暗殺教室 グリザイアの戦士達   作:戦鬼

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毎回毎回、感想の返信も投稿も遅くなり、すいません
では今回もどうぞ


激励の時間

side雄二

 

「これ以上目立つのは本当に止めて!上から文句を聞くのも嫌なの‼︎」

 

「ガンバ」

 

「…………」

 

「意味がわからなかったか?頑張れという意味で…」

 

「わかるわよ‼︎」

 

俺は登校する前にJBから呼び出しをくらいバイト先のとある部屋にいた。学園には既に連絡している。

 

「とにかく、当たり障りのないように、目立たないように!」

 

「今回の全校集会については仕方ないだろ?理事長の意思1つでターゲットの居場所を無くすんだ」

 

「そうだけど、もう少し目立たない紹介だってあったでしょう‼︎」

 

「舐められたままなのはいやなんでな」

 

「そのくらい我慢しなさいよ‼︎」

 

……メンドクセェ

 

「メンドクセェ」

 

「声に出てるわよ‼︎」

 

む、いかんな。あまりにメンドクセェから声にでてしまった。

 

「はぁ、今日はもういいわ。本当に、くれぐれも、頼んだわよ」

 

「わかってるさ。心配してくれることは本当に感謝してる」

 

ふん。と顔を赤くしたJBを横目に時計を見て、早く行こうと歩を進めた。

 

 

sideフリー

 

長い坂道を上り、なんらかんらとあっても遅れたことのない雄二が初の初日に言ったバイト関係の遅刻である。

 

「何とか1限目の途中には間に合うな」

 

そうしてE組校庭についたとき、教室の窓の外付近に殺せんせーが自前の椅子に横になってジュースを飲みながら本を読んでいた。

 

……残像を入れて2体

 

「おや、風見くん。遅れてもちゃんと来てくれて先生嬉しいです」

 

「あ、あぁ。おはよう殺せん……」

 

もう1限目は終わったのかとか、なんでここで残像を出しながら横になってるのとか、いろいろ聞きたい事があったが教室を見て流石に雄二も絶句した。教室にクラスメイトの数✖️殺せんせーがいたのだ。

 

「速いのはもう知っていたが、ここまで残像を作れるのは正直驚いた」

 

「ヌルフフ。そうでしょうそうでしょう」

 

自慢しながら顔が舐めた時の顔になる。殺せるといいねと言われているようで少し雄二も腹が立っていた。と、見ると教室 の中の殺せんせーも緑と黄色のシマシマ顔になっていた。クラスメイトも雄二が来た事に気付いた。

 

(ふむ、意外に繊細な分身なのか)

 

それを見て雄二は何か暗殺の役に立つかもしれないと思ったが考えるのは後にすると決め教室へ向かおうとすとよこになっていた殺せんせーの残像のうちの1体が起き上がる。

 

「では私も行きましょう。君を待つ間暇なので休んでいたんです」

 

「………余計に疲れないか?増えてるんじゃなくて動いてるんだろ?」

 

とうとう雄二はツッコミを入れた。そして、速くて頭もいいが変なところで間抜けなのだと理解もした。

 

 

「で、なんだそのハチマキ」

 

殺せんせー分身が1人ずつマンツーマンで苦手科目を教えるためわかりやすく頭にはその苦手科目の書かれたハチマキがまかれているのだが例外が2人いる1人は寺坂。彼のは世界的に有名な忍者漫画の主人公がしている木の葉マークの額当てだ。殺せんせーいわく苦手科目の多い寺坂の特別コース。そしてもう1人は雄二である。そのマークは先ほどのマークに横一文字の傷がついたマーク。主人公のライバルであり親友のものだ。と、つい最近雄二はクラスメイトの不破から「ジャンプを知らないなんて⁉︎」と大変驚かれその日に説明を受けいくつものジャンプ漫画を読み漁ったことで知識ができていた。

 

「風見くんは苦手科目も特にはないですが得意科目も特にないので特別コースその2です」

 

「なるほど」

 

そうして納得して勉強に集中する。実際雄二はここに来るまで勉強のブランクがかなりあり、なおかつこの学園のレベルの高さに少々驚かされてもいた。

 

「全校生徒の前で大見栄を張ったのですから、50番以内は確実に入らないといけませんねぇ」

 

「言われるまでもない」

 

そこから先は殺せんせーの指導のもとテスト対策をしていった。

 

 

昼休み

 

「あ、あのさ雄二くん」

 

「桃花か。どうした?俺とメシを食いたいのか?」

 

「あーうん。それもあるけど……これ」

 

と、後ろに隠していた物を前に出す。それは弁当箱であった。

 

「ちょっと作りすぎちゃって、雄二くんいつもおんなじものだし味を変える意味でも持ってきたんだけど」

 

クラスメイト全員(雄二以外)はそれだけではないのはすぐ分かった。特に莉桜の場合はしまったというわかりやすい顔をしている

 

「…頼んでないんだが」

 

「め、迷惑だった?」

 

「いや、それは助かる。午後にもテスト勉強があるからな。力をつけるためにもしっかり食事をしておいたに越したことはない」

 

((((やっぱり気付いてないんだな))))

 

クラスの心の声が一致した瞬間であった。

 

ちなみに、弁当の中身は以前雄二が肉が苦手というのを聞いていたからか、豆腐バーグや野菜炒めなどヘルシーなものであった

 

 

 

午後 の授業がすべて終わり、教員室にたちよるとちょうど学園の理事長が渚に何か言っているのが見えた。 何を言っているのかは雄二は大方予想がついた。

 

「あぁ、君も途中参加で大変だろうから、気を楽にしてね」

 

「ありがとうございます理事長先生。ですが、そう楽してる時間は長くないと思います。……あんたも、オレも」

 

「………そうかい。ともかく頑張りなさい」

 

そう言って何処か懐かしいものを見る目を宿してスタスタと去っていく。それを見送り雄二は呆然とする渚を見る。

 

(微塵も応援してない乾いた「頑張りなさい」という言葉は、このE組には効くだろう。冷徹な合理主義、言うだけはある。さてどうなるかな。そして、どうするつもりだ、殺せんせー)

 

 

 

翌日、テスト対策勉強の時間。先生の残像分身はさらに増えた1人につき3~5体。しかし流石に残像はかなり雑になっている。

 

「先生、雑な残像になってもちゃんと教えてるのは凄いが、疲れないのか」

 

「心配ご無用です風見くん!この程度で疲れてもハンデにもになりません」

 

「というより、本当どうしたの殺せんせー?なんか気合いが入りすぎじゃない?」

 

「んん?そんなことないですよ」

 

(どう考えても昨日理事長の件だな)

 

 

授業が終わると殺せんせーはやはり疲れて椅子に座りゼーゼー息を切らしてうちわを仰いでいた。

 

「まるで熱どりのために干された茹で上がりのタコのようだ」

 

「本当、雄二の発想ってすごいよね」

 

「相当疲れてるし、今ならやれるかな?」

 

「うちわを仰ぐだけの余裕があるくらいだ。無理だろう」

 

莉桜も分かっていたのか、だよねーと呟いた。

 

「しかし、なんでここまで一所懸命に先生をすんのかねぇ〜」

 

岡島の言葉に殺せんせーはその質問を待っていたと言わんばかりに「ヌルフフフ」笑い出す。

 

「全ては君達の成績を上げるためですそうすれば、君達はもう私の授業なしではいられなくなって殺せなくなり、噂を聞きつけた巨乳の女子大生が私の授業を受けたいと言ってくる。まさに一石二鳥先生にはいいことずくめです」

 

「なぁ、渚。いい加減俺もツッコミを入れたいんだが」

 

「……気持ちはわかるよ」

 

自身が国家機密だとわかっているのかこいつ。皆の共通の意見であった。

 

「つか、勉強の方はそれなりでいいよな」

 

「うん、なんたって暗殺すれば賞金100億だし」

 

「………」

 

三村につづいて桃花がそう言う。雄二はただそれを黙って、何かを思い返すかのように目をつむり聞いていた。

 

「俺たち、エンドのE組だぜ」

 

「テストなんかより、よほど身近なチャンスなんだよ」

 

「ーーーそれで、いいのか?」

 

口を出すつもりはこの時の雄二にはなかった。なかったはずなのに、それでも声を出さずにはいられなかったのは心境の変化なのか、ただ単に我慢ができなかったのか

 

「雄二?」

 

いつもと違う。怒っているわけではないのはわかる。だが、彼の瞳の奥にあるナニカに渚は気付いた。

 

「俺は、お前達がそんな言葉を言うとは思わなかった。心の底から俺はお前達を尊敬してたんだがな」

 

失望…ではない。その顔はまるで自らの無力さを憂うかのようであった。

 

皆、なぜ雄二がこのような顔をするのかわからない。このクラスで様々なことに万能な雄二が自分達を尊敬するのかも。

 

「風見くんが落ち込む必要はありません。今の彼らはまだわかっていないだけです。自分たちが暗殺者の資格がないのに気付いていないだけ。知らないなら、それをキチンと伝えられる人が伝えるだけです」

 

顔にバツマークをだしてそう言う殺せんせーは烏間先生とビッチ先生も含め全員校庭に出るように指示する。

 

校庭に出ると殺せんせーはサッカーゴールなどの用具をどかしている

 

「さて、イリーナ先生。プロの殺し屋として伺いますが、あなたが仕事をする時用意するプランは1つだけですか?」

 

いきなり何を言い出すのだと思うが彼女は答える。

 

「いいえ、本命のプランが思った通り行く事なんてほとんどないわ。不測の事態に備えて、予備のプランを綿密に作っておくのが暗殺の基本よ。ま、あんたの場合は規格外過ぎて全部狂ったけど」

 

「では次に烏間先生。ナイフ術を生徒に教える時、重要なのは第1撃だけですか?」

 

「第1撃はもちろん最重要だが、次の動きも大切だ。相手が強敵ならほぼ確実に1撃目をかわされる。その後の第2、第3撃をいかに高精度で繰り出すかが勝敗を分ける」

 

烏間は気付かれないように話しながらチラリと雄二を一瞬見てそう言う。

 

「このように自信が持てる次の手があるから自信がある暗殺者になれる。対して、君達はどうでしょう。『俺達には暗殺があるからそれでいいや』と勉強の目標を下げていませんか?でもそれは、劣等感の原因から目を背けているだけです」

 

言いながら殺せんせーは回転を始める。くるくる、くるくる、くるくる、回転スピードは少しずつ上がり、風が起き出す。

 

「もし、先生がこの教室から逃げ出したら?もし、他の殺し屋が先に先生を殺したら?君達に残るのはE組の劣等感しか残らない」

 

回転はすでに小さな風から旋風にと変化する。

 

「そんな危うい君達に、先生からの警告(アドバイス)です」

 

ついに巨大竜巻とかす

 

「第2の刃を持たざるものは、暗殺者を名乗る資格なし‼︎」

 

そうして、回転が止まると校庭は雑草や凸凹だらけの校庭はまっさらに綺麗に手入れされていた。

 

「先生は地球を消せる超生物、この一帯を平らにするなどたやすいことです」

 

皆ゴクリと生唾を飲み込む。雄二ですら、ただ黙っていることしかできない。

 

「もし、君達が自信を持てる第2の刃を示せなければ、相手に値する暗殺者はこの教室にはいないと見なし校舎ごと平らにして先生は去ります」

 

「そ、それっていつまでに?」

 

おそるおそる渚が問う。

 

「決まっています。明日の中間テスト、クラス全員50位以内を取りなさい」

 

皆、「そんな無茶な!」というかのような顔をする

 

「心配はいりません。君たちの第二の刃は既に先生が育てています。本校舎の教師に劣るほど、先生はトロい教え方をしていません。自信を持ってその刃を振ってきなさい。仕事(ミッション)を成功させ、恥じることのない笑顔で胸を張りなさい…自分たちが暗殺者であり、E組であることに‼︎」

 

ピッと触手を向けてハッキリと殺せんせーは言う。それは、理事長とは全く違う本当の応援…否、激励であった。

 

雄二はまるで雷に撃たれたかのような気持ちと、尊敬の念を先生に向け、そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰も見ていないところで、涙を流した。

 

その涙の意味と彼がE組に対して言ったことの意味がわかるのはもっと先になる………

 




前書きにも言いましたが、遅くなりすいません。
感想の返信は遅くなっても基本します

引き続き、意見等があればお願いします。

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