ぱらりとひらいていた新聞を閉じる。連絡を入れるため携帯をだす。
「今見たんだがこれ、そういうことか?」
【あら、もうわかっちゃったの】
その言葉が答えを言っているものだった。同時に不思議に思う
「なんで受け答える?俺に話す行為はあまりしない方がいい的な事はもういわれてるんじゃないか?」
【初めから気付いてるのに話さないというわけでにもいかないでしょ?それにハッキリと答えは言ってないしね】
「何が起こるかはわからんが、とりあえず俺は……いや、きっと俺達はいつも通りになるぞ」
少しだけ沈黙し、再びJBは言う
【邪魔をしない程度に好きにしなさい】
「どんな注意だよ」
*
「2学期も滑り出し順調!生徒達との信頼関係もますます強固になってますねぇ」
ここ最近の生徒の成長とそれぞれの交友関係の広がりがうれしく浮き足立つ殺せんせー
「今日も生徒たちは親しみの目で私を見つめ……」
ガラリと戸を開ければいつもの生徒の笑顔…ではなく
「汚物を見る目⁉︎」
「仕方ないと思うぞ殺せんせー……ホラ」
雄二が渡したの1枚の新聞紙。地方記事だがそこにはデカデカ『下着ドロ再び出没‼︎』と書かれている。
「“多発する巨乳専門の下着ドロ。犯人は黄色い頭の大男。ヌルフフフ…と笑い、現場には謎の粘液を残す”これって完全に殺せんせーよね」
「正直ガッカリだよ」
「こんな事してたなんて」
記事を読みながら冷や汗をダラダラと流しだす殺せんせーは当然弁解しだした
「ちょ、ちょっと待ってください‼︎先生まったく身に覚えがありません‼︎」
触手をぶんぶん横に振り、必死の形相である
「じゃ、アリバイは?この事件のあった昨日深夜、先生どこで何してた?」
言われて殺せんせーは昨日の事を思い出すが
「何って高度1万m〜3万mの間を上がったり下がったりしながらシャカシャカポテトを降ってましたが…」
「「「「「誰が証明できんだよそれをよ‼︎」」」」」
「つかなぜそんな事をする?意味がわからないんだが…それにアリバイは最初からないに等しい。先生なら大体マッハで戻る事も可能だしな」
雄二の言葉に大半が賛同した
「待てよ皆‼︎決めつけてかかるのはひどいだろ‼︎」
皆のまとめ役でもある磯貝が庇うと殺せんせーも多少だがほっとしていた
「殺せんせーは確かに小さな煩悩はいっぱいあるけど、けど今までやった事といっても…エロ本拾い読みしたり…水着写真で買収されたり……狂った用にグラビアに見入って『手ブラじゃ生ぬるい、私の触手ブラをさせて下さい』と要望ハガキ出したり………」
「…磯貝。いい」
「風見………」
「もう、いいんだ」←めっちゃイケボかつイケメン顔
「……先生、正直に言ってください」
「磯貝君まで⁉︎というかなんでちょっといいドラマ風にしてるんですか⁉︎納得いきません⁉︎」
ついに最後の味方もいなくなり、なら身の潔白を証明すると言う
「先生の理性の強さを証明するため、今から机の中のグラビア全部捨てます‼︎」
「多分また回収するんじゃないか?潔白できたと思ったら」
ギクぅという音がした気がしたがあえて無視して皆準備室に向かう
「見なさい‼︎机の中身全部だし…て…」
机の中のグラビア写真集を出していると紐状の物を見つけ、つい引き上げるといくつかブラジャーが出てきた。なぜと殺せんせーに再び冷や汗が出てくる
「ちょっと‼︎皆見てクラスの出席簿‼︎ 女子の横に書いてあるアルファベット……全員のカップ数が調べられてるよ」
岡野は皆に出席簿を見せるとたしかにはっきりと書かれていた。ただ例外もある
「私だけ永遠の0って何よこれ‼︎」
茅野だけは狙っているかのように違う書き方をされていた。意味は…いうまでもない
「なかなかの名作だぞ。誇っていい」
「ケンカなら買うよ風見君‼︎」
意味を理解していなかった風見はコードネームみたいなものかと思い本心で言っていた。そんなコントを横に前原がページを捲っているとまた新たに発見した
「最後のページ……街中のFカップ以上のリストが」
ドンドン出てくる疑惑に殺せんせーへの視線が厳しくなり、信頼が下がっていく。
「そ、そうだ!い、今からバーベキューしましょう皆さん‼︎放課後、やろうと準備しておいたんです‼︎ほら見てこの串‼︎美味しそ〜で…しょ…」
殺せんせーはどうにかしようとかなり強引に話題を変えようとクーラーボックスから串を取り出す。だが出てきたのは肉と野菜が刺さった串ではなくブラジャーが刺さった串だった
「「「「「………………」」」」」
クラスの目が完全に死んだ瞬間であった。自分の評価がドン底になってしまった事を感じた殺せんせーはの顔は青ざめていた。
*
終わりのベルが鳴り、今日の授業は全て終わった
「きょ、今日の授業は…ここまで」
とぼとぼと力なく教室をさる殺せんせーを見とどけ、しばらくして渚が教室の外をキョロキョロと見る
「大丈夫、もういない。聞かれてないと思う」
「うむ。なら、会議といこうか」
全員が雄二の机による
「にしても、ビビるわ。ほとんど風見の言った通りじゃん」
「殺せんせードヘンタイ疑惑の擁護って言われて新聞をラインに送られてきた時はたしかに目を疑う内容でも、先生ならあり得るって思ったけどさ」
「先にこんなにも色々見せられてたら逆に冷静になって違和感がバリバリなのがわかるよね」
と言って見せてくるのはバスケットボールにつけられたブラジャーに先生が来る前に準備室の机の中にあったブラジャーを発見した時の写真などを見せてくる。
「名簿にも細工はあるだろうと思っていたが、まさか串もとはな」
「何も知らない状態で見たらドン引きだけど、雄二君が色々教えてくれてたからね」
そう、実は皆とっくに今回の事件について知っていた。雄二が誰よりも先に情報をキャッチし教師以外にその事を連絡そして先生がいない間にさまざまな事を調べていた。ただ、それを殺せんせーに言わず、あえてこのような態度をとるよう指示したのは
「この間のフリーランニングの返礼だ」
「たまに思うけど雄二って変なところを気にするよね」
未だに根にもっていた小さな事であった。
「というか、ここまで見せたら正直言って俺が犯人と疑うと思ったんだが…」
と言うと全員何言ってんだこいつといわんばかりの顔になる
「いや、雄二君しないでしょ」
「うん」
「これもよくあるけど、雄二って意外と自分の評価が低いよね」
「それにブラジャーの隠し場所とかは岡島君の推理でしょ。岡島君なら仕方ないって」
「そうそうって俺なら仕方ないってなんだよ⁉︎」
雄二は目をパチクリとさせ、フッと軽く笑う
「話しを戻そう。今回の件、もうわかると思うが不自然な点が多すぎる」
不自然な点。
1、普段雄二でも気づかない程に忍び寄ることができる相手がこんなにもモロバレの行動をするのか?
2、証拠を残しすぎている事。いくらうっかりが目立つ殺せんせーでも多すぎる。また見つけやすい場所に置いてあるのも疑問
3、E組の教師でありたいと思っている殺せんせーがこのような行動に出れば信用がなくなるなど容易に判断できる。
4、いくら殺せんせーのスペックが高くとも、短期間で街中の女性のカップ数を測る…しかもかなりハッキリとした情報を得るのは現実的ではない
5下着ドロが出て3日目の新聞は13面だがデカデカと載っている。地方紙とはいえ現代日本でさまざまな情報が出る中こんな事をわかりやすく載せるのはおかしい
「以上を考えると意図的に情報操作をしている奴がいる」
「でも、そしたら一体誰が…」
「それは…」
「偽よ」
雄二が言う前に後ろから声がしてみると不破がフフフと笑いどこかワクワクした顔になっている
「にせ殺せんせーよ‼︎ヒーロー物のお約束!偽者悪役の仕業だわ‼︎」
「いやまぁ、実際偽者だろうが…お約束なのか?」
「うんまぁ、そうだね」
聞かれてそうだと渚に言われ、そうなのか…顎に手をつける雄二の目は無駄に真剣であった
「犯人は殺せんせーの情報をもった何者か‼︎律に助けてもらいながら手がかりを探してみる」
「…その線だろうね何が目的かわかんないけど、こういう噂が広まって賞金首がこの街に居られなくなっちゃったら元も子もない。俺らの手で真犯人ボコってタコに貸し作ろーじゃん」
「ただ、全員で動くのは得策じゃないな俺と調べる担当の不破、それとあと数人だな」
協議の結果、カルマ、渚、寺坂、茅野、不破、雄二となった。寺坂は体力を生かす為。カルマは頭脳、渚は暗殺者の腕を見込んで雄二が決めた。ちなみ、茅野は雄二がビビる程の殺気を纏い、同行を頼まれた為である。雄二曰く、あの執念もとい怨念みたいなものはどこからくるんだ…とのこと
*
結局、犯人の情報は新聞に書かれている以上の事はわからなかったが次に狙うであろうポイントはわかった。その夜、その場所に集合してフリーランニングを活かして侵入した。
「某芸能プロの合宿施設でこの2週間は巨乳を集めたアイドルグループが新曲のダンスを練習してる。その合宿は明日には終わる真犯人ならこの極上の洗濯物を逃すはずがないわ」
不破の説明を受けなるほどと納得する。…1名を除いて
「妙だな」
「ん?なにが?」
「この街で下着ドロが多発してるのは記事にもなってる。なのにわざわざここで合宿してわざわざ外に干す…おかしくないか?」
と言われて渚も気づいた。だがそれをこれ以上考察する前に事態が動く
「あっ、あそこ!殺せんせーがいる」
言われたところをみると忍者のような服装に黒いサングラスと頭巾をつけた殺せんせーがいた。身を隠す為なのだろうがどうみても盗み来た者のカッコである
「見て‼︎真犯人のへの怒りのあまり下着を見ながら興奮してる‼︎」
「あいつが真犯人にしか見えねーぞ‼︎」
「あんなだからこういうことが起こった時に疑われるのがわかんねーのか?」
ごもっともなツッコミをしているとカルマが気づき、指をさす。素早い身のこなしをして高い壁を登って降りる。その人物は大柄で黄色いヘルメットをつけている。バイザーもあって顔が見えないがその動きで只者ではないのはわかる。下着に近づき、持ち取ろうと手を伸ばした瞬間
「捕まえたー‼︎」
マッハでつめより触手で腕を拘束しそのまま重心をかけて押し倒す。
「よくもナメたマネしてくれましたね‼︎押し倒して隅から隅まで手入れしてやるヌルフフフ」
どったんばったんと触手を絡めてながら犯人ともみあう様子はセリフも相まって少々危ない光景である
「俺ら来た意味あったかコレ」
寺坂が言ったあと隠れる必要もなくなり先生のもとへ行く
「さぁ、素顔を見せなさい偽者め‼︎」
ついにヘルメットを掴み奪うように取った。だが、その正体を見て驚いた
「あの人…確か…」
「烏間先生の部下、確か鶴田だったはず」
なぜ彼がと動揺して反応が遅れた殺せんせーを周囲の物干し竿が干してあったシーツごと高く伸び先生の周囲を取り囲む
「国にかけあって烏間先生の部下をお借りしてね、この対先生シーツの檻の中まで誘ってもらった」
隠れていた今回の事件の本当の犯人が現れた
「君の生徒が南の島でやった方法を参考にさせてもらったよ。当てるよりまずは囲むべし」
「なるほど、妙だとは思ったがお前の差金だな、シロ」
「そういう事。街で下着ドロを重ねたのも殺せんせーの周囲に盗んだ下着やらを仕込んだのもね…あぁそうそう、そこの彼を責めてはいけないよ仕上げとなるこの場所だけは、代役が必要だったのでね」
「……すまない。烏間さんのさらに上司からの指示で断れなかった」
鶴田は申し訳なさそうにうなだれて謝罪をする
「チッ、どこもおんなじだな。烏間先生は今回の事は……知ってるわけないか」
言えば反発してくるなど容易にわかる。そんな面倒な事を上が起こすわけがない
「先生が俺たちの信用を取り戻す為なら、多少不自然でもここにくる事も想定済みってか?」
「フフフ、理解が速くて助かるよ。お礼に、中の様子がわからないから私の戦術を細かく解説してあげよう」
自慢するかのようにシロは説明をしだす
「シーツに見せて囲っていたのは対先生繊維の強化布とても丈夫で戦車の突進でも破けないから君が何かしようとしても無駄だよ。ちなみに匂いは洗剤臭でごまかした」
「俺らがくる事も想定済みか」
「そうさ。イトナは触手に刃先が対先生物質で出来たグローブを装着している高速戦闘にも対応するため混ぜ物をしてるから本来のナイフに比べ効果は薄れるが防御するため触手に触れるたび、じわじわダメージを与える。そしてイトナは常に上から攻撃して標的を逃さない。穴を掘って逃げようとすれば大ダメージを負う」
「……ご丁寧に説明ありがとうよ」
説明を聞き終わり、雄二はため息が出る
「さすがにこれではどうしようもないだろ?」
「あぁ、そうだな」
と頭をかいてシロを見下すように見て
「合格ライン50点で甘く評価して40点…赤点だな」
「何?」
そう口にするとシロも渚達も困惑する
「ちなみに、辛口の評価だとどうなんの?」
「15点だな」
「へー0点じゃない上に2桁なんてーよかったじゃん」
カルマも煽りだし、表情はフードで隠されてわからないがシロがキレているのはわかる
「…理由を聞こうじゃないか」
「1つ目先生相手に同じ手を使うのは期間を離した方がいい新しい作戦をもう一度すぐに使うのはリスクがある。2つ目先生相手にじわじわダメージを与える攻撃厳禁。目が慣れてしまう可能性があるやるなら一撃一撃が致命傷になりかねない攻撃だ毒とかな…まぁ、先生に通じる毒があるか知らないが…3つ目先生は生徒に攻撃できない。なら上から攻撃せず上も塞いで狭い中で畳み掛けるような攻撃にする方が効果的だ」
雄二が言うたびにシロの手に怒りが込められていく
「そして」
「4つ目、先生も学習するんです。生徒が日々成長していくなか、私も成長しなくてどう生徒に教える事ができるでしょうか。1学期だったらともかく、この期間で様々な作戦を仕掛けられてきましたし、しかもイトナ君の攻撃は3回目流石に目が慣れます。とまぁ、ここまでが風見君の考えでしょうが…5つ目、夏休みの完全防御形態の経験から、先生はひとつ技を学習しました」
殺せんせーが余裕ある感じで話し出したという事はもうイトナは仕留める事はできない。そして檻の内部から強い光が出だし、強大なエネルギーを感じる。それはシロも予想外だったのか驚いている
「全身ではなく、触手の一部だけを圧縮し、エネルギーを取り出す。…憶えておきなさいイトナ君先生にとって暗殺は教育、暗殺教室の先生は、教えるたびに強くなる」
瞬間、世界から音が消えた。だが本当に一瞬。とてつもない衝撃波おき、対先生繊維の檻を破壊し、余波で周囲の窓ガラスが壊れ、イトナは近くで余波を受けた為吹っ飛んだ。力なく落ちるイトナを抱き抱えてキャッチして静かに地面に下ろした。
「そういう事ですシロさん。この手の奇襲はもう私には通じませんよ。彼をE組に預けておとなしく去りなさい」
ビッと触手を向けてそう言う。これだけで終えればいいものの
「あと、私が下着ドロでないという正しい情報を広めてください」
「私の胸も正しくはび、Bだから‼︎」
「しまらねぇな。まぁE組らしいけどな」
そしてシロは…表情は相変わらず見えない。だが何かを諦めたか、冷めたような、そんな表情をしているのではないかと思える態度をとっていると
「い…痛い、頭が、脳みそが、裂ける…‼︎」
イトナが急に頭を抱え目の焦点が合わなくなり、苦しみ出す
「度重なる敗北のショックで触手が精神を蝕み始めたか。……ここいらが限界だねこれだけ私の術策を活かせようでは」
何を言っいるのか、雄二はすぐに理解した。それは、己を重ねるように
「イトナ、君の触手を1ヶ月健全に維持するのに火力発電所3基分のエネルギーが要るこれだけ結果が出せなくては組織も金を出さなくなるよ。…君に情が無い訳ではないが、次の素体を運用するためにも見切りをつけないといけない。さよならだイトナ後は1人でやりなさい」
「待ちなさい‼︎あなたはそれでも保護者ですか‼︎」
「教育者ごっこしてんじゃないよモンスター。何でもかんでも壊すことしかできないくせに。私は許さない……おまえの存在そのものを。どんな犠牲を払ってもいいおまけが死ぬ結果だけが私の望みさ」
憎悪と悪意が混じったその言葉は彼の見えない顔の表情がわかるようだった。そして
(⁉︎なんだあのジャンプ力…人間…なのか?)
高い壁をゆうゆうと一飛びで登るシロに驚愕を隠せないがそれよりも大変な事が起こる
「それよりいいのかい?大事な生徒をほっといて」
「伏せろ‼︎」
雄二が指示しながら皆に覆い被さり、殺せんせーが暴走したイトナの攻撃を防ぐ。
「ガァあぁぁあっ‼︎」
獣のように吠え、一瞬で夜の闇に消えた。静寂だけがその場に取り残された
ちなみに
かけませんでしたが雄二が殺せんせーに伝えてないのは意趣返しだけでなく、今回のシロ作戦を邪魔しない為でもあります。烏間はどうせ知ってるだろうと思い話してないです。もし最初からシロの作戦だと知っていたら殺せんせーにはそれとなく烏間にはハッキリと教えていました。