス○シャルの対として開発された技……だった。

 

アリサ……キ○肉マンⅡ世も読んでるのか……。

 

「どうしたの? なのは?」

 

フェイトがなのはに問いかける。

 

「この漫画の魔法……どっかで聞いたことあるの」

 

「え? そんな……どう見ても私達の魔法とは違うよ?」

 

……もの凄くイヤな予感を感じるのですが。

 

眠らせるか? イヤイヤ、面倒だし、あんまり記憶改竄ばっかりするのもアレだし。

 

〈私は凄くイヤな予感を感じるんですけど?〉

 

〈ああ。だが、ここでわざとらしく逃げるのもやばい。知らんぷりするしか無いな〉

 

〈果たして、逃げられますか?〉

 

〈……多分、無理かも〉

 

といった念話でのやりとりをエヴァとしていた。

 

「この『リク・ラク・ラ・ラック・ライラック』って言う単語……何処かで聞いたの」

 

「これって、吸血鬼の真祖、エヴァンジェリンの始動キーだよね」

 

「エヴァンジェリン……?」

 

「そう言えば、アレスのそのデバイスだっけ? それの名前も『エヴァンジェリン』って言ったわよね?」

 

全員の視線が俺の方を向く。

 

背中に冷や汗が流れる……!

 

「あ、ああ。エヴァンジェリンの大ファンなんだ」

 

「あ~そっか。どっかで聞いたことあるような声かと思ったらその子の声、アニメ版ネギま!のエヴァと声が似てるんや」

 

はやてが手をポンと叩いていた。

 

「あ、確かに」

 

すずかも食い付いてきた。貴女も知ってますか。

 

「そんなに似てるの?」

 

「うん。ホンマにクリソツって言うヤツかな? 似てるんよ」

 

そう言ってはやては……アニメ版ネギま!のDVDを取り出してきた。

 

「それじゃあ、ちょっと見てみようか」

 

こうしてアニメ鑑賞会が始まった。

 

 

 

 

 

1時間後。

 

エヴァとネギが戦うシーンを見終わった。

 

「ホント似てる……」

 

「そっくりなの……」

 

「似とるやろ? アレス君のデバイスの声とそっくりや」

 

まあ、同一人物だから似てるのは当たり前だろ。

 

 

「ふうん?」

「じーっ」

 

 

アリサとすずかも俺の方を眺めていた。

 

「な、何だよ?」

 

「アンタ……何か隠してない?」

 

「な、何を隠せと?」

 

「アンタのそのデバイスよ。偶然にしては出来過ぎてないかしら?」

 

「偶然とは重なるモノだ」

 

俺はお茶をすする。

 

「あ―――――――っ! 思い出したの!」

 

突然、なのはが叫び出した。思わずお茶を噴き出しそうになった。

 

「どうしたの? なのは?」

 

驚いた顔でなのはを見るフェイト。

 

「前にアレス君、人が拾ったジュエルシードをちょっと交換する時にその呪文を使ってたの!」

 

ああ、確かに前に使ったよね。まさか、この世界にネギま!が存在してると思わなかったから。

 

今度、アニメとか漫画をきちんと確認しておこうと思いました。もっとも、後の祭り(アフター・ザ・カーニバル)とはこのことですが。

 

「ホント? なのは?」

 

「聞き違いとかじゃなくて?」

 

「ホントなの! レイジングハート、記録してる?」

 

【ハイ、きちんとしてます】

 

レイハさん、こう言う事はキッチリしてるよね!

 

そして、音声が再生される。

 

 

 

 

 

【それでは……リク・ラク・ラ・ラック・ライラック 大気よ水よ(アーエール・エト・アクア)白霧となれ(ファクティ・ネブラ)彼の者らに(イリース・ソンヌム)一時の安息を(ブレウエム)。『眠りの霧(ネブラ・ヒュプノーティカ)』】

 

 

 

 

はい、実にクリアな音声で俺の声が流れましたね。

 

誰が聞いても俺の声にしか聞こえません。

 

「この後、2人いたけど……その2人は霧に覆われてからすぐに眠りについたの」

 

なのはの説明でフェイト、はやて、アリサ、すずかの視線が俺に突き刺さる。ザクザクと突き刺さる。

 

「ああ、お茶が美味い」

 

俺は素知らぬフリしてお茶をすする。

 

 

 

「……」

「……」

「……」

「……」

 

 

 

アリサが俺の右側に、すずかが左側に回り込む。

 

そして、肩を掴んでくる。指が肩に食い込んで痛いのですが。

 

前に回り込むなのは、フェイト、はやての3人。

 

「さあ、キリキリ吐いて貰うで?」

 

「アレス、隠し事は良くないよ? バルディッシュ!」

 

【……イエッサー】

 

「私達に隠し事は許されないの! レイジングハート!」

 

【……イエス、マスター】

 

なのは、レイハさんを起動させるな。

 

フェイト、お前もだよ。バルディッシュ卿が何か切なそうだぞ。

 

「どうしても言わなきゃダメか?」

 

「往生際が悪いで。さあ、私らに隠し事は無しや!」

 

「言えば、解放してくれるか?」

 

「そうだね。言えば解放してあげるよ」

 

「そうか……分かった」

 

「そうそう、始めからそうやって言えば良かったの」

 

 

 

 

 

 

「だが断る」

 

 

 

 

 

 

俺は言い放った。

 

「なっ! 言いなりなると見せかけて断る……それが本当の『だが断る』の使い方! アレス君……やるやないか!」

 

「それ程でも」

 

【それは良いんですけど、お兄様? 状況が悪化してると思いますけど?】

 

なのはとフェイトの目が据わってます。

 

ヤバいです。あの目なら睨むだけで人を殺せそうです。

 

アリサとすずかの目もヤバいです。一言で言い表しますと……『目がイッてる』と言う雰囲気です。

 

 

 

「……」

「……」

「……」

「……」

 

 

無言が恐いです。

 

肩を掴む手の力が更に増してます。

 

レイハさんはバスターモードで俺の胸に、バルディッシュ卿はハーケンモードで俺の首筋に。

 

どう見ても死亡フラグ満載の状況だな!

 

ま、俺と前世の事を喋っても別に問題は無いしな。

 

「あー分かったよ。話す……話すから解放してくれ」

 

そう言うと俺を解放してくれた。

 

解放はしてくれたが、全員が俺の周り居て逃げる隙は無い。

 

まあ、逃げる気は無いけどね。

 

「さあ、話して貰うで! 何でアレス君がネギま!の魔法が使えるのか!」

 

「そうなの! アニメの魔法が使えるなんて……びっくりなの!」

 

「ワクワク」

 

「さあ、どんなお話かしら?」

 

「楽しみだね~」

 

全員目を輝かせて俺を見つめてる。

 

「さて、みんなは『輪廻転生』を知ってるか?」

 

「え? 輪廻転生って言ったらアレやろ? 死んでから違う生き物とかになってまた生まれる……アレやろ?」

 

「うん、確か色んな宗教でも伝わってるよね」

 

はやてとすずかは顎に手を当ててる。

 

「それが一体どういう関係があるのよ?」

 

「うむ、簡潔に言うと俺には前世の記憶が残ってる」

 

俺は頭に指を当ててトントンとつつく。

 

「え?」

 

「それって」

 

なのはとフェイトがビックリ顔で俺を見つめる。

 

「そう、俺の前世はその『ネギま!』世界で魔法使いだった」

 

「う、嘘やろ? この世界にはそんな麻帆良とかあらへんで?」

 

「ああ。『パラレルワールド』を知ってるか? ある時空から分かれた平行する『もう一つの世界』」

 

「そうか、そう言う事ね。アレス君の前世が生まれた世界はこっちと違った魔法使いがいる世界……つまりは『ネギま!』の世界だったのね?」

 

「まあ、そんな所だ。まあ、俺が使ったのは前世で習った魔法なんだよ」

 

「それじゃあ、始動キーがエヴァと同じなのは?」

 

「それは。良いか? これは誰にも言わないで欲しい」

 

俺は全員の顔を順に見ながらそう言った。

 

 

 

「うん、分かった」

「分かったで」

「分かったわよ」

「分かったなの」

 

 

全員が了承して、一斉にお茶を飲む。

 

「俺の前世の名は『アリス・マクダウェル』。ネギま!の世界で600年生きた吸血鬼の真祖(ハイディライト・ウォーカー)、『エヴァンジェリン・A.K・マクダウェル』の双子の姉だ」

 

 

 

 

「ぶ――――――――――――――――――――――っ!!!」

「ぶ――――――――――――――――――――――っ!!!」

「ぶ――――――――――――――――――――――っ!!!」

「ぶ――――――――――――――――――――――っ!!!」

「ぶ――――――――――――――――――――――っ!!!」

 

 

 

全員一斉に茶を噴き出した。

 

【そして、私の前世の名は『エヴァンジェリン・A.K・マクダウェル』と申します】

 

エヴァがそう言うとはやては上半身を傾けてなのは、フェイト、アリサ、すずかの4人はすっころんだ。

 

「おー、4人一斉に転けると壮観な眺めだな」

 

俺はそう言って茶を啜った。

 

「ど、どどどどどどどどどういう事や! ぜ、前世がそんな……エラい凄い事になってるやないか!」

 

「アレス君……凄い……」

 

「アレ……? ちょっと待って。と言うことは……アレスの精神年齢って……」

 

「……そこんとこ、どうなのよ? 600歳超えてるの?」

 

「……うむ、1000歳まで生きてたからな」

 

「あ、あかん……。1000歳って……おかしいやろ」

 

テーブルに突っ伏すはやて。

 

「それに、そのデバイスがさらっと恐ろしい事言ってなかった?」

 

「そうなの。『エヴァンジェリン・A.K・マクダウェル』って言ってたの」

 

「……ギャグとかじゃなしに?」

 

【私はギャグはほとんど言いませんよ? 本当に『エヴァンジェリン・A.K・マクダウェル』と言う名前でした】

 

「……と言うことは、アレスの事をお兄様と呼ぶのは」

 

【ハイ、お兄様は前世ではお姉様でしたのよ?】

 

「納得なの……」

 

「そっか、前世からの絆……」

 

【これは驚きです。アレスはデバイスにハァハァと欲情していたわけでは無かったと】

 

【それなら納得だ】

 

レイハさん、毒吐きまくりですが。

 

バルディッシュ卿は納得して貰えたようで。

 

「と言うことは。アレス、アンタ……漫画の中であの修学旅行で鬼を倒したじゃない? あんな魔法使えるの?」

 

「あ~、俺が得意だったのは闇と炎だ。だからあそこまで凍らせるのは……どうだろうな」

 

「ほー」

 

【私は原作と同じで闇と氷です。同じ真似が簡単に出来ます】

 

「あ……あかん……なんかテンションが上がってきそうや!」

 

「私もだよ……リアルで出来る人がいるなんて想像してなかった……」

 

はやてとすずかの羨望の眼差し。顔が赤くなっていた。

 

「ねぇ、火が出せるのかな?」

 

「ああ、出せるぞ。『火よ灯れ(アールデスカット)』」

 

俺は指先から炎を出す。

 

「おー! って、杖は?」

 

「ここだよ」

 

俺は右手の人指し指を指し示す。

 

「これって……」

 

「もしかして、杖代わりの指輪?」

 

「ああ。認識阻害をかけてるから気付きにくいが、魔法を使うための指輪だ」

 

「も、もう無理や! アレス君! 魔法を教えて!!」

 

「わ、私も!」

 

はやてが迫ってきてすずかが抱きついて来た。

 

「わー! お、教えてやるから離せ!」

 

「やったー!」

 

「あ、あたしにも教えなさいよ!」

 

アリサが顔を真っ赤にしていた。

 

「分かったよ、教えてやるよ……」

 

もはやため息をつくしかなかった。

 

まあ、アリサとすずかは一応魔力があるみたいだし、そこそこの魔法は使えると思うが。

 

「で、なのはとフェイトは?」

 

 

「う~ん……」

「う~ん……」

 

 

2人は腕を組んで考えていた。

 

「ま、今のミッド式に慣れたら少しやってみるもの良いかもな。今は2人とも発展途上だし」

 

「そうだね……」

 

「うん、慣れて来たらお願いしようかな……」

 

 

 

 

 

「そう言えば、前世では何処まで強かったん?」

 

「そうだな、とりあえず……竜種を笑いながら殴り倒せる位」

 

 

「……バグキャラやろ」

「バグキャラだね……」

 

 

「失敬な。俺をあんなジャックみたいなヤツ一緒にして貰っては困る」

 

「で、ジャックと戦った事は?」

 

「ああ、154戦154勝0敗だな」

 

 

「やっぱりバグキャラやん……」

「チートだね」

 

 

はやてとすずかの視線が冷たかった!

 

「何と仰る。たかが咸卦法を使った位で」

 

「ちょい待ち! 吸血鬼の真祖で咸卦法とか……」

 

「ひょっとして、今も使える?」

 

「いんや。今は身体が出来てないから使えない。15歳以降になれば使えると思うけど……」

 

「あかん……。私、絶対にアレス君怒らせんで。死にとうない」

 

「私も。チートが身近にいるなんて」

 

はやてとすずかは身震いしていた。

 

「気と魔力を合成して爆発的に戦闘力をあげる戦闘法……あんた、チート街道も大概にしなさいよ?」

 

「ほっとけ。それにエヴァだって『闇の魔法』で信じられない位強かったのだぞ?」

 

「ど……どれくらい……?」

 

フェイトがおそるおそる聞いてきた。

 

「俺が咸卦法使って最大攻撃で殴ってもかすり傷を付けるのが精一杯だった」

 

「お、おかしいのー! アレス君もエヴァちゃんもおかしいのー!」

 

ディバイン・バスターを32連射出来るなのはに言われたく無いんだが!

 

「とりあえず、分かったわ。アレスもエヴァもチートだと言う事に」

 

【イヤですわ、アリサさん。お兄様はチートですけど私は一般的な魔法使いでしたわよ?】

 

「どの口が言うのよ! あの鬼を一瞬で凍らせただけでも充分おかしいわよ!」

 

そんなこんなではやての家での騒動は続いていった。

 

 

 




 

今度から転生した時はどの漫画があるのか確認しておこう……と思うアレスであったw



ちなみに、この世界では

『魔法少女リリカルなのはシリーズ』

『新世紀エヴァンゲリオン』

この2作は存在しておりませんw


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