暗殺教室 グリザイアの戦士達   作:戦鬼

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イトナ編はこれでようやく終わりですね……今回も短いけど


紡ぐ時間

目の前にはターゲット、これだけ近いなら或いは…などという事は全く思わない

 

「そういうのまだいいんで。はい、次のテスト」

 

「ちゃんと解きながら暗殺できるのは大したもんだがそれで仕留められんならとっくにやってる」

 

「……お前はまったく仕掛けないんだな」

 

「やってできるならそうするがな」

 

イトナは殺せんせーから現在の学力を確かめる為と遅れていた勉学を取り戻す為の学習と小テストを受け続けていた。雄二は付き添いだ

 

「はい。風見くんは終了です。ここ最近は残って皆と遊んだり勉学を共にしたりと青春を楽しんでいてなによりです」

 

「まぁ、バイトが少し落ち着いてきたからな」

 

ここ最近、『ゴミ』の数が多くなっていた。正式入ってくる中で紛れ込むのがほとんどだが、その中には何かから逃げてきた様に必死なものもいれば、少し違うが同業者に狙われているものもいた。どうやら最近同業者があまり動けておらず。動ける者はろくな人材ではないらしい。だが、多くなったなったで一網打尽にしたりできる。そしてここ最近なかったバイトのない穏やかな日々に雄二本人は気付いてないがどこか嬉しくもあった。

 

「じゃ、先帰る。イトナ、あとガンバ」

 

「…………」

 

1日勉強漬けでストレスが溜まっているのだろう恨めしそうに雄二を見送った

 

 

 

翌日。鞄とは別に工具箱を持ってきたイトナは事前に作ったパーツを組み立てていた。

 

「イトナ君、それ、何作ってんの?」

 

「見ての通りだ。ラジコン戦車を作っている。…昨日は1日タコに勉強漬けにされてストレスが溜まった、腹が立ったからこいつで殺してやる」

 

方針と計8つのタイヤと特徴的な砲身は確かに戦車だ。それは見てわかるだが問題はそこではない。細やかな電子機器や配線があり素人の物とは思えない。

 

「スゲーハイテクに見えるんだけど⁉︎」

 

「すごいなイトナ…自分で考えて改造してるのか」

 

杉野と磯貝はイトナの作業を感心して言い、他の皆も釘付けになる。なにより手作りのラジコン戦車だ。男なら心惹かれて当然だろう

 

「親父の工場で基本的な電子工作は大体覚えた。こんなの寺坂以外誰でもできる」

 

「なんで俺をいちいちひきあいに出すんだ」

 

「そりゃあ……アレだからだろ」

 

少し遅れて雄二が教室に入ってそういう

 

「おい風見、そういうのは正直に言うのがやさしさだぞ。ハッキリバカと言ってやれ」

 

「そうだな。訂正だ寺坂…バカだからだろう」

 

「おまえらなぁ!」

 

イトナ&雄二。毒舌コンビ誕生の瞬間であった

 

「まぁ、それはいいとしてモデルは16式か?」

 

「いや、色々なのモデルにし自分なりの形にした。いわばオリジナルだな」

 

「なるほど、先生を狙うならある程度の走行力と走行音を気にする必要があるがそこはどうだ?」

 

「舐めるな電子制御を多用してギアの駆動音を抑える」

 

「ふむ。だがここは平地じゃないとこも多い。段差に耐えれるよう、タイヤはもう少し改良したほうがいい」

 

「む、確かになら…」

 

「なんか専門的な話になってきたぞ」

 

「雄二のミリオタが久々に炸裂してるね」

 

触手を持っていた時、イトナはエネルギーのほとんどを触手に吸い取られ、触手に意識を奪われて『強くなりたい』という思いだけを強くしていた。本来彼の強みはこの技術力だったのだ

 

「カメラの方は……問題なさそうだ。もともとこの手の装輪戦車は偵察に使う物だからなそこはしっかりしてないと」

 

「砲撃時の音も抑え奇襲にも使うことができる。当然だが銃の照準も映像と連動してコントローラーに送られている。これなら充分奴の急所に狙いを合わせられる」

 

「急所?」

 

「…あぁ、おまえらは知らないんだったな。シロから聞いた事だが教えといてやる…奴には心臓がある位置はネクタイの真下。そこに当てることができれば、1発で絶命できるそうだ」

 

新たに判明した弱点はここ最近の中でかなり重要な物だ。

 

(あのやろう、そんな情報こっちに無かった…自分達の暗殺が優位にできるようにわざと伝えてないな。JBに報告しとくか)

 

シロの評価を落とすことになんの躊躇いもない雄二はそう判断した

 

「動きは問題ないな。早速奴を狙うとしよう」

 

「いやイトナ、殺せんせーはいないぞ。欧州地方の旅行のパンフレットを見てたからまたどっか海外で遊んでるだろう」

 

イトナは多少悔しそうにしていたがどっちにしろコレは試作機だ。「百回失敗してもいい」ダメもとでだったのでここからさらに向上させる為目的を試運転兼ねて辺りの偵察に切り替える。低い位置からの偵察で今まで見えていなかったものが発見できるかもしれないからだ

 

「ん、なんか女子の声すんな」

 

ちなみに映像と一緒に音も拾えるので何が来ているかもわかる。バタバタと足音が聞こえラジコン戦車の横を通り過ぎていく。もう1度いうが、低い位置からの偵察で今まで見えていなかったものが発見できるかもしれない。そして今回は普段隠されている魅惑を…

 

見ていた男子達の声は止まり、しーんとなる

 

「見えたか」

 

「いや…カメラが追いつかなかった。視野が狭すぎるんだ」

 

「むぅ、偵察機としては視野の狭さはかなり痛いな。高性能のカメラにはできないか?」

 

注:雄二は偵察機の向上の為の発言です

 

「できなくはない。が、そうなると大きめのものしないといけないから肝心の機動力が落ちて標的の捕捉が難しくなる」

 

「ならばカメラのレンズを魚眼にしたらどうだろうか。送られた画像をCPUを通して歪み補正をすれば小さいレンズでも広い視野を確保できる」

 

「岡島、小型魚眼レンズは持ってるか?できるならカメラの感度を上げ下げできるものがいい」

 

注:雄二は偵察機向上の為の…以下略

 

岡島はどこか出したのか小さめのジュラルミンケースを出し、開けると様々なカメラ道具があった

 

「まかせろ。こんなこともあろうかと常に様々なカメラ道具は持っている」

 

「殺せんせーの暗殺以外の用途があるよね、絶対」

 

渚のツッコミを無視して孝太郎の意見も聞きつつカメラを選び律に歪み補正のプログラムを組んでもらう。

 

「こんなもんか?」

 

「しゃあ!女子(ターゲット)を追え‼︎」

 

「いや、殺せんせーは今はいないぞ」

 

「これも全て暗殺のため‼︎行け‼︎」

 

取り付けた試作機は早速外に出る。が、段差に対応できず転倒してしまった。

 

「復帰させてくる」

 

「いや、まずは回収だ木村。足回りも改良する必要があるな」

 

「俺が開発する駆動系や金属加工には覚えがある」

 

同じく技術屋の吉田が手を組み開発に着手する。イトナも様々な対応ができるよう各パーツの予備は持ってきていたのでわりと早く開発できた。

 

「あと、迷彩も変えた方が良くないか?殺せんせー(ターゲット)に気付かれてしまう。場所によって迷彩は変えた方がいい。菅谷、やれるか?」

 

注:雄二は偵察機向上の…以下略

 

「任せろ。学校迷彩、俺が塗ろう」

 

「頼もしいな」

 

「まてまて風見、こいつはラジコンだぜ。人間とはサイズが違う。快適に走れるようにはマッピングが必要だろう?」

 

「ふむ。どうすつもりだ」

 

「そりゃ、ここ使うんだよ」

 

パンっと自らの足を叩いて前原はいう

 

「なら任せた」

 

注:雄二は…以下略

 

「考えてた腹減るだろうおまえらには校庭のゴーヤでチャンプルー作ってやらぁ

 

「村松、マッピングの前原に携帯食を作ってくれ」

 

注:…以下略

 

「FSRの作り方は、前に教わったよ任せろ」

 

FSR(ファーストストライクレーション):移動しながら栄養が取れるように開発にされたものだ。以前雄二に言われて教わりまずかったものを美味しく改良するに至っていた。

 

それぞれの得意を活かして改良は進む。無愛想なイトナがすっかりE組に馴染んでいることに渚は心配が杞憂に終わってよかったと思った

 

(最初から、ここから始めれば良かったのかな)

 

最初は細い糸でも徐々に紡いで強くなるそれが『糸成』という彼の名のルーツ。それを思い出し、無愛想も毒舌も変わらないが間違いなく楽しんでいた。

 

「カメラに影ができたな」

 

「……あ」

 

カメラには動物が映っていたどう考えても敵意ありである

 

「化けモンだぁー‼︎退避ー‼︎退避ー‼︎」

 

「バカ撃て‼︎撃ちまくれ‼︎」

 

カメラに映る化けモン…もとい、イタチに向かって撃つが威力はお粗末だ全く効果ない。そして数秒後カメラが暗くなった。

 

再び木村が回収してきた試作機はみるも無惨にぐしゃぐしゃになっていた。

 

「ここまでやられたら、修復は難しいな。次は銃の威力アップ、それと移動と砲撃を戦車と同じく分けた方がいいだろう」

 

 

「なら、次は射撃は頼むぞ千葉」

 

「…おっ、おう」

 

つい受けてゲスい計画に巻き込まれてしまっていたが、雄二からも頼むと言われて本格的に断れない千葉であった。

 

「開発には失敗はつきもの…糸成一号は失敗作だ」

 

壊れた部品にマジックで糸成Iと書いてイトナは呟く。失敗作というがそこまで悔しがっても落ち込んでもいない。むしろ殺る気に満ちていた

 

「ここから紡いで強くする何度でもやって何度でも失敗して、最後に必ず殺す…よろしくなおまえら。また手伝ってくれると助かる」

 

「「「「「おう!」」」」

 

新たな仲間はクラスの大きな力となり成長していく。それを皆が感じ楽しそうに笑う

 

「よっしゃ‼︎3月までにはこいつで女子全員のスカートの中を偵察するぜ‼︎」

 

「……殺せんせーの偵察じゃなかったのか?」

 

「バッカおめー風見ぃさっきの見たろー隠されているものを見る‼︎これはそう、男のロマンだ‼︎」

 

「そうなのか⁉︎」

 

「おうよ!なんなら一緒にロマンについて語り合おうぜ」

 

前原もそこに加わり雄二にうながす。

 

「へー随分と面白そうね。私達も入れてもらえるかしら?」

 

「おう、もちろん…だ、ぜ…」

 

ギギと女子の声がした方を見る。いつのまにか女子全員が戻ってきていた。その表情は笑顔だ笑顔だが、目は笑ってない

 

「岡島くん、何を偵察するって?前原くん、何がロマンなのかな?」

 

片岡の質疑に応答はできない。できるはずもない。助けを求めようとするもすでに他の男子は知らなーいとばかりに退散している。後ろに下がるがそこに回り込んでいたのは桃花を含めた雄二に恋する乙女達

 

「あと、雄二くんになーに植え付けるつもりかなぁ?」

 

「岡島くん、知ってる?人喰いザメって結構日本の近海にもいるんだって〜すごいよね〜」

 

「前原くん、速いし、富士の樹海に縛って放置しても平気だよね」

 

冷や汗をダラダラだし2人がとった行動は

 

「「すいませんでした‼︎」」

 

速攻土下座で謝った。が、当然許されるわけもなく女子全員からこんこんと説教を受けていた。

 

「開発のは常にトライアンドエラー、ロマンには常に犠牲がつきものだな」

 

「しみじみ言ってるけどロマンは違うからね」

 




次回は神崎とのゲーセンデート……じゃないな他いるし。進展させてヒロインにするかは……未定

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