原作キャラが勝手に模擬戦するようです   作:チビメガネ

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 今回の戦闘員
 辻 新之助
 有能な人であり、作者的にも「辻ちゃん、ナイス」と書くだけで援護を確定させることができる便利なやつである。その性質からぜひこのSSで解説役を任せたいと思っているのだが、オペ子がいる限りそれは不可能であるため、作者が困っている。小夜子と組んだらおそらく、世界を消滅させることが可能。たぶん10オサム以上の戦闘力がある。
犬飼 澄晴
 有能な人。作者の友達曰く、こいつは姉との主従関係が成立してないだろうから、弟属性ではないらしい。「適当メテオラ。これはうざい」発言からこのSSでは、米屋枠でいずれ解説を任されることが確定した。とはいえ米屋より頭がいいのは紛れもない事実であると思われる。たぶん10オサム以上の戦闘力がある。

小荒井 登 & 奥寺 常幸
 2人でセットだと個人的に思っている。東さんの経歴的にこの2人は数年後A級隊長になる逸材と思われる。作者は奥寺君の方が好きである。たぶん10オサム以上の戦闘力がある。

北添 尋
 ゾエさん。以上でも以下でもない。単体では適当メテオラしか放てないため、修は倒せないかもしれない。しかし、銃手(ガンナー)は狙撃手(スナイパー)と違い隠れることが基本ではないということを考慮すると、レイガストパンチさえ手に入れれば修を倒すものが可能と思われる。

絵馬 ユズル。
 最近の作者のお気に入りであるため、3割増しで活躍が増える。今構想を練っている小型かつ高性能部隊(身長160未満が条件)、新風間隊メンバーの1人である。たぶん今回も活躍する。戦闘力はオサムの単位で測ることが可能である。

 迅 悠一
 公式チートの一角。「俺のサイドエフェクトがそう言ってる」、「予測確定」と言えば勝利フラグを立てることができるチート。戦闘力はオサムで測ると大変なことになるのでタチカワにしたほうがいい。おそらく最後の最後まで作者のお気に入りであると考えられる。正直味方にいるのがおかしいくらいのスペックのチートである。

 東 春秋
 公式チートの一角。「まあ、東さんだし? 」という解説が、この人に関しては一番説得力あるんじゃね? と最近と思い始めている。忍田さんのエネドラ戦で薄々感づいていたとはいえ、読者に上層部は全員変態であると再確認させてくれた真正の変態。でも人格者なのでそのことに触れる人はゾエさんしかいない。当然戦闘力の単位はオサムでは測定不可。

 影浦 雅人
 公式チートの一角。姿だけ見たら悪役そのものであるため、114話最後の「今度こそ遊ぼうぜ!! 」のコマに「葦原先生の次回作にご期待ください!! 」というコメントを付けると打ち切り漫画っぽくなるのは言うまでもない。ワールドトリガーファンとして、減点しているはずなのに修よりポイントが高いことは、見て見ぬ振りをしてあげるのが優しさである。
 前の話(狙撃手回)で、有能すぎてハブられてしまったため今回の主役である。

 二宮 匡隆
 公式チートの一角。かっこいい、つよい、おもしろいを兼ね備えたハイスペック戦士。作者だけでなく皆のアイドルであるため、5割増しで活躍が増える。勝つためなら影にも徹することができる有能さも兼ね備えている。当然のことながらオサムで戦闘力は測定できないので、タチカワに単位を変えるべきであるという案が上がっている。しかし一部では、タチカワではなくツツミのほうが測定しやすいという案も上がっている。ちなみにツツミの方がタチカワより上の単位である。

 書き終わってから気がついたんですけど、ブラトリ使うときってベイルアウトが使えない特別使用トリオン体なだけで、トリオン体には変わらないですよね?
 4巻の争奪戦読めば明らかなんですけど、ちょっと心配。
 そうじゃなきゃ書き直さないとなんで、違ったら報告お願いします。

※注意事項
 解説の人がランク戦第4戦と同じになったのは気のせい
 さすニノを期待していた方はすいません。登場はします
 ベイルアウトができないという説明のみなので、レーダー装備はありと仮定してます



風刃持ち迅 vs ランク戦第四戦メンバーズ

 

 

『皆さん、こんばんは。嵐山隊 綾辻です。今回迅さんによる黒トリガー、風刃講習の一環として、初回の今回はとりあえず、迅さんから適合者全員を集めて性能を見るとこから始めようという提案がありましたので、こうして模擬戦形式とさせて頂きました。私と同じく、解説をして頂くのは、風間隊の隊長 風間隊長と加古隊の隊長 加古隊長です』

『『どうぞ、よろしく』』

 解説席に座っている3人が軽い挨拶を済ませて、改めて画面に目を向ける。

 

 玉狛支部が入隊を許可したブラックトリガーを持った近界民が絡んだ戦闘の結果、本部が手にすることとなったブラックトリガー、風刃。このブラックトリガーの特徴は、その攻撃の特殊性だけでなく、適合者が多いことにある。前(さき)の大規模侵攻では、A級7位隊長の三輪秀次が所持していたが、彼だけでなくボーダーには前任者の迅も含め片手で数える以上の適合者がいる。そのため上層部でも、誰に風刃持たせるかを決めかねていたが、三輪の進言もあり、必要に応じて適合者の誰でも使える状態にするということになった。

 そういう経緯もあり、このブラックトリガーの扱い方を適合者全員が知っている必要が生まれた。そこで扱い方を指導するための教師として、前任者の迅が選ばれ、迅本人もそれを一つ返事で承諾。迅による適合者のための風刃講習が数回に分けて実施されることとなった。

 一つ返事で承諾したとはいえ、相手は迅。何か条件を付けるのであろうと思っていたのだが、当の本人は、「実力派エリートはそんな汚いことしませんって」と笑いながら頭を掻いて、鬼怒田開発室長の質問を躱し言葉を続けていったのだ。

 

「まあ、とりあえず……折角だしB級上位の皆さんにもブラックトリガーと戦うための訓練を付けるのもいいんじゃないかなと。未来の実力派エリートの子たちにもいい機会だと思うんですよ」

 とドヤ顔で語る迅に対して、「とりあえず……とは、何だ。とりあえずとは」と変な仕事を押し付けられる可能性があると悟った鬼怒田さんであったが、鬼怒田さん本人も実際分かっている通りボーダー内が一変するようなことではないということではないと判断され、上層部はこの案を取り入れ、東に相談。そして東によって、二宮隊、影浦隊、東隊の3隊が招集されたわけである。

 

『風刃の基本性能は、斬撃を目の届く範囲どこにでも伝播させて攻撃することができる遠隔斬撃であるということ、最大残弾の判断については二宮隊、影浦隊、東隊の3隊には知られているという状況に設定されています。そして迅さんの転送位置に関してはランダムですが、3隊の転送位置に関しては選択可能というルールになっています』

『迅くんがどこに飛ぶかは分からないけど、最初から良い位置で始められるというのは大きいわね』

 今回の戦闘MAPは、特に特徴のない市街地MAP。放棄地帯であったものの、実際にブラックトリガー争奪戦を行った場所を想像してくれて構わない。

 

 特徴のないMAPでの転送位置は意味あるのかと思う人もいるかもしれない。確かに特徴のあるMAP、例えば高低差が激しいMAPであれば狙撃手(スナイパー)が高いところを押さえれば有利になる。加えて特徴あるMAPであれば、それだけで特徴ある作戦が立てられることになる。転送位置が目指すべき場所、目標への距離ひいてはそこに行くまでの時間を左右し、それによって相手を攪乱するだけでなく、倒すことも十分に考えられる。つまり、特徴のあるMAPの場合、転送位置によって戦闘がどう動いていくかが変わっていくと言っても言い過ぎではない。

 では、特徴のないMAPではどうか。答えは、そのようなMAPでも重要である……いや、もしかしたら特徴のないMAPの方が重要なのかもしれない。何故ならば、特徴のないMAPこそ初期位置である転送位置によって、敵にあったときの味方の配置が重要視されるとかんがえられるからだ。まして今回の敵は、ブラックトリガーでなおかつサイドエフェクト持ちである迅。最初に向かい合うもしくは迅にのみ視認された際に、どのような形でいるかで勝敗が決まると断言しても問題ないだろう。

 

『二宮隊、影浦隊、東隊の3隊の準備が整ったようです』

 その言葉とともに、風刃講習の模擬戦が開始する。

 

 

「さて……と、始めるか」

 MAP北西の端に飛ばされた迅。光の帯を出さずブレードのみを構える。

 ひとまず辺りを見渡し自分の目で見る限りでは敵がいないことを確認した後、レーダーで敵の3隊の位置を把握しようとする。

 

「まあ、そうなるか。二宮さんとできたら東さんの位置を把握したいところだけど……東さんは無理だろうな」

 レーダーを確認しても、確認できるのはこちらに向かってくる1つの丸のみ。つまり、この1人以外は、全員バックワームを着て、迅に居場所を分からないようにいているということになる。

 

 迅のサイドエフェクトは、簡単に言うと未来予知である。相手の未来を視ることができる能力は、当然のことながら戦闘に関しても応用される。本人にどのように視えているかは分からないが、相手の次の行動が予測して自分がそれに応じて動くことができるその能力は、向かい合う相手からしてみれば、常に後出しじゃんけんをされているようなものである。ボーダーにとって、本当に味方でよかったと言える人物かもしれない。

 しかし、そんなサイドエフェクトでも最初に行わなければならないことがある。それは、『相手を視認すること』である。皆さんが想像するかもしれない、占い師の未来予知ではないのだ。そうであるならば、わざわざレーダーで位置を知らせて姿を見せる必要はない。まして迅の手で簡単に落ちる可能性が者なら尚更である。

 つまり、姿を確認することができる1名は、迅の攻撃によってすぐには落ちることはないだろう人物ということになる。今回の戦場の場合、その1人の人物が二宮と影浦のどちらかになる。そして、今回に限って言えばレーダーに表示されている丸が、影浦であることは当然だろう。風刃の特徴は、遠隔斬撃。攻撃手(アタッカー)が寄ってしまえばその威力も多少は削ることができる。もしこれが二宮ならば、射手(シューター)の火力があるとはいえ、二宮がいずれ押し切られることは想像に容易い。

 

『迅隊員、影浦隊長は確認するものの攻めに応じずひとまず南下』

『実際には、ひとまず影浦くんを落とすのが迅くんとしても楽なんでしょうけど、他全員の場所が分からないんじゃ、彼以外のメンバーがどこにいるのかが分からないでしょ。可能性は低いけど、相手が全員集合してどっしり待ち構えているということもあり得るわ』

『とりあえずは動いて相手の位置の予測からということでしょうか? 』

『そうね。位置を絞ってから影浦くんと向かい合おうとするのと、位置が分からないまま影浦くんと向かい合うのは違うわ。1人しかいないんだし視える前に対応できることはしといた方がいいわ』

『なるほど』

 東側から迫ってくる丸から逃げるように、迅はMAPの下方向に下りていく。

 

 迅が今下りている地区は、北方面より住宅の多い地区となっている。当然のことであるが、民家は一列に並んでいるわけではなく、広がって位置している。そのため、家々を繋ぐ細めの路地が多く存在しており、大きな道路からの誘い込みをしやすい地区となっている。

 そのような路地が存在しているということは、挟撃に適しているということになる。作戦を挟撃と決めたとして気にする点があるとするなら、路地を構成している塀への斬撃の伝播であるが、塀を破壊する方法や伝播させる時間を作らせないようにするのは5名の中・遠距離部隊がいれば問題ないとも言えなくない。

 

『足を止め迅隊員は、屋根の上を移動しながら北方面に戻っていく』

『流石に判断が早いわね、迅くん』

『中・遠距離組5人の援護で風刃の能力が封じられたとしても、相手は太刀川に次ぐ男で、しかもブラックトリガー持ち。挟撃を考えたら確実に傷は負わせられるだろうが、倒せるかと考えたら厳しいだろう。迅もそのことは理解している』

『迅隊員もこの作戦については、確認程度で大丈夫という判断でしょうか? 』

『でしょうね。迅くんにとっては削りやすい相手が近くによってくれただけという考えもできるわけだし。だとしても……』

 上から敵がいないかの確認しながら、再び来た道を引き返していく迅。その足取りは今までよりも早くなっており、影浦の方に向かっていくように見える。

 

『本当に露骨というか極端というか……嫌いだわ』

『どういうことですか? 』

 画面の表示から、影浦までの道のりにはアイコンがないことが分かる。つまり迅が影浦と向かい合うまで他の敵と遭遇することはないということである。

 そして、狙撃手の射程圏内で影浦の援護に回る2名の狙撃手。加えて、影浦の後ろで、建物内に隠れている北添の姿が画面に映る。

 迅と影浦の以外の攻撃手は、安全地帯か中・遠距離部隊の近くにいることで迅の視界に入らないようにしている。その映像を見た後、風間は加古の方を向く。

 

『影浦くんだけしか斬り合いとして成立しなそうだから、影浦くんのみでやらせる。影浦くんだけなら、絵馬くんはいつも合わせてるから大丈夫だろうし、東さんも好き勝手撃てる……サイドエフェクトの影響でね。絵馬くんにしてみたら、下手に攻撃手が揃うよりも影浦くんのみの方がやりやすいことって考えでしょ』

『なるほど』

 肘を立て、手の平に顎を置きながら述べる加古の言葉に頷き、綾辻は視線を再び画面に戻していく。画面には、右から曲がってくる迅を待ち構えている影浦の映像が映っている。

 

「あんたとは一度やってみたかったんだ」

「大勢いないってことは想像してたけどね」

 両手の指を曲げた上で、牙のような歯を見せながらこちらに1歩、また1歩と近づいて来る影浦を正面に捉える迅は、小声でそう言った後に、苦笑いを浮かべブレードを構える。

 

「さっさとやろうぜ、ブラックトリガー」

 振り下ろされる鞭を、迅は上に突き上げながら、自身はつま先で道路を蹴り上げる。そうすることで、鞭の直撃を避けて、空中に飛び上がり数歩分後ろに下がっていく。

 

「勘弁してほしいよ……本当に」

 着地した場所で、左足を前にして光の帯を纏わせたブレードを再び構え直す。

 トリオンが漏れるほどではないが、迅の右頬には、かすり傷のようなものができている。

 

『影浦をこう動かした以上、影浦が落ちるまでにどこまでいけるかが鍵だろうな』

 淡々と述べる風間の一言とともに、迅と影浦が向かい合う様子が画面の中央に映る。

 

 

『風刃の一太刀が影浦隊長に襲いかかる』

  左下から右上に振り上げられた剣先が道路に触れる。その剣筋を追いかけるように現れた斬撃は、正面にいる影浦が構えている位置まで伝播し、下から影浦の半身を削り取る刃を出現させる。

 

「ちっ」

 左のスコーピオンで、斬撃を防御しようとするものの、防ぎきれず左目に縦に傷がつく。しかし、影浦はその攻撃で怯むことなく、右のスコーピオンを迅の心臓を狙って伸ばしていく。

 

「おっと」

 その鞭を刃で横に往なす迅。そして、通常の攻撃手の間合いまで踏み込んで左のスコーピオンで首を狙ってくる影浦の攻撃を、自分は相手の右足の方向へ足を滑らせるように出し、後ろに回り込んで避ける。

 

 それを受けて影浦は、嬉しそうに笑いながら背後を振り返らずに、右手だけ後ろに向かって振り、鞭を迅に放っていく。

 自分の横から襲いかかってくる鞭を、再び刃で往なしていく迅であったが、勢いは殺すことができず、足を浮かせながら数歩分後ろに飛ばされていく。そしてその浮いた瞬間を狙う銃口が迅から見て左斜め数百メートル後ろに1つ。

 

「なるほどね……」

 体が浮いた状態でも、迅は頭だけを後ろにずらして、弾道通り首を貫通することを避ける。そして着地して、後ろに一瞬目をやり位置を確認する。建物の間を縫った攻撃であったため姿は確認できないでいる。

 

『さっき加古も言ってたが、影浦自身が狙撃に感づくということを考えれば、影浦の援護射撃で影浦のことを考える必要はない』

『攻撃手の間合いで斬り合ってるなら、影浦くんが勝手に避けてくれるからってことね』

『ああ。迅も影浦の動きと狙撃手の1人の方角から想像できるが、確実性はない』

『姿でも見えれば迅くんとしてはいいんだろうけど、東さんにせよ絵馬くんにせよ射線が厳しいところでも平気で撃ってくると考えると期待できない』

 迅の左肩からは、狙撃の弾が掠ったのかトリオンが漏出している。

 

「ほいっと」

 左から踏み込んでくる影浦の攻撃を、ブレードを横に向けたまま刃で往なしていく。往なされたスコーピオンとそれに接触しているブレードの剣先を見てみると、下の道路の方に向いている。

 

 それを確認した影浦は、目を大きく見開いたと同時に後方に下がっていく。影浦の想像通り、左のスコーピオンの振り上げを追いかけるように出現した斬撃がこちらに向かってくる。

 

「そっちか」

 距離を取ることで、この斬撃を避けた影浦に追撃と言わんばかりに、斬撃を飛ばそうとしていた迅は、影浦の攻撃をやめ、民家の庭に逃げ込んでいく。

 

『二宮隊長の両攻撃(フルアタック)によるハウンドが、迅さんの攻撃を止めに入る』

 影浦の後ろの建物の屋上を通り過ぎ、放物線を描くようにハウンドが迅に向かって飛んでくる。

 

 しかし、迅が事前に民家の庭に逃げ込んだため、そのハウンドは民家の屋根に被弾し、その民家が崩壊するだけで迅は傷を負わずに済んでいる。しかし、そのことは二宮も理解していたのか第二波がその民家周辺に被弾していく。

 

『次は、北添隊員のメテオラが降り注いでいく』

 相手側の追撃に対しても、焦った様子を見せず煙幕の中一本先の通りに出ていこうとする迅。

 

 煙幕で隠れるように、正面から鞭が自分の首を刈り取るようにくるため、それをブレードで避ける準備をする。しかし、これだけではない。

 影浦への行動の予知で、煙幕の中に入らず影浦が攻撃するわけではないことは分かっていた。煙幕の中であっても、攻撃手の間合いで斬り合うのだから影浦であればどの位置にいるかは分かるはず。それに何度も言うように風刃の能力の根幹は、遠隔斬撃。位置が分かるのであれば、近づいた方がいいだろう……実際には、時間差の仕込みが使える風刃相手に煙幕の中突っ込むのは危ないわけだが、それを知らない影浦がその行動をしないというのは違う理由があるからだと考えられる。例えば……

 

『姿が見えないことを突くように、犬飼隊員が左から狙撃』

 左の民家の屋上からの敵への狙撃。

 

 もし、影浦が煙幕の中で戦闘を行っていれば、流石に影浦も被弾しダメージを受けてしまうだろう。しかし、これは大したダメージを受けずに避けられてしまう。

 

『続けて、背後からのイーグレットによる狙撃』

 迅の背後を取るつもりで放たれたイーグレットの弾を、迅は間一髪のところで避け煙の中から出ていく。左を確認すると、犬飼の姿はもう確認できない。

 

 左を向けば影浦、右を向けば辻がいる位置に出ていく迅。その姿を確認して影浦はスコーピオンで、辻は旋空孤月迅を狙う。迅は、影浦の鞭を一瞬視界に捉えた上で、辻の方に斬撃を投げ、影浦の攻撃を無傷で終えるはずだった……辻のことを視認するまでは。

 

「東さんはもっと決定打で使うか、やらせないんじゃなかったの……二宮さんも、てっきりそれを了承して影浦隊だけでさせたんだと思ってた」

 反射神経で動くタイプは、コロコロやることが変わるから嫌なんだよと心の中で毒づきながら、辻の方へ斬撃を投げる。但し体勢は、イーグレットが自分の心臓を射貫かないように。

 

『ここで、東隊長のイーグレット狙撃……しかし、これは躱される』

『……だが』

 辻の緊急脱出(ベイルアウト)を告げる光が上空に上がっていくなか、迅は影浦の攻撃で急所が当たらないようにブレードを動かしていく。

 

『左腕が落ちたな』

 風間が述べたと同時に、左の肘から下が綺麗に落ちトリオンを漏出させる。

 

「……まずは、1人か」

 迅が左腕を落としたことに対して舌打ちをしている影浦を見て、この作戦のことは伝えられてはなかったのだろうと迅は思いながら、影浦の攻撃を捌いていく。

 

 

「よっと」

 影浦が鞭を右へ左へ振り続けるのを、迅も同じく右へ左へ刃を滑らせて往なしていく。分かってはいたものの、次々に出されるその攻撃に東に向かって放つ時間は与えられず、逃がすことになってしまう。

 

 次に右足を踏み込んで、鞭を迅の足元から上に振り上げる。迅はそれを防ぎながら後退していき、今いる路地を抜けていく。そして、それを待っていたかのように路地を出た瞬間を狙って、絵馬が迅の足元に向かって狙撃する。

 

「流石……」

 避けるために少し体勢を崩す迅と、それを見越していたような軌道で鞭を撓(しなら)らせていく影浦。

 

 迅はそれも叩き落とす形で、躱していき後退を続けていく。影浦はそれを追いかけ、右のスコーピオンを刀状にして腹を狙って斬りつける。

 それを受けて迅は、風刃の柄で右手首を抑えて刀の方向を変えた後、首をブレードで取りにかかる。

 

「ちっ」

 影浦は重心を後ろにしてその直撃を避け、頬に掠るだけで済ませ、再び距離を取って向かい合うことにする。

 

『迅隊員、すかさず風刃による追撃』

 後退する影浦を見て、隣の塀にブレードの先を向け、影浦の構え直す位置で斬撃が横に飛び出るように伝播させていく。

 

『影浦くんも流石に対応が早い』

 自分の立っている位置で斬撃が横に飛んでいくことを理解した影浦は、その斬撃を避けた後もう3歩ほど後退し、通常通りスコーピオンを伸ばして攻撃していく。

 

『もう一度斬撃が伝播していく』

 それを往なし、塀を伝って斬撃が放たれ影浦の首を狙ってくる。

 

 それを受けて再び後退してから、影浦は攻撃を繰り出す。しかし、これ以上の斬撃の伝播が嫌だったのだろう。自分の部隊の1人にその処理を任せたようだ。

 

『北添隊員のメテオラが2人の周囲に降り注ぐ』

 北添のメテオラが周辺の塀と家も含めて破壊していく。

 

 それとともに生じた煙を切り裂くようにスコーピオンを伸ばしていき、迅の喉元を狙う。迅もそれを往なして、煙の中から突撃してくる影浦に応じてくる。

 

「おっと」

 スコーピオンが左から襲い掛かってきたので、顔をずらしてこれを躱す。影浦は、間を置かずに右の刀で斬りかかる。

 

 迅は、右からの攻撃を相手の左側に踏み込んで躱し、左に回り込んで足をかけ、体勢を崩してから斬りつけようとする。影浦は、足捌きを避け、両腕のスコーピオンで同時に斬りつける。

 

『両者、再び距離を取った。影浦隊長近づいていく』

『いつもの影浦くんの間合いでやると、風刃の斬撃が飛んでしまうから仕方ないわね』

『なるほど』

 近づいてくる影浦に対して、それを捌きながら機会を窺っている様子の迅。後退しながらも、傷は受けずに左へ回り込んでいく。そして、それに対して影浦は、ブレードの攻撃をスコーピオンで捌きながら、回り込めないように動いていく。

 

『迅隊員は影浦隊長の左に回り込んでいるようですが、これはどういったことでしょうか』

『左を狙っているというのが影浦として分かっている以上、この距離。視界も重要になってくる。死角になる位置は避けたいんだろう』

『なるほど』

 影浦は、左足で踏み込んで一撃を入れる。迅は、こちらに向かってくる刀に対して、下からその刀に触れ振り下ろされる力を利用しながら、手首を支点に自分の刀を円を描くように回していく。

 

 そうやって返した刀は、敵の刀の上へと移動していく。振り下ろした勢いを殺しきれず少し下に引っ張られる敵の刀とは反対に、勢いをつけたその刀は、そのまま最短距離で敵を捉える。

 

「ちっ」

 影浦は左肩に触れかけた刀を、左足を右後ろに滑らせ半身になることで躱していく。続けて横向きにして追ってくる刀に対して、左のスコーピオンを即座に振り下ろし往なしていく。結果として、左肩に傷を負うだけで済む。

 

「舌打ちするわりに笑ってるんだな、おまえ」

「……うっせ」

 自分が笑っているのを指摘されたことに再び舌打ちをした後、左のスコーピオンを斬り上げる。迅は、ブレードを同じように振り上げてその攻撃を往なす。そして互いに数歩下がっていく。

 

 影浦は1歩大きく踏み込んで、横から左へ手を素早く動かしていく。迅は自分のブレードを滑らせて、影浦のスコーピオンの剣先をずらしていく。影浦はそれを受けて、次は逆方向に手を動かしていく。それに応じるように撓る鞭は、新たな踏み込みに合わせてこの動作を繰り返し行う手元の動きを追いかけるように撓っていく。

 その素早い動きのせいで斜め十字が迫っているようにしか見えないその攻撃を、迅も右手を右へ左へ往なしながら、後退していき、違う路地へ入っていく。その路地の中でも、影浦の攻撃は続き、なおかつ塀を壊すためのメテオラは飛んでくる。

 

『北隊員のメテオラがもう一度襲い掛かる。建物も塀も構わず崩壊していく』

 違う通りへ入ってもなお続く猛攻のなか、上空にはすぐにメテオラが何発も飛来してくる。

 

 右隣りと右斜め前の建物が崩れ、前方の塀を残し崩れ落ちるなか、右から首を刈り取ってきたスコーピオンを叩き落とし、ブレードを道路に引きずりながら影浦の方に近づいて左に回り込もうとしていく。

 影浦は突き刺してくる刀を往なしながら、自分は右へ回り込み、それに応じようとする。しかし、迅の攻撃は左腕を狙う風刃を選択するようで、剣先が地面に向いていた。それを化回り込みながら確認した影浦は、強く道路を蹴り下がりその斬撃を防ごうとする。

 

『ここで、二宮隊長のアステロイドが迅隊員の傍の建物を壊していく。影浦隊長は救われた形か』

『さっきのときもそうだけど、絵馬くんが二宮くんに無理なそうなときはお願いしてるんでしょうね』

『なるほど』

 左隣の建物にアステロイドが着弾したことで、崩壊した瓦礫が迅の側に落ちていく。そのことで、迅は一度剣先を道路から離した。当然のことながら、その瓦礫を避け続けるだけだと思われた。

 

『遠隔斬撃を放たれる前にその斬撃を放たれないようにするってのはいい手ね。どんなに強力でも撃てないのなら意味ない』

『ああ。ただ、風刃はそれだけじゃない。特に迅の場合は……』

 影浦が後退してしまった位置は、先程迅が自分のスコーピオンを往なしていた位置より少し前方の位置。そして、今迅が立っている位置の周辺には先程影浦が立っていた場所であり、隣の建物はすでに崩れかけていて、迅の横の視界が広がっているといってもいい場所である。

 

「悪いな、影浦。今回は俺の勝ちだ」

 頭上に落ちていく瓦礫を避けながら、笑いながら迅がそう言う。

 

 その言葉は嘘ではないらしく先程放った一発があるようだ。実際、道路と塀を伝い一筆書きの要領で描かれた四角形状の光の道ができており、その視点であり終点である塀から左腕もろとも首を取るように斬撃が横に伸びていく。

 

『予知による風刃の攻撃がある』

 自分の真横とは違い左斜め前にある建物のせいで、視界が狭く射線が通りにくい位置になっている自分の立ち位置。その射線を利用してくる銃口の光を確認した迅は、そちらにブレードを向ける。

 

『絵馬隊員の足元から風刃の一撃が体を貫通する』

『姿が見えないように撃つという行為を利用されたのね。迅くんの横は、アステロイドで崩れることは分かってたから、そこではなく視界が狭い位置から撃とうとした。そういう判断こそ迅くんからしてみれば、場所を特定する手掛かりになる』

 2人が落ちることを知らせる光が出現するなか、迅は、影浦の数十メートル後ろに目を向けていた。

 

『……加えて影浦と迅の速度に追いつくように、間隔を空けずに北添がメテオラを放っていた。この一連の動きが迅の予測通りであるとしたなら、放物線の軌道を常に確認しているはず。そこから、その放物線がどこから放たれているかぐらいは、予測できる』

「影浦隊は、あとゾエだけか……」

 北添の知らない間に、北添が落ちることが確定する。

 

 

「後5人か……東さんも二宮さんも場所分からないけど、このままなら大丈夫だろ」

 北添を落とした建物から出た迅は、独り言を呟く。そして、場所の当てはないものの歩き始める。

 

 ちなみに北添はというと……レーダーで迅が自分を狙っていることを知ると、通信で二宮に「ニノさん、ヘルプ。ゾエさん危ない」と涙目で懇願したものの、当の二宮に「お前と俺の距離を考えると、ここで俺が援護したら位置が把握されて俺が狙われる。向かい合うなら万全な状態の方がいい」と冷静に言われ通信を切られ、1人で逃げることも確定した。そこでとりあえず、今いる建物を出て、逃げようと思い、階段を降りた。屋上への扉を開けて、最上階へ、階段まで走って下の階へ。その階でまた次の階段まで走って下の階へ。そしてもう一度繰り返したとき、北添は思った。「あれ? ゾエさん、建物の選択ミスった? 」……と。しかし今後悔しても仕方がない。そんなことを思いながらも、下の階へ降りていく。そして、3階に辿り着いた北添は再び思った。「あれ? 最初から飛び降りれば良かったんじゃない? 」……と。これは今からでも遅くない。そう思って、窓まで近づいていく。後は窓を割って飛び降りるだけ。深呼吸をして準備する。そして……

 

「お前は、飛び降りる前に俺にやられる。サイドエフェクトを使わなくても分かる」

 後ろを振り向くと、今敵として模擬戦をしている迅の姿があった。

 

 だからゾエは思ったんだ。

 あぁ、これ無理なやつだ

 ……と。

 だから最後言ってみたかったことを言ったんだ。

 

「迅さんはここで逃がしてくれる。俺のサイドエフェクトがそう言ってる」

「お前のは違う」

「……ですよねー」

 迅から振り下ろされたブレードが北添のもとに届く。

 

 そのような感じで北添が落ちていた一方残り5人はというと、迅が建物を出て、少し行ったところで迅と鉢合わせるように陣形を整えていた。

 奥寺と小荒井は、いくら組んで格上を食える2人だとしても、相手はブラックトリガーであり迅。風間が述べていたようにいつまでもつかは分からない。そうなると影浦の時のように二宮自身も隠れたとして、自分の弾が届くまでの時間差を耐えられるとは限らない。いや耐えられない可能性の方が大きいだろう。そうなると二宮が見える位置にいた方がいい。従って、迅が路地を曲がっていった先には、必ず二宮がいることになる。

 

「隠れて俺のことを倒すんじゃなかったんですか? 」

 迅の正面には、奥寺と小荒井がそしてその後ろに二宮。奥寺の傍にある民家の屋根に犬飼。迅を射程圏内に捉える形で東がいる。

 

 二宮は迅のことを睨みながら、その言葉をあしらっていく。

「お前が一番良く分かっているだろう、迅」

 くだらない態度を取るなと言葉を続ける勢いで、二宮は鼻で笑う。

 

 二宮は勝つつもりで作戦を立てている。ただ実際には、今回の模擬戦は師匠である東に頼まれてやっていることである。その理由と今回の作戦の目的は、折角迅から話をしてくれたから、うちの奥寺と小荒井にも迅と戦わせてほしいというものである。自分のときも苦労をかけた人である。その恩をこうした形で返せるなら喜んで参加している。そして言われなくても、この2人のような人も自分で動かす練習をしろという試練を東から与えられることは理解していた。その東の心遣いに心の奥で、さらに喜びに満ち溢れていたのだが、あくまで心の奥。

 

「……これが、一番勝率が高いと踏んだだけだ」

 向かい合う迅にはそのことを見せずに、無表情でポケットから手を出してキューブを生成する。

 

「一番苦労するやつを選ばないで欲しかったよ。辻倒して正解だったよ」

 小声で呟いていると、グラスホッパー組2名が自分の周りを回っていく。

 

『……どういうことでしょうか? 』

 綾辻は、辻が倒したことが大きいのだろうと述べたことへの補足を風間に促す。

 

『二宮は、迅を倒すことも狙ってはいるのとは別に、銃手である犬飼と射手である二宮自身の弾数で迅の体に当てて、トリオンを漏出させることでのトリオン切れも並行して行っている。迅自体を倒すつもりではなく、あくまで2人を倒さないための援護。辻もいて二宮隊が揃ってなおかつ東隊全員が揃っていたとしたら、厳しい局面が大きかったのが迅には視えたんだろう』

『あそこでは、東さんの力も大きかったわ。あの場で左手を落としたのは東さんが狙撃したから左手を落とすことができたし影浦くんをあの場で落とさずに済んだ。結果としてトリオンを漏出させながら影浦くんとある程度の時間戦わせることができた』

 解説席でそう述べている一方、迅の周りでは小荒井が後ろに飛んでいき、奥寺は横に飛んでいく。

 

「よっと」

 迅は、奥寺の孤月を斜め前に踏み込むことで避けていく。

 

 その動きを見て、二宮は、弾速の調整を速めに設定したアステロイドをその方向に投げていく。横一直線に浮遊しているアステロイドは、そのまま迅に向かって直進していく。

 迅は右肩にアステロイドを掠めながらも、民家の庭に逃げ込んでいく。犬飼は上から迅を撃ち続ける。先程の煙幕の中とは違い、銃撃は1も掠らずに避けていく。そして、犬飼ではなく、後ろから回り込んで斬り下ろしてくる小荒井を上空で仕留めるための斬撃を地面から飛ばそうとする。

 

「……うわ、東さんだけ俺を仕留める気満々」

 小荒井が孤月を振り下ろさず、一歩下がる映像が見えたことから狙撃と判断した迅は、体勢をずらしてその弾を避ける。

 

『ここで二宮隊長の両攻撃のハウンドが再び迅隊員の頭上に降り注ぐ』

 民家諸とも自分の頭上に降り注いでくるハウンドから逃げるように、迅は入った位置とは反対の位置から民家から出ていく。

 

 グラスホッパーで先に回り込んでいた奥寺は、迅が民家を出た瞬間を狙って斬りつける。当然のことながら、これは後退することで避けられる。しかし、この後退に対して犬飼が迅を狙う。

 

「あっぶな」

 後ろからもう一度イーグレットが放たれたので、それも気を付けるように後退していく迅は、犬飼の銃撃の一部を左肩と足に数発被弾していまい、追加でトリオンが漏れていく。

 

 その銃撃が終わると、次は足が止まっている迅に向かってアステロイドが左から放たれる。迅は塀や民家を利用してそのアステロイドを防いでいく。逃げた先には、小荒井と奥寺が待っており、互いに迅の横に回り込む。

 まず小荒井が首元を狙って、一突きする。迅は半身になってそれを躱していく。次に奥寺が半身になったところを左から斬りつける。迅は、それをブレードで叩き落とし体勢を崩していく。

 

「やっぱ無理か……」

 犬飼が、2人の攻撃が止まった瞬間に上から攻撃。奥寺に対しての風刃の使用を頭で考えていた迅は、これを避けなければならず風刃使用を断念することになる。

 

 避けたところを、急加速で追ってくる小荒井の攻撃を軽く躱した迅。体勢を持ち直した奥寺の攻撃も往なし、次に来るハウンドに備える。

 小荒井が左に回り込んで斬りつける。迅がそれを避けて小荒井に追撃をしようとすると、小荒井が後ろに急加速。

 

「ハウンド」

 その瞬間を狙ってくる二宮。迅はそれを避けるために逃げていく。途中で奥寺が退路を塞ぐように攻撃をしてきたが簡単に往なしていき、逃げていく。

 

 逃げていく先には犬飼がいることは理解している。そこでの全体での動きも理解している。東隊2名が迅の周囲を今まで以上に回っていくのだ。この動きに合わせた東の狙撃は、何を選択するかは想像できる。

 

『東隊長による狙撃が迅隊員に襲い掛かる。ライトニングで間隔を空けずに迅隊員を狙う』

 ハウンドが塀に当たっていき消えていく一方、小荒井と奥寺はここぞとばかりに追撃を開始していく。迅は縦横無尽に飛んでいく2人の攻撃を躱しながらも、東の狙撃に当たらないよう細心の注意を払っていく。

 

 奥寺が背後に回り込み、斬りかかる。迅は頭を下げて躱す。迅の正面に回っていった小荒井がその瞬間を狙って孤月を振り下ろす。

 迅は、その攻撃を自分は刀を振り上げて、その攻撃を防御しながら後退していく。後退した先には、犬飼の姿がある。迅はそれを横目で確認して、素早くそちらに風刃の切っ先を向けていく。

 

『風刃の一撃が犬飼隊員に当たる。迅隊員を狙った弾は、惜しくも迅隊員には届かず』

 2人の攻撃を往なしながらの斬撃は、見事命中し犬飼を落としていく。ただまだ相手の攻撃が止むことはない。

 

 迅は東の狙撃と2人の攻撃は無傷で往なしていく。正面、背後、横、斜めに飛んでいく2人の場所をグラスホッパーの特性と自身のサイドエフェクトで、東の狙撃は自身のサイドエフェクトのみで予測しながら敵の動きに対応していく。

 小荒井が迅の正面に、奥寺が背後に移動していく。迅はその瞬間を見逃さず前に一撃、後ろに一撃、斬撃を素早く投げていく。

 

『二宮隊長が迅隊員の頭上付近のアステロイドを放つ』

 自分に降り注ぐアステロイドは、辺り周辺に着弾していく。

 

 落ちる直前のことで、2人への着弾は問題なく、それが早まったところで気にしないということだろう。実際、火力は2人のことは気にしていないようで十分な火力で2人にも襲い掛かかる。当然迅はそのことは予期していたので、走って逃げていきその場所を抜けていく。

 

 迅は自身のサイドエフェクトと頭を最大限に利用して、二宮のアステロイドまでの一連の動作を無傷で凌いだ。しかし、その攻撃の手数とトリオン漏れもないように傷を受けないことに全神経を注いでいたので忘れていたのだ。

 

 東が仕留める気満々であることを。

 

『迅隊員の首を狙って東隊長が狙撃を繰り出す』

 東がアイビスで迅を狙う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、危なかったですよ。もう一秒反応遅れてたら、やられてましたね」

「……黙れ」

 模擬戦が終わった後、ニコニコしながら二宮をからかう迅であった。

 

 

 

 







最後があっさりしすぎましたね……これ以上伸ばすとエタる気がして、申し訳ないです。
後疲れたのもあります。書いては消して、書いては消してを繰り返した戦闘は久しぶりで。

体力が持たない(笑)


さて、次回はくま vs 緑川ですよ、みなさん。
わりと書くの楽しみです。

後友達情報なんですが、ファンブックというより情報本なるものが発売されるらしいですね。

妄想がより捗りますね!!

それでは
アドバイス、感想、こんなの見たいってのがあれば気軽に言ってください。

ではでは

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