暗殺教室 グリザイアの戦士達   作:戦鬼

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しゃあ‼︎ようやく次回は死神編じゃー‼︎


温もりの時間

「みんなきいてー。園長先生はおケガしちゃってしばらくお仕事できないの」

 

ダダ働き初日、職員の女性が子供達が園長が来てない事を気にしていたのもありその理由を告げる。

 

「そのかわりにね、このお兄ちゃん達が何でもしてくれるって」

 

子供達の前で紹介され、すぐに室内に響くいい声で「はーい‼︎」と子供は答えた

 

(まさか、俺が子供の面倒を見る機会が来るとはな)

 

どう接するべきかと来る前から考える

 

(麻子もこんな気持ちだったのかな)

 

とはいえ気持ちに整理はつけている。ここに来る前にJBの相談して少しはできる自信があるのだ。きゃっきゃっと来る大勢の子供が相撲のように雄二の明日に来た。

 

「そーりゃっと」

 

「うおー!にーちゃんすげー‼︎」

 

「なー次俺もー!」

 

腕を持たせてそのままグイと持ち上げた。宙ぶらりん状態なのに子供は楽しいのか笑顔が止まらない。が

 

グシャ

 

「ぬをっ!」

 

重量が増えて床が抜けて埋まってしまう

 

「いえぇい‼︎俺たちの勝ちぃー‼︎」

 

「くっ、床が脆いのは理解してたのにのせられた」

 

どうやら最初からこれが目的だった子供にまんまと嵌められたのを悟り雄二は悔しがっていた。ちなみ床が抜けるのはこれが初ではない先程さくらという名前の園児が箒を持って渚に攻撃しようとしたがその時も老朽化した床に沈んでしまった。

 

「あーあー何壊してんだよ」

 

「すいません。ここ直しときます」←雄二です

 

「「「風見の敬語…気持ちわりぃ⁉︎」」」

 

バカ3人に軽い鉄拳をして黙らせた

 

「ありがとう。でも謝らなくていいのよ。修繕できてないこっちにも非はあるんだから」

 

職員曰く、どうやらこのように壊れるのは日常的にあるようだ。直したくてもお金がない

 

「うちの園長、待機児童や不登校児がいれば片っ端から格安で預かってるから職員すら満足に雇えず本人が一番働いてるわ」

 

(JBが調べた通りってわけか)

 

この施設は園長1人によって全体が賄っていた。事故当日も大量の荷物を運んでいたのがいい証拠だ

 

「だが、幸いここには29人の人手がいる」

 

「だな、色々やれそうだ」

 

「なら、まずは何をどうするか話さないとな。磯貝、頼めるか?」

 

「任せろ。そんじゃ作戦会議といこう」

 

入院費の倍以上の働きをしようと気合を入れた。

 

2日目

 

まずは子供達との距離を近付ける。そのため原を中心に衣装を縫い、100円ショップにあるような安い小道具を使い数人で劇を始めた。

 

内容は勇者が悪い魔物を倒して姫と国を助けるありがちなもの……のはずだった

 

「やめて‼︎騎士カルマ、もう誰も傷つけないで‼︎」

 

姫(茅野)の言葉に耳を傾けているがまったく攻撃の手を緩めず魔物(寺坂)に剣でなく拳でゴスゴスと割とマジで殴る

 

「いやいや姫‼︎、この魔物を退治して魔王をどうにかしないと王国の平和はありませんって」

 

「カルマっ!テメぇ、当てるのなしって台本に…最初から殴るのが目的か‼︎」

 

「おい、何してる異界の魔物。もっと本気だせ。ほらほら強くなる魔法だー」

 

手に持った杖をグリグリと押し付けて力を与える魔王(雄二)。力を与えているので暴力ではない。ないったらない

 

「おまっ、味方なら助けてろや⁉︎」

 

「ね、眠れ魔物よ‼︎」

 

カオスになってきた時控えていた魔法使い(奥田)が口に布を押し付けると意識を失い泡を吹いて魔物は倒れた。

 

「ふー終わった。魔王もなかなかやるじゃん」

 

「勇者、素晴らしい(けん)であった」

 

ガシッと手を組んでお互いとってもいい笑顔である

 

「こうして魔法使いのクロロホルムで魔物は無傷で眠り、お互いを讃え合って勇者と魔王は仲良くなったのでした。めでたしめでたし

‼︎…はい皆さん、面白かったらはーくしゅー‼︎」

 

無茶苦茶な内容なのにも関わらず普段からありがちな童話やお伽噺を聞いていて飽きていた彼らにはずいぶんと受けたようで拍手喝采だった。

 

子供が楽しくなるよう率先して茅野が盛り上げるようヒーローショーのように声掛けをしていたのが良かったのだろう

 

「よし、つぎは外で爆破でもいくか…寺坂に」

 

「いいねーそれきっとウケる事間違いなし」

 

「俺はアクション人形でも俳優でもねー‼︎」

 

3日目

 

この日雄二は外で老朽化した施設修復及び立て直し、改善のための作業をしている。

 

「お、風見今日はこっちか」

 

「あぁ。力仕事もできるなら両方したほうがいいだろ?」

 

木材を運びながら雄二は中を見ると昨日とはまた違った光景があった。数人の生徒が勉強を教えていたのだ。

 

「教えるのって難しいからなー大変そうだ」

 

「そうだな。まぁ、普通じゃないやり方の授業を受けてきたんだどうにかなるさ」

 

「雄二くーん!ちょっと来てー」

 

木材を置いたとき陽菜乃が呼ぶ。何か手が必要な案件があるのか行ってみるとネコが木の上に登り動けなくなったようだ

 

「まだ子猫だから木登りの経験が少なくて降りられなくなったの」

 

「ネコによくあるパターンだな」

 

「俺が行こうか風見?体育祭の時のイトナみたいに」

 

木村が言ってくるが頼まれた身として自分が行くと雄二は答えて軽くストレッチをした。わかったと木村は木の下に移動していつでも来ていいぞ合図を送る。

 

「…ふっ!」

 

ダッと駆ける。加速しきったところで木村の組んだ手に足をかけて軸にして飛ぶ。木村も勢いをつけて持ち上げ上昇力が上がり木の上高い部分に到達し、フリーランニングを活かしてネコの元へ行き、スッと軽く抱き上げてくるりと一回転し着地した。

 

「こんなものか…ん?」

 

子供達がポカーンとした表情で見ていたがそれはすぐに歓喜に変わる

 

「すっげー‼︎すっげー‼︎」

 

「ねぇ、今のどうやったの⁉︎」

 

「俺もできるようになりてー‼︎」

 

まるでヒーローを讃えるように雄二の元へ子供が集まりてんややんわである。

 

「カッコいい……」

 

「王子様みたい」

 

(また惚れさせてんな)

 

(渚もあのさくらって子に無自覚で惚れさせてるし…意外と似たもの同士なのかもね)

 

その光景に3人の女子はときめきつつもちょっと嫉妬していた

 

 

4日目

 

この日雄二はバイトで遅れてきたがきた瞬間に子供達から昨日のもう一回やってとせがまれる

 

「…昨日のは子猫を助けるためだ。いつでもするようなものじゃない。俺には師匠がいるが曰く、間違って使った力は『暴力』だ。正しく使う時を選ぶからカッコいいんだ。ヒーローはいつでも闘うからヒーローじゃないってわかるか?」

 

「あっ、そっか。ライダーもいつも戦ってるわけじゃないしな」

 

「怪人がでた時とみんなを守る時だな」

 

どうやら納得がいったようだが

 

「じゃあ、やり方教えてよー」

 

と今度は教えてとせがまれ困る。一応訓練の事は秘密にした方がいいし何より素人どころか子供に教えるなどどうすればいいかなどわからないからだ

 

「じゃあ、私が軽く教えるよ。それでいいかな風見くん」

 

「神崎か…頼む」

 

神崎は子供ウケがよく男の子からは『俺の嫁』とか言われている。かと言って女の子のウケも良い。日本人が憧れる大和撫子みたいなお淑やかな女性で気立もできるという女の子の憧れとなっている。

 

「片足を上げると上げた方に体が倒れるからその勢いを利用して動くのでも慣れないと転んじゃうから地面が柔らかいところで練習してみるといいかな」

 

神崎は動きやすい足の使い方を他にも説明していく。子供達はなんとなくでも真似をしてステップが軽やかになる

 

「ありがとうおねーちゃん」

 

「どういたしまして」

 

心からのお礼が嬉しく神崎も笑顔になった。

 

「ねぇ、おねーちゃんっておにーさんの恋人?」

 

「え?」

 

子供は純粋だ。だからこれも純粋な質問

 

「違うよ。でもどうして?」

 

「お母さんが言ってたの。好きな人を見つけると女の子はもっと可愛くて笑顔が素敵になるって」

 

なるほどなーと神崎は思うがそれは否定できる。だから「違う」と言ったのだ

 

「もしそうなら、男の子に好きになってもらう方法知りたかったんだけどな〜」

 

「好きな子がいるの?」

 

コクリと頷く

 

「じゃあ、まずはその子の事をいっぱい知る事からだね。たくさん遊んで、観察して、それでそこから攻めるポイントを見つけていくの好きなこと嫌いな事色々とね。そうすると相手も知ろうとしてくるから」

 

「わかった」

 

パァと笑顔になる。自分なりに教えたが納得してくれてよかったと思う神崎であった

 

 

ちなみに神崎にした質問は他の女の子もしていた……雄二が好きな女子3人に。

 

そしてその4人の女の子が好きな男の子は全員同じであると知らずに。のちに知らない内にその男の子のあずかり知らぬところでハーレムを築くことになるのは随分と先になる

 

 

そうして2週間という期間はあっという間に過ぎていき園長の松方が戻って来る日が来た

 

「さて、私の生徒は良い働きをしましたかねぇ」

 

「フン、何人いようと所詮は烏合の衆だ。ガキ共の重みで施設が潰れてなければ上出来だろ……というかおまえ、やけにワシに付き添うがなんなんだ⁉︎このあいだは真夜中にベットの隣に立ってたから思わず昇天しそうになったぞ‼︎」

 

「いや、すいません。看病するのも誠意の一環だと思い」

 

「だからってナース服姿でくる理由があるのか⁉︎」

 

「それに、一応警戒もしといた方がいいですし」

 

「なんじゃって?」

 

「いえ、別に」

 

そうして目的地に向かい歩みを進めていると殺せんせーが立ち止まる

 

「おいなにを止まっておる」

 

「いえ着きましたので」

 

ニヤリとしてその方角を見る

 

「は、ついたって………なっ⁉︎」

 

わかばパークを見て園長の目が飛び出る

 

「なんという事でしょう‼︎」

 

目の前には自分が知ってる木造平家プラス屋根裏部屋もついた2階建の木造ログハウスと進化していた

 

「というより別物だろ‼︎」

 

「よう、じーさん。2週間分の損害に見合ってるか」

 

「中もぜひ見てください」

 

屋根の上で点検やニス塗りをしていた寺坂と磯貝が言う。

 

言われて中に入る。1階は壁の一部を新しく作った部屋と繋げ職員室にした。雄二がバイト先にある使用してないホワイトボードを持ってきた事で教えるのも捗る。

 

「っと、この先見るのは後にして、まずは2階を見てくれ」

 

吉田が止めて1度外に出て階段を登り、2階へ移動する2階は広い空間を作り2つの部屋に分けた。図書館と室内遊技場だ

 

「これだけの本もそうだが、いったいどこからこれだけの木材を」

 

「俺たちがいる校舎の裏山には沢山の間伐した木があるからそこから。設計は知り合いの建築士に頼んで作ってもらってそれ通りに組み立てた」

 

「本は近所を回って読まなくなったのをかき集めてもらったの」

 

「当然ここでも勉強はできようテーブルと椅子もいくつか作ってある」

 

続いて遊技場を見ると簡素だがしっかりした滑り台、回転遊具、ボルダリングなどが作られていた。安全性の向上のためネットやマットを入念に敷いている。遊具は室内だから雨で錆びたりしない。

 

「さぁて、じーさん。さっき見せなかった部屋に行こうぜ。あの回転遊具覚えといてな」

 

吉田は自信たっぷりとした表情で案内したの職員員室兼ガレージ

 

「ってガレージ?」

 

気になるワードを言われて困惑しつつ向かう。

 

「これは…ワシの自転車か⁉︎」

 

パーツの色やいくつか知ってる部分の傷を見てそう判断したが以前と違い吉田とイトナの技術班が作り上げた改良型だ前輪2後輪1の三輪自転車しかも電動アシスト機能がついておまけに積載重量も増えている。

 

「こんなパーツ何処から」

 

「日本では毎年何台もの放置自転車が回収されるが、そのほとんどは持ち主が来ないまま廃棄される。その一部を頼んでもらったんだ」

 

疑問に雄二が答える。ちなみにそれを交渉したのはJBだ。

 

「しかもだ、上の部屋にある回転遊具と充電器がつながっているから子供達が遊べば遊ぶほど助かる仕組みになってんぜ」

 

「…………で、出来すぎとる‼︎というよりちょっと手際が良すぎて逆に気持ち悪い‼︎」

 

「ちなみに園長先生の思い出のこもった古い入れ歯は自転車のベルに再利用した‼︎」

 

「気持ち悪いわ‼︎いらんしそんな匠の気遣い‼︎」

 

ツッコミ疲れたのかちょっと息切れをしたがすぐ戻って真剣な表情になる

 

「…たしかにこれは素晴らしい。が、ここで最も重要な仕事は建築がメインではない。子供達と心と心が通っているかだ。建て直してくれた事は感情する。だがそれが出来ていないのなら、悪いがこの2週間を働いたとは認めんぞ」

 

「それなら問題ないって言うよりそっちの方が良いかもしれないぞ」

 

チラリと後ろを見て指す

 

「おーい、渚ー‼︎ ジャーン‼︎テスト見てくれ‼︎95点‼︎クラスで2番だぞ‼︎」

 

「おーすごい、頑張ったね‼︎」 

 

さくらは悪質なイジメを受けて不登校になり、勉学も遅れていた。そこで渚は勉強を教えるのともうひとつイジメっ子への戦い方を教えた

 

「算数のテストの時間だけ(・・)不意打ちで出席して終わったら速攻で帰った」

 

教師意外にそれを教えていないのでイジメっ子は相当驚いたそうで集中できず点が落ちたそうだ

 

「自分の一番得意な一撃を相手の体勢が整う前に叩き込む。これがE組(ぼくら)の戦いだよ。今回は算数だけしか教えられなかったけど、こんあ風に一撃離脱を繰り返しながら…学校で戦える武器を増やしていこう」

 

「だ、だったら……これからもたまには教えろよな」

 

「もちろん‼︎」

 

「あ、正義の魔王!来てたんだ‼︎」

 

雄二のあだ名は正義の魔王というわけのわからないものになっていた

 

「今日で終わりかーもっと教わりたかったなー俺、競争で早くなったんだぜ!」

 

「縄跳びが上手くなったのありがとう‼︎」

 

「体を動かす方ばっかりだけだが、それはよかったよ」

 

無愛想に見えるが他の者には照れてるもしくは嬉しそうだなと感じていた

 

「……クソガキ共、文句のひとつも出てこんわ」

 

子供達の頭をなでつつ松方は悪態を吐きつつ告げる

 

「認めるよ。というか、もとよりおまえ達の秘密など興味ない。ワシの仕事だけで頭はいっぱいだからな」

 

こうして、たくさんの感謝と笑顔を背に軽やかにE組は自分達の場所へ戻る

 

 

 

 

 

「で、中間テストはボロ負けっと」

 

「あの学校で2週間も勉強しないでテストなんて自殺行為に等しいんだぞ。そこんところわかってほしいんだがな」

 

「結果が全てでしょう?順位も落ちてるし」

 

「一応4位なんだがな」

 

風見雄二:総合点数484『学年4位』

 

もとより勉学自体はどこでも出来た。バイトで自分の仕事がくるまで待つ気晴らしなどである

 

「それより、そっちの問題は?松方って方の」

 

「完全に独断で行ったとして更迭されたわ。いくらなんでも命令違反は許されないし、ホイホイ命を奪うものでもないんだから。ただ、しばらく監視としてあそこに職員として送ったんだけど…」

 

「どうした?」

 

「どうもそこが気に入って、退職届が来たわ。で、そいつの監視のために新たに送ったらそいつも退職届出してきて…」

 

「ここはブラック企業か?」

 

「…………似たようなものでしょ?というか、どんな改造したんだか」

 

「多分、飢えてんだろ。温もりに」

 

「…………そうかもね。あなたは、どうなの?」

 

「さぁな」

 




ちなみに
退職届をだした人物達は監視と報告書を出し続ける人生もそれ以上のペナルティがあるのも容認して出しました。しかし2人も出したので職員としてはもう送らず遠くからの監視になりました。
2人とも人生エンジョイ中。あとそのうち登場させます

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