コミカルなリズム音が鳴り響くもの、爽快に感じさせる演出を見せる銃撃音、何やらアニメの音楽のようなものも流れている。
「こんな感じなんだなゲーセンってのは」
「その感じだと雄二ってゲーセン来たことないの?」
「まぁな」
金を入れてゲームをする場所、ゲームセンター略してゲーセン。時代が経つにつれて中のゲームはどんどん変わるが変わらないものも多い例えば
「しゃあ!ようやく取ったぜ!…あ、あの神崎さんこれあげるよ」
「えぇ、で、でも」
「いいから、いいから楽しむためにやってただけだから」
杉野は手に入れたゆるキャラのようなクマのぬいぐるみを神崎に渡す。悪いなと思いつつもせっかくだからと言われて受け取りお礼を言う
「なぁ、杉野いくら使った?」
「うーん多分8000円くらいじゃね?」
「すでにクマのぬいぐるみの金額を超えている気がする……そこまでするくらいならいっそ別の店かネットで買った方が安くつくと思うんだが」
「わかっててもつい取りにいく。人間の悲しいサガってやつだねぇ」
クレーンゲームは入れた値段分のものが実際には手に入らない。それでもやるのは人間が心の中に誰しもが持ってる欲によるものか、はたまたギャンブル精神のものか…
「じゃあ、私もお返しだね」
神崎は100円を入れて機械の中でお菓子がぐるぐる回るプライズゲームを始めるこの手のゲームはどれだけお菓子をすくうか、どの大きさを狙うか、どのタイミングで落とすかに決まる。うまくすくえてもそれが手に入るわけでない台座に乗せてその量が一定になると押し出すように最初から台座に乗っているものが落ちる仕組みなのだが
「あぁ、一個だけか〜」
神崎がすくいあげたのは長いラムネのようなお菓子だこんなもの一個では落ちはしない……はずだった
「あっ縦向きに落ちました!」
「で、それを棒みたいに押して…」
並べられていたお菓子の山が雪崩のように崩壊した
「うん、計算通り。うまくいってよかったー」
「たった100円で1000円分のお菓子が出てきたな」
出てきたお菓子をみんなに配る。
「あれ、渚、神崎さんは?」
杉野の質問で指をさすそこには新たに大量のお菓子をゲットした神崎がいた。しかも中には100円では到底買えないアイスカップもいくつか混ざってる
「俺の見間違いか?これ1個300円くらいするはずだが?」
「間違いなくそれだね」
流石にアイスは溶けるからといま食べることになった。茅野は普段高くてなかなか手が出せないカップアイスに目を輝かせ「ヒャッハー」と世紀末的な声まであげている。
「おいみろ、店の人泣いてるぞ」
「そりゃねこんだけやられたらね」
「ゲームが得意なのは知ってたが、ここまでとは。……神崎、もう少し取れるか?」
「うん。できるよ」
店員の勘弁してください的な目を無視して荒稼ぎならず荒取りをした。神崎のしようした金額はだいたい1000円ほどだが手に入れものの合計はその10倍以上のものだろう
「すげー集まったな」
「お菓子、お菓子、お菓子〜!」
「か、茅野さん。目が目がやばいです」
まさしく大量だ。茅野の目がキラキラさせるのも無理はない
「さて……おい殺せんせー、ほしいなら食え。俺はあまりいらないから」
「「「「「え⁉︎」」」」」
「にゅわ⁉︎」
見るとルーレットの台でわざわざ変装して見ている殺せんせーがいた。
「殺せんせー、来てたんだ。雄二いつから気づいたの?」
「ちょっと前に見られている気がした。具体的に言うと神崎が子供にイキって大人ゲーマーを思いっきり負かした時から。でカメラのシャッター音が聞こえたからほぼ間違いないと思ってな。お菓子で釣ってみたんだが視線が鋭くなって確信した」
「にゅううう風見くんにはいつも見つかってしまいます」
「いや、正直わかるまで時間かかったよ先生が盗撮なんかしなきゃわかんないと思う」
「あ、そうだ!さっきの撮ったんですか⁉︎」
「えぇ、よく撮れていますよぉ」
と先程の写真を見せる触手と高速移動を駆使してわざわざ自分も映るように撮っていた
「おい恥ずかしがってるぞ」
「まぁ、これも思い出ということで」
「盗撮容疑で学校に言うけどいいのか?」
「どうぞ神崎さんお渡しします」
速攻で渡してきたのでどうにかなった神崎だった
「ほら、とりあえずこのお菓子やるから、今日のところはもう帰れって」
「ゴクリ…にゅう…わかりました……」
「オカンみてーだな」」
「じゃあさ、帰る前に次あれにしよう」
茅野が言った方を見ると球体型で中に入るための扉があるゲームが数台並んだゲームだった。
「なんか、コックピットみたいだな」
「みたいなじゃなくて、コックピットをイメージしてつくってるんだよ中でロボットを操縦してチームで戦うの」
「1度にできるのは1チーム4人か。ゲーム自体は8台あるがそれぞれ分かれて戦えるな」
「殺せんせーも入れてちょうど8人だからいいかなって」
「でもさ殺せんせー大丈夫か?」
「マッハに機械がついてこれず壊れるんじゃないか?」
と言われて茅野も気づくが殺せんせーはフフフと笑い
「ご安心ください。私、そのゲームはやりつくしてます…ホラ」
殺せんせーが見せたのはこのゲームをする為のカードだがそこには階級が書かれている
「すげぇ軍曹だって!」
「…やり込んでんなぁ〜壊した事とかないの?」
「ゲームには真摯ですので私」
「嘘つけ。この間人生ゲームでぼろ負けしそうになってゲームをひっくり返したくせに」
「……それはそれ、これはこれです。ともかく、私のことは殺軍曹と呼んでください」
「はいはい。とにかく殺軍曹、店の人に迷惑だから壊さないようにな」
雄二が注意すると「はーい」といい返事をしたので「やっぱオカンだ」と杉野はツッコミでいた
*
会員のカードを持っているのは殺せんせー、神崎、杉野の3人のみだったのでそれぞれバラけるようにチームを決め、テストステージ的な場所で戦ってようやく本番になる。最初は全員二等兵から倒れた敵の数などで階級を上げていくそうだ。そしてようやく始まるのだがそこで階級が明かされた
Yukiko階級:大佐
((((((もっと上がいたー‼︎)))))
しかも神崎の機体だけカラーリングが赤なのだがメチャクチャ早い
「あ、赤い彗星⁉︎」
「おい、殺せんせー軍曹なんだろ!指示を…」
「ぬ、にゅわわわあ、やられたぁ⁉︎」
「クソ役にたたねぇ」
ちなみにチームは殺せんせー、雄二、杉野、渚の青チームと神崎、カルマ、奥田、茅野の赤チームだが圧倒的だ。というかまともに赤で動いているのは神崎だけなのにその1人に圧倒されている。
「俺が狙い撃ちするって使い勝手悪すぎだろもうちょといいライフルがあってもいいんじゃねーか⁉︎」
「風見、いいから援護、援護‼︎」
結果、青チームの惨敗だった
「あんなの卑怯です!始まって数秒で私やられましたよ⁉︎」
「しかも速攻で拠点落とされたな。なんやかんや神崎に目がいってる隙にカルマが中距離で攻撃してたからな」
「でも雄二俺を狙い撃ってたから撃破数は稼げたじゃん」
「つか、殺せんせーてんぱりすぎて何にもできてないじゃん本当に軍曹かよ」
負けた原因神崎以上にチームワークのなさかもしれないなぁと醜い言い争いを聞いて思う奥田であった。
「なら、次は上の階にあるボーリングでもする?」
「しゃあ!これは負けないぜ」
「杉野、ボーリングと野球は違うと思うぞ」
「風見こそ、狙撃とボーリングはと違うんだぜ」
また変な事にこだわってるなーと渚が思っていると神崎がふふっと微笑んでいた
「いい笑顔ですねぇ神崎さん」
「あっ、はい。なんか、すごく楽しくて」
修学旅行の時に雄二に言われた事を思い出していた色々な人達と繋がりを持つための最高のツール。まさしくその通りだった
(笑ってる私が魅力的だって言ってたけど、そうしてくれたのは風見くんなんだよ)
神崎は今の自分の気持ちに気付きつつあった。けど、それよりも今は
「オールストライク…だと」
「なぁ風見、次のゲームする時は協力しね?」
この時間を長く、皆と楽しみたいとその感情を意識から手放した
次は名前の時間です今日中には出します……たぶん