体育祭、その名の通り運動競技をいくつかこなし、順位、勝利数などでポイントを得て最終順位を競い、同時に学生同士の交友を広げ結束力を高め合う。……本来なら
「まぁ、E組は当然のように参加資格のある競技が少ないから総合優勝はない。おまけに皆、特に運動部系はE組にだけは負けられないから必死で来る」
「木村ちゃん以外は苦戦してるねー」
陽菜乃の言う通りトラック競技で勝ているのはE組でもっとも俊足な木村、それと雄二だ
「陸上部は速く走ることに特化した動き作り、体力作り、身体作りをしてる。専門分野が違うんだ。元から足が速い木村はそれをさらに向上させる為近い訓練を行ってきた。俺は単純に相手が陸上部のやつじゃなかったから勝ったんだ。むしろ確実に2位以上が取れるだけいいじゃないか場を荒らすくらいはできてる」
総合優勝はないものの、他のクラスの点を下げているので総合最下位はないだろう。
「うぐぅぅ」
「茅野、悔しいのはわかるが、そんなに睨まなくてもいいだろ?」
「………多分睨んでるのは相手のクラスじゃないと思う」
「?」
陸上競技は体をよく揺らす、すなわち一部発育の良い部分は特に目立つ。彼女が、桃花がわざとやってないのはわかるだがイラつくものはイラつくのだ。
「殺せんせーも、その様子撮ったら……」
「反省してますからぁ」
涙目でカメラを下げる殺せんせー。普段ならそれでも撮っていただろうができない理由がある。
「雄二〜ハイこれ、お弁当ー」
その声がしてビクッと震えてフードでおもいっきし顔を隠す殺せんせーと聞こえるくらいの舌打ちとイラッとした顔になる雄二。
「おいJB、100歩譲ってここにいるのはいいとして、いい加減その言い方やめろ」
「仕方ないじゃない〜最近妙につけられてる気がするし、ちょっと前には下着ドロのもいたそうだし家にいるより一緒の方が気が楽なのよ〜」
わざとらしく殺せんせーの方をチラリと見つつ言う。どうやら烏間にこっ酷く叱られただけでなく給料を落とされ、プラス黄色の顔ストーカーが出たという噂が一時広まって肩身が狭くなっているようだ。本来なら殺せんせーがいるここに来るなどとんでもない事だが、公式には2人は会っておらず、見てもいないし、ここに殺せんせーはいない。その上雄二の定期観察として来た。
「春寺さん、お久しぶりです」
「えぇ。陽菜乃さんも元気そうで何よりね。このまま応援したいけど、雄二にお弁当を届けに来ただけだからもう帰るわ」
「いいからさっさと帰れ」
シッシッと手を振る
「もー雄二君はまた〜。あ、私は中村莉桜です雄二君とは…」
「あぁ…それ、陽菜乃さんに聞いて問い詰めたけど…ごめんなさいね」
言った瞬間莉桜はその言葉の意味を理解した。顔を真っ赤にして下がったのを見てJBは言わない方がよかったなぁとちょっと反省した
「で、あなたが矢田桃花さんね。雄二がよくお弁当をもらってるそうだけど、仏頂面だけど気に入ってるみたいよ」
「ホントですか‼︎やったー‼︎」
「余計なこと言ってないで帰れって。ヒマじゃねーんだろ?」
「はいはい帰りますよ。ヒマじゃないしね……それじゃ先生お願いします」
「……あぁ」
烏間が言ったあとぎろりと殺せんせーを睨む。ここ最近の殺せんせーの問題行動を報告したからだ。すなわち『二度とするなよ』と直接言いに来たものである。
「あー羨ましいなぁ風見の奴…殺してぇ」
「だから岡島君、心の声が漏れてる」
苦笑しつつJBをみた渚は彼女は雄二の保護者なのだと思うと同時に何か別の感情があるようにも感じていた
「いやーなんつーか。ビッチ先生に似てるけど顔だけだな」
「なー。ビッチ先生と違って清楚な美人外人さんって感じ?風見が最初にビッチ先生にちょっかい出した理由がなんとなくわかるわ」
「ね、あれをいつも見ててそっくりだけど性格180度違う人がいたらねー」
「やかましい‼︎黙りゃおまえら‼︎」
嵐のように来て雄二、殺せんせー、ビッチ先生にそれぞれ心のダメージを与えてJBは帰っていった。雄二曰く「チョロいくせに侮れない女」だそうだ
*
そんなこんなで体育祭は進んでいくなか雄二は競技内容を何度も見ていた
「次にE組が出れる競技は障害物競争。網抜けやら平行棒に跳び箱、スプーンリレー……」
「どうしたの、じっと見てるけど」
「あぁ、いや…ここくらいだと思ったんだがやっぱりないな」
「なにがだよ?」
「今回俺たちの最終目的は棒倒しで勝つことだろ?その妨害として後の競技に支障が出るような細工をしてくると思ったんだが…」
怪我をさせるようなものがあると思っていたので拍子抜けと思う雄二だが
「そんな事必要ないって思ってるんでしょ」
カルマが少し焦りと緊張の表情でいう。あのカルマ焦る…それがどういうことかなど言うまでもない。それほど深刻な事態という事だ。先日A組の戦略を知るためイトナの作ったマシンでその一部内容を録音した。だがそれでわかったことは
「律、データをもう一度見せてくれ」
「はい」
律が移したデータを見つつ目の前の様子もチラリと見る。…結果は見なくてもわかるが。
「おーよく飛ぶな。綱引きで人が飛ぶなんて初めて見た」
A組とD組による綱引き対決。始まった瞬間にD組の生徒達が吹っ飛んだ。いくら勉学も運動も秀でた者たちでもここまで圧勝はできない。ならなぜか?それはA組に
「たまたま、偶然ねぇ……そんな偶然あるものなんだな」
「…わかってて言ってるでしょ」
渚のいう事をスルーして資料を読む
「カミーユ・ミュレー、フランスの有名レスリングジム次代のエース。試合総勝利数、29戦26勝。なお内1敗は前試合の怪我による欠場によるもの。ジョゼ・オリビェイラ、ブラジルの世界的格闘家の息子。試合数40戦中37勝内21はノックアウト。イ・サンヒョク、韓国バスケ界期待の星、ポジションSG、得点ランキングでは常に1位。ケヴィン・スミス、全米アメフトジュニア代表、ポジションTE、大柄を生かして常にプレー中に活躍、得点、ブロック数歴代1位。……まぁよくこんな連中を呼べたもんだ」
全員まさに一流。だが1番すごいのはこんな連中と交友関係をもてる浅野の語学力、そして彼らが認める底が知れない実力にある
「今更だけどよ、こいつらマジで15歳なんだな」
「外人ならあまり珍しくもない。海外いた時は周りの連中はそんな感じだった」
平然と言う雄二だが焦りもあった。先程彼が言ったように何かに特化した身体作りは他者と大きく違うこの4人の外人はいずれもその競技に合わせた体格を作る為の行為をしてきた。直接的な暴力は棒倒しではできないが、タックルや掴んで投げるくらいはできるし、関節技ならルールにもギリギリセーフだ。それを彼らがしてくる。それは間違いなく脅威であり、恐怖だ。しかし、
「だが、
ずっと暗い表情をする磯貝に雄二は問う。やはり皆を巻き込んだ事に悩んでいるようだ。
「正直わからない。ねぇ殺せんせー、俺は浅野みたいな語学力は無い。俺の力はとても及ばないんじゃ……」
「………そうですねぇ、率直に言えばその通りです。浅野君を一言で言えば『傑物』です。彼ほど完成度の高い15歳は見た事がありません。君がいくら万能といえども社会に出れば君より上はやはりいます彼のようなね」
殺せんせーは事実を淡々と語る。万能と言えば聞こえはいいだが言い方を変えるならば器用貧乏という事でもある。
「…どうしよう。俺のせいで皆が痛めつけられたら」
と不安を声に出した瞬間、肩をポンっと雄二が叩く。
「おまえのせいじゃない。今日ここにいる奴らは全員、自分の意思で来た。怪我するかもなんて誰でも考える…たとえ負けても、誰もおまえを責めはしない。それに、おまえにあって浅野にないものがある。それは仲間だ」
浅野にとって彼らは友であっても仲間とは言えない。盤上の駒のようなものだ。それが悪いわけではない。対象を駒として動かし大成を成した人物はいる。それができる秀才であれば
そして磯貝のように仲間と歩み同じく大成を成した者もまたいるのだ
「風見君の言う通り、仲間を率いて戦う力。1人では限界でも共にピンチを乗り切っていく仲間を持てる人徳。その点で君は浅野君をも上回っている。先生もね、浅野君よりも君の担任になれたことが嬉しいんですよ」
殺せんせーはハチマキを磯貝の頭に巻き付けてた。その頃には磯貝の不安はなく、笑顔に満ちていた。
それぞれのクラスが棒倒しの棒を持って入場する。磯貝に迷いはもうない。覚悟も想いも充分だ…そして殺る気も万全だ。
「よっし皆‼︎いつも通り殺る気で行くぞ‼︎」
掛け声に全男子が同調する。体育祭最後の目玉、棒倒しのゴングが鳴る。
競技内容に書かれてあるが改めて棒倒しのルールが説明される。
1:相手側の支える棒を先に倒した方の勝ち。
2:武器使用禁止。殴る、蹴るも
3:チームの区別の為、A組は帽子と長袖を着用する。
「って、あれ帽子じゃなくてヘッドギアだぞ」
「向こうは防具ありってことね」
「ほんと今更だけど、こういう差別はどうなんだまったく」
準備運動をしながらツッコミを雄二は入れる。圧倒的な勝負というのは皆楽しみなものだその為の演出も当然大切なのだ。それに巻き込まれる者はたまったもんじゃないが。
「思った通り、相手は人数を活かして防御しつつ攻撃に出れるようにしたな」
アメフト選手のケヴィンを筆頭に5人ずつのチームが3つ。
「まず奴らが攻めてくるだろうな。なら、作戦通りでいい」
正面に雄二、が立ちあとは全員が自軍の棒に寄る。陣形名、『完全防御形態』誰1人攻めず防御に徹底する。無策で攻めれば数の差で殲滅される。無理に攻めるより内に籠る籠城戦のようなものである。対してA組は陣地を築き、そこを守りつつ攻撃する布陣だ。
(頼むから。A組は作戦と目的を変えないでくれよ)
そう思っているとケヴィンの部隊が悠々と歩き出す。その姿は獰猛なゴリラが近付いてくるかのようだ。
(どうやら、変える気はなさそうだ)
と安堵していると
「くそが…」
「無抵抗でやられっかよ‼︎」
「吉田‼︎村松‼︎」
雄二の横から2人が飛び出していくそれをなんの苦も無くタックルで吹っ飛ばし、2人は10メートル先の客席に吹っ飛ばす。その光景を見たE組以外は歓喜の声をあげる。
(ふん、たわいない)
ケヴィンにとってこんなものは当たり前だ。彼が目に入れる強者は1人
「
浅野から唯一気をつけろと言われた人物、それが雄二だが見てなるほどと思う。体格と目を見れば強者だとすぐわかる
「
ビキィという音がケヴィンからした。
「
血管が破裂しそうな音がした。チラリと浅野を見ると殺れとの合意が出る
「
あいつは俺がやると言いドンドンと向かう。だがただ向かうだけでない。雄二がなにをしてくるかわからないがアメフト選手として様々な技も知っているかれはパワーを逆に利用した手でくると思った服を掴んで引っ張っぱる程度だろうと。だが競技がまるで違う。ケヴィンはあくまでスポーツ。雄二は武術
「え?」
気付いた時には天地がひっくり返るそして棒の方へ落ちていくがそこに防御する生徒達はいない全員がジャンプしどいていた。そしてそのまま突っ込んで来たA組の生徒諸共押さえ込まれた。ちなみ仰向けに倒したケヴィンの腹にモロに入る。ダメ押しに自軍の棒を半分倒して棒の重みでガッチリ固めた。事でケヴィンは完全に落ちた。意識が飛ぶ瞬間に見たのは雄二の自分などまったく気にもしていないクールな目だけであった
外人達のフルネームはわからなかったのでそれぞれの国でよく使われる苗字を探してつけました。あとそれぞれの戦績もつけました。……ちょっと盛りすぎかな
JBを出しましたがちょっと悩みました。原作には保護者らしき人物達が見えなかったので
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