てな訳でテスト発表回です
椚ヶ丘では学年内順位と答案が共に届けられる。今回のテストの行方は一目瞭然。
朝のホームルームの後殺せんせーは数枚の封筒を取り出す中にあるのは答案だあろうことは容易にわかる
「さて皆さん。全教科の採点が届きました」
ドクン、ドクンと緊張しているものがほとんどだ
「ではまず、英語から発表します。E組の1位は2人そして…」
聞きたいのはその先、学年内ではだ
「学年でも1位‼︎中村莉桜‼︎風見雄二‼︎」
「「「「うぉおおおおおお」」」」
中村莉桜:英語100点『学年1位』 風見雄二:英語100点『学年1位』
「2人ともお見事です。特に中村さんはやる気にムラっ気があるので心配でしたが」
「まぁ、色々と賭けがあったからね。1つはドローだけど…触手1本忘れないでよ殺せんせー?」
「ふむ……風見くん、中村さんちょっと答案を」
「?あぁ」
殺せんせーに言われて答案を見せるとジッと見て
「わかりました。まぁ今は残りの答案を返すとしましょう。現状潰せる触手は2本。A組の5教科対決は取ったトップ人数でなくあくまでもトップを取ったクラス数ですからね。喜ぶのは全教科返した後にしましょう」
勝負の行方はまだわからない。
「続いて国語はE組1位は風見雄二くん‼︎更に学年ではA組の浅野学秀くんとも並んで同率1位‼︎」
「「「「おぉおおおお!」」」」
風見雄二:国語100点『学年1位』 浅野学秀:国語100点『学年1位』
神崎有希子:国語98点『学年2位』
「神崎さんも大躍進です充分ですよ」
「……神崎、ありがとうな。お前のおかげだ」
「うん。こちらこそありがとう。それとおめでとう」
「すげーよ風見‼︎あの浅野とタメ張れるなんて!」
「いや、まだだ。触手の権利は得たが賭けは1勝1分楽観視はできない」
「確かに英語も中村と風見との点差はたった1点だし…五英傑なんて呼ばれてるけど結局は浅野1人あいつを倒せるかで学年トップが決まるんだよな」
「では続けて返します。次は社会‼︎E組1位…そして学年でも1位‼︎風見雄二‼︎」
風見雄二:社会100点『学年1位』
磯貝悠馬:社会97点『学年2位』
浅野学秀:社会95点『学年3位』
「おめでとうございます。磯貝君も見事ですE組が1位2位を奪取です。マニアックな問題が多い中よく頑張りましたね」
「いや、でも風見に負けてちょっとショックだな。絶対1位の自信あったのに」
「張った山と偶然
「これで2勝1分!つか、風見ここまで全部100点かよ‼︎」
「これ…狙えるんじゃないか?総合1位‼︎」
沸き立つ中、雄二は冷静に
「それは無理だな」
と否定した。
「なんでだよだって今のところ総合点は風見がトップじゃん」
「たった6点差だ。それに残りの教科は自己採点でトップでない可能性が高かった」
その言葉の事実通り
「理科のE組1位は奥田愛美‼︎そして…素晴らしい‼︎学年でも1位です‼︎」
奥田愛美:理科98点『学年1位』
浅野学秀:理科97点『学年2位』
風見雄二:理科96点『学年3位』
この時点で賭けの方は3勝1分でE組の勝利が確定した。だが…数学
浅野学秀:数学100点『学年1位』総合491点『学年1位』
風見雄二:数学93点『学年4位』総合489点『学年2位』
E組5教科学年1位数4ーーーA組5教科学年1位数2『勝者E組』
触手破壊可能数…
*
「お見事」
心からの賞賛の言葉…には見えなかった
「もう少し褒めてもいいんじゃないか?」
「最低ラインの3本取っただけでしょ」
「………」
「けどまぁ、約束だしね。触手破壊による暗殺の結果報告楽しみにしてるわ」
クスクスと笑うJB。報告に書かれた奇襲が成功したところを読んでのものである
「じゃ、あなたの口から続きを聞かせて」
「…楽しんでんなぁ」
*
side:浅野学秀
数時間前、理事長室
「個人総合1位キープおめでとう」
目の前にいる
「けど、随分危なかったね…2位と2点差とはね。あぁ、そういえばE組と賭けをしてたそうだね。結果は君の負け」
全校中に広まった話しだ。耳に入ってない方がおかしい。
「どうする?こうなるとE組の要求はそう簡単に断れないよ。君がいいなら学校が庇ってあげてもいいよ」
「結構です」
そんなことをすれば後々この男の言いなりだ。
「なんだったかな?「首輪つけて飼ってやる」だったね。あぁ、それとありもしない私の秘密を暴こうとしたり」
「……何が言いたいのでしょうか?」
「よく言えたものだね、同い年との賭けにも勝てない未熟者が」
歯をくいしばる。ギリギリとギリギリと。腹わたが煮え、爆発しそうだ。
「結局彼が全校集会で言った通りになったね。言い訳は…無さそうだね。言いたいことは終わりだよ」
「…し、つ!れい…しました」
言葉をどうにか出してその場を去る。彼とは風見雄二という男の事だろう今回勝ったのは僕だ否、僕だけだ。いいだろう認めてやるE組特に風見雄二まずはお前達を潰す。
*side:フリー
同じ時間帯E組校舎近くの木でテストをクシャリと握り歯を軋ませていた男、カルマは余裕の顔が消えていた。
「さすがA組。5教科総合は1位から6位は風見君以外全員A組。竹林君と片岡さんも頑張ってますが同点8位」
音もなく殺せんせーが現れて声がした方を見るがそこにはもいない。いつのまにか後ろにつかれていた。
「まぁ、当然ですね。A組も負けず劣らず勉強したうえにテストの難易度も上がっていた。…怠け者がついて来れるわけがない」
赤羽業:数学:85点『学年10位』総合469点『学年13位』
今回のテストでE組は1人を除いて全員総合順位を上げていた…そう1人、カルマを除いて
「……何が言いたいの?」
「恥ずかしいですねぇ〜「余裕で勝つ俺カッコいい」とか思ったでしょ?」
カァ〜と顔が耳まで真っ赤になる。理由は当然図星だから。
「先生の触手破壊の権利は中村さん奥田さん風見くんの3名。しかも風見くんは3本分圧勝ですね鋭い刃を更に研いで結果を獲った。対して君は研ぐのを怠り錆びた刃を自慢気に掲げただけ賭けも暗殺も君はなんの戦力にもなれなかった」
先生の顔は黄色と緑のシマシマ、舐めている顔だ。正面にまわり触手でグリグリと頭を触り煽る
「殺るべき時に殺るべき事を殺れない者は暗殺教室では存在感をなくすですよ〜」
グリグリグリグリグリグリ
恥ずかしさは怒りになりいたたまれず触手を払って校舎へと戻っていった
(あぁ、クソ、完敗だ…雄二に勝てるのはこれだけだったのに)
ふとここでカルマは気付いた感情があった
(あれ?俺悔しがってる?)
それまでわからなかった。だがようやくわかった。自分は、自分が勝てるはずのものを自らドブに捨てたのだ。
「(……暗殺も戦闘も…雄二に勝てるものはない…だから勝ちたかったんだ俺……)ちくしょう」
心の底からでた言葉だった。殺せんせーは立ち直りの早い方へ挫折させた。だが、カルマの挫折は殺せんせーの想像を上にいった
「ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう!」
自分の不甲斐なさに吐き気すらでるほどに。とはいえ、そうなるかもしないことも殺せんせーはよんでいた。そして彼が動くとも
「……ゆう、じ」
いつのまにか目の前に雄二がいたのに気づく。
「1勝1敗だな」
「⁉︎」
上から目線…ではない。それが…
「はん、ちょっと手を抜いただけさ。……次は勝つ」
何よりもカルマの救いだった
*
再び時間は少し進み教室では先生が結果を褒めていた
「5教科プラス総合点、6つの中皆さんが取れたトップ賞は5つ、つまり破壊できる触手は5本です」
余裕そうだがしかしチキンの殺せんせー内心は違う。結構ハラハラしていた
(まさかたった1人で3本分取られるとは…ま、まぁ5本ならギリギリなんとなるでしょう)
殺せんせーのそんな浅はかな思いは…
「おい待てよタコ、5教科トップはそれだけじゃねーぞ」
寺坂達4人にぶち壊される運命にある。
「な、なにを?国、英、社、理、数。全て合わせて…」
「アホ抜かせ、5教科っつたら国、英、社、理…あと家(家庭科)だろ」
寺坂竜馬、吉田大成、村松拓哉、狭間綺羅々:家庭科100点『学年1位』
「か、家庭科〜⁉︎ちょ、ちょと待って‼︎家庭科のテストなんてついででしょ‼︎何こんなのだけ本気で100点取ってるんですか君達は‼︎」
「だーれも
これこそ寺坂の奇襲。詭弁に等しいがしかしこれを成功させるのは実はかなり難しいものだった。家庭科は受験に使わない故に重要度が低い。そのため問題は教科担任の好みで自由に出題する。殺せんせーの授業しか受けてない彼らに100点を取るのは実は本当の5教科を取るのより難しい
それは彼らの徹底的な傾向対策の賜物。それを突っぱねることなど教師たる殺せんせーにはできない。というより
「ついでとか、こんなのとか、家庭科さんに失礼じゃね殺せんせー?5教科中最強の家庭科さんにさぁ〜」
先程の意趣返しと言わんばかりのカルマの煽りもあり教室内が一斉に援護に入る
「そーだぜ殺せんせー、約束守れよ‼︎」
「1番重要な家庭科さんで4人がトップ‼︎触手合計は9本‼︎」
「きゅ、9本んんん⁉︎」
「殺せんせーは、嘘はつかないよな、俺が知ってる
あえて最高を強調した雄二の言葉にたじろぐ殺せんせー。もはや逃げ道無し
「それと殺せんせー。これは皆で相談したんですが、この暗殺に…今回の賭けの『戦利品』も使わせてもらいます」
磯貝の言葉に更に殺せんせーはゾッした
*
「言葉で聞くと更におかしいわ」
「できれば俺も家庭科の方の援護をしたかったが…」
「わかるわ。けどそれだと本命の5教科が疎かになるもの」
雄二以上にこの状況を楽しむJBは生き生きとしていた。
「外出の許可はもう得たわ。一応言うけど休暇じゃないから」
と言うものの半分休暇のようなものである。彼らが得た戦利品はそういう類のものだ
『椚ヶ丘中学校特別夏期講習、沖縄離島リゾート2泊3日』
四方を殺せんせーの苦手な水で囲まれたこの島を使い更にたたみかける
「あいつらはかなり成長している。作戦にもよるかもしれないが、いけるかもしれない」
「けど、肝心のあなたは今回射撃はできないターゲットの触手を破壊する必要があるから。そうなると…彼らの力が必要ね」
「……………千葉か」
■–■■■■候補報告書
第2候補:千葉龍之介
「もう1人の子は?」
「速水の方はまだだな手先の正確さと動体視力バランス能力は3ヶ月でここまで成長したがスナイパーに必要な遠距離射撃と命中さらに、これは千葉にも言えることだが…」
「あぁそっちじゃなくて、この暗殺時の狙撃手としての話しよ」
「………」
「ごめんなさい」
「それは、JBが俺にいう言葉じゃない。俺が彼らにいうことだ。なぁJB、俺と鷹岡、そしてアイツ…一体何が違う?」
「貴方自信がどう思ってるのかは知らない。けど慰めの言葉じゃ納得しないからはっきり言うわ。程度が全く違うけどほぼ同じね」
何も言えず雄二は押し黙ってしまった。
「けど、まだ終わってないどころか始まってもいない。どうなるかはこれから次第。貴方と、彼らの選択次第よ」
「俺に選択肢なんてあるのか?」
「あるわ。だから貴方はあの教室にいるのだから」
E組の1学期が終わる。そして運命の時は近づいてくる。それを感じただ雄二は呆然とするしかなかった
*おまけ
「これで今日の報告とレポート提出はおわったな。帰らせてもらうぞ」
「で、まだ続きがあるんでしょう?」
「………チッ。どこから得てんだその情報」
途端に苦虫を噛み潰したような顔をする雄二
*
「さて、結果はともかく…」
「結果は守れよ、殺せんせー」
「わかってます‼︎…おほん、風見くん、中村さん。あなた方は英語の教科で独自に賭けをしていたとか?」
コクリと2人は頷く
「テストの点だけ見ると引き分けなんですが、ここの問題」
先生に言われたところを見ると2人の答えは微妙に違っていた。
「ここは正直、マルにするか三角にするかの悩みどころですね。おそらく本校舎の教師も悩んだ結果のものでしょう。しかし…私なら風見くんの答えは三角ですねぇ」
「ということは」
「ええ。この勝負中村さんの勝ちですよ」
これを聞いた莉桜はガッツポーズをし雄二は少し、ほんの少しイラッとした。そしてその内容が教室に行き渡ると当然だが
「な、中村ちゃんズルーい!」
「風見ぃぃなんでお前ばっかりぃぃぃ⁉︎」
「これも戦略だよ。んじゃ、早速日程決めよう!」
「はぁ……先生は何カメラ用意してんだ?」
「いえ、別に」
「ついてきてたら理事長に言うから」
「にゅあ⁉︎、そんな殺生な⁉︎」
こうして雄二と莉桜とのデートが決定し、殺せんせーの弱点に『下世話』が登録されたのであった。
感想、意見、誤字報告は遅れても基本返信しますのでよろしくです
では良いお年を