魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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『神様が人に転生したっていう話ってあんまりないよな…』

そんな巫山戯た動機で出来たのがこんなお話




序章
プロローグ


長い時を生きた。1000年の時は長かった。

 

俺の名は『藤之宮アレス』。これは人に転生した時の名で神界に戻った時は『闇の軍神アレス』と言う二つ名を持つ。

 

先ほどまでは【魔法先生ネギま!】の世界で吸血鬼の真祖『エヴァンジェリン』の双子の姉として生きていたのだ。

 

何を悲しくて女の子に転生されなきゃならないのか。

 

ちなみに、エヴァの姉として生きていたときの名は『アリス・マクダウェル』と言う名だった。

 

妹のエヴァは俺の配下の暗黒天使(ダークエンジェル)として神界で生きる事となった。

 

さて、これで暫くは神界でのんびりと過ごす事としよう。

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

開口一番に出たのは気の抜けた返事だった。

 

「誠に申し訳ないが、急遽依頼が来てしまってな」

 

「ったく。で? どの様な依頼ですか?」

 

目の前にいるのは俺の上司に当たるゼルディア様。

 

まあ、簡単に説明すると美神だ。後は想像に任せる。

 

「うむ、これまた他の世界なんだがな。見習いの神が転生者達をとある世界に送り込んでしまったらしい」

 

「……」

 

ツッコミ所が満載だ。

 

同じ神としてちょいと教育してやりたい。

 

「……で、まさかとは思いますが。転生するときに色々と能力を付けたとか言うんじゃないでしょうね?」

 

「よく分かったな。いわゆるチート能力をたっぷりと付けた奴らがだな……」

 

「お待ちください。確かに俺は相当の力を持ってますから大抵の奴らには負けませんが、能力次第では相性が悪くて勝てないのもいますよ?」

 

思い浮かべるのは全ての漫画の能力とか、全ての漫画の魔力、気とか身体能力が全力とか。

 

時を止める能力とかはっきり言って勝てる自信は無い。

 

「大丈夫だ。私が作ったこれなら勝てる」

 

そう言って渡して来たのは指輪だった。

 

「……何ですか? この指輪は?」

 

(ことわり)の指輪だ。どんな能力であろうと破る事は不可能の理を封じてある」

 

「ちなみに?」

 

「『前世に戻る』だ。結界を張ってこの指輪を使えばその内部に居る人物は強制的に前世の姿に戻される」

 

「ほぅ……」

 

思わず口が笑ってしまう。

 

確かにこれなら転生前の能力に戻される。

 

もし、前世が普通の人であるなら問題は無い。

 

俺なら……多分、アリスの姿になるのだろうが。

 

「で、全員の前世は?」

 

「貰ったリストでは全員ただの人だった。前世が我らの様に神だったとか英雄だったとか……みたいなヤツはいない」

 

「なるほど?」

 

俺はリストを受け取り、パラパラとめくる。

 

「…………ゼルディア様?」

 

「どうした?」

 

「……この人物達を転生させた見習い神は何を考えてたのですか?」

 

「……それは私も気にはなっていた。何故そんな人物ばかりチョイスしたのかは聞いていないが」

 

リストを見ると全員の備考欄には『少女偏愛(ロリコン)』もしくは『小児偏愛(ペドフィリア)』とどちらかが書かれていたからだ。

 

挙げ句の果てには『アニメヲタク』『女の子大好き』『シスコン』等々とも書かれている。

 

「ゼルディア様」

 

そう言って現れたのは金髪の美神。

 

俺の姉のアテナだった。

 

「あら? お帰りなさい、アレス」

 

「ただいま、姉さん。どうしたんだ?」

 

「ああ、先ほど手紙が届きました」

 

アテナはそう言って手紙をゼルディア様に渡す。

 

ゼルディア様は手紙を開けてマジマジと読み始めた。

 

「なるほどな。何故こんなちょいと危なそうな奴らばかりと思ったら……」

 

「思ったら?」

 

「その見習い神がその手の奴らの名を綴った名簿にうっかり神酒(ネクタル)をこぼしてな」

 

何となくだが、イヤな予感を感じる。

 

と言うか、酒を飲みながら仕事するなと。

 

「そしたらそいつらが全員事故で亡くなった。その事がばれて叱られると思った見習神は黙らせるのを条件に全員に希望する能力を付けて転生させたそうだ」

 

俺は目の前が真っ暗になった。

 

何というテンプレ的展開。

 

「何と言いましょうか……」

 

苦笑してるアテナ姉さん。

 

「で、転生した世界と言うのは?」

 

「全員、同じ世界だ。『魔法少女リリカルなのは』の世界らしい」

 

某吉本劇場よろしくこけたくなった。

 

はっきり言って全員ろくでもない奴らと言うのは分かった。

 

確かにあの世界の女の子達は全員可愛いし、綺麗なのが揃っている。

 

無印世界とA's世界なんかはヒロイン達は皆9歳と言うまさにロリコン共にとって天国としか言えないだろう。

 

「で? 今度の立場は? また女の子とか言いませんよね?」

 

「その点は安心しろ。今回は久しぶりに『藤之宮(ふじのみや)アレス』として転生して貰う」

 

「……分かりました」

 

「ごめんね、アレス。私も一緒に行きたいけど、追加依頼でね。その見習い神が更に名簿を隠し持っていたからそっちの世話にも行かなきゃならないの」

 

「ああ、分かったよ……姉さん。また暫く会えないけど」

 

「分かってるわよ。私達は不死の存在。また会えるんだから」

 

姉さんは俺の頬を撫でてから出ていった。

 

ちなみに、俺の身長は195㎝、姉さんの身長は175㎝だ。

 

 

 

 

 

 

 

旅立とうとしたらゼルディア様とエヴァがやって来る。

 

「どうかされましたか?」

 

「うむ、今回はエヴァを連れて行くがよい」

 

「は? はあ、分かりました……って、今回の立場は?」

 

いきなり初任務が俺とか。

 

まあ、前世からずっと一緒だったから構わないか。

 

だが、今回は俺は男として転生だからなぁ。

 

「お楽しみだ。転生してからの……な」

 

ちょっと待て。その妙な微笑みはイヤな予感しか感じないんですがね!

 

「もの凄くイヤな予感を感じるのですが?」

 

「大丈夫だ。許嫁とかそう言うのじゃなくて、相棒だよ」

 

「……相棒……ですか」

 

と言うことは…………デバイスで、ユニゾンデバイス辺りかもしれないな。

 

「よろしくお願いします、おね……じゃなくてお兄様」

 

「了解。こちらこそお願いする」

 

俺はそう言ってエヴァの頭を撫でた。

 

顔を赤くして微笑むエヴァ。

 

「それでは、行ってまいります」

 

俺とエヴァは扉をくぐって旅立った。

 

 




下っ端の辛いところです


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