暗殺教室 グリザイアの戦士達   作:戦鬼

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タイトルがちょいネタバレな件についてw



親友の時間

E組の皆が心配している竹林は初のA組での授業を受ける

 

「授業の準備はできてるか竹林?」

 

「E組の先生は適当だったと思うけどな、A組の先生は進み早いから取り残されんなよ~」

 

「…はは、緊張するな」

 

「せっかく表舞台に戻って来れたんだ、竹林君ならついてこれるさ。大変だろうが一緒に頑張ろう。ね」

 

他の生徒はどうかわからないが少なく彼、浅野学秀の言葉は心にもないとわかる。ただの社交辞令のようなものだと

 

「………ありがとう、浅野くん」

 

わかってはいるがそれに返さないわけにもいかず受け答え授業に望む……だが始まってすぐに竹林の手が止まってしまう。他の者から見ればE組と違いすぎて呆然としていると思われるだろう

 

(…これが、A組の授業⁉︎)

 

だが呆然ではない唖然だ。そしてペンを止めても問題はない。

 

(E組じゃ…1学期でやったとこだぞ)

 

なぜなら内容はとっくに頭に入っているからだ。だからこの授業でペンを止めて教師の声を聞くだけでもわかる。わかるのだが理解していなかったらまずついていけてなかった。要所を絞ることなく次から次へと無駄に教えていく。しかもそれが常に早口な黒板に書いたもの口で言っている部分を書くのに手一杯で授業で完全理解は不可能。後は独自の学習で理解してくれと言わんばかり。

 

(生徒の都合は一切無視。ついて来れない奴をふるい落とす為の授業だ)

 

 

竹林が殺せんせーに個別に教わったやり方は竹林に合うもの。というより竹林のようにいわゆるオタクにこそ合ったやり方。彼のイチオシのアニメのオープニングを替え歌にして教えいくもの。が、その後殺せんせーの弱点に音痴がつくほどの酷い歌唱力だった為殺せんせーの歌では覚えにくく自分で替え歌にして覚えた。

 

「覚えるのは0°から90°までの角の三角比の値の5つの値だけでいいそれでどうにかなる。さっさと歌詞つくって覚えるぞ」

 

「なんで俺までやるんだよ⁉︎」

 

「竹林、この前田という女のところで重要ポイント作れるか?どうも寺坂のお気に入りらしい」

 

「何で見てるの知ってんだよ⁉︎あと、前田ちゃんって言えや‼︎」

 

どうでもいいかもしれないがだんだん寺坂もそっち(2次元人)側に行こうとしていた。

 

「殺せんせー、キャラの胸ばっか見てないで手伝ってくれ。音痴なんだからそれくらいしかできないんだし」

 

「ちゃんと名前で呼んでください‼︎つねみちゃんです‼︎あと音痴ってハッキリ言わないで‼︎」

 

生徒の2次元の好みを知る為とっくにハマった超生物(笑)

 

「なんだかバカにされた気がします⁉︎」

 

「なに言ってんだ?とにかくこの歌詞作ってたらそれこそ勉強になる作ったらそれを聴いて寺坂も竹林も勉強になるWin Winだろ?」

 

 

(やたら貪欲に生徒の情報を学ぶ先生。寺坂もあいつなりに僕の事ことを知ろうしてくれて、風見は皆の事を知って共に歩もうとしてくれていた。…あいつの過去は知らないけど、あんな超人的な天才の弟にいたら周りからどう思われていたかなど想像がつく)

 

 

風見の姉の名前を聞いた時、どこかで聞いた気はしていた調べてみると少し時間がかかったがあっさり出た

 

(4歳で天才絵画家としてデビュー以降様々な作品をだし、学業でも優秀すぎる結果をだし最年少で紫綬褒章を受章。12歳以降はあまり活動はしないものの動いた時はそのたびに称賛される……なるほど…こんなのが身内にいたあいつは、どう思ってたんだろうな)

 

 

そんな思考をするのは理由がある。今の自分に違和感があるのもあるが

 

(で、いるよな)

 

外の茂みに烏間から教わったカモフラージュ技術で頭に植物をつけて隠れているが本校舎の茂みにある植物と違うので見る人が見れば余計にあやしい。特にツヤツヤ黒ダコ(殺せんせー)

 

(風見がいるならもうちょっとは上手く出来るはずだけど、また殺せんせーの悪ノリに気付かずやってるんだろうな)

 

茂みで1人の男がくしゃみをしていた

 

(なんでまだ、僕の事を知ろうとする?)

 

竹林は愚かでも自惚れてもない。E組で暗殺の役に立っていないのはわかっていたそれもあったから本校舎に戻った。裏切りとわかったうえで、自分の為に

 

(今の僕を見て、何を学ぶ?なんの価値がある?…そもそも僕は何を学びにここへ戻ってきたんだ?)

 

今の竹林であれば、授業を聞かずとも内容の一部から効率よく勉強し余裕を持てる。ここでやっていける。だが意味があったのか?そう問われた時、彼に答えはでない

 

「どうだい竹林君、クラスにはなじんだ?」

 

「…‼︎ま、まぁ」

 

思考の海から引き上げたのはいつのまにか近くに来た浅野だった。

 

「理事長室に行ってたんだよね?どうしたの?」

 

「うん。突然だけどついてきて。理事長が君を呼んでるよ…逆境に勝った君を、必要としているようだ」

 

 

一方竹林の様子を見にきたE組の皆は

 

「理事長室に入ったようですねぇ」

 

「くそ、カーテンで中が見えねぇ」

 

浅野のに何か言われ追って見ると理事長室に行くのがわかったがさすがにあの理事長が手の内を明かす事はしないのは分かっていたのでやはりといった感じだ

 

「だが、見たところ問題はなさそうだな。うまくなじめてそうだし」

 

「……そう見えるか?」

 

雄二は気付いていた。その違和感に

 

「?んなことねーだろ。ちゃんと溶けこんでじゃねーか」

 

「俺には、今の竹林が別人に見える。気付かないか?あいつ、オタクっぽさが消えてる」

 

「「「「………」」」」

 

「というより、オタクっぽさを殺している感じですかねぇ」

 

「窮屈そうだな、あいつ」

 

だからといって彼の人生の選択にあれこれ口出しなどできない…できないが

 

 

 

 

「風見?」

 

塾帰りの帰路で竹林は風見と会った

 

「よ、奇遇だな」

 

「……待ち伏せだろ?」

 

「そうとも言う。まぁ、ちょっとだけ帰るついでにつきあってくれ」

 

「…そういう言葉は矢田さんとかに言えば?」

 

「?」

 

(相変わらず鈍感だな…千葉は見た目がギャルゲー主人公だけど風見は存在がギャルゲー主人公だな)

 

まぁ実際そうですし

 

「なんか変な声しなかった?」」

 

「いや、別に。それより帰ろうぜ」

 

そうして2人は歩き出すだが会話はない。竹林は理事長室で明日の事を話していたその日は理事長が今の椚ヶ丘の前身である私塾を開いた日で創立記念日としているそこでの集会で竹林はE組の監視・再教育するという名目の“E組管理委員会”の設立の同意を求めるもの。E組がどれだけ拒否しても本校舎の生徒は良しとして全員が賛同するだろう

 

かつての友を囚人のような或いは奴隷のような扱いをする。理事長曰く、強者への一歩。そんな事をしようとしているとは思ってもいないだろう相手に会話などどうすればいいかわからなかった

 

「何も言わないの?」

 

「言ってほしいなら言うが…どうする?」

 

一瞬だけ考え竹林は頷いて肯定する

 

「A組の連中はどうだ?オタク友はいたか?」

 

「いると思う?それに、もう僕はそういうのとは……」

 

「卒業か?せっかくアニメについて語ろうかと思ったんだがな」

 

「見てるんだ……ちなみ今何見てるの?」

 

「動物の擬人化アニメの第2期だ………本音と建前どっちが聞きたい?」

 

竹林はそのアニメの事は知っているだが1期と比べ2期は…

 

「嫌な予感がするけど建前で」

 

「オープニングはなかなか良いなあとペンギン達の歌も良い」

 

「歌の事しか言ってないじゃん本編は?」

 

「……ノーコメント」

 

「おい」

 

ついツッコミを入れると雄二はクスリと笑う

 

「やっぱりそっちがいいぞおまえは。遠慮せずにもっと自分を出してもいいんじゃないか?結果さえ出せば、何も言われないさ」

 

「………」

 

もうできないやめると思っていたが話し出すとこんなに弾んでいた事に気づいた竹林は黙ってしまった

 

「…別の話にしようか?というよりそろそろ俺もツッコミを入れた方がいいのか?アレに」

 

「いや、僕がやるよ。…殺せんせー、警察呼びますよ」

 

「にゅやッ!な、なぜ闇に紛れた先生を⁉︎」

 

「いやぜんぜん紛れてないぞ、むしろ悪目立ちしてる」

 

黒い物体が電灯に照らされているさまは違和感しかない。

 

「というか、毎回前に来て観察するなよ…せめて後ろにつくべきだろ。ほんとにマッハの無駄遣いだな」

 

容赦なくダメ出してわかりやすく落ち込んでいた。

 

「で、僕に何の用ですか?殺しとはもう無縁のこの僕に…⁉︎」

 

「って誰だ⁉︎」

 

マッハで竹林のイメチェンメイクをほどこしオタク系からビジュアル系のイケメンに変貌させた。

 

「君の個性のオタクキャラを殺してみました」

 

「…こんなの僕じゃないよ」

 

「たしかに。これでさっきの会話してたら違和感しかない…っておれにまでしようするなよ先生」

 

「にゅう〜気付かれますか〜逆にオタク系メイクをしようと思ったのですが。まぁそれはいいとして、竹林君、先生を殺さないのは君の自由です」

 

でもねと先生は続けて言う

 

 

「“殺す”とは日常に溢れる行為ですよ。現に家族に認められるためだけに…君は自由な自分を殺そうとしている。でも君ならいつか君の中の呪縛された君を殺せる日が必ず来ます。それだけの力が君にはある」

 

「………」

 

「焦らずじっくり殺すチャンスを狙って下さい。相談があれば闇にまぎれていつでも来ます」

 

「ならこんどはもうちょっとわかりにくく来いよ先生。ぜんぜんまぎれてないから」

 

グサっという音が聞こえ怯みながら今度こそ殺せんせーはマッハで闇に消えた

 

「じゃ、俺もこの辺失礼させてもらう。…竹林、俺からももう1度いうぞ。今のおまえは本当のおまえか?」

 

「…僕は」

 

「答えはすぐに出さなくていいさ。時間は常に限られていても、余裕はあるんだからな」

 

その先の竹林の答えは聞かず、雄二は去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

去ったふりをした。今日もいつもの装備でいつもの場所から見ていた。

 

「なぁ、JB」

 

【なに?また愚痴?今回の件はしかたないから聞いてあげるわ】

 

ただ、少し違う

 

「いや、違う。多分もうすぐこの仕事は終わるからちゃんと給金の準備をしてくれ」

 

雄二には予感があった。もう大丈夫だという

 

【……そう。でもどうするの?そんな事を聞いて?】

 

「詫びってわけじゃないが、今回は俺が奢ろうと思う行きつけのメイド喫茶のな」

 

 

 

翌日、創立記念日の集会にいつも通りE組は早くに来ていた

 

「なんか、目が死んだ魚みたいな目になってるよ、大丈夫雄二君?」

 

「あぁ、ようやく昨日で深夜のバイトが終わったから今日からはちゃんと寝れる……と思いたいが、烏間先生からまた嫌な役目を押し付けられそうだ」

 

「なに、それ?」

 

「…ここだけの話だがどうも2学期から暗殺に新しい要素の1つとして火薬を組みこむそうなんだが、それに生徒1人が専門知識を覚えて火薬の安全に取り扱う必要があるらしく、それに俺があたりそうなんだ」

 

「……国家資格の勉強かぁ〜大変だねそれは。…お弁当、スタミナメニューにする?」

 

「いや、いい。多分変わりができる」

 

うちのクラスにやりそうな人が他にいるのかなと思いつつ桃花は列に並びだした。

 

全生徒が集合してすぐに壇上に竹林が出てくるとざわざわと何が始まるのかと困惑している。マイクの前でペコリと小さくお辞儀をして手にもったメモを前に出す。彼の異変にE組の観察力に優れている者は気付いた

 

「胸騒ぎだ。竹林から殺気を感じる…何か大事な物をメチャメチャに壊してしまいそうな」

 

千葉に言われ彼の背後に悪魔ようなものすら見えた気がした

 

〔僕の…やりたい事を聞いてください。僕のいたE組は弱い人達の集まりです。学力と言う強さが無かったために本校舎の皆さんから差別待遇を受けています…でも〕

 

彼の心は誰にもわからない。本校舎の人間もE組の皆にも

 

『今のおまえは本当におまえか?』

 

その言葉が彼の中にある事など誰にもわからない。だが雄二は予感はあった。ぶち壊してくると

 

[でも僕は、そんなE組が…メイド喫茶の次ぐらいに居心地が良いです]

 

「「「「「「‼︎⁉︎」」」」」」

「ふはっ」

 

たった1人はまさかそうくるとは思わずついツボにハマった。他の皆が呆気に取られるがお構いなしとばかりに言葉を続ける

 

〔…僕は嘘をついていました。強くなりたくて、家族に認められたくて〕

 

建前なしの本音。もう彼は覚悟を決めていた。

 

(見てるか風見?これが僕だ)

 

本当の自分を全面にだしてぶち壊していく

 

〔でもE組の中で役立たずの上裏切った僕をクラスメイトは何度も様子を見に来てくれた。先生は僕のような要領の悪い生徒でもわかるように手を替え品を替え工夫して教えてくれた。僕の……」

 

ちょっと言うのが恥ずかしいがもう良いとぶちまける。

 

〔僕の親友は、ずっと僕の事をわかってくれて、助け船をどこでも出してくれた〕

 

「………」

 

雄二は少し複雑な目になって言葉を聞き続ける

 

〔家族や皆さんが認めなかった僕の事をE組の皆は同じ目線で接してくれた。世間が認める明確な強者を目指す皆さんを……正しいと思いますし尊敬します。…でも、もう暫く僕は弱者でいい〕

 

竹林を止める為、理事長の指示で教師が動き出し、独自の判断で浅野も動きだすだがもう遅い。竹林は隠していた物を出した。ガラス製のそれは表彰楯。そこに書かれた名は理事長の名前

 

〔理事長室からくすねてきました。私立学校のベスト経営者を表彰する楯みたいです。…理事長は本当に強い人です全ての行動が合理的だ〕

 

それを服の内側に隠していたおそらくお手製の木と刃先が鉄板で出来たナイフを出し、振り上げる。この時点で何をする気など言わずともわかる。楯を粉々に粉砕した。

 

〔浅野君が言うには、過去これと同じ事をした生徒がいたとか…前例から合理的に考えれば……〕

 

下を向いていた竹林の顔が上がり表情は遠くからはみえずともハッキリとわかる

 

〔E組行きですね僕も〕

 

とても晴れやかだった

 

 

 

皆がE組校舎に戻ってほんの少し遅れて竹林は入ってきた。おかえりとよくやったとかそんな言葉と、寺坂に髪をクシャクシャにされたがどうも楽しそうだ

 

「なぁ、竹林」

 

「別に名前でいいよ、雄二。というか、何か厄介ごと?」

 

「何で俺が話す=厄介ごとなんだ」

 

違うの?という顔をされので正直に話す。火薬の取り扱いを覚えるのをかわって欲しいと

 

「できるでしょ?」

 

「正直面倒だ」

 

実は既に(・・)できるが烏間も彼の正体がバレる可能性を下げたいのもあり他にやりそうな人物を探していた

 

「……まぁ、勉強の役に立たない知識だけど…これもどこかで役に立つかもね」

 

「できるか?」

 

「まぁね。2期オープニングの替え歌にすれば余裕だよ」

 

「そうか、それはよかった」

 

と安堵していたが竹林は「何言ってんの」とメガネをキラリと光らせる

 

「君にも替え歌作りに付き合ってもらうよ覚えてる人が多ければ多いほどいいだろ?」

 

以前よりも積極的に絡んでくる彼にはぁとため息をつく

 

「わかった。報酬にメイド喫茶の奢りもつけてやるよ孝太郎」

 

 

 

 

 

 

その後、雄二に与えれていた任務は話し合いの結果破棄された。最初は始末しろとの声があったがその話し合いの会議に烏間が乗り込んで来てやいのやいのと怒号が飛んだそうだ。その情報をどこで、誰が出したかは、わからない。JBの記録にもなかった事から彼女ではないとして内部犯の存在を探すのに必死になるが、その捜索も地下の教授の判断で打ち切りになったそうだ




今回の竹林編はグリザイアの世界観と合わせる為以前から考えてました。暗殺教室では彼が出て行っても許されていましたがグリザイアの世界観で見ると許されないだろうなーと考えこうしました

烏間に情報を出した人物はいうまでもない


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