暗殺教室 グリザイアの戦士達   作:戦鬼

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いつもより早めに出せました

いつもこうなら…以下略



候補の時間

「おまえこそ、俺に手を出していいのか?おまえの代わりはいくらでもいるんだぜ」

 

「そういうのをなんていうか知ってるか?パワハラって言うんだよ」

 

と言うが雄二は焦っていた。今ここで鷹岡を黙らせたとしても、自分の首が飛んでしまうだけ。

 

(俺としたことがマジで殴ってしまったな)

 

1度目の攻撃は避けたことで当てるつもりはないで言い訳できるかもしれない。だが2度目は本気で殴った。機密保持なら他のやり方があった、そもそも殴る権利はないと言われればそれまでである。

 

「やめろ鷹岡!風見君!」

 

だからここで烏間が来た事は雄二にとって本当に助かったのだ。烏間はすぐに先程殴られた前原と神崎に近付き介抱をする

 

「前原君、神崎さん大丈夫か?」

 

「烏…間先生、大丈夫です

 

「こっちもへーきっス」

 

神崎はややかすれた声で、前原は痛みを抑えていうがどう見ても大丈夫ではない

 

「ちゃんと手加減はしてるさ。大事な俺の家族なんだ、当然だろ」

 

尚も自分の意見を言う鷹岡に最初に異を唱えたのは

 

「いえちがいます。あなたの家族じゃない、私の生徒です」

 

殺せんせーならどうにかしてくれるそう思っていたものが多かったが鷹岡はしっかりと対策していた。

 

「文句があんのか?体育は教科担任の俺に一任されているはずだ。今の罰も立派な教育の範囲内さ。おまえみたいな超生物を短期間で殺ろすようにするんだ、多少厳しくなるのは当然だ」

 

殺せんせーには殺せんせーの教育理念があるように鷹岡には鷹岡の教育理念がある。

 

「多少教育論が違うだけでおまえに危害を加えてない男を攻撃するのか?」

 

超生物として、鷹岡を消すのは簡単であるだがそれでは生徒に筋が通らない。故に、殺せんせーはこれ以上言うこともできない。

 

「じゃあ、俺が今ここであんたを再起不能にすればいいな」

 

「ほう。いいのか?そんなこと言って?」

 

「犠牲は最小限になる」

 

先程からの雄二の言動にE組の皆がゴクリと唾を飲み込む。本気で言っているとわかるからだ

 

「やめるんだ風見くん!」

 

「…………」

 

烏間に言われ殺意を少し解く

 

「もう一度言うぞ。風見雄二(・・・・)やめるんだ」

 

「……ですぎました。すいません」

 

烏間の命令でようやく殺意は消えて絞り出したかのように言う。

 

「ふん。…そういえばさっきのお返しがまだだったな」

 

鷹岡は地面に落ちている石を手に持ち、雄二を殴りつけた。

 

「「「「雄二(くん!)」」」」

「「「「「風見!」」」」」

 

殴られた顔から血が出る。しかも今までとは違い、本気で殴っていた。

 

「これで勘弁してやるよ!言うこと聞く気になったか?」

 

「…ないな」

 

腹に膝蹴りが入る。少し鈍い音がした

 

「ごぅ!」

 

「もう一度いうぞ、言うこと聞く気になったか?」

 

「痛くも痒くも無い。人を育てる身としても軍人としてもダメだな」

 

痛みを抑えるため屈んでいた雄二に追撃の一撃を

 

「そこまでだ。それ以上生徒(・・)に手荒くするな。それとも、暴れたいなら俺が相手をしてやる」

 

頑丈な鷹岡の腕を握りつぶしてしまいそうな力で烏間は抑えた。

 

「雄二君、大丈夫⁉︎」

 

「言ったろ?痛くも痒くも無い」

 

「嘘つけ‼︎あれ俺が受けたのより痛そうだったぞ‼︎」

 

「顔に至っては石を持った状態でだし、血も出てる。とりあえず私のハンカチ使って」

 

中村がハンカチで抑えて血を止める

 

「と言うより、なんで避けないんだよ⁉︎」

 

「避ける必要もないだけだ。けど、良い子は真似しちゃダメだぞ」

 

「こんな時までふざけないでよ‼︎」

 

渚の本気の声に皆が頷いた。

 

「すまない。軽率だった」

 

しかし大丈夫そうな感じを見て安心はしたのか、ふぅという息が何人からか出ていた。

 

「おいおい止めるなよ烏間、これも教育なんだ。暴力でおまえとやりあう気は無い、やるならあくまで教師としてだ」

 

「はっ、本当にやり合えば勝てる自信がないからだろ」

 

「まだ生意気な口を言えるのか?」

 

「あんたの言う家族で例えるなら、反抗期ってやつだよ」

 

「そりゃ仕方がないな。なら、もう少し教育が必要だ」

 

ポキリと腕を鳴らし雄二を睨む。

 

「やめろ。風見君も、それ以上挑発するな………それで、何をするんだ?」

 

「…おまえらもまだ俺を認めてないだろう?父ちゃんもこのままじゃ不本意だ。そこで、コレで決めよう‼︎」

 

鷹岡が懐から取り出して見せたのは対殺せんせーナイフだった

 

「烏間、おまえが育てたこいつらの中でイチオシの生徒を1人選べ。そいつが俺と闘いナイフを俺に1度でも当てたら…おまえの教育は俺より優れていると認めて、おまえに訓練を全部任せて出てってやる。男に二言はない‼︎」

 

クラスに安堵がもたらされたがそんな甘いものではないと雄二は気付いていた。

 

「ただし当然だが俺が勝てば一切口出させないし…使うナイフはこれじゃない」

 

鷹岡が自分のカバンから取り出したナイフは刃がついたそれも鋭利な軍用の本物のナイフだった。

 

「よせ‼︎彼らは人間を殺す訓練も用意もしてない‼︎そんなものを持てば、体がすくんで刺せもできない‼︎」

 

「殺す相手が人間(オレ)なんだ使うのも本物じゃなくちゃだろ?それに俺は素手だハンデとしては充分だ。まぁ、おまえの言い分もあるから、寸止めでも当たったことにしてやるよ」

 

鷹岡の目的は自分への服従。本物のナイフを使わせてビビった相手を完膚なきまで痛めつけることもあるが、最大の目的と別に考えがある。

 

「さぁ、選べよ烏間‼︎生徒を生贄として差し出すか、それとも何もせず見捨てるか、どっちにしてもおまえはひどい教師だな‼︎」

 

それは烏間の失脚。いずれは殺せんせーを殺した英雄を育てた英雄として烏間をアゴで使うため。さらに言えば、この条件にはないが雄二を使うことができないのも理解している。

 

(さっきのはまだ許してないんだぜ〜。烏間の持っている権限が俺に回されたあとでじっくりと恐怖を与えてやるよ)

 

鷹岡の考え通り、すでにナイフを持つ前からビビっている者もいる。そして現状、戦闘(・・)になればこのクラスで勝てるものは雄二くらいであろう

 

(俺は、まだ迷っている。鷹岡のような容赦ない教育こそ地球を救う暗殺者を育てるのに適しているのではないか?)

 

鷹岡が放り捨て地面に刺さったナイフを取りながら考える。烏間とて訓練生を見てきた男だ彼にも教師としての思いはある。だからこそ悩むのだ。

 

 

(思えば、ここの教師になる前から彼をここに呼んだ時から迷っていた)

 

 

 

「……助かった。できれば何か礼がしたいんだが」

 

「んーむさい男のお礼じゃなぁ。ショーティー、おまえは?」

 

「そうだな………普通の学校で、普通の学園生活がしたい、かな。…いや、すまない忘れてくれ」

 

 

 

 

(ここで彼を出せば恐らく鷹岡に勝てるだろう。だがそれは出来ない、何よりさせたくない。ほんの少しでも彼の約束を果たすためにも。…だが、だからといってその代わりに、精鋭部隊にいた鷹岡に他に勝てる可能性がわずかとはいえある生徒を危険にさらしても良いのか?)

 

その可能性をもった生徒に悩みながらもしっかりとした声と表情で烏間は言う。

 

「渚君、やる気はあるか?」

 

選ばれた渚も、他の生徒も何故という言葉が頭にあった。

 

「ぼく、ですか?雄二じゃなくて?」

 

「あぁ、そうだ。誰かを選ぶとしたら君だ。だが返事をもらう前に、俺の考え方を聞いて欲しい」

 

本当は話すつもりはなかったただ、烏間自身も悩みつつも話すと決めた

 

「我々は君達に地球を救う任務を依頼した。故に、俺は君達とはプロ同士だと思っている。プロとして、最低限に払うべき報酬は君達に当たり前で可能な限りの普通の学園生活を保証することだと思っている」

 

「烏間先生…」

 

「………」

 

「だからここで君が断ったとしても、その時は俺が鷹岡に頼んで報酬を維持してもらうようにする」

 

真っ直ぐに目を見て真剣に話した烏間に渚は色々思うことがあった。けれど

 

「やります」

 

信頼できる先生に言われたのもある。が、それ以上に前原、神崎、雄二にやった事にたいしてせめて1発と言う感情があった。渚は烏間にいくつかのアドバイスを聞き前に出る

 

「…渚、烏間先生にアドバイスをもらってるなら大丈夫だろうが、一応言っておくぞ闘志と殺意は胸にしまい込んでおけ。一瞬でいいんだそんなもの出すのは」

 

「…うん」

 

(言うまでもなかったな。…となると、問題はこの後か)

 

渚の表情を見てそう思っていると桃花が話しかけてくる。

 

「どうして、雄二君じゃなくて渚君なんだろ」

 

「さぁな。けど俺にはなんとなくわかる」

 

「何が?」

 

「……烏間先生の目は狂ってないってことかな」

 

 

side渚

 

ナイフを持ったはいいけどどうすればいいんだろう。どう動いて闘えば勝てるんだろう?

 

………闘う?違う。烏間先生が言ってたじゃないか

 

「いいか、鷹岡が仕掛けてくるのは『戦闘』だ。見せしめが目的なら攻防ともに強さを見せつけて2度と皆を逆らえなくする。故にしばらくの間好きに攻撃させるだろう。一方で君が行うのは『暗殺』だ。強さなど示す必要はなく、ただ1回当てればいい。この違いに勝機がある。反撃のない最初の数撃がチャンスだ」

 

そう言っていた。…ドクン、ドクンと胸が高鳴る。

 

……高鳴る?あぁ、ダメだそれじゃ。雄二も言ってたじゃないか。闘志と殺意を出すのは一瞬でいいって

 

闘志と殺意は一瞬。そして闘って勝つ必要もない。あぁ、そうだこれは暗殺

 

 

 

______殺せば勝ちなんだ

 

 

 

なら普通にしよう。そうだ、通学路を歩くみたいに笑みを出して近付こう

 

 

sideフリー

 

テクテクと笑みを浮かべてまるで通学路を歩くように鷹岡に近付く。周りの者の殆どがキョトンとした顔になる。渚の目の前にいる鷹岡でさえも。そうしてポスっと鷹岡の腕にあたるほどのゼロ距離に着き、一瞬の間が空いて殆ど表情を変えずにナイフを振った。

 

「‼︎⁉︎」

 

首筋近くにナイフがきた瞬間に鷹岡はようやく気付いた。殺されると

 

「っ⁉︎⁉︎」

 

ギリギリ体を逸らしたがギョッとしたことによって体勢は崩れた。誰でも殺されかければそうなる。後ろに偏った重心ではちょっと服を引っ張るだけで転んでしまう。そこからは獲物を狩る蛇のごとく背後に回り

 

「捕まえた」

 

ナイフを峰打ちで当てた。

 

 

(間違いない。これは、暗殺の才能)

 

以前の全校集会の時から雄二は気付いていた。が、それはあくまでも可能性の範囲。実際に見てみた今それを確信に変える。

 

(これからが問題だな。……相手が精鋭部隊の軍人なら特に隠せない)

 

「雄二君こうなるとわかってたの?」

 

「いや、信じてたけさ。烏間先生の判断と渚を。まぁ、色々予想外だったけどな」

 

雄二の考えとしては多分一撃目様子見をして一気に暗殺を仕掛けると思っていた。才能があるとはいえ中学生だからと

 

(実際にはそれ以上だったな。全く物怖じせずぶっつけ本番に挑むなんてな)

 

「はい、そこまで‼︎これで勝負ありですね、烏間先生?」

 

ナイフを渚から取ってそれをばりぼりと食べて処分し殺せんせーは言う。

 

「お、おぉぉ‼︎やったじゃんか渚‼︎」

 

「ホッとしたよもー‼︎」

 

はっとした皆がようやく渚に駆け寄る

 

「よくやったな渚。…ありがとう」

 

「え?」

 

「俺と前原、神崎のぶんを返したかったんだろ?だから、ありがとうだ」

 

「うん。ありがとう渚君」

 

「スカッとしたぜ、今の暗殺‼︎」

 

皆から賞賛をうけていると息を切らしながら鷹岡が背後に立っていた。怒りで血管が裂けそうな程にキレて

 

「この、ガキがぁ…父親も同然の俺に刃向かうばかりか、まぐれ勝ちでそんなに喜びやがって」

 

「まぐれだろうが必然だろうが、事実は1つ。あんたの負けだ」

 

「黙れ‼︎犬‼︎」

 

((((((((犬?))))))))

 

雄二に対してそう言った鷹岡に皆疑問があった

 

「おまえには言ってない!おまえだ、もう1回だ今度は絶対油断しねぇ‼︎心も体もボロボロにしてやる‼︎」

 

「…確かに、次やったら絶対に僕が負けます。でも僕らの担任は殺せんせーで教官は烏間先生ですこれは絶対に譲れません」

 

怒りの鷹岡に物怖じせず自分の自分達の意見を渚は伝えた

 

「本気で僕らを強くしてくれようとしたことは感謝しています。けれど父親を押し付ける鷹岡先生より、プロに徹してくれる烏間先生を僕達は支持します。だからごめんなさい…出て行ってください」

 

「黙って聞いていれば…ガキの分際で‼︎」

 

もはや我を忘れて渚達に襲いかかる鷹岡を一瞬で回り込んで顎に肘打ちを打ち込んだのは烏間だった

 

「身内が迷惑をかけたな。後は俺に任せろ上と交渉し、俺1人で教官を務められるようにしてくる…銃で脅してもな」

 

「なんかずっと悩んでたみたいだけど、吹っ切れたみたいですね、烏間先生」

 

茶化すように雄二はいう

 

「……今回鷹岡にしたことは目を瞑ろう。だが次の訓練は覚悟しておけよ」

 

フフフと怖い笑顔で烏間は言う。いつもの光景に皆クスクスとした。

 

「ンなこと、させるかよ、俺が先にかけ合って…」

 

パンパンと手を叩く音がしてそちらを向いた。

 

「その必要はありません」

 

来たのはこの学園のラスボス、理事長だった。

 

「経営者として、様子見をしに来ました。新任の先生の手腕に興味があったので」

 

(まずいなもし鷹岡の続投を望めば俺や烏間でもどうにもならない)

 

「感想を単刀直入に言うと鷹岡先生、あなたの授業はつまらない」

 

心底失望した…といった感じもなく。むしろこうなるとある程度わかってたのか淡々と言う。

 

「教育に恐怖は必要です1流の教育者なら恐怖を巧みに使いこなします。しかし暴力でしか恐怖を与えることのできないのなら、1流どころか3流以下そして自分より強い暴力に負けた時点でその授業の説得力は無くなる。要するにあなたは終わりです」

 

サラサラとポケットから出した用紙に何かを書き込みそれを鷹岡の口にねじ込んだ

 

「解雇通知です。以後あなたはここで教える事は出来ない。この学園の教師の任命権は全て私にあり、全て私の支配下だとお忘れなきよう」

 

(というより、いつから見てたんだこいつ?鷹岡の事を気にしてたとはいえ全くわからない)

 

「あぁ、それと彼に対する慰謝料もお忘れなきように」

 

「……随分と優しいんだな」

 

「いえいえ」

 

と言うが、実際は鷹岡を切ることで支配者は誰なのか明確に示した。食えない人物だと思う烏間と雄二だった。

 

 

 

その後プライドをズタボロにされた鷹岡は逃げるように去り、生徒の努力で体育教師に返り咲けたという事で、皆で臨時報酬として甘い菓子を烏間のお金で買った。

 

だが、1つE組に疑問が残った。風見雄二に対する烏間と鷹岡の対応とその本人の謎という疑問が

 

(けど、別にいい)

 

(雄二君が何者かなんて)

 

いつでも助けに来てくれる頼もしい人。今はそれでいいと皆暗黙の了解にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、そうはいかない人物が居る。それは他でもない雄二自身である。

 

 

雄二のバイト先のJBの部屋

 

 

「まったく、案の定ね」

 

「その割には怒ってないな」

 

「あなたがした行為に対して責任は問わないようにとあの理事長から連絡があったの」

 

悔しがる上司の顔を見てスッキリとしたのかいつもよりJBは明るい

 

「それに、報告を見たけど酷いものだったしね。教育の仕方もだけど、あなたに対して『犬』って言ったんですって?自分もその犬でしかないって事がわからないのかしら」

 

調子よく毒を吐くJBに同意してプッと雄二は笑う。

 

「さて、その話はともかく……もう1つのことだけど」

 

途端に暗い顔をする

 

「仮にも精鋭部隊にいたやつを中学生が倒したんだ。隠せるはずがない」

 

「あなたは大丈夫なの?」

 

「色々痛い。吐きそうなレベルだ……だけどどうしようもない」

 

「潮田 渚…烏間の方は?」

 

「時が来ても必ず止めるだそうだ」

 

ふぅとひと息置いてJBは言う

 

「信用してるのね。なら、とりあえずは報告するわ。なるべく低く見られるようにね」

 

「ありがとうJB」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■–■■■■候補報告書

 

第1候補:潮田 渚




鷹岡編終わりです

さぁ、次はこの小説の難題プールです
一応どうするか考えてるけど………雄二はあの体ですからねー

感想、意見があればよろしくです‼︎

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