暗殺教室 グリザイアの戦士達   作:戦鬼

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最近友人が教えてくれたラノベを多く読み出しました。今更ながらやっぱ面白いものは面白いですね


伏魔の時間

殺せんせーが閃光と共に弾け、その衝撃で小屋にいた者たちもフライトボードに乗っている者も小屋の周りに居た者も吹っ飛ばされたが訓練の成果でどうという事なく着水しており、泳げない茅野は遠くから放水していたので大丈夫であった。

 

「や、殺ったのか⁉︎」

 

それは、全員に感じた感触。いままでに無いほど手応え

 

「油断するな‼︎奴には再生能力もある‼︎片岡さんが中心になって水面を見張れ‼︎」

 

烏間の指示でハッとして気を引き締め直す。周囲を警戒していると陽菜乃がブクブクと気泡が出ているのを発見した。気泡はだんだん激しくなりそこへ銃を向ける。そこに出てきたのは手の平に持てるくらいの透明な球体の中に入ったオレンジ色の殺せんせー

 

「これぞ、先生の奥の手中の奥の手『完全防御形態』‼︎」

 

なんだそりゃ⁉︎と言わんばりに驚く皆に先生は解説をはじめる

 

「外側の透明な部分は…高密度に凝縮されたエネルギー結晶体です。肉体を思い切り小さく縮め、その分余分になったエネルギーで肉体の周囲をガッチリ固める。この形態になった先生はまさに無敵‼︎水も対先生物質もあらゆる攻撃を結晶の壁がはね返します」

 

「……そんな、じゃずっとその形態でいたら殺せないじゃん」

 

「いや、本当にそうなら奥の手とは言わないはずだ。それに弱点も多い身動きできないんだろ、それ?」

 

「さすが風見くん鋭い。このエネルギー結晶は24時間ほどで自然崩壊します。その瞬間に先生は肉体をふくらませ、エネルギーを吸収して元の体に戻るわけです。裏を返せば結晶が崩壊するまでの24時間、先生は全く身動きが取れません」

 

「その間に例えば潜水艦とかを使って深海に箱詰めして放置してしまえばアウトだ」

 

「もうひとつは高速ロケットに詰めこまれはるか遠くの宇宙空間に捨てられることですかね…でも風見くん、それが無理だともわかりますよね」

 

「24時間以内にそれができる宇宙船なんてどこにもない。潜水艦にしても今から呼んで水深に耐えられそ尚且つ殺せたか確認できる箱を用意するというのも不可能だな。見た感じ浮力も高そうだしな」

 

打つ手なし。奥の手の弱点も視野に入れてのものだ。完全敗北である

 

「何が無敵だよ。なんとかすりゃ壊せんだろこんなモン」

 

ガンガンとスパナを打ちつけるが全く効果がない

 

「無駄ですよぉ〜核爆弾でもキズひとつつきませんから〜」

 

顔がシマシマになって口笛を吹いてる。イラっとした雄二は目線でカルマに合図を送るとカルマは理解してコクリと頷く。寺坂から殺せんせーを受け取りカルマの元にもっていく

 

「にゅふー何をしようと無駄ですよぉ〜」

 

「その余裕、いつまでもつかなぁ〜殺せんせー」

 

「?」

 

「ねー打つ手なしだもんねー仕方ないよねーお互い(・・・)さ」

 

悪い顔をする雄二とカルマに殺せんせーはこの状態で何をするつもりかと疑問に思った。茅野からスマホを受け取りカルマはそれを見せる。殺せんせーがエロ本の山の上で一心不乱にエロ本を読んでいる写真を

 

「にゅやーッ‼︎や、やめてー‼︎手がないから顔も覆えないんです‼︎」

 

「そりゃいい。自分の醜態に目を逸らすことない立派な教師でいられるぞ殺せんせー」

 

「というわけで至近距離で固定しとくねー」

 

「ちょ、やめ、話しを聞いてー⁉︎」

 

「ウミウシ拾ったから引っ付けておこう」

 

「なら俺はラクガキだな消えないマジックがあったなーたしかぁ〜」

 

「ヒィィィ‼︎」

 

文字通り打つ()なしやりたい放題だが身動きができない殺せんせーにはどうしようもない。

 

「あっそうだ誰か不潔なオッサン見つけてきてー。これ、パンツの中にねじ込むから」

 

「誰か助けてー‼︎」

 

流石に哀れにおもったのもあり、烏間は殺せんせーをカルマから取りビニール袋に入れる

 

「とりあえず解散だ。上層部とこいつの処分法を検討する」

 

「ヌルフフ。対先生物質のプールの中にでも封じこめますか?残念ですがその時はエネルギーの1部を爆散させてさっきのように爆風で周囲を吹き飛ばしますから」

 

考えられる1番の対策だったのだろう、烏間も苦い顔をする。

 

「ですが、皆さんは誇って良い。世界中の軍隊でも先生をここまで追いこめなかった。ひとえに皆さんの計画の素晴らしさです」

 

褒めてはくれたが素直に喜べる者は1人もいなかった。ここまで大規模な作戦を失敗したショックは大きかった。…特に、スナイパーの2人は

 

「律、記録はとれたか?」

 

他の皆がホテルに戻り、残ったのは3人と1台。雄二、速水、千葉、そして律

 

「自己採点だがどうだった?」

 

「撃った瞬間わかったよ“ミスった”って“この弾じゃ殺せない”って」

 

「速水も同じか?」

 

聞かれた速水はコクリと頷く表情は暗い

 

「律、あくまでも計算の上は?」

 

「断定は出来ません。あの形態に移行するまでの正確な時間は不明瞭なので」

 

計算をしながら律は言うそして「ですが」と計算が終わったのか話しを続ける

 

「千葉くんの射撃があと0.5秒早いか、速水さんの射撃が標的にあと30cm近ければ、気付く前に殺せた可能性が50%ほど存在します」

 

やっぱりかと速水は呟く。

 

「……」

 

「「ごめん、風見」」

 

「2人してごめんか…そんなに自信がなかったのか?」

 

「そんなことはない。…リハーサルはもちろん風見から受けた訓練はあれ以上の難しさだった。だけど、あの瞬間ゆびさきが硬直して視界も狭まった」

 

「私も同じ…絶対に外せないって思ったら“ここしかない”って瞬間」

 

訓練とはまるで違うのだと言わなくても伝わった

 

「で、自己採点は?」

 

「決められなかった…0点だよ」

 

「…私も」

 

重々しく、ため息がでた雄二の目を2人は見れない。

 

「ともかく、今日は休め。それもスナイパーとしての役目だ」

 

と雄二はホテルに向かうが「うっ」と口を塞ぎ膝をまげる

 

「⁉︎、だ、大丈夫か、風見‼︎」

 

「気分がわるいの⁉︎」

 

「あぁ、いや、持病みたいなものだすぐにおさまるl

 

言われるとたしかに顔色は悪くはない。表情はわるいが

 

「さ、戻ろう。……千葉、速水。スナイパーにとって外すというのは論外だ。当ててこそのスナイパーだからな」

 

言おうか悩んだが雄二はハッキリと言うことにした。

 

「だが、今まで本番に立ち会うことがないままだったんだそれはしょうがない。スナイパーは撃った瞬間にほぼ位置がバレる。だからミスしたら必ず逃げて次のチャンスを探す」

 

「そんなチャンス、くるの?」

 

「くる」

 

ハッキリと雄二が答えた

 

「そして、おまえ達は逃げる必要もないんだ。ターゲットはいつもそこにいるいい練習台だし、それに言ったろ?俺達で殺すって」

 

「「………」」

 

嬉しかった。その言葉にホッとした。けどやはり思ってしまう雄二ならできたのではないかと。射界訓練で自分達以上に結果を出した彼なら

 

今回雄二は参加できないのがわかっていてもそう思わざるを得なかった。

 

 

 

(なんだ、これは)

 

その状況は異常という以外ない。皆異常に疲労していた。たしかに今回1日かけた大掛かりな作戦を失敗した疲労は出てくるはずだ。全員ではないが顔色が悪く、息をはくのにも苦労しているようにも見える。

 

「あ、雄二くん…肩貸しちゃくれない?部屋に戻って着替えたいのにさぁ、ちぃ〜とも体が動かんのよ…」

 

「莉桜⁉︎」

 

ヨロヨロと雄二に近付いてきた莉桜だがそこでバタリと倒れてしまう。抱き抱えて目を見ると焦点があっていない顔は赤く、額に触れると熱さを感じる

 

「あ、ずるいなぁ、わた、し、も…」

 

「陽菜乃、おい、しっかりしろ‼︎」

 

陽菜乃も倒れガクガクと痙攣を起こし、息は乱れていた。2人だけではない

 

「雄二!岡島くんが吐血を…」

 

「岡島だけじゃないようだ」

 

他に7人、計10人が似たような症状になっている。烏間が慌ててフロントに島の病院の位置を聞くが小さな診療所程度しかなくしかも当直医は夜になると他の島に帰ってしまうとのことだ。と、烏間のスマホが鳴り非通知設定とあるが偶然とも思えずそれをつなぐ

 

「何者だ、まさかこれはおまえの仕業か?」

 

おそらく実行犯と思われる者と話しているとさとり、彼らを寝かして安静にさせて近付き話しの内容を聞く。

 

【その様子じゃクラスの半数はウィルスに感染したようだな。フフフ結構結構】

 

正体がバレないようにする為か声にノイズがかかったように聞こえる

 

「もう1度聞く、おまえは何者だ?」

 

【俺が何者かなどどうでもいい賞金百億を狙っているのはガキ共だけじゃないってことさ。治療薬はスイッチ1つで爆破出来る。我々の機嫌を損ねれば感染者は助からない】

 

「……念入りだな」

 

【そのタコが動ける状態を想定しての計画だからな、動けないなら尚更こちらの思い通りだ】

 

殺せんせーがこうなってしまったのは偶然だが結果的に相手にアドバンテージを与えてしまった

 

【山頂の『普久間殿上ホテル』その最上階まで、1時間以内にその賞金首を持ってこい。だが先生よ、お前は腕が立つそうだから危険だな】

 

相手はカメラでこちらのことをある程度把握しているのだろう【そうだな】と考えたような口ぶりで

 

【動ける生徒の中で最も背の低い男女2人に持ってこさせろ】

 

チラリと烏間は茅野と渚を見る。クラスの中で低身長の男女はこの2人だからだ

 

【フロントに話は通してある。素直に来れば賞金首と薬の交換はすぐに済む。だが外部と連絡を取ったり…1時間を少しでも遅れれば即座に治療薬を破壊する。…礼を言うよ。よくぞそいつを行動不能まで追い込んでくれた天は我々の味方のようだ】

 

言うことを言ったからもういいとのばかりに一方的に切る。烏間は怒りのあまり殺せんせーの入った袋を叩きつけた。

 

「烏間先生、まずは説明を。情報を共有しましょう」

 

落ち着いて雄二は言うが拳はギリギリと握り怒りの矛先をどうにかそこに移している。

 

一通りの説明をしたがやはり皆動揺していた。そこに烏間の部下、園川がホテルに政府として問い合わせをしていたらしくその報告をしにきたが

 

案の定(・・・)ダメです『プライバシー』を繰り返すばかりで……」

 

「……やはりか(・・・・)

 

「案の定?やはり?何か知っているんですか?」

 

「警視庁の知人から聞いた話だが、この小さなリゾート島『普久間島』は別名『伏魔島』と言われてマークされている。ほとんどのホテルはまっとうだが離れた山頂のホテルだけは違う。南海の孤島という地理もあって国内外のマフィア勢力やそれらと繋がる財界人らが出入りし、私兵とホテルの厳重な警備のもと、違法な商談やドラッグパーティを連夜開いてるらしい。おまけに政府のお偉いさんともパイプがあり、うかつに警察も手が出せん」

 

そんなホテルが彼らの味方をする可能性は0だ。

 

「さらに、最も背の低い男女…このクラスで言うなら渚と茅野だろうな。行った後で人質にされ薬ごと逃走される可能性も高い」

 

「そうだぜ。だいたいこんなやり方する奴等にムカついてしょうがねぇ。人のツレにまで手ぇ出しやがって!奴らの要求なんざ全シカトだ‼︎今すぐに全員を都会の病院に……」

 

「賛成しないな」

 

寺坂の言葉に否をかけたのは医者の息子である竹林だった

 

「もし本当に人工的に作った未知のウィルスなら、対応できる抗ウィルス薬はどんな大病院にも置いてない。対症療法で応急措置はしとくから急いで取引に行った方が良い」

 

フロントからもらってきた氷と布巾で応急処置の準備にとりかかる竹林は冷静だった為ヒートアップしそうだった寺坂をクールダウンさせた。

 

「渚、茅野、準備をしておけ。ただし、ギリギリまでここで待機。その間に俺と烏間先生であそこに侵入して犯人を確保する」

 

「え、ちょ、雄二⁉︎」

 

「烏間先生、いけるか?」

 

「……2では作戦の選択肢が限られる。そもそもどうやって潜入する?」

 

「1人で行くよりマシだ。潜入は律にあの内部にハッキングをしてもらう。できるか、律?」

 

「はい。既に(・・)内部図面と警備の配置は特定済みです」

 

「だそうだ。すぐにでも……ちょっとまて、いくらなんでも早すぎないか?」

 

まるでもっと前から頼まれていたかのように

 

「風見くん、どうせならもっと成功率を上げましょう」

 

どうやら殺せんせーが頼んでいたようだ。

 

「元気な人は汚れてもいい格好で来てください」

 

 

 

 

車を使いホテルの裏側にいくと高い崖になっており皆ホテルを見上げている。まさかこんな崖を登って侵入するなんてできないだろうと考え警備はいない

 

「この崖を登ったところに通用口がひとつあります。さて、皆さんに問いましょう。…皆さんがとるべき選択肢は2つ、敵の意のままになり渚くんと茅野さんを送り出すこと。もう1つは患者10人と看病に残した竹林くん奥田さんを除いて動ける全員でここから侵入して最上階を奇襲し、治療薬を奪い取る‼︎」

 

後者の選択肢はあまりにも危険だった。

 

「おい、この手慣れた脅迫の手口は明らかにプロの者だぞ」

 

「ええ、しかも私は君達の安全を守れない。大人しく私を差し出す方が得策かもしれません。その上で問いますしょう…どちらを選ぶか。全ては君達と指揮官の烏間先生次第です」

 

「無理に決まってるでしょ‼︎この崖よ‼︎ホテルにたどり着く前に転落死よ‼︎」

 

ビッチ先生の言う通りだ。本来こんなのは無茶振りでしかない

 

「…そうだな。ここは口惜しいが奴等の要求を……」

 

「いや、案外いけるかもしれなぞ…ほら」

 

と雄二が指した方を見ると既にヒョイヒョイと崖を登る生徒達がいた。

 

「考えてみろよ烏間先生。俺やあいつら普段どんなところでどんな訓練してるか」

 

「でも、未知のホテルで未知の敵と戦う訓練はしてません。なので烏間先生、難しいけどしっかり指揮を頼みますよ」

 

「そういうこと…だ!」

 

雄二も続けて登りあっという間に追いついた

 

「まぁ、俺と烏間先生だでもいけるけどな」

 

「ケッ!強がんな。部の悪い賭けなのは承知だったんだろ?俺らに負担がかからねーようにして」

 

うんうんと皆寺坂に納得していた。

 

「クラスん中じゃテメーがトップだろうよ認めるのは癪だがな。だが、俺らをお荷物扱いすんなや」

 

「…お荷物扱いはしてないつもりなんだがな」

 

「無意識にしてんだよそれは。ともかく、腹が立ってんのは俺らも同じだ。ふざけたマネした奴等に、キッチリ落とし前つけさせてやる」

 

全員の意見が一致した。時間は少ない即時に烏間は判断した

 

「注目‼︎目標、山頂ホテル最上階‼︎隠密潜入から奇襲への連続ミッション‼︎ハンドサインや連携については訓練のものをそのまま使う‼︎いつもと違うのは標的(ターゲット)のみ‼︎3分でマップを叩き込め‼︎19時50分に作戦開始‼︎」

 

15人の特殊部隊と指揮官1人オマケ2人。潜入開始

 




15人の特殊部隊と指揮官1人とオマケ2人←ビッチ先生「誰がオマケじゃ‼︎」
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