夢うらら   作:さくい

8 / 9
クオリティ低めで短めです。

二日酔いで書くものじゃないですね……気が向いたら加筆修正します


第8話

 殺生丸との邂逅から一夜明けた早朝、楓お婆ちゃん家で冥加爺ちゃんから鉄砕牙の話を聞いてたらふと閃いた。

 

 私もお姉ちゃんと同じように霊力の殆どを使って式神を私の姿にすれば、学校休む事なく欠席関係も解決できない?あれ、何でこんな簡単な事に気付かなかったんだろ……私ってバカだなぁ……。

 

 衝撃の事実に手をついて落ち込んでたら鉄砕牙の話が終わってた。ちなみに、犬夜叉も真剣に話を聞いてたみたいだけど……犬夜叉ってこんなに素直な感じだっけ?結羅との一件から犬夜叉の性格が大人っぽくなってる気がするのは私の気のせいじゃないと思うんだよね。

 

 殺生丸から守ってくれた時も思ったけど、立派に成長してお姉ちゃんは嬉しいよぉ。

 

 

「……おいかごめ、その生ぬるーい視線は何だ」

 

「え?立派に育ってくれてお姉ちゃんは嬉しいなぁって」

 

「オメェは俺の姉じゃねぇだろ!何で上から目線なんだよ!」

 

「だって、犬夜叉って末っ子気質だし……ねぇ?」

 

 

 何ていう会話をしてから、私は用事を済ませる為に現代に帰る事にした。帰る序でに村の人達にヒーリング掛けて回ったら、いつの日かの様に野菜や絞めた鶏を貰ってホックホク。そして私は現代に戻って来た!待っててお姉ちゃん!

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 式を通じて、犬夜叉の兄である殺生丸という輩の事や鉄砕牙という犬夜叉の父親の忘れ形見の事を聞いた翌日の朝、朝食の手伝いをしていると骨食いの井戸からかごめの霊力を感じた。

 

 昨日は帰って来るなんて言ってなかった筈、何か用事でも出来たのか。

 

 

「お母さん、かごめが帰って来た」

 

「あら、そうなの?それじゃあ、もう一人分追加しましょうか」

 

 

 という事でかごめの分を追加で作っていると、カラカラと玄関を開ける音が聞こえ、続いてドタドタと忙しない足音が響いてリビングの扉の前で音が止まった。

 

 

「たっだいまー!!お土産持ってきたよー!!」

 

 

 そう元気の良い声でリビングに入って来たかごめを見ると、両手に鶏を三匹ずつ持ち、大根や人参と言った様々な野菜を背負子で背負い、両肩に一つずつ前よりも幾分か縮んだ鞄を持っているという大荷物の状態。重くないのかって思うものの、それらを持っているかごめは汗一つ浮かばせる事なく満面の笑顔。

 

 かごめってこんなに力あったのか。

 

 そう漠然と思いながら荷物を受け取り片付け終えて、かごめを抱き締める。きゃーっという効果音を周囲に撒き散らしながら抱き締め返してきて、私の胸の中に顔を埋めてきた。かごめがグリグリと顔を動かすのに擽ったさを覚えるも、私もちょっとした仕返しにとかごめの髪を少し強めに撫で付ける。

 

 

「ん〜そこそこ〜……ん〜気持ち良いよぉ〜」

 

「ふふ、かごめは相変わらず可愛いな」

 

「お姉ちゃんは相変わらず綺麗で凛々しくて……お姉ちゃん大好きだよー!」

 

「ふふ、ありがとう、かごめ」

 

 

 ほわほわとした笑顔のかごめに癒されながら、全身でかごめの霊力と温もりを堪能してると朝食が出来たとお母さんがくすくす笑いながら私達に教えてくれた。

 

 お祖父様や草太、ブヨにも見られていた事に気付いて頬が少し熱くなるのを感じながら未だにくっつくかごめを連れて席に着く。そして全員が席に着いたのを見て、お祖父様が挨拶をして朝食を食べ始める。

 

 献立は卵焼きとウインナーに味噌汁と沢庵、そして味噌汁というシンプルなもの。そして今日は何時にも増して甘えん坊なかごめにご飯を食べさせたり、逆に食べさせてもらったりして朝食は終了。

 

 

 食休みのお茶を飲んでいるとかごめが、式に霊力を注入して自分の形にし始めた。

 

 話を聞くと私が自分の形にした式神をかごめに持たせたみたのと同じ様に、かごめの形にした式神を学校に行かせれば一々欠席する理由を考える必要がないし、そもそも欠席しなくて良いから万々歳とのこと。

 

 それを聞いてお祖父様と一緒に感心しつつ、式神を作り終わるのを待ち、完成した式をかごめから預かった。

 

 式を作った直後は疲労困憊な様子だったが、お祖父様特製の丸薬を食べて30分程寝ると通常時の霊力の半分程を回復。

 

 

 元気を取り戻したかごめは鞄にシャンプーやリンス、洗顔剤や化粧水等の美容品、服飾関係にお菓子やお母さんが作った大量の弁当を鞄に詰め込んだ。

 

 そして粗方の準備を終えると戦国時代に向かう為に骨食いの井戸へ。家族全員にハグをしてかごめは再び戦国時代へと向かった。

 

 嵐の様に来て去って行ったかごめに少し苦笑が溢れる。さて、夜の定期通信を楽しみに今日も一日頑張るとしようか。

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 お姉ちゃんに式神を渡してから数日経過した今日、私と結羅とで川で水浴びしてたら鋼糸に白い子猿が引っ掛かった。

 

 

「わぁ、白い子猿だぁ!何か生意気そうな顔してる!」

 

「そうね、それに人慣れしてるみたいだし誰かに飼われてるのかしら」

 

 

 そう言いながら鋼糸で猿を操って色々なポーズを決めさせてる結羅を眺めてたら、下流の方で魚取りをしに行ってくれてた犬夜叉が帰ってきた。

 

 おかえり〜、おう。なんていう何処ぞの夫婦みたいなやり取りをしながら犬夜叉と一緒に焚き火を熾して、岩塩とバーブソルトの二種類の味付けをして魚を焼く。魚を焼くのを犬夜叉に任せて、結羅と一緒に水着から服に着替えてると若い男の人の情けない悲鳴が聞こえてきた。

 

 

「犬夜叉の友達かな?」

 

「違うんじゃないかしら?もしかしたら、あの子猿の飼い主かもしれないわね」

 

「おお、それだったらいいねぇ。きっと優しい人じゃないかなぁ」

 

「ふふ、そうだといいわね」

 

 

 何て言う会話をしながら犬夜叉が待っている場所に向かうと、頭にたんこぶをくっ付けて且つ膝を着いてさめざめと涙を流してる17歳位の男の子がいた。ちなみに、結羅に解放されてた猿はその男の子の上でお尻を掻いて、魚を焼いてた犬夜叉は呆れた顔でその男の子を見てるっていう何か不思議な光景がそこにあった。

 

 

「それで?この男の子は犬夜叉の友達?」

 

「んなわけねぇだろ……その猿の飼い主らしいぜ。そこから転がって来やがった」

 

 

 そう言って犬夜叉が指を向けた場所を目で追うと、丁度私から見て左側、なだらかな坂道になっている場所だった。……こんな誰も転ばなそうな所で転ぶなんて、何か……凄いね。

 

 ふーんって感心してると男の子からぐぅ〜っていう大きな音が鳴り響いた。

 

 その音を聞いて私もお腹が減ってきたなぁと考えて、お昼ご飯を食べることにした。勿論男の子とお猿さんも一緒に。ほら、旅は道連れ世は情けっていうじゃない。ちなみに、男の子の名前は信長っていうらしいけど、織田さんじゃなかった。残念。

 

 

「馳走になった。では、わしは重要な役目があるので失礼する」

 

「ふーん、バイバーイ!また会う日までー!」

 

 

 魚やカップラーメンを貪るように食べた信長君はお腹をポッコリと膨らませた状態で颯爽と歩いて行って、石に足を引っ掛けて転んだ。

 

 

「何か鈍臭いねぇ」

 

「そうね」

 

「んで?四魂の欠片みつかんねぇけど、もうこの武蔵国にはねぇんじゃねぇか?」

 

「ん〜どうだろ。四魂の欠片の力って近付かないと感じ辛いんだよねぇ。それに、他の妖怪とかが持ってたりしてるだろうし探すのは結構大変だよ」

 

 

 ていう事を話しながらとことこと歩き回ってると夕方になって、そして遠目にお城が見えた。おお〜あれぞ日本のお城!もっと近くで見たい!

 

 っていう私の我儘に二人が仕方ないっていう感じで了承してくれたから、衛兵に見つからないようにする為に深夜にお城に行くことに決定。深夜になるまでにまだ時間があるから霊力を制御する為にちょっと修行開始。

 

 

 身体の中に満遍なく霊力を流動させたり、球状に出した霊力を維持し続けたり、霊力を薄い刃状に素早くしたりすること計十分私は結羅の膝の上に頭を乗っけてバテた。

 

 

「あうぁ〜、疲れたぁ〜」

 

「お疲れ様、少し寝たら?」

 

「うん、そうする」

 

 

 そんな訳で結羅の膝を枕に一眠りする事にした。頭を優しく撫でる結羅の手を感じながら、ふと犬夜叉を見てるとちょっと呆れた顔して私を見てた。ピースすると溜息吐かれた……なんでだろ?

 

 

 

 ーーーーー

 

 

「……妖怪の匂いがしやがるな」

 

 

 深夜になって、周りに気付かれないようにこそこそとお城の外壁まで行くと犬夜叉がぼそりと呟いた。犬夜叉の言葉を聞いて妖気を感じようと集中してみると、確かに妖気がある……ような、ないような……いや、ある、かな……?まあ、もっと近付いて見ればわかるか。

 

 

「よし、そんじゃああの外壁飛び越えっから二人共掴まれ」

 

「はーい」

 

「わかったわ」

 

 

 結羅と私で犬夜叉の背に捕まって、犬夜叉がぴょんとひとっ飛び。人二人分の重さと荷物の重量を加算しても、これといって動きに鈍さが出ない犬夜叉の髄力に感心する。さっすが。

 

 

 で、お城の中を歩き回って見たんだけど、お城の中の人間が全員眠ってるみたい。今の今まで存在を忘れてた冥加爺ちゃん曰く、妖術で眠らされてるらしい。

 

 お城一帯の人間を全員眠らせる事が出来るって相当力強いんじゃない?って思った私だけど実際に見てみたらそんなに強そうに見えなかった。四魂の欠片を一つ取り込んでるのに不思議。

 

 とゆうか、昼間に会った信長君が可憐な美少女を守るように背で隠して怪人カエルマンと対峙してた。

 

 信長君が言ってた重要な役目ってお姫様をこのお城から連れ出すことだったんだぁ、と思ってたら冥加爺ちゃんがカエルマンの説明をしてくれた。

 

 

 名前は九十九の蝦蟇、齢を三百を超えてて若い女の魂を熟成させて喰らう妖怪で一筋縄ではいかないらしい。何と無くいやらしさを感じるのは気のせいかな。ちなみに、所詮は蛙で火や熱湯が効くかもしれないとの事。

 

 蛙って火が弱点なんだぁと思いつつ信長君の前に立ち、近くにあった明かりに使われてた蝋燭の火に霊力を織り交ぜて私流スーパー火炎放射を発動。

 

 ボハーっと五秒間スーパー火炎放射を当てたら九十九の蝦蟇が霊体みたいになって身体から飛び出たのを見計らった様に犬夜叉が鉄砕牙で一太刀。

 

 

 たったそれだけで九十九の蝦蟇は消滅して、四魂の欠片は私たちの手に。そして九十九の蝦蟇に取り憑かれてたらしい優しそうなお殿様は、信長君が守ってたお姫様と抱き合って喜びを露わにしてた。そして、信長君はそんな二人……特にお姫様を見て物凄いショックを受けてた。

 

 お姫様の事好きだったんだなぁって思いながら、信長君の肩をポンって叩いたらガックリと崩れ落ちた。

 

 

 それから直ぐに信長君達と別れてまた四魂の欠片探しの旅を再開する。うーん、早く七宝や珊瑚、弥勒に会いたいなぁ。


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