ある程度の道筋は考えてるのですが組み立てが難しいです。
学生の思い出に出るであろう修学旅行、体育祭に次ぐもの学園祭。当然だが椚ヶ丘にもそれはある。だが、強者弱者を区分し、優劣を決めている学校が普通に学園祭が進むはずもない。
そして、雄二はある疑問を聞く
「どうでもいいが、文化祭と学園祭って何が違うんだ?」
「そこ⁉︎最初のモノローグとなんにも関係なくない⁉︎」
椚ヶ丘の学園祭が他とどう違うのかと聞かれると考えていた渚はおもいっきりツッコミを入れていた
「真面目にしよう。実際のところ椚ヶ丘の学園祭ってのはどういうものなんだ?やたら生徒が気合いが入ってるのは見ればわかるが」
「たしかに。そんなにすごいの?」
一緒に登校していた茅野も気になっていたのか尋ねる
「うちの学園祭はガチの商売合戦で有名なんだ」
収益そのものは寄付をされるが、その収益順にテストの時と同じく校内にデカデカと張り出される。
「競争心を掻き立てるのはやっぱりって感じだな」
「しかも、トップを取ったクラスは商業的な実績として、就活でもアピールできるんだ」
故に、必死に商売をする。プロ顔負けの店も少なくないとのことだ
「とはいえ、やっぱりE組は山の上で店をださなきゃなんねーんだな」
わかりきったことだが不利だ。わざわざ山の上に登ってまで行って、且つ金を払いたくなる店など、どう作ればいいかなどわからず途方に暮れるのが普通だ。
が、それはいままでの話。今のE組は普通とは言いづらい
「本校舎のやつら、また俺らが何かするかと思ってるな……まぁ、するんだがな」
雄二の言葉に2人は頷いた
「とりあえず、まずは情報だ。A組がなにをするかもだが、これまでの順位、あまり期待できないが過去のE組がなにをしてきたか調べてみよう。律、頼めるか?」
「風見さんならそう言うと思い、事前に調べておきました!」
「……頼もしいな」
最近の律の進化が加速してるような気を感じながらスマホに映る情報を見ていた
「やはり、上位は高校A組と中学A組がほぼ独占。E組はそもそもやる気が感じられないものばかりで………!」
「どうしたの雄二?」
雄二の表情が一瞬変わったのを見た渚はそのわけを問う
「いや、1度だけE組が上位5組中5位になってるのを見つけてな。それの情報をみよう思ったが…ないな」
「意図的に消された形跡がありました」
「たぶん理事長だろうね」
底辺のE組が上位に食い込んだ理由を調べて、後々のE組が真似をしないためと椚ヶ丘の校風を乱さない為だろう
「……役に立つ情報はなさそうだ。教室で改めて考えよう」
教室に着くとやはり皆、学園祭について話し合っていた。
「なぁ、殺せんせー。本校舎のやつら盛り上がってんだ。勝てなくてもE組は何かやるんじゃないかって」
「ふむ、君達はどうですか?この勝負、勝ち行くか行かないか?」
殺せんせーの問いに皆「勝つ!」と声を揃えて告げる
「なら決まりですね。今までもA組をライバルに勝負してきたことで、君達はより成長してきた。この戦いは暗殺と勉学以外のひとつ集大成となるでしょう」
これまでやってきた事をつぎ込む。そこに勝機があると殺せんせーは言う
「でもよぉ、勝つのは正直言って難しいぜ」
吉田の言う通り、難しい。使える予算も限られている。店系は300円イベント系は600円までと単価が決まっている。1kmの山道というハンデも大きい
「それに、A組……浅野の方は大手の食品及びファーストフード店を経営してる会社と、スポンサー契約をしたらしい」
「つまり、食品関係はタダで手に入るってことか?」
「そう。さらに、浅野の知り合いには芸能人やアイドルなんかもいて、客の方も顔の広さで呼べる。おまけに浅野以外の五英傑もそれなりに顔が広い」
集客率は確定している。死角はまったくない
「浅野君は正しい。必要なのはお得感です。安い予算でも、それ以上の価値を生み出せばいい」
と殺せんせーは言いつつ、どこからかどんぐりを出す
「E組における価値とは、例えばこれ。裏山にいくらでも落ちているどんぐり、今回は実が大きくアクの少ないマテバシイが最適ですね」
殺せんせーの指示の元、皆で山中から集めてきた。虫食いなどを取り除く、殻と渋皮を除いて、砕き、布袋に入れて1週間川の水に浸けておく
「これ、もしかして粉を作るのか?」
「お、気付きましたか風見君」
「昔読んだ本の中にあったからな。とはいえ、使えないとか思ってた」
元々は戦地においての食糧の調達に使えないかという考えから見ていたから、時間がかかるこれは使えないと雄二は今まで考えていた。
「覚えておいて、無駄な事はないですよ」
「だな」
1週間後、3日かけて天日干し、石臼で細かく砕いて粉にする
「この10日で、どんぐり粉でできるメニューを色々調べてきたが……どれも300円ではどうにもならない。なにを作る?」
さすがの雄二もこればかりはどうにもできない。
「客を呼べる粉物の食べ物といえば、ずばりラーメン‼︎」
それにいち早く反応したのは家がラーメン屋でいずれ自身の店を出そうと考えている村松だった。粉を指につけ、ペロっと舐め、舌の上で塊になって転がす
「なぁ、風見。おまえ調べる時にラーメンって考えたか?」
「粉物と言えば麺類だからな当然考えたが、調べてみてもそんなものは無かった。大抵がお菓子だがクッキーで正直パッとしないし、ほかに関してもダメだ。というか、どんぐり粉は片栗粉の代わりとして使うってのが多かった」
「だろうな。味も香りも確かに面白ぇけど、粘りが足りねー。滑らかな食感を出すなら、つなぎに大量の卵がいる。材料費がかかって肝心のスープに力が入らないぜ」
ラーメンは麺は大切だが味に決め手をかけるのはスープ。それがショボいなら意味がない
「ご安心ください。つなぎの事も考えています」
殺せんせーは少し移動して木に巻きつくツルを見つけた
「!これってまさか」
「ニュルフフフフそうですよ風見君。さすが山育ち」
殺せんせーはスコップで慎重に根本を掘りそのツルの根っこを掘り出した
「うおおおおおっ‼︎とろろ芋だ‼︎」
正式名称、自然薯。天然のものは数千円はする高級な食材だ。だが、この山にはどこにでも生えている。早速標的を捕えるごとき観察眼で探してきた
早速つなぎとして使ってみると香りも粘りも一段と良くなった
「俺、中学出たら自然薯掘りになろうかな〜」
「磯貝の将来設計がおかしな方に行こうとしてる⁉︎」
「販売の基盤と値段、それと客層、調べる事は多いな」
「でおまえはノリノリで進めてるんじゃねー‼︎」
片岡からハリセンで叩かれ、杉野からツッコミを受けつつも割と本気で考えていた雄二だった
麺の材料費はタダ。残りをスープにつぎ込める。そこで村松はラーメンからつけ麺にするように提言した。
「この食材には野生的香りがある。なら濃いつけ汁にしてスープ少なめのつけ麺の方が相性もいいし利益率も高くなる」
「殺せんせーから経営の勉強を受けてきた甲斐があったな」
「おう。今回はその成果を存分に活かしてやるぜ」
少しずつ完成形が見えてきた。だがラーメンだけでメニューは心許ない
「大丈夫ですそれも今皆さんが探してます」
殺せんせーが言っているとプールに行っていた寺坂と孝太郎、陽菜乃が戻ってきた。ザルには川魚と手が異様に長いエビが乗っている
「プールにわんさか住みついてたわ」
「ヤマメにイワナ、オイカワそれとテナガエビ。川魚はシンプルに塩焼き、燻製にするの良いかも。テナガエビは泥を吐かせて素揚げがおいしいよ」
「サイドメニューには控えめにとっても充分な量だ。元がタダだから激安でも元は取れる」
時期を越したプールは今水位を変えて魚を呼び込めるようにし、他の生物が住めるような高環境を作り出した
「おーい殺せんせー。言われた通り、適当に木の実とか取ってきたけど」
「私たちが知ってるクルミと柿それと栗。デザートにはもってこいのものだけ……こっちはちょっとわかんない。食べれんの?」
木村と桃花が山の中でいくつか木の実をとってきた知らないようなものが多い。桃花が見せた紫色のブドウのようなものだ
「これはヤマブドウだ。で、こっちがヤマゴボウ」
「雄二君知ってるの?というか、これ違う種類なんだ」
「ヤマブドウは甘いが酸味が強い。だから砂糖で微調整が必要だ。ヤマゴボウは有毒だ見分けるのに慣れないうちは専門の人に見てもらうのが良いが、殺せんせーはわかるか?」
「ええ、おまかせください。こんな時の為、山の植物についての知識はもう勉強してますので」
「俺も山育ちだからある程度は知識があるが、先生の方が知識がありそうだ」
「なら、これの鑑定もしてよ殺せんせー」
カルマがドサっとカゴいっぱいに入ったキノコを下ろして言う
「猛毒キノコが混ざってたら俺が預かるよ。責任もって捨てとくから」
「何に使うのカルマ君?」
「何に使うんだカルマ?」
渚と雄二は良い笑顔で毒キノコを預かると言うカルマに「絶対ウソだ」という確信をツッコミとしてだした
「これなんかいんじゃない?真っ赤でいかにも毒あるって感じで」
「……⁉︎」
「雄二?どうしたの?」
*
「麻子、こんなの意味あるのか?」
「山の食材の事は知っといて損はねぇ。非常時の食糧採取に必ず役に立つ」
「料理壊滅的なやつが何言ってんだ」(ボソっ)
「聞こえてんだよ!でも、キノコはやめとけ素人が手を出したら痛いめにあう。まぁ、ある程度は見た目でわかるがな。これとか見ろよ真っ赤でいかにもだろ?こんなのは…」
「麻子、それ」
雄二が言う前にキノコを蹴り飛ばした
「こうしてやればいい。結構スッキリするぞ」
「麻子、今のキノコ食べれるぞ。しかも高級なキノコ」
「はぁ⁉︎なんでおまえの方が私より詳しいんだよおかしいだろ⁉︎」
*
「カルマ、それは確かに毒で有名なテングダケ科だが、それは食べられるぞ」
「え、マジ?」
「風見君の言う通りです。しかも皇帝キノコとも言われるタマゴタケです。まだ人工栽培できてない希少な高級食材ですよ」
つまんないなぁという顔をするカルマ
「まぁ、毒キノコに見えても仕方ないカラーだ。だから大抵蹴り飛ばされる。昔、師匠が見つけた時もそうだったしな」
「猛毒のベニテングダケと似ているのも一因ですね。実際、日本ではつい最近まで毒キノコ扱いされてましたから」
「…殺せんせーはともかく、雄二もキノコ詳しいね」
「気になった事はとことん調べろって師匠に言われたからな」
「その師匠は知らなかったのに?」
カルマのツッコミに雄二は眼を逸らし「言ってやらないでくれ」と呟いていた
「しかし、そうそう食用のキノコなど見つかりません。カルマ君が取ってきたものは半分が毒キノコです。しかし、中にはとんでもないものありますこれとかね」
殺せんせーが取り出したものに皆、輝きを感じた
「おい、カルマ……あれがあったのか?」
「うん。俺もビックリしたよ。今回の採取品の目玉さ」
その食材の名は、マツタケ‼︎
「これだけの食材をタダ手に入れることができる……これは大きなアドバンテージです」
店で買いたいと思っても値段の関係で手が出せないものが当たり前のように見つけられるのはE組の校舎ならではだ
「これ、いけんじゃね?」
「これだけ食材が揃ってお得な値段って最高だよ!私なら遠くても行くよ」
食はまず食べたいと思わせることが大前提それはこの時点でできた
「山奥に隠れて誰もその威力に気付けない。君達と同じです。故に、このクラスの出し物にふさわしい」
隠し武器で戦う。まさに暗殺教室らしい
「菅谷君がポスター、三村君が特設ホームページを作りCMをして、岡島君の食品の写真と狭間さんの語学力でその説明でメニューを作り、更に興味を引き立てましょう」
すべき事、やるべき手段がわかり、それぞれ出来ることをしていく
最終決戦の期末テスト前の1つの前哨戦になるであろう学園祭戦争が、始まろうとしていた
学園祭はまた彼が出るし、次の期末テスト編の後の方がまだ楽だけどなぁ〜ままならないです
はやくバレンタイン編(仮)を書きたい