夢うらら   作:さくい

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凍結にしたらネタが浮かぶ不思議。

ということで勝手ながら凍結を解除して投稿させて頂きます。

※タグを一つ追加しました。


第7話

 カッコイイ異空間を抜けると空の上にいました。

 

 

「って、落ちてるー!!うわっはーい!!」

 

「ちょっとかごめ!楽しそうに体揺らさないの!!」

 

「はーい……」

 

 

 うぐっ、結羅に怒られちゃった。うん、まあ……私が普通に悪いから素直にぷらーんってなります。たれパンダならぬたれかごめ的な?

 

 ちなみに、今現在如何なってるかっていうと私が結羅に荷物持つみたいに脇に抱えられてる状態。見た目は華奢な女の子だけど流石は妖怪って感じだよね。素の身体能力や力が高いわ。

 

 

 犬夜叉は偶々近くに飛んでた骨だらけの鳥……私命名、骸骨鳥に飛び乗ってて、由羅は事前に犬夜叉に鋼糸を巻きつけててそれを利用して犬夜叉の乗っている骸骨鳥に飛び乗った。勿論結羅に抱えられてる私もね。

 

 人間3人分の重みのせいで骸骨鳥が物凄いふらふらになりながら必死に空を飛んでる。心なしか、私たちの方へ振り返った時に迷惑そうな顔をしてたような……骸骨なのに不思議。とりあえず、鳥さん頑張って!

 

 

「親父……」

 

「あれが、犬夜叉の父親?」

 

 

 犬夜叉が何処か懐かしそうに、結羅は呆然とした感じで前方にあるでっかい鎧を着たでっかい骨を見る。いやー確かにおっきいなぁ、何食べたらあんなに大きくなるんだろ?ウルトラマンよりでかいんじゃない?

 

 冥加爺ちゃんが薀蓄みたいなのを語ってるのを聞き流しながらでっかい骨を見て思う。たしか鉄砕牙って犬夜叉のお父さんの牙から作ったんだよね?じゃあ、あの骨の牙抜き取って新しい刀とか作れないのかな?

 

 丁度口の中に入るところだし取ってみよっかな…って思ったけど結羅にがっしり腰を掴まれてて動くに動けないんだった。

 

 ……ま、いいか。特に欲しいわけじゃないし。

 

 

 犬夜叉のお父さんのお腹の中へ向かうこと数秒経過、開けた先に鉄砕牙に拒絶された殺生丸がいた。だって、手の平から煙出てるから間違いなく拒絶されてるよね。

 

 

「お前らは此処で待ってろ」

 

「わかった。だけど、危険だと判断したら加勢するわよ」

 

「気をつけてね〜」

 

 

 結羅の言葉に顔が強張って私の言葉にがっくりと肩の力が抜けた犬夜叉は、気を取り直して殺生丸に向かって飛び出してった。私と結羅は骸骨鳥から肋骨っぽい部分に飛び乗って犬夜叉達の様子を見守る。

 

 

 犬夜叉が爪で攻撃しようとしても、殺生丸はその攻撃を全て躱して拳骨で迎撃。

 

 犬夜叉が散魂鉄爪!って叫んで攻撃するも、殺生丸はその攻撃を華麗に避けて拳骨で対処。

 

 犬夜叉が飛刃血爪!って叫んで血の斬撃を飛ばすも、殺生丸は身体をほとんど動かすことなく避け切り拳骨で攻撃。

 

 

 物の見事に犬夜叉の攻撃は無意味になって、頭にはタンコブが幾つか出来ている姿は何かシュール。犬夜叉からシリアスな雰囲気を感じる分それが顕著に感じるっていうね。

 

 ていうか、殺生丸ってガッツリ手加減してるよね?じゃなきゃ、さっさと犬夜叉を黙らせて鉄砕牙を取りに行ってる筈だもん。

 

 

 やっぱり久し振りの弟との再会が嬉しいのかな。弟に如何接していいか分からずに、結局怒らせる事でしか近づくことが出来ない不器用なお兄ちゃん。

 

 そう考えると殺生丸の行動が微笑ましく感じる不思議。

 

 胸の中がちょっとあったかくなるのを感じながら犬夜叉と殺生丸のじゃれ合いを見てると結羅が話し掛けて来た。

 

 

「かごめ?どうしたの?」

 

「ん?んーとねぇ、殺生丸が微笑ましいなぁって」

 

「……かごめ、熱は無い?」

 

 

 そう言って私のおでこを触る結羅の手の平の感触と温もりを感じてほわぁっとなりつつ、ふと邪見が何処にいるか気になった。

 

 

 キョロキョロとあっちこっちを見てみると、私達とは反対側の肋骨の上に邪見発見。炎を吐き出す杖を犬夜叉に向けているのを見て即行動。

 

 野球ボール位の大きさのレクト・ショットを二つ作って放つ。

 

 犬夜叉の動きをじっと見てる邪見は、近付くレクト・ショットに気付くことはなくそのまま頭にクリーンヒット。

 

 ポコって音を立ててぶつかったレクト・ショットは消滅、当たった邪見は目をまん丸にしながら壁に向かって倒れた。

 

 

「やったぁ!クリーンヒット!さっすが私!」

 

「よかったわね、かごめ」

 

「うん!」

 

 

 結羅によしよしって感じで頭を撫でられるのを堪能してると犬夜叉が私達の方に吹っ飛んで来た。切り傷とかは何処にもなく、外傷と言える部分は頭の上に連なってるタンコブの山だけ。何処と無く犬夜叉の目が潤んでるように見えるのは気のせいじゃない筈。

 

 殺生丸のやろー!とか叫んで威嚇しながら飛び出した犬夜叉を見てから、殺生丸を見るとふっていう感じに笑いながら犬夜叉を見てた。

 

 

 おぉっと!これは久し振りの弟とのじゃれ合いに少し満足した感じ?もっと遊んでいいんだよ?私が許すから。寧ろまだスマフォで写真撮ってないからもっとやって!

 

 おお!?犬夜叉がまた飛刃血爪を殺生丸に向けて放ったぁ!弟の思いが血の刃となって殺生丸に降り注ぐ!さあ、殺生丸はこの弟の思いをどう受け止めるのか!?

 

 なな、なんと!?殺生丸は弟の思いを右手の一振りで弾いたぁ!流石弟への接し方がわからない不器用なお兄ちゃん!素直に受け入れるのが恥ずかしかったんだね!それでこそツンデレの貴公子だよ!

 

 

「結羅!下降りて2人のじゃれ合いもっと間近で見よ!」

 

「そ、んな事出来るわけないでしょ!?何考えてんのよ!!死ぬわよ!?このバカごめ!!」

 

「おお、バカとかごめを合わせてバカごめ……凄い!よく考えたね!」

 

「そんなとこに感心しなくていいのよ!!」

 

「んー、でも……ここから移動しないと、犬夜叉の飛刃血爪が飛んでくるよ?」

 

「何を言って……は!?」

 

 

 結羅は私の一言を聞いて驚きつつ迫って来る飛刃血爪を見て見事に対処した。私を抱えながら鋼糸を操ってターザンみたいにひゅるーっと移動。向かいにいる邪見に見事なキックをして肋骨に着地した。

 

 ちっ……もうちょっとギリギリで言えば鋼糸を使う暇なんて出来ないで飛び降りられたかも知れないのに……失敗したなぁ。

 

 ってちょっと後悔してると結羅の蹴りを受けた邪見が復活して、唾を撒き散らしながら私達に迫ってきた。やだ汚い。

 

 

「ぐっ……何するんじゃ小娘共!!ワシを何だと思っておる!!」

 

「んーとねぇ、殺生丸の腰巾着!」

 

「……もう嫌じゃ……この小娘……」

 

 

 む、失礼な。ちゃんと質問に答えたのにその反応は酷いと思うよ?そんな、コイツ話が通じないって言わんばかりの表情してさぁ、失礼しちゃうよ全く。

 

 と、そうだそうだ、こんな事してる場合じゃなかった。殺生丸と犬夜叉のじゃれ合いをスマフォでしっかり撮らないと。

 

 ふふふ、今からこうやって撮影していけばこれから先の旅で写真とかを見ながら『こんな事があったねぇ』って笑い合う事ができる筈。それにそれに、撮った動画を編集して現代で映画として出したら良い線行くと思うんだよね。

 

 一切CGを使わないで風の傷とかの派手な技が画面で踊り狂って……いや、止めとこう。どうやって撮影したのか、どんな場所で撮ったのかとか色々面倒な事が出てきそうな気がしてきた。やっぱり仲間内での思い出話のネタにしよ。

 

 

 にしても、犬夜叉の攻撃が悉く躱されてる事について。幾ら殺生丸が強いとは言え、もう少し頑張ってほしいなぁ……よし、応援しよっと!

 

 よく漫画やアニメで皆の応援に元気を取り戻して主人公が通常時より力を発揮するのと同じように、犬夜叉も応援したら強くなるかも!

 

 

「犬夜叉ー!!お兄ちゃんに勝ったら骨あげるー!!」

 

「俺は犬か!!」

 

 

 あら、骨喜ぶかと思ったんだけどなぁ。でも、犬夜叉って犬の半妖だよね?あれ、狼の半妖だっけ?

 

 

「え、だって犬の半妖でしょ?」

 

「そう言う意味じゃーー!!」

 

「この殺生丸を前に余所見とは余裕だな、半妖風情が」

 

 

 そう言って右手人差し指から発光する黄緑色の光線を出して、鞭のようにしならせて犬夜叉を叩く殺生丸。うんうん、わかるよ。愛する弟との触れ合いを邪魔されて気に食わなかったんだよね。私もお姉ちゃんとのスキンシップを邪魔されたら物凄い腹立つし、今回は私が悪かったよ、うん。

 

 

「そこの人間の娘、次この殺生丸の邪魔をすれば……殺す」

 

「あ、はい……すいませんでした……」

 

 

 あ、あれぇ?殺生丸ってこんな人だっけ?もっと冷たかった覚えがあるんだけどなぁ……。まあ、取り敢えず殺生丸が満足するまで大人しくしてよう……本当に殺されそうだし……てゆうか、私を睨んできた時の目が本気だった……。

 

 

 それから20分間犬夜叉と殺生丸はじゃれ合い、結羅は邪見を鋼糸で縛ってヨーヨーのようにして遊んで、私はそれぞれの様子を動画や写真で撮ってた。その均衡を崩したのは意外や意外、私である。

 

 その理由は犬夜叉と殺生丸のじゃれ合いがヒートアップしていくのに比例して私のテンションも上がり、結羅が邪見で遊ぶのに夢中で私の事を見ていなかったのを見計らって鉄砕牙の台座までコソコソと移動。

 

 台座の上で撮影すること数秒、犬夜叉の攻撃が殺生丸に当たりそうになった時に『おっしゃあ!いけぇ!犬夜叉ー!!』って心の中でエールを送って、近くにあった細長いものを掴んで思いっ切り手を突き出したらカキンっていう小さい音が発生。

 

 ん?って思って手元を見たら、ボロボロな状態の鉄砕牙が私の手の中に……そう、つまり鉄砕牙が台座から抜けちゃったんだよね。

 

 

 あらぁって思いながら周りを見ると全員がぎょっとした感じで私を凝視、そして私苦笑い。からの、犬夜叉に向けて鉄砕牙を投擲。犬夜叉!新しい武器よー!!って言いながら投げたら戸惑いながら受け取ってくれた。

 

 

 ただ、殺生丸が激おこモードに突入。目が血走り口が裂け、妖気が暴れ狂う修羅になっちゃった。そんな状態の殺生丸の視線の先は私……明らかに私を殺しに掛かってるぜ。

 

 やばいなぁって思いながら殺生丸を見てると、どんどん変化して行って最終的には白くておっきなお犬様になって地面が揺れる程の咆哮を上げた。

 

 

 考える間もなく、最早反射的に死んだって思ったけど、気が付いたら犬夜叉が目の前に。助けに来てくれたんだろうけど、なぜかこんな時に素直になれない私ってば天邪鬼。お姉ちゃんには素直だけどね。

 

 

「あれ、犬夜叉?早く避けないと死ぬよ?」

 

「こんな状況で言ってる場合か!……四魂の欠片が集まるまで守ってやる。お前は危なっかしいからな!!……それに、あの干し芋が食えなくなるし……」

 

「そんなヤケクソ気味に言わなくても……っていうか干し芋じゃなくてポテトチップスだし、本音はポテチのためでしょ?」

 

「うるせぇ!干し芋でいいだろうが干し芋で!……はぁ、かごめ、お前は此処で待ってろ。すぐ終わらせてやる」

 

 

 ……なんか、逞しい?守るっていう気持ちの大半がポテチの為っていうのが何か犬夜叉っぽい。にしても、初めて会った時とは変わったよね。あんなに小生意気だったのに、今じゃあこんなに立派になっちゃって……お姉ちゃんは嬉しいよ〜。

 

 お〜いおいおいって感じで感動してたらいきなり鉄砕牙の妖力が活性化しだした。……お?来る?来ちゃう?鉄砕牙変化しちゃう!?

 

 ドキドキワクワクで鉄砕牙を見てると鍔がふわふわな白い毛になって、刃元から先端へと大きく立派な大剣に変化!!その見た目はさる事ながら、刀から発する雰囲気と妖力が桁違いだよ!かっこいいー!!いっけー犬夜叉ー!!お兄ちゃんへの想いをその鉄砕牙でぶつけろー!!

 

 っていう心のエールを犬夜叉に送って見守ると、殺生丸が左前脚を犬夜叉に叩きつけようとした所を横に避けて反撃。

 

 左脚を鉄砕牙で切り裂いて切断!左前脚を斬られた事で殺生丸が切断面から血をドバドバと出しながら少しの間悲鳴を上げて、白い光の塊になって壁を突き破って何処かに飛んで行った。

 

 そして邪見は殺生丸の名前を涙声で呼びながら殺生丸が開けた穴から飛び出して行った。

 

 

 あっという間に静寂が辺りを包んだところで結羅が飛び降りて来て、私に迫って来た。

 

 

「何考えてるのよかごめ!!下に行くなって言ったわよね!?運良くあの変化する刀で殺生丸を退けられたから良いものの、下手したら死んでたのよ!?もしかごめが此処で殺されてたら私はどうすれば良いのよ!?かごめの式神になったばかりなのよ!?まだかごめの髪を満足に梳かしてないし、トリートメントとかし足りないし、まだ私はかごめの隣に居たいの!!……お願いだから、危ないことしないで……」

 

 

 そう言って私を抱き締めて涙をぽろぽろと流す結羅を見て、申し訳ない気持ちがふつふつと湧いてきた。

 

 結羅がずっと私の事を気に掛けてくれてたのは知ってるし、その為に私が見てない場所で密かに妖怪を殺してたのを犬夜叉から聞いた。

 

 私が現代に帰ってる時の結羅の話の殆どが私の事で、その半分が私がこのまま戦国時代に戻ってこないんじゃないかっていう不安の話だっていうのを楓お婆ちゃんから聞いた。

 

 

 その気持ちに応えてるつもりだったけど、こうやって心配掛けてちゃ世話ないよね。

 

 結羅を泣かさないように自分の行動を律しよう。今回は調子に乗り過ぎた。

 

 

「ごめんね、結羅。もう、しないから」

 

「ううん、私こそ怒鳴ってごめん……。でも、そう言ってくれると、安心できるかな……」

 

「うん、ごめんね」

 

 

 謝りながら結羅を抱き締めると結羅もぎゅっと力を強めた。それから少しの間抱きしめあってると、犬夜叉が気まずそうに話し掛けて来た。

 

 

「落ち着いたら帰ろうぜ、殺生丸が飛んでった所に裂け目が出来てんだ。彼処から帰れる筈だぜ」

 

 

 そう言って犬夜叉が指差す場所を見ると、空中の結構高い所にここに来る時に通って来たのと同じ異空間の穴が空いてた。

 

 

「でもさ、あんな空中にあるけど……行けるのかしら……」

 

 

 っていう核心を突くような結羅の言葉に三人でうーんって悩んでると、バッサバッサと羽搏きながら骸骨鳥が私達の前に着地した。

 

 ……あれ、この骸骨鳥って私達を運んでくれた鳥さん?

 

 

「私達を運んでくれるの?」

 

「クエエー!」

 

 

 ……え、どうやって鳴いたの今。声帯ないのに凄いね、流石妖怪って感じかな。

 

 

 と言う事で骸骨鳥さんが送ってくれたお陰で私達は無事に帰還、そして異界への入り口となった黒真珠は再び犬夜叉の目に戻った。ちなみに、骸骨鳥さんは異空間の扉が閉じる前に向こうに戻った。元気でねぇ〜ありがとぉ〜。

 

 

「よし、それじゃあ楓お婆ちゃんの家に帰ろ!」

 

「ええ、そうね」

 

「俺はまだ帰らねぇぜ、この鉄砕牙を扱えるようになるまでちょっくら行ってくるわ」

 

「いってらっしゃーい!」

 

 

 殺生丸とあれだけじゃれあってたのによくそんな元気が残ってるよね。感心しちゃうよ。そんな訳で犬夜叉が離脱して私と結羅の二人で楓お婆ちゃんの家にお喋りしながら向かった。

 

 ……あれ、緊急用の札がなくなってる……まあいっか。


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