もう1回タイトル「操られる者達の時間」
達
1、寺坂
2、イトナ
3、言うまでもないかな
寺坂の命令を無視はしたが(無駄だとわかっているが)結果は気になるのでのらりくらりとプールに向かっていたカルマは爆音がしたのを聴き全速でプールに行くとそこには水を飲んでしまいゲホゲホと吐き出す数名の生徒
「意識ははっきりしてるな。殺せんせーがすぐに救助したおかげだな」
彼らを気遣う雄二。そして
「俺は…なにもしてねぇ」
自分が引き起こしてしまった状況に混乱し、それを無理やり否定しようとしている寺坂の姿だった
「話が違げーよ…イトナを呼んで突き落とすって聞いてたのに…」
それを聞いてカルマは経緯をほぼ理解した。
「自分が立てた計画じゃなくて、あの2人にまんまと操られてたってわけ」
「カルマ、全員の安否を確かめたい。手伝ってくれ」
「うん。いいけど、あいつはどうすんの」
寺坂に指をさして言うとビクリと反応しカルマに詰め寄る
「ち、違げーぞ!おれのせいじゃねーぞカルマァ‼︎こんな計画やらかす方が悪りーんだ‼︎」
「…本気で言ってるのか」
「そうだろ風見⁉︎皆が流されてったのも全部奴等が…」
次の言葉はなかった。その前にカルマと雄二が寺坂の顔をぶん殴ったから。
「ちょっとは目が覚めたか?」
「寺坂、
殴られることでようやく我に返ったのか現実を受け止める
「寺坂、俺はお前にとやかく言えるような奴とは思ってないけどな、操らていようがなかろうが、良いことだろうが悪いことだろうが、自分のしたことには結果がくる。今目の前にあるのが結果だ。受け止めて、どうすればいいか考えつづけろ。操られるな、何かに引っ張られるな。自分の意思で考えろ」
「そいうこと、人のせいにするヒマなんてないと思うよ」
「…時間をくったな。急ぐぞ」
雄二とカルマは倒れた寺坂を置いて皆の元へ向かった。
「けど、意外だったな」
「何がだ?」
「雄二は殴んないかと思ってた」
走りながらカルマは言う。「そうだな」と先ほどの事を雄二は振り返った。
「……間違ってたか?」
「いや、そんなことないよ。実際俺も殴ったし」
「……急ごう」
side寺坂
「クソが、クソ」
わかっている。この結果を招いたのは俺だ。……いや、そもそももっと前からだ。ガタイと声がデカイから自分が強いとこの学校に来るまで勘違いして、そこで自分の無力を理解した。安物の武器では何もできないと
「あいつマジで殴りやがって風見のやつは手加減してるような気がしたがカルマのヤローはマジだなクソが!」
手加減されているというのもそれはそれでムカつく。……思えば来た時からだ。エンドのE組に来たというのに、いきなり怪物の暗殺なんてわけのわからないことをやらされているというのに「俺たちで殺す」その言葉1つであっという間に馴染んでいった。きっとああいうやつが社会で好かれる大人という者になる。
「いちいち人にちょっかいを…お節介なんだよ!」
だけど、わかってるあいつは正しい。正しいからこそ今のあいつがあるのだろう。
「あーダメだ‼︎やめだ‼︎考えんのはやっぱ性に合わねぇ」
考えっからネガティブな感じになるなら………俺は、
sideフリー
進みながら生徒たちの安否を確認していくと近くでズンという音がする。皆でその場所に行くとイトナが殺せんせーに猛攻をしていた。
「俺たちを助けるために随分と水を吸ったみたいだな」
「けど、それを踏まえても押されすぎなような気がする」
「……実は」
雄二はシロ達が寺坂を操って殺せんせーを弱体化させていた事を説明した。当然、皆怒り心頭である。
「まじかよ、あの爆破はあの2人が仕組んでたのか」
「おそらく、あの殺虫剤で粘液を出し尽くしたんだろう。いつから計画されてたかはわからないが時期を考えるならそれが一番考えられる」
「それだけじゃねー」
遅れてきた寺坂が指をさす
「力を発揮できないのはおまえらを助けたからだ」
そこには触手の射程圏内に吉田と村松、原がいた。
「ぽっちゃりが売りの原がしがみついてる枝、いつ折れてもおかしくないな」
「あいつらに気を配るからなおのこと集中できない。当然シロの奴なら、そこも計算してるだろうよ」
「恐ろしい奴だと」寺坂は評する。
「呑気なこと言ってんなよ‼︎風見から聞いたぞ‼︎今回の事全部奴等に操られてたのって本当かよ⁉︎」
その言葉に寺坂は
「…あーそうだよ」
言い訳も、悪びれもせず、肯定した。
「風見、言ってたな?操られるなって…けどな目標もビジョンも無い短絡的な奴は頭の良い奴に操られる運命なんだよ」
「寺坂……「けどな‼︎」?」
「操られる相手くらいは選びてぇ。それが俺の考えた結論だ」
「………そうか。なら誰に操られたい?」
「少なくとも、奴等は御免だな。賞金持って行かれんのも気に入らねぇ……カルマ!お前、俺を操ってみろよ」
カルマの胸を叩きそういう。そのカルマはニンマリと笑みを浮かべる
「へぇ。けどなんで俺?なんで俺だけ?雄二か雄二と一緒でもいいんじゃない?」
「お前の方が狡猾だからだよ。狡猾な考えの奴には同等以上に狡猾な奴の方がいい。それに2人の考え同時じゃ意見がばらけるだろ」
「……意外と考えてんだ」
「あぁ⁉︎」
「俺よりカルマとは……
「ふざけんなよテメェ‼︎」
こんな状態だというのにこれだけ皆クスリとした。
「とにかく、そのオツムで俺に作戦与えてみろ‼︎カンペキに実行してあそこにいる奴らを助けてやらァ‼︎」
「良いけど、俺の作戦実行できんの?死ぬかもよ」
「ハッ!やってやンよこちとら実績持ってる実行犯だぜ」
ズンズンと向かう寺坂に
「まだ作戦考えてないけど、もう行くの?」
「え、あ、うん。…まだなの?」
「しまらねぇな」
「ンだとぉ⁉︎って何してんだ?」
寺坂の怒鳴りをスルーして風見は草むらでゴソゴソと何かを出した。
「ジュラルミンケース?」
「風見、それって」
速水と千葉はそれの中身を察した。開けるとそこには組み立て式のライフルタイプのモデルガンがありあっという間に組み立てた。
「なんでそんなものが?」
「速水と千葉に射撃訓練をしているんだが、プールができてからは場所を常に変えていて次の位置が偶然ここだったんでな。先に用意をしていたんだ。弾は対先生用のものにしてある……俺も援護する。射撃タイミングはカルマが考えてくれ」
「ん、了解。じゃあよーく聞いてね」
*
「ふふふ、足元の水もだいぶ吸った。これで更に動きは鈍くなったね。とどめといこうかイトナ。まず邪魔な触手を全て落として「おいシロ‼︎イトナ‼︎」む?」
怒鳴り声のした方を見るとシャツをはだけた寺坂が額に青筋を出していた。
「寺坂君か。近くに来たら危ないよ?」
全く心配もしてないどころか眼中にない。
「よくも俺を騙してくれたな」
「まぁそう怒るなよ。ちょっとクラスメイトを巻き込んじゃっただけじゃないか。E組で浮いた君にとっちゃ丁度良いだろ」
生徒に犠牲者が出たかもしれないというのにまるで気にもしていないその態度が怒りを誘う。
「うるせぇ‼︎てめぇらは許さねぇ‼︎おいイトナ‼︎俺とタイマン張れや‼︎」
シャツを脱いで盾がわりに構えてイトナの前に立つ。
「止めなさい寺坂君‼︎君が勝てる相手じゃない‼︎」
「うっせぇ‼︎ふくれタコは黙ってろ‼︎」
シロはクスクスとその姿を笑う
「そんな布きれ1枚でイトナの触手を防ごうとは、健気だねぇ………黙らせろイトナ。殺せんせーに気をつけながらね」
イトナは心底つまらなそうな顔で触手を振るった。
*
この少し前
「原をほっとくだぁ⁉︎ふざけてんのか⁉︎原が1番危ないだろうが‼︎みろ、ふとましいから身動き取れねぇ上にヘヴィだから枝も折れそうだ‼︎」
「……寺坂さぁ、そのシャツ昨日と同じのだろ?ズボラなんだよなーそんな奴が悪巧みとか無理でしょ」
「あぁ⁉︎」
「まぁ、俺を信じて動いてよ。バカだけど体力と実行力は持ってるんだからさ」
「バカは余計だ。で、どうすんだ?」
「とりあえず、イトナ挑発して攻撃されて」
満面の笑みで言う
「おまっ」
「大丈夫だよ。気絶するくらいの程度だから死ぬ気で喰らいつけ」
「………あぁ、わかったよ!」
「で、風見は万が一イトナが第2撃が来た時に射撃して。1撃目で動きが止まったなら…」
*
棍棒で腹を殴られたような感じで触手が当たるも。どうにか吹っ飛ぶのも意識が飛ぶのも堪え、
「よく耐えたねぇ褒めてあげるよ。じゃ、イトナもう1発」
パンと音がすると同時に寺坂が握っている触手の反対側の触手がはじけ飛ぶ。
「…犬め」
ぼそりと言い撃たれた場所を睨むと雄二が冷静な顔で狙いを定めている。だが不思議だったいくら不意打ちでもイトナが対応しないことに
「どうしたイトナ早く彼らを」
「くしゅんっ、くしゅんっ、くしゅんっ…?、??、くしゅんっ」
突然イトナが花粉症になったようにくしゃみと涙を出しはじめてようやくおかしなことが起きていると察した。
寺坂のシャツは昨日と同じ。ということは寺坂が撒いた殺せんせーの粘液をダダ漏れにして弱体化させたものを満遍なく浴びているのだ。
「先生と同じ触手使いであるイトナだってタダで済むはずがない。一瞬でも隙を作れば殺せんせーは勝手に原を助けてくれる」
ハンドサインで皆に指示する。理解した皆は一気に飛ぶ。
「吉田!村松‼︎そこからなら飛び降りれんだろ?水だ‼︎デケーの頼むぜ‼︎」
その意味を理解して2人も飛ぶ。
以前シロが兄弟と言ったようにイトナの触手は殺せんせーと同じで弱点も同じ。
「じゃあ、同じ事やり返せばいいわけだ」
皆が一斉にに水に飛び込んで飛沫が高く上がる大雨のように水が上がり、寺坂のシャツについた成分といきなりの状況変化に反応できずずぶ濡れになる。触手はぷくり膨らんでしまい、動きが鈍くなった。
「とどめ」
跳ねた水が落ち出し視界が広がった瞬間、のこりの触手も正確無比の射撃で全て撃ち落とされた。
「これであんたらのハンデは少なくなったね。…で、どーすんの?賞金持ってかれるの嫌だし、そもそも皆あんたの作戦で死にかけてるし、ついでに寺坂もボコられてるし」
周りを見るとクラス全員が水を掛ける態勢になっている。おまけに優秀な狙撃手も狙いを定めている。
「まだやる?」
「……してやられたな。丁寧に積み上げた戦略が、たかが生徒の作戦と実行でメチャメチャにされてしまった」
もはや作戦の続行は不可能と判断して踵を返す。
「触手の制御細胞は感情に大きく左右される。この子らを皆殺しにでもしようものなら…反物質臓がどうなるかわかったもんじゃない。帰るよイトナ」
ギリギリと怒りを噛み締め退去する。
「結局今回もあんたはミスをしたな」
「ミス?余計な邪魔さえなければ完璧だった」
「そういう考えじゃ、一生勝てねぇよ」
「フン。犬はよく吠えるね」
そう捨てゼリフをはいてシロはイトナと去っていった。
*
「そーいや寺坂君、さっき私の事さんざん言ってたね。ヘヴィだとかふとましいとか」
危機が去り落ち着いてきた時、先ほどの寺坂の言葉を聞いた原は寺坂に詰め寄る。
「あ、いや、あれは、そう、状況を客観的に分析してだな…」
「お、だ、ま、り‼︎言い訳無用‼︎動けるデブ恐ろしさ見せてあげるわ」
この状況を上から見ていたカルマはクスクスと黒い笑顔をしている
「無神経だなぁ、寺坂はそんなんだから人の手の平で転がされんだよ」
カチン「うるせーカルマ‼︎テメーも1人高い所から見てんじゃねー‼︎」
グイッと引っ張って高みの見物していたカルマを水に叩き落す。
「ぶはぁ!はぁ⁉︎何すんだ上司に向かって‼︎」
「誰が上司だ‼︎触手を生身で受けさせるイカレた上司がどこにいる‼︎」
ギャーギャーと騒ぎだしたがようやく寺坂がクラスに馴染んだことに渚と殺せんせーは喜んでいた。
「あれ、雄二は?」
そこでふと気づく雄二が狙撃ポイントから姿を消していることに
*side雄二
「うっ」
口元を抑えて胃の中のものが出そうになるのを必死で我慢する
「初めて撃った訳じゃなんだが、うぅ」
我慢しろ我慢しろ我慢しろ我慢しろ我慢しろ我慢しろ我慢しろ我慢しろ我慢しろ我慢しろ我慢しろ
「はぁ、はぁ、はぁ、これはおもちゃと同等そう思っていればいいと思ってたんだけどな」
そう簡単にはいかないようだ。ともかく早く戻らないと
「風見さんバイタルが不安定ですもう少し落ち着いてから…」
「すまんが律、これ以上ここにいたら皆が心配してくる可能性がある。今なら銃を片付けてたで済むんだ」
「………」
「あぁ、あと皆にもそういうことにしておいてくれ。おまえが言えば納得する」
律ならなおのことだ
「わかりました………皆さんには話さないんですか?」
「話せない。当たり前だろ?」
「風見さんの立場上のことがなくてもですか?」
「………そうだな」
のそのそと歩くのをやめ、少し早足にする。心配をかけないように
「それでも、言えないな」
だが、あいつらはバカじゃない。いずれ勘付くだろう。そうなった時、俺は、あいつらは………どう思う?
「いつか、しがらみなく過ごせます。
そんなものは来ない。けど
「そうなることを祈っててくれ」
そう頼むのくらいは許されるのだろうか?
今回悩んだのは寺坂を雄二に殴らせるかどうかとイトナを撃つかどうか
これでいいのかなぁ、マジで…特に寺坂殴った方
さぁ、次はテスト編です。
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