魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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色んな転生者がいるものです




第8話 時の庭園に行ってみよう

 

 

 

 

 

「劉備玄徳、関羽雲長、張飛益徳……!」

 

俺は背筋に冷たいモノが走った。

 

かつての力を取り戻していたら勝てるであろうが、今はそのかつての7割~8割迄しか使えない。

 

身体がまだ出来てないのだ。

 

あの3人の能力が上乗せされていたら……負けを覚悟しないといけない。

 

いよいよとなればエヴァにも手伝って貰わないといけないかもな。

 

「へぇ、良く知ってるじゃないか」

 

「当たり前だろ。特に関羽は神格化して『関帝聖君(かんていせいくん)』と呼ばれるまでになってるじゃないか」

 

頭に思い出すのは違う神界で模擬戦した時の事だった。

 

双剣か徒手空拳なら何とかなるが同じ槍とか剣だと勝てる自信が無い。それ程までに強かったのを思い出す。

 

もし、それ以上に腕力と速さが上がってるなら勝率は更に下がることになる。

 

う~ん、虎牢関の戦いの再現みたいに俺が『方天画戟』でも持って戦えば良いのか?

 

一応、登録はしてあるが……俺は『呂布』程には扱えない。絶対に負ける。

 

こうなったら……仕方が無い。双剣に切り替えるか。小太刀二刀流に……。

 

「さあ、行け!! あの小僧をぶち殺せ!!」

 

一斉にかかってくる劉備、関羽、張飛の3人。

 

「エヴァ、双剣『天照(アマテラス)』と『月夜見(ツクヨミ)』を出してくれ」

 

【了解です。モード『天照(アマテラス)』『月夜見(ツクヨミ)』】

 

手に持ったレーヴァテインが変化して長さ60㎝の小太刀が左右に握られる。

 

ちぃ、これが恋姫の3人なら劉備こと『桃華』嬢が戦いでは話にならないから関羽こと『愛沙』と張飛こと『鈴々』の2人だけになるのにな!

 

「はぁ!」

 

関羽は振りかぶって上段からの切り落とし。

 

俺はそれを避けて間合いを詰めて下から左手で突く。

 

「ぬぅ!」

 

関羽は左手の手甲でそれを弾く。そして、左膝蹴り!

 

「っ!」

 

俺は後方にバックステップでかわす。

 

「でやぁ!」

 

左、3時の方向から張飛が蛇矛で突いて来る。

 

「はっ!」

 

俺はそれをジャンプしてかわして蛇矛の上に乗り、その上を走って張飛の頭目がけて剣を振り下ろす。

 

「くっ!」

 

だが、それは済んでの所で劉備の剣で止められる。

 

さすがに上手い……!

 

そして後ろから関羽の横凪ぎ払いが来る。

 

ここで下手にかわしても張飛の突きか劉備に斬り落とされる!

 

「ちぃ!」

 

俺はギリギリのタイミングで飛んで関羽の青龍偃月刀の上に乗る。久しぶりだよ、剣や槍の上に乗ってかわすなんて。

 

 

「……!」

「……!」

「……!」

 

 

3人は声を出してはいなかったが、驚いてはいたみたいだ。

 

「ヒュ~♪驚いたぜ。その3人の猛攻をかわしているなんてよ」

 

男が口笛を吹いていた。

 

「はは、そうだな……」

 

「面白いじゃねぇか。まるで、虎牢関で3人が苦戦した……『呂布奉先』じゃねぇか」

 

男は口元を釣り上げて笑っていた。

 

「まあ、あれほど上手いかは分からないがね」

 

「なるほどな。よし……」

 

男はコンピューターをいじる。

 

すると、3人はコンピューターの中に帰っていった。

 

「……?」

 

「それなら、希望にお答えして出してやるよ」

 

「何だと……!?」

 

コンピューターの中から出てきたのは……先程の関羽と同じくらいの背丈(210㎝)位の筋肉隆々の屈強な男だった。

 

頭に2本の黒い羽根飾りを着けて、手に握られているのは……『方天画戟』!

 

畜生……! この状態では勝てる率が更に下がってしまったぞ……!

 

「さあ、お前が何処までいけるか、見せてくれよ」

 

男の右手にも方天画戟……!

 

まさか……!

 

「お前……まさか」

 

「そう。俺の身体能力は全く呂布と同じにしてあるんだ」

 

男の言葉で少し目が眩みそうになった。

 

体格の差はあれど、要は呂布を2人同時に相手にしろだと!?

 

「さあ、耐えて見せろよ!」

 

男と呂布が同時に斬りかかって来た!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どれぐらい、斬り合ってきたのか?

 

10分なのか、1時間なのか、時間の感覚が狂ってしまう。

 

「ふぅ~」

 

深く深呼吸する。既に第1チャクラは全力回転だから体力が尽きる事は無い。

 

相手も特に疲労の色は見られない。

 

せめて、咸卦法が使えれば負ける気はしないのだが。

 

あちこちに擦り傷があるが、戦闘に支障は全くない。

 

だが、決定打が無いからジリ貧と言えばジリ貧。

 

あの嵐の様な斬撃と突き、刹那の気の緩みで頭をかち割られて終わってしまう。

 

「大したガキだよ、呂布を2人相手にしてその程度で済むなんてよ」

 

「褒めて頂いて幸いだよ」

 

せめて、第6チャクラが回せれば。ギリギリ何とかなるかも知れないのだが。

 

やってみるか? 一途の望みをかけて、第6チャクラを起動させるのを。

 

ちょいと危険な賭けになりそうだが、このまま無惨に殺されたら。

 

まあ、復活は出来るが、こっちの時間で1週間かかる。

 

その間にアリサ、すずか、はやての3人は……この男の毒牙にかかるやも知れない。

 

巫山戯るな。もう、俺の前で……同じ目に遭わせるわけにはいかない。

 

かつて、『妹』を俺の目の前で陵辱され、無惨に殺された……あの光景を忘れたか。

 

忘れるモノか。周りの大切な人を守れなくて……何が世界の守護神だ。

 

ゼロじゃない。僅かな望みをかけて……やる!

 

俺は身体に気を巡らせる。

 

「第6チャクラ……起動!」

 

第1から第5までのチャクラを全力運転。

 

身体から溢れる闇の力。

 

だが、第6チャクラは回る気配はしない。

 

「くそ……」

 

「何をするかと思えば。何も変わってないな」

 

男と呂布はゆっくりと俺に近づいて来る。

 

〈お兄様、私を出して下さい!〉

 

〈ダメだ、エヴァ。エヴァの技量ではキツイ。それに、なるべくならお前の存在はまだ知られたくないんだよ〉

 

〈でも!〉

 

〈頼む。なるべくなら……エヴァが出るのは姉妹機、夜天の魔導書の戦いの時にしたいんだ〉

 

〈分かりました……お兄様……〉

 

我が儘を言って悪いな、エヴァ。それに傷つく姿を見たくないんだよ。

 

「こうなりゃ仕方ない。粘って粘ってお前達が疲れるのを待つか……」

 

俺は双剣を構えた。

 

その時……。

 

俺の後ろから走り寄ってくる、気配。

 

それも、2人。

 

前の男と呂布は……気付いて……いない?

 

と言うことは、後ろから来るのは相当の手練れと言うことか。

 

「くくく、随分と消極的な戦いに……」

 

男の言葉が終わる前に俺はしゃがんだ。

 

 

「はぁっ!」

「ふっ!!」

 

 

背後の2人は空中に飛んで男と呂布に跳び蹴りを喰らわせる。

 

 

「くっ!?」

「……!?」

 

 

男と呂布はそれぞれの武器で防いだが、よろめいた。

 

後ろから跳び蹴りを喰らわせた2人は空中でクルクル回転して俺の前に着地した。

 

「……はは、マジかよ」

 

俺は意外な人物に驚くしかなかった。

 

そう、月村家のメイド、ノエルさんと……バニングス家の執事、鮫島さんだったからだ。

 

「大丈夫ですか? アレス様!」

 

「助太刀に参りました」

 

2人は俺の方を見てそう言った。

 

鮫島さんはいつもの執事服だったが、ノエルさんはいつもより短いスカートのメイド服だった。

 

「……なるほどね。アリサとすずかの救援に……それと、2人の援護ですか? 恭也さん」

 

「やはり、分かったか。そうだ、俺も来てるぞ?」

 

後ろにいた気配はやはり恭也さんだった。

 

4対2。勝率は少し上がった。

 

「やれやれ、少し……時間をかけすぎたか」

 

男は方天画戟を持って構える。

 

「失礼ですが、藤之宮様。あの方は……もしや……」

 

「ええ、想像通りです。三国志にて虎牢関の戦いで劉備、関羽、張飛の3人と引き分けた飛将軍『呂布奉先』ですよ」

 

「……っ!!」

 

恭也さんの驚きの顔。

 

「ほほぉ、これはこれは……」

 

鮫島さんの口元が少し、つり上がった。

 

「出来れば、若い時にお相手したかったですな……」

 

鮫島さんは構えた。あの構えは……八極拳! しかも、かなり鍛錬を積んで来たモノと思われる。

 

一応、俺も八極拳は使えるが、鮫島さん程ではない。

 

「恭也さんとノエルさんはそっちの男を。俺と鮫島さんで呂布と戦う」

 

「……分かった」

 

恭也さんはそう言って男の方を見た。

 

「では、『バニングス家元ゴミ処理係』……鮫島、参る!!」

 

 

 

 

 

その後の戦い?

 

ええ、だいぶ助かりましたよ。

 

結構時間がかかりましたが、男を撃退。

 

撤退したあと追いかけて、例によって結界に封じ込めてから前世の姿に戻してからは皆様の予想通り。

 

痛みが快楽に変わる呪いを受けてから天使に引き渡しました。

 

改心の見込みが全くありませんでしたからね。

 

現場に戻ると鮫島さんはアリサを既に運んだのか、居なかった。

 

ノエルさんだけが残ってた。聞けばファリン嬢に任せたとの事ですずかの姿は無かった。

 

恭也さんも居なかった。聞けばはやてを運んで行ったとの事。

 

「アレス様には何とお礼を言って良いのか……」

 

そう言ってノエルさんは俺の手を両手でしっかりと握って離さない。

 

「いえ、その、お気になさらずに……」

 

「いいえ! それでは私の気が済みません! どうか、私の身体を好きにして良いですから……!」

 

その時、ノエルさんの後頭部に衝撃が走った。

 

見ると忍さんがハリセンを持って立っていた。

 

「全く、何をやってるのかしら?」

 

「し、忍様……」

 

「まあ、確かにアレス君が可愛いのは分かるわよ。でもね? 貴女はウチの専属メイドなのよ? そこんとこを……」

 

ああ、説教モードに入りましたね。

 

ノエルさんは忍さんに手を引っ張られて行ってしまった。

 

「ああ、アレス様! お礼はいずれしますから……お待ち下さいね!」

 

いえ、ノエルさんのお礼はイヤな予感を感じますからいらないんですがね!

 

 

 

 

 

無事に家に帰る。

 

しまった、全員の記憶を改竄するのを忘れてた。

 

……まあ、別に知られても良いか。魔法を知られたらオコジョにされるとかそう言った罰は無いし。

 

『魔法少年やってます♪』とでも言っておこう。

 

そう言えば、ミッドの方では魔法文化の無い世界では魔法を教えるのは禁止とか言ってたな。

 

別に俺は管理局員じゃないし。知ったことじゃないね~。

 

俺はベッドに潜る。そして1日が過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日。

 

いつもの様になのはとバスに乗ると。

 

アリサとすずかの2人がおられました。

 

 

「おはよう、アレス、なのは」

「おはよう、アレス君、なのはちゃん」

 

 

いつも通りの挨拶。いつも通りの雰囲気だ。

 

 

「おはよう、アリサちゃん、すずかちゃん」

「おはよう、アリサ、すずか」

 

 

いつもの様に端っこのなのはの隣に座ろうとしたら。

 

「アレスはこっち」

 

アリサに手を引っ張られてアリサとすずかの真ん中に。

 

「お、おい……」

 

「さて……アレス。今日の放課後は空いてるわよね?」

 

俺の目をジッと見つめて来るアリサ。瞳の奥に炎が見えそうだ。

 

「いや、どうだったかな」

 

「……あたしの家でお茶会があるの。来てくれるわよね?」

 

声のトーンが低いです、アリサさん。

 

「ああ、わ、分かった……」

 

「了解。すずか、忍さんとノエルさんにも連絡しておいてね」

 

「うん」

 

「にゃー! 私は!?」

 

思いっきり仲間外れのなのは。

 

「なのはも……来る? アレス君の秘密……知りたい?」

 

「え……?」

 

アリサの言葉を聞いて呆然とするなのは。

 

〈どういう事なの? アレス君?〉

 

〈まあ、簡単に言うぞ?〉

 

〈うん〉

 

〈アリサとすずかにバレた。魔法が〉

 

〈にゃ―――――――――――――っ!? ど、どどどどどどう言う事!?〉

 

〈まあ、昨日……アリサとすずかが誘拐された時に魔法を使って救出したのをしっかりと見られてしまった〉

 

〈き、昨日!?〉

 

〈うん、まあ、(精神的に)疲れてたから言ってなかったけど〉

 

〈にゃ――――――――――――――――――――っ!!〉

 

「どうしたの、なのはちゃん? 頭抱えて?」

 

「あ、あははは……何でも無いよ?」

 

冷や汗をかいてるなのは。顔が少し青くなっていた。

 

「で? なのはも来るの? 来ないの?」

 

「……行きます」

 

「了解。良かったじゃない、愛しのアレス君の秘密が聞けるんだから♪」

 

「え!? そ、そんなのじゃないよ~!!」

 

 

 

 

 

時は流れ。

 

あっという間に放課後。

 

俺はアリサとすずかに連れられて校門に着く。後ろにはなのは。

 

既に到着していた黒のリムジン。

 

そして、鮫島さん。普段はフツーの執事なのだが……あの呂布との戦いは武人としか見えなかった。

 

見かけによらないとはこの事だな、うん。

 

そして俺達はバニングス家に連れて行かれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

応接室に着くと、忍さん、恭也さん、ノエルさんにファリン嬢。そして、はやても来ていた。

 

そして、俺達が到着すると鮫島さんが紅茶を持ってきてくれた。

 

俺はその紅茶に角砂糖2個放り込んで溶かす。

 

一口飲んでみて……。

 

「ぬぅ……足りぬ」

 

もう1個放り込んで溶かした。

 

「あんた……どんだけ甘党なのよ」

 

アリサがツッコミを入れてきた。

 

「やかましか。俺は甘いモノ大好きなんだ」

 

「そうだよね、アレス君はウチのお母さんのケーキ大好きだもんね」

 

「なるほど……ねぇ?」

 

アリサとすずかの目が光ったように見えた。

 

「さて、全員揃ったようね」

 

忍さんが全員の顔を見てから言った。

 

「それでは、アレス君に月村家当主としてお礼を言わせて貰うわ。すずかを助けて頂き、誠にありがとうございます」

 

立ち上がって深くお辞儀する忍さん。

 

「私からもお礼を言わせて頂きます、アレス様」

 

同じくお辞儀するノエルさん。

 

そしてあわててお辞儀するファリン嬢。

 

「私からもです、藤之宮様。後に家の方へ旦那様と奥様もお礼に参ります」

 

そう言ってお辞儀する鮫島さん。

 

「いえ、たまたま……ですよ」

 

俺は頬をかいて視線をアリサとすずか、はやてに向けた。

 

「私からも……お礼を言わせてな? ありがとうな。あ、私の名は『八神はやて』や。よろしくな?」

 

はやても車椅子に乗ってお辞儀してきた。

 

「ああ、俺は藤之宮アレス。アリサとすずかと同じ学校に通ってる同級生だ。こちらこそ、よろしくな?」

 

俺ははやての方に向かってお辞儀した。

 

「さて、アレス君。貴方は何者ですか? その幼い身体で10人の大人を……撃退した」

 

忍さんが目を細めて俺の方を見た。

 

室内の空気が少し、冷たくなってきた。

 

「さてさて、何と言いましょうか。そうですね、『魔法少年』と言うことでお願いできませんか?」

 

「へ?」

 

「いや、悪いヤツを退治するのは魔法少女とか正義のヒーローが居るじゃないですか。俺が使ってるのは、魔法。そして少女じゃなくて少年だから……」

 

「ふむ。確かに……」

 

恭也さんは顎に手を当てて頷いていた。

 

まあ、魔法以外も使用してるが面倒だから魔法扱いでいいや。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい! 魔法だって言うなら杖とか……」

 

「持ってたじゃないか」

 

「え……あ……」

 

「そう言えば、丸い宝石みたいなのが付いた杖みたいなの持ってたね……」

 

すずかは顎に手を当てていた。

 

「まさかとは思うが、アニメに出る魔法少女みたいなファンシーな杖を想像していたんじゃあるまいな?」

 

「ま、まっさか~?」

 

俺の顔から視線を逸らすアリサ。

 

「なのは、すずか、あとははやてとかが持ってるなら似合うが、俺が持ってたらどうかと思うだろ?」

 

「……何であたしの名前が入ってないのよ?」

 

「……自分であんなファンシーな杖持って『ラミ○スラミパスルルルルル~』みたいな呪文唱えたいか?」

 

俺はアリサの目を見つめて言い放った。

 

「……くっ……無理だわ……」

 

テーブルに突っ伏すアリサ。

 

アリサの場合はモーニングスターで『突撃ぃ!』の方が似合っている様に思える。

 

「魔法……ね。ここで見せることは出来る?」

 

「はい、構いませんよ。っと、その前に紹介しておきましょう。エヴァ?」

 

【はい、おにい…コホン、主様。皆様、初めまして。武神の魔導書、エヴァンジェリンと申します】

 

俺は首から待機状態のエヴァを取り出してみんなに見えるように掲げた。

 

「ネックレスが……喋った……」

 

「ま、これが変身するアイテムみたいなモノかな? 頼む、エヴァ」

 

俺はゆっくりと広いところに向かって歩く。

 

【了解です、主様。起動(アンファング)

 

俺の身体が光り輝き、騎士甲冑を身に纏う。

 

 

「おー……」

「かっこいい……」

 

 

アリサとすずかの声。

 

「めっちゃかっこええ……」

 

遅れてはやての声。

 

「とまあ、昨日誘拐犯達をボッコにした時もこの服装でした」

 

「へぇ~。で、防御力はどれくらいかな?」

 

忍さん……何かスイッチが入りませんでしたか? ノエルさん。身体が小刻みに震えてますよ? 抱きつきたいとか言わないでくださいよ?

 

「試した事はありませんが……かなりの防御力かと。物理攻撃はどうか知りませんが」

 

「盾とか出せるの?」

 

「一応は。頼む、エヴァ」

 

【はい、装甲手楯(パンツァーシルト)

 

俺の前に現れるベルカ式魔法陣の盾。

 

 

「か、かっこいい……」

「ええなぁ~」

 

 

……はやてさん。貴女ももう少ししたら同じの出せますよ。

 

「ま、分かったわ。これならすずかをお嫁に出しても大丈夫ね」

 

……ちょっと待て。何の話だ?

 

「ふむ。藤之宮様ならお嬢様の身の安全をお守りすることが出来ますな」

 

鮫島さんも何を言ってるのだ?

 

「アレス君は私のなの……」

 

なのはの呟きが聞こえるが俺には何も聞こえない!! 聞こえないったら聞こえない!!!

 

「……しかし、どうやってそれを入手したのだ?」

 

恭也さんが聞いてきた。

 

「はい、実は生まれた時から本棚にあったのです」

 

エヴァは元に戻って今度は本形態になる。

 

「……そんな!?」

 

はやての呟き。

 

俺は聞こえないふりして続ける。

 

「そして、9歳になる今年の4月4日。丁度1ヶ月半前ですね。その時にこの本が起動してこうなったわけでして」

 

「へぇ~生まれた時からか~」

 

「アレス君は選ばれた訳だね」

 

「……」

 

はやての顔が少しずつ青くなっていく。

 

「……どうした? はやて?」

 

「あんな……聞いてくれへんかな? 私の家にも……似た本があるんよ……」

 

 

「!」

 

 

俺とエヴァ以外の全員が息を呑んだ。

 

「エヴァ?」

 

【ハイ、主様。私と同じ姉妹機、『夜天の魔導書』があります。外見はかなり酷似していますから……それでしょう】

 

「はやてちゃんも……なの?」

 

なのはも驚きの顔ではやてを見ていた。

 

「まだ、アレス君みたいに動いてないけどな……私の誕生日……来月の6月4日で9歳になるんよ……」

 

「なるほどな。多分、俺と同じように動くハズだ。俺の時も0時ジャストで起動したんだからな」

 

「そっか。私もアレス君みたいな魔法少女になるんかぁ……って、この足じゃなぁ……」

 

自分の足を眺めるはやて。

 

【はやてさん。今度、その本を見せていただけませんか?】

 

「え? ええけど……」

 

【私とその夜天の書は契約してもそんな足が動かなくなると言う事はありません。もしかしたら、何か致命的な欠陥が生じてる可能性があります】

 

「え?」

 

【ですから、はやてさんが9歳になった6月4日以降で一度、見せてください】

 

「うん……分かったわ……お願いして……ええよね?」

 

「ああ。俺は全く構わない」

 

「なるほどねぇ~。不思議な事もあるもんだねぇ~」

 

忍さんは紅茶を飲んで微笑んでいた。

 

〈なのははどうする?〉

 

〈……決めた。私も……みんなに言う!〉

 

なのはからの念話。彼女も決心したみたいだ。

 

「あの、聞いて欲しいの!」

 

 

 

 

 

なのはも魔法少女と言う事で全員がまた驚いていた。

 

途中、ユーノとユナも現れて(呼びつけたとも言う)、更に人間の姿になってから更に事態は少し大きくなった。

 

「にゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ユーノ君が……ユーノ君が!!」

 

「あ、ああ、ああ……あんた……海鳴温泉の時にしっかり見てたのね!?」

 

「ち、違う……僕はアレスに連行されて……!」

 

「ユーノ、浮気……したんだね?」

 

ユーノは壁際に追い込まれていた。

 

ユナに両肩を掴まれ、隣にアリサが仁王のごとく立っていた。

 

〈骨は拾ってやるぞ、ユーノ。だから……安心しろ〉

 

〈助けてくれないの!?〉

 

〈……俺に地雷原に飛び込めと?〉

 

〈そもそもアレスのせいだよね!? アレスが僕を風呂に連行したから!〉

 

〈俺は過去を振り返らない主義なんだ〉

 

〈鬼! 悪魔!〉

 

〈まあ、頑張れ〉

 

俺はユーノに向けてサムズアップしておいた。もちろん、満面の笑顔で。

 

「なるほどな。ご近所にこんなモノがバラまかれたのか」

 

ジュエルシードをじっくり見てる恭也さん。

 

「ええ。あまり、大事にしたくは無かったので……」

 

「全く。こういうのは大人の役目。分かったわ、私も大学で見かけた人がいないか聞いてみる」

 

「そうですね。近所でも聞いてみます」

 

「では、私も……」

 

忍さん、ノエルさん、鮫島さんが協力してくれる。

 

「なのは……」

 

「うん。お父さん、お母さん、お姉ちゃんにも話すね」

 

こうして、魔法の存在を話すこととなった。

 

原作と離れたけど……良いよね?

 

ちなみに、はやてはファリン嬢と話をしていた。

 

 

 

 

 

高町家にお邪魔してから全てを話した。

 

「ふぅむ……魔法少女か……」

 

「良いなぁ~」

 

「ねえねえ、私もアレス君と1回パートナー組んでみたいんだけど?」

 

桃子さん、貴女は何を仰るのですか?

 

「えっと……なのは……さん以外は魔法が使えるリンカーコアが無いみたいなので……ちょっと厳しいかと……」

 

ユーノの言葉を聞いて両手、両膝を着いて落ち込んでる桃子さんが居た。桃子さんの周囲の空気だけ暗くなってた。

 

「まあ、俺と美由希が探して……」

 

「そうだな。俺と桃子で喫茶店に来る常連さん達に聞いてみよう」

 

「すみません、何から何まで……」

 

「良いんだよ。ウチだって、近所にこんな物騒なモノがあっても困るし」

 

「そうそう。何かの縁だと思って……ね?」

 

こうして、みんなを含めたジュエルシード探しが始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

3日後。

 

午後7時過ぎ。

 

俺となのははいつもの様にジュエルシード探し。

 

町中を歩きつつ散策していた。

 

ユーノとユナも一緒で近くをフェレット姿になって散策している。

 

「見つからないねぇ~」

 

「まあ、そんなに大きくないし、数が数だしね」

 

その時、町中に魔力が溢れ出してきた。

 

「!?」

 

「これは!?」

 

〈そんな!? 町中で強制発動!?〉

 

そう言えば、そんな話があったな。

 

〈ほら、ユーノ。広域結界張るよ〉

 

〈わ、分かった〉

 

これは将来は尻に敷かれると言う事で。がんばれ、ユーノ!

 

同時に光の柱が立ち上る。どうやらジュエルシードだ。

 

「なのは!」

 

「うん、レイジングハート、セットアップ!」

 

【スタンバイ・レディ・セット・アップ】

 

バリアジャケットを纏うなのは。

 

「エヴァ、頼む!」

 

【了解です! 起動(アンファング)!】

 

俺も騎士甲冑を纏う。手にはいつものレーヴァテイン。

 

そして、なのはは砲撃モードに入る。

 

「見えた! ジュエルシード……シリアルⅩⅣ……封印!」

 

桃色の光線がジュエルシードに当たる。

 

見ると黄金色の魔力光も当たってるから……フェイトも来てる!

 

数秒後に光の柱は治まる。俺達はその場所に向かって走っていった。

 

 

 

 

 

宙に浮いてるジュエルシード。

 

周りを見てもフェイト達は来てる様子は無い。

 

「ふむ……」

 

「やった! さあ、早く封印を!」

 

「そうはさせるか!」

 

ビルの上から降ってくるのは……アルフか!

 

装甲手楯(パンツァーシルト)!】

 

右手を上にかざして魔法陣でアルフの攻撃を防ぐ。

 

「ちぃ! 堅いシールドじゃないか! それに……見たことない魔法陣だよ!」

 

そう言ってアルフは弾かれてから8m位先に着地した。

 

そして、ゆっくりと降りてくる……フェイト。

 

「いけ、なのは」

 

俺はなのはを歩かせる。

 

「こないだは……自己紹介出来なかったけど……私はなのは。高町なのは! 私立聖祥大付属小学校3年生!」

 

バルディッシュが鎌の形になった!

 

そして、上空に飛んで斬りかかってくるフェイト。

 

「っ!」

 

なのははフライヤーフィンを発動して空に逃げる。

 

さあ、なのは。俺との特訓を見せてみろ。

 

俺はなのはとフェイトの戦いを眺める事にしようとしたが。

 

「……む?」

 

妙な……感じだ。何か、感覚が……おかしい。

 

「……」

 

俺はジュエルシードを見た。

 

何やら……発動しそうな。

 

「エヴァ?」

 

【はい、とりあえずジュエルシードの周りに結界を張っておきますね。魔法の監獄(ゲフェングニス・デア・マギー)

 

「どこ見てんだよ!」

 

アルフが後方から襲いかかってくるが。

 

装甲手楯(パンツァーシルト)

 

エヴァの自動防御でそれも防ぐ。

 

「な、何なんだよ……あたしの方を見ないで……簡単に防いじゃってさ!」

 

「ふむ? なら、俺と遊ぶか?」

 

俺はゆっくりとアルフの方を振り向いた。

 

「くっ……」

 

「念の為に言っておくが……俺はあの水色の娘とは違って」

 

「違って……?」

 

「接近戦が得意なんだぜ?」

 

俺はアルフとの間合いを一瞬で詰める。

 

アルフの頭に杖をそえる。

 

「は、速い……!」

 

「ま、俺としてはあの戦いをちょいと眺めていたいのだがね?」

 

俺はなのはとフェイトの方を見る。

 

「隙あり!」

 

アルフは俺の左腕に噛みつこうとしたが。

 

「甘い」

 

そう言って飛びかかって来るアルフの鼻先にデコピンを喰らわせた。

 

「~~~~!!!」

 

その場で声にならない叫びをあげてのたうち回ってるアルフ。

 

〈凄いね、アレスは。相手を見ないでも攻撃を当てるんだから〉

 

〈ああ、鍛錬すれば誰でも出来る。空気の流れを読んでるからな〉

 

〈……どれくらい鍛錬すれば良いの?〉

 

ユナからのツッコミも入る。

 

〈さあ? 人によるけど……3年あれば何とかなるんじゃね?〉

 

〈……ホントに?〉

 

〈まあ、目隠しして生活出来るようになれば〉

 

〈イヤイヤイヤイヤ、それはおかしいから〉

 

「な、何なんだよあんたは! 何であたしの方を見ないでそう簡単に……」

 

「ああ、空気の流れを読んでるだけだ」

 

「……何なのよ……この達人は……おかしいよ……」

 

アルフはその場に座ってしまった。

 

下を俯いてしょげてる様に見える。

 

「お、接戦だな」

 

 

 

 

 

 

-なのは視点-

 

 

フェイトちゃんが斬りかかってくる!

 

でも、アレス君の方がよっぽど速かったの!

 

私は斬りかかってくるフェイトちゃんの攻撃をかわして一気に後ろに回り込む。

 

「っ!」

 

【ディバイン・バスター】

 

私が一番得意とする砲撃をフェイトちゃんに向かって撃つ。

 

【ディフェンサー】

 

バルディッシュがシールドを張って防ごうとするけど……。

 

「私のディバイン・バスターはその程度では止められないの!」

 

ガラスの様に砕け散るフェイトちゃんのシールド。

 

「っ! そんな!」

 

かろうじて避けるフェイトちゃん。まだまだなの!

 

「レイジングハート、お願い!」

 

【イエス、マスター! ディバイン・バスター6連射】

 

私は動いているフェイトちゃんに向けてさらなる砲撃を繰り出す。

 

「ひぃ!」

 

次々に砲撃がフェイトちゃんに向かっていく!

 

驚いた顔でフェイトちゃんは全ての砲撃を避ける! さすがはフェイトちゃん!

 

「全部避けるのなら……レイジングハート!」

 

【イエス! マスター!! ディバイン・バスター12連射!】

 

今度はさっきの2倍! これならフェイトちゃんに当てられるの!

 

さあ、私のお話を聞いて貰うからね!

 

 

 

 

-なのは視点・終了-

 

 

 

 

 

「……」

 

【……おに、いえ、主様?】

 

「何も言うな、エヴァ」

 

何となく、イヤな予感は感じていた。

 

なのは……意外と熱くなりやすい性格なんだな。

 

なのはは砲撃を避けるフェイトに向けてディバイン・バスターを撃ちまくっていた。

 

フェイトの後方のビルは崩壊して更にその奥のビルも崩壊していた。

 

このまま放っておくと周辺が焼け野原になりそうだし、いくら非殺傷設定と言ってもフェイト……半年は再起不能になるぞ?

 

「ちょっと! フェイトが殺されるよ! な、何なんだよあの砲台は!」

 

アルフが詰め寄ってきた。

 

〈アレス……どんな鍛え方したの?〉

 

〈どんなって……ただ模擬戦しただけ〉

 

〈どんな様子だったの?〉

 

〈そりゃあ、俺があまりに避けるからなのはもアレを終いには32連射とか……〉

 

〈死んじゃうよ!? 非殺傷だって言ってもあの一撃が戦艦並みの砲撃喰らったら……あの子……重傷になるよ!?〉

 

〈だよな……? だって、俺のシールドでもヒビ入ったし……〉

 

いや、あの時はさすがに背中に冷や汗かいたからね~。

 

「わ、分かったよ……止めて来るから」

 

俺はなのはの背後に回ってハリセンで叩く。ちなみに、これはエヴァの中に登録してある専用のハリセンだ。

 

 

「やりすぎ」

「にゃっ!?」

 

 

砲撃は止まった。

 

フェイトは肩で大きく息をしていた。

 

目が潤んで……いや、少し泣いてる様に見える。

 

「ハア……ハア……」

 

トラウマにならなきゃ良いが。

 

「も~何で止めるかな……後少しで撃墜出来たのに……」

 

「……もう少し、加減と言うモノを考えんかい」

 

更に俺はなのはの頭を叩いた。

 

「いや、すまんすまん。この子には後で聞かせておくからさ……アレ、持っていって良いよ」

 

 

「!?」

「にゃ!?」

 

 

「あれだけしておいて……持って帰れるか?」

 

俺はフェイトの背後を指差した。背後には瓦礫が無くなった更地と化していた。

 

「う……」

 

言い詰まるなのは。

 

「ってな訳だ。今回は、こちらの反則負けで良い」

 

「ありがと……」

 

「じゃあ、な」

 

俺となのははフェイトの前から立ち去る。

 

 

 

 

 

俺は二重身(ドッペルゲンガー)で2人に分かれた後、分身体でなのは達を自宅に送る。

 

【フェイト達の居場所が分かりました。隣の遠見市のマンションです】

 

「ふむ。確か……明日にフェイト達は母親の元に向かうなよな?」

 

【ええ。原作ではそうなってましたが?】

 

「よし、こっそり後をつけよう」

 

【分かりました。それでは、明日ですね】

 

とりあえず、俺達は自宅に帰り、明日の為に準備をして眠りについた。

 

 

 

 

 

 

目を覚ましてから二重身(ドッペルゲンガー)で2人に分かれた後、分身体を学校に行かせる。

 

まあ、3日は大丈夫だから良いか。

 

その後は遠見市に向かって転移した。

 

 

 

 

 

超高層マンションの屋上に来た。

 

予定通り、フェイトとアルフが立っていた。

 

フェイトの手にはケーキを詰め合わせたであろう箱があった。

 

無論、2人は俺に全く気付いていない。

 

〈エヴァ、会話は聞こえるな?〉

 

〈ハイ、大丈夫です〉

 

〈頼む。俺は風の音で途切れ途切れにしか聞こえない〉

 

〈了解です〉

 

しばし会話をしたあと、魔力が溢れる。

 

そして、光に包まれてフェイトをアルフの2人は消え去った。

 

「エヴァ?」

 

【大丈夫です。きちんと転移先を聞いていますから。次元転移!】

 

足下に広がるベルカ式魔法陣。そして、俺の身体を包み込んでいった。

 

 

 

 

 

「ここは……」

 

【……変ですねぇ?】

 

確かに、時の庭園と思われる場所に着いたのだが。

 

「思ったより位置がずれたか?」

 

【そうかもしれませんね】

 

俺達は散策しながら歩いていった。

 

「うん?」

 

歩いていると、何かの気配。

 

だが、視界には何も映ってはいない。

 

【どうかされましたか?】

 

「いや、何かがいる様な気配が……浄化の蒼水晶(スター・サファイア)

 

右目に気を通して起動させる。

 

すると、通路に佇むおぼろげで透けて見える女の人。

 

白い基調の服で頭に白い帽子。ベージュ色っぽい髪。

 

そして、お尻から猫みたいな尻尾が生えていた。

 

 

「……」

「……」

 

 

女の人は俺の顔を眺めていた。

 

「……見えるのですか?」

 

「ああ、見える。君は……幽霊か?」

 

「はい。私の名はリニス。『プレシア・テスタロッサ』の使い魔をしておりました」

 

「……プレシア?」

 

「ええっと……『フェイト・テスタロッサ』と言う女の子はご存じで?」

 

「ああ、知ってる」

 

「その子の母親です」

 

「なるほどね……」

 

「ぶしつけですが……プレシアを……助けて頂けませんか?」

 

リニスは涙を流していた。

 

 

 

 

 

リニスから大まかな話を聞いた。

 

昔、最愛の娘『アリシア』を事故で亡くした事。

 

そして、最愛の娘を甦らせる為に娘のクローン『フェイト』を造った事。

 

だが、プレシアは納得せず今度は死者蘇生でアリシアを復活させる事。

 

「なるほどね……」

 

「今のプレシアは……病魔に冒され、余命幾ばくも無いのです。せめて……フェイトに母親として接して欲しいのですが…」

 

さて、どうしたモノか。

 

病魔に冒されてるから視野狭窄に陥っているのかもしれない。

 

余裕が無いからフェイトに情愛を捧げていられないのかもしれない。

 

病魔を治せば……何とかなる……だろうか?

 

とにかく、病魔を治さないことにはどうにもならないな。

 

「うん、とりあえずはプレシアに会ってみないことには何とも言い難い」

 

「そうですか……」

 

「……さて、リニスさん」

 

「はい?」

 

「もう1度、生を謳歌してみる気は?」

 

「え?」

 

「もう1度、フェイトとアルフに会う気は?」

 

「叶うなら……会いたいです。この手で……頭を撫でたいです」

 

「分かった。ところで、貴女の身体は?」

 

「……どうなさるのですか?」

 

「ま、それは見てのお楽しみと言う事で」

 

「……。分かりました。私の遺体はこちらです」

 

リニスに連れられて歩いていった。

 

 

 

 

とある部屋に到着するとミイラ化した猫らしいモノがあった。

 

「ほほぉ……」

 

骨だけだとちょっと厄介だったが。

 

組織が残ってるなら……何とかなるかもしれない。

 

「あの?」

 

「ふむ。これなら何とかなるだろ」

 

「それなら……!」

 

「まあ、あわてなさんな。すぐに復活と言うのは無理だから……遺体を箱に詰めて……と」

 

俺は部屋を探って箱を探し、リニスさんの遺体を箱に詰める。

 

で、メモに大雑把な事情を書いておいて、箱に貼っておく。

 

中に入れておくと開けた時に母さんがビックリするからね。

 

「エヴァ」

 

【はい、次元転送!!】

 

ベルカ式魔法陣が発動して箱は俺の家に転移された。

 

「!! 貴方は……古代(エンシェント)ベルカの使い手ですか!?」

 

「ああ。ま、詳しいことは家に送るから……母さんに聞いてくれ」

 

リニスの足下にも同じくベルカ式魔法陣が発動する。

 

「わ、分かりました……」

 

リニスは光り輝いてその場から消え去った。

 

「さて、寄り道したがフェイトを探してみよう」

 

【お兄様、魔力反応が2つ。多分、プレシアとフェイトちゃんでしょう】

 

「分かった。そこに転移してみよう」

 

【分かりました。それでは、転移!!】

 

足下が光り輝いてから俺はその場から転移した。

 

 

 

 

 

転移した先は……丁度プレシアがフェイトに罰を与えていた所だった。

 

「あらあら……小ネズミが進入していたと思っていたけど」

 

プレシアが俺の顔を見てそう言った。

 

「あ、貴方は……」

 

フェイトは部屋の中央で釣り下げられていた。

 

身体には生々しい傷跡が残っていた。

 

「……やれやれ、お仕置きにしてはちょいとやりすぎじゃないのか?プレシアさんよぅ?」

 

 

 




 


鮫島さんの元ネタは某ヘルシング機関の長の執事ですw







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