では今回はテスト回です
部屋に入ってものの1秒も経たず「ハァ」と言うため息が出てきた。
「ため息ばかりだな最近は。ストレスはちょくちょく発散したほうがいいぞ」
「………」
「女がしていい顔じゃないぞそれは」
「今私が何を考えてるかわかる?」
「イトナのことだろ?」
「えぇ、そうよ」
JBは先日の寺坂の件を聞いてからずっとこんな調子だった。それは前回のシロの作戦はJBも聞かされていないものであり、まさか生徒が死ぬ危険性を持ったものとは思わず上と揉めたらしい
「感謝しなさいよ。事前に連絡がない作戦なのとあなたも巻き込まれていたのもあったから上手いこと上を納得させたけど報告では邪魔さえなければ成功した可能性が高いのも間違いなかったんだから」
「ならそれでもうこの件はいいだろう?何をそんなにイライラしてるんだ?」
「あのくだらない事をベラベラ喋るだけで何の進展もない会議の空気を味わって見なさいよ」
「………いや、すまない」
話を聞くだけで大変だったのはわかっていたが相当のものであったのだろう。事実今回の報告書の為JBはほとんど寝ていない。
「けど、
上が期待してない方が進展がある事がわかり笑みがでる。事の次第は今日の殺せんせー期末対策勉強だった
*
今回も先生の分身を活用して皆に苦手科目を教えているとき
「殺せんせー、また今回も全員50位以内を目標にするの?」
渚が気になった事を聞いた。それは先生がE組に立てた目標である
「いや、それは今最終目標ってところだろう?」
「風見くんの言う通りです。先生はあの時総合点ばかり気にしてました。故に今回はこの暗殺教室にピッタリな生徒それぞれに会う目標を立てました」
その内容は
*
「教科ごとに学年1位を取った者には答案返却時触手1本の破壊する権利。1本につき失う運動能力は約20%仮に6人なら120%今まで見てきて映像解析からわかるのは初速はおよそ時速600㎞単純計算で500にまでは下げられる。そして」
「
雄二はある生徒からとある作戦を聞いていた。実行するのはその彼も入れて4人
「同率1位でも当然権利はもらえる。だからJBには悪いが、今回は目立つ順位を狙う」
「そういうことなら構わないわ。…けど最低でも3本できるなら6本ね」
「無茶を言うな。今回は前みたいな妨害はないことは烏間から聞いてる。だがそのかわりに中間よりも難易度の高い問題になる」
椚ヶ丘の問題は雄二の想像以上の難しさがあった下手な高校なら入学できるものだ。その上を今回いくだろうと雄二は考えていた
「ならあなたは最低3本は絶対よ。そうじゃなきゃ上も納得させられない」
やはりイトナの件は許されているわけでなかった。だが逆に言うと
「今回の件で成果を出せばあのクラスでの自由がある程度認められるのか?」
「ええ。たとえ仕留めそこなっても成果がわかればね」
「期末テストはその第1の壁か」
「そういうこと…不満?」
「いや、やる気がさらに出た」
「上への報告はしておくからあとはあなた次第よ」
そう言って立ち上がり部屋を出ようとする
「あっ、あとこれ、烏間に渡しといて」
「?ってこれは……」
渡された資料は最近の椚ヶ丘の付近で起きている
「“黄色い巨大ダコ”“コンビニスウィーツを買い占める黒ずくめの男”“Gカップねーちゃんが「ヌルフフフ」という声がして振り向くと誰もいなかった”……」
「もみ消しにも限界はあるっていうのも言っておいて」
もしかして最初のため息はこれが原因かと思う雄二であった。余談だが後日この件で殺せんせーが烏間に怒られたのは言うまでもない。
*
翌日、雄二が登校するとあるウワサがあったクラスの序列最下層のE組と成績優秀者を選りすぐった特進クラスのA組が賭けをしたと。その内容は
「5教科トップをより多く取れた方が負けたクラスにどんな事でも1つ命令できる、か」
図書館で五英傑と呼ばれる4人と口論になりそのような賭けを相手が持ちかけたことで広く学園に知れ渡り今日雄二にもその情報が入った
「巻き込んでごめん雄二」
「気にするな。それに巻き込まれたとも思ってない。それよりも勝った時に何を命じるかだな」
「おやおや風見くんもう勝った気ですか?」
「勝つ。なにせあんたが教えてくれてるんだ。触手の権利は頂くから覚悟しとけ」
どこか嬉しそうに殺せんせーは笑う。
「期待しておきますよ…それよりカルマくん真面目に勉強をしなさい!君なら充分、総合トップが狙えるでしょう‼︎」
「言われなくともちゃんと取れるよ。あんたの教え方が良いせいでね」
カルマも不真面目ながらも自身ありの態度でいう。がそれは雄二のそれとは違い良く言えば余裕がある。悪く言えば舐めているものだ。
「けどさぁ殺せんせー、あんた最近[トップを取れ]言ってばっかり。フツーの先生みたいに安っぽくてつまらないね。それに雄二は勝った時のこと考えてるけどどーするの?そのA組が出した条件って、なーんか裏でたくらんでる気がするよ」
カルマの言うことは正しく皆それは気付いている。実際にE組はそのことを知らないがA組は下せる命令を1つにしたが
そんなことつゆ知らずE組はこれ以上失うものがないと思っている。もし知れば間違いなく躍起になるだろう。故にこの条件を考えた男、理事長の息子である浅野学秀は命令をテスト後に発表するとしたのだ。いくら底辺の者達でも奴隷にされると知れば万が一もある。それを潰す。———だが、彼は知らない。否、考えてなかったなぜ底辺のE組が強気になっているのかを。
そしてやる気にさせる起爆剤は常に教師が出してくれる事を
「ヌルフフフ皆さんに提案ですが学校のパンフを見た時にとっても欲しいものがありました。コレをよこせと命令するのはどうでしょう?」
そのパンフに書かれたものを皆に見せた瞬間驚愕する。
「驚いた。そんなもんまであるのかこの学校は」
「知ってたけど、縁の無いものだから忘れてた」
「君達はどん底を経験しました。だからこそ次はバチバチのトップ争いも経験してほしいのです。先生の触手、そしてコレ。ご褒美は充分に揃いました。暗殺者なら狙ってトップを
大きな目標と成果に対するご褒美。起爆剤には充分すぎた。それぞれの想いが、暗躍する考えが、全ては結果が勝利が全て。当日まで各々が努力した
*試験当日
「雄二君、仕上がってきた?」
「当然だ悪いが仲間だが勝たせてもらうぞ莉桜」
「……じゃあさ、私達で賭けする?どっちが英語の点数で勝つか」
「賭け?」
「私が勝ったら1日目デートする事。雄二君が勝ったら好きにしていいよ」
5教科の中で彼女は英語を得意としている。だが雄二も前回のテストでは英語が1番成績が良かった勝負としてはどうなるかわからない
「好きにしてと言われてもな」
「…なーんかエロいこと考えてた?」
「何故そうなる。あーわかった乗ってやる(まぁ、やる気になるものはあってもいいだろ。俺が勝ったら適当になんか奢ってもらうか)」
「さすが、ノリがいいね(ここいらで落とす)」
(なんとなく2人の考えがわかる…雄二には悪いけど中村さんがんばって)
そんな事を言っている合間にE組のテスト会場に着いたが先客がいた。…見慣れない顔である
(((誰だ⁉︎)))
「律役だ」
疑問に答えたのは教室に居た烏間だ。流石に人工知能の参加は許されず、かと言って転校してきている生徒を出さないわけにもいかずネット授業で律が教えた替え玉を使う事でなんとかなったとのことだ。しかし…
「交渉の時に理事長の「こいつも大変だな」という哀れみの目を向けられた俺の気持ちがわかるか?」
((ほんと頭が下がります‼︎))
「大変だなぁ」
「……ありがとう風見くん。次の訓練では覚悟しておく事だ」
烏間は律からと自分の言葉で頑張れと励まして去った。
全員が揃い、いつでも準備万端だ
これはあくまでも中学のテストにすぎないだが、皆気持ちはそれ以上のものだ。得るものの大きさを知るからこそ共に戦う仲間でありライバル、E組を潰すため躍起になるA組、それらを応援するもの野次を飛ばすもの。さながらこれは問スターと戦う闘技者
チャイムが、否、ゴングが鳴る
*テスト1限目:英語
襲いかかる問スターに悠々と避けながら攻撃を与える。前回のテストでこの学校は英、数、理の3教科がとくにペースが早く難敵であると雄二は理解していた。正直彼はアメリカの学校に居て、フランクに話す友人もいた故に最初のテストでは気付かないほどの緩みがあった。それが結果としてでた故に慢心はもうない。同じく1年間LAに居てその慢心を持っていた五英傑の1人の瀬尾は
「今更日本の中学レベルでつまずくかよぉ‼︎」
問スターの鳩尾にハンマーが入る。が怯みこそすれども倒れなかった。良いところ三角での1点だろう
「な、なんで倒れねぇ⁉︎満点解答の見本だぞ!」
一方E組の方は
「ほいプスってね」
ハンマーの柄の部分を眉間に指す花丸の満点解答が出て問スターは消滅した
「お堅いよ優等生〜多分読んでないでしょ?サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』」
今回の問題文は名作小説から引用されているものが多く、A組でも教師がさりげなく薦めていた。しかしE組は熱心に薦めてくる殺せんせーがいた。
「まぁ、これは仕方ないさそこまで責めることはできないあの優等生の……誰だ?」
「瀬尾智也だ!」
「すまん瀬尾くんっと」
迫りくる問スターの攻撃をかわして眉間に刺す
「むっ」
満点解答で消滅したが莉桜より少しだけ遅かった
「どこかでスペルミスがあるんじゃない雄二くーん」
「……結果はまだわからんさ」
だがあきらかにイラっとしていた
*テスト2限目:理科
甲冑の問スターの装甲を魔法の杖で1枚ずつ剥がしていく
(正直キツイな)
決して雄二は理科に手を抜いたわけではない。奥田と殺せんせーの協力のもと、中間テストの時以上の実力を付けた。だが得意分野ではない戦いは劣勢だ暗記でなんとか凌いでいる
「そぉ〜らッ‼︎」
(あのA組の眼鏡も暗記でどうにかしてるが、最後の問題はだだの暗記でどうにかなるものじゃない)
『ダニエル電池が充電できるがボルタ電池のできない理由を簡潔に述べよ』
(あいつの答えは簡潔じゃなく簡単に答えているそれじゃ点数は取れない)
ふと見るとそこには問スターの鎧を剥がして仲良くする奥田の姿があった。
「本当の理科は暗記だけじゃ楽しくないです。君が君である理由を
そう言うと仲良く問スターと散歩をしているのを五英傑の小山は呆然と見つめるしかなかった。
「そういえば教えてくれてたなもっと相手にわかりやすい答えにってな」
どうにかその事を思い出してさらりと答えを書いたあと問スターは頭の鎧を取り鎧をつけていた相手と思えない可愛い顔でマルという形を顔に出した
「まぁ、奥田はお前さんと違って本当に理科が好きだからできたんだろ。気にすんな眼鏡くん」
「おれに答えられなかった問題を解けてる奴に言われても腹立つわ‼︎あと眼鏡くんじゃない小林だ‼︎」
「うん、これからもよろしく眼鏡くん」
「覚えるきないだろテメ〜!」
*テスト3限目:社会
装甲の腕に四脚装甲の戦車の問スターにはアフリカの地図とカウンター付いている
『アフリカ開発会議の首相会談の回数を答えよ』
マニアックな問題が多い今回の社会の中でも1、2の難しさである適当に書いたものは容赦なく砲弾の餌食になる今も五英傑の1人荒木も砲弾を受けたマスコミ志望だけあって社会知識は豊富の彼ですらわからないものである。
「フー危なかった…会議は重要度の象徴だし一応覚えといて正解だった」
「磯貝キサマ…社会問題でこの俺を出し抜くとは」
荒木は悔しく睨むが「たまたまだよ」と彼は言う。
磯貝の家は貧乏だ。故にアフリカの貧困に共感するところがあり調べていると
「こういうのは気になるなら一回見てみましょう。その方がもっと興味が広がりますよ」
と殺せんせーに現地に連れて行かれ興味の範囲がかなり広がった。
「けど、あっちはもっとすごいよ。他の国で起きた紛争やテロの回数とかもっとマニアックなのも解いてるし」
「あぁ、確かになんであんな知識が多いんだ?まるで実際にその戦場にいたみたいだ」
(こんなもんか)
雄二が相手をしていた問スターは全身をバラバラに解体されていた。
*テスト4時限目:国語
日本式の鎧をつけた問スターが容赦なく刀を振る。
(俺が学年1位を取ることができる可能性のある教科は残りはこれだ絶対取る)
無駄な動きをせず、的確に相手を切る。模範解答ではなくいかに綺麗な言葉であるかも重要のようで効かなかったのをすぐに理解し答えを直す。
「思った以上にやるようだなE組‼︎顔だけでなく言葉もなかなか美しい‼︎だg…」
(風見くん大丈夫かなぁ)
五英傑の1人榊原の言葉にまったく動じず…でなく、まったく聞いてない神崎は雄二の心配をしていた。ここにいる中で何故彼だけを心配しているのだろうかと思いながら問スターを軽くいなす
(迷ってたらダメだ。集中集中)
雄二が総合1位を狙っているのを聞いた。だから彼女も自分の得意分野である国語を共に勉強した。だからわかる大丈夫だと。そして
(後ろに彼がいるって思うとちょっとだけゆうきがでてくる…よし)
どうしてやる気になるのだろうとちょっとだけ思いつつも的確に相手を切った。
*テスト5時限目:数学
「ラストスパートだな」
「雄二まで目の色変えちゃって」
気を引き締める雄二と余裕に銃を持つカルマは並んでテストの開始を待つ
「そう言うカルマは余裕あるな」
「あれ?自信ないの?」
「自信はある。だが勝てるかはわからない。だから死力を尽くす」
(違うんだよなぁ勝つってのは。通常運転でサラッと勝たなくちゃ)
そうしてチャイムという名のゴングが鳴った
*
こうして2日に渡ってテストは幕を下ろした。それぞれ出し切った結果は全て○の数で決まる
「さて、結果はどうだったか教えてくれる?」
JBの眼は凍てつくようなものだった
「どれもダメでしたは…受け付けてないんだろ?」
とりあえずまずはジョークをかました後テスト結果の発表のことを語る
問スターの戦闘描写はどうしようと少し悩みました。あと雄二のそれぞれの点数も
感想、意見、誤字があればよろしくお願いします。