暗殺教室 グリザイアの戦士達   作:戦鬼

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多分これが今年最後の投稿になります。
時間があればもう1話くらい出します

…時間、あればなぁ〜


球技大会の時間

椚ヶ丘中学校クラス対抗球技大会。スポーツを通してクラスの結束や力を高め、心身を養うもの……表向きは

 

「だが実際は単なる実力を見せつけるものだ。過去のデータを見ると全て特進クラスのA組がトーナメントを制してる」

 

「どこから持って来たのそのデータ」

 

「律に頼んで過去のデータを調べてもらったんだ」

 

「私は割と楽しかったですよ!」

 

E組では来週に行われる球技大会の話し合いをしていた。

 

「ふむ、しかし肝心のE組がトーナメント表にないのは…」

 

「1チーム余るっていう素敵な理由だよ。その代わり、大会のシメのエキシビションマッチに出るんだ」

 

殺せんせーの疑問に三村が言う。

 

「全校生徒の見てる前で、男子は野球部の女子は女子バスケ部の選抜メンバーと試合をしなきゃなんない」

 

本来は一般生徒のための大会であるから野球部もバスケ部も出られない故に、

 

「この場で力を示すってわけか。まさに公開処刑(エキシビションマッチ)だな」

 

「トーナメントで負けたクラスもこれを見てスッキリするのとE組に落ちたらこうなりますよっていう警告にもなって一石二鳥って寸法さ」

 

「つまり、いつものやつですか」

 

「そ」と先生の言葉に頷く片岡であるが全く問題ないという表情である。

 

「心配しないで殺せんせー。暗殺で基礎体力ついてるし、良い試合をして全校生徒を盛り下げるよ。ねー皆」

 

女子全員が賛同した。片岡はクラス委員長としての責任感があり、統率力もある。すでに女子は殺る気満々であった。

 

「俺等、さらし者とかカンベンだわ。おまえらで適当にやっといてくれや」

 

一方で男子の方は一筋縄とはいかずさっそく寺坂、吉田、村松は教室から出ていく

 

「……ったく」

 

皆が呆れながら寺坂達を見送るなか

 

「…殺せんせー、ちょっと席を外させてくれすぐに戻る」

 

何を思ってか雄二は彼らを追いかけた。

 

「おい、風見ほっとけよってもう行ってるし」

 

「風見くんはいつでもクラスの絆を大事にしてますからね」

 

「説得するつもりなのかな」

 

「いえ、違うでしょう。彼は無理強いをするような人ではないです」

 

 

 

side寺坂

 

「寺坂、吉田、村松ちょっと待て」

 

「あぁ」

 

なんだこいつ?わざわざ俺ら連れ戻しに来たのか?

 

「なんだ?まさか試合に出ろってか?」

 

こいつは本当に癪に触る。こっちが頼んでもいないのに毎回ちょっかい出してくる。

 

「頭の中が湧いてのかお前?俺にこんな風に話しかけてくんのはお前くらいなもんだ」

 

「そうだろうな」

 

「………」

 

否定しないのはしないでなんかムカつくな

 

「勘違いしてるようだが寺坂、試合に出なくてもいい」

 

なんだこいつそれを言いに来たのか?

 

「お前はお前のやりたいようにすればいい。だが、結果だけ楽しみにしていてくれると助かる」

 

やっぱりこいつは嫌いだ。来た時からそうだったが。衝動的に俺は胸ぐらを掴んでいた。

 

「見下してんじゃねーよ‼︎いい子ぶってみんなと仲良くしてればだれでも付いてくるとでも思ってんのか⁉︎」

 

「……」

 

何も言わねーのか。俺にだってわかるこいつは俺より遥かに強い。こんくらいじゃ動じないし抜けようと思えば抜け出せる。それをしないのは

 

「ただおまえは、自分の手を汚したくねーんだろ‼︎嫌われたくないからな‼︎」

 

さぁ、言い訳してみろよ。

 

「…………そうだな、その通りだ」

 

「は?」

 

「寺坂の言う通り、俺は自分の手を汚したくないんだろう。結局のところ俺は…」

 

「チッ」

 

いきなりしおらしくなりやがって。

 

「あーもういいわ。これ以上この件に俺らを関わらせるな」

 

「改めて言うが寺坂、試合、楽しみしててくれ」

 

本当にムカつく。こいつはいつでも本気なところも

 

 

sideフリー

 

寺坂と話し終えた雄二は教室に戻った

 

「あ、戻ってきたなって、ずいぶん暗い顔だな」

 

「だからほっとけって言っただろ」

 

「…たしかにな」

 

「雄二くん、どうしたの?」

 

明らかにいつもと違う表情に桃花の問いに心配ないと言う。

 

「ただ、痛いところを突かれただけだ。それより、結局球技大会はどうする?」

 

「そうそう。頼りなるのは杉野くらいだけど、勝つ秘策とかねーの?」

 

杉野は元野球部だ。さらに今の主将とは色々因縁も有る。が

 

「無理だよ」

 

元野球部だからこそ絶対的に解るのだ。

 

「あいつらは最低でも3年間野球してきたんだ。ほとんどが未経験のE組じゃ勝つどころか勝負にもならねー」

 

それが現実だろうと容赦なく杉野は言う。

 

「勉強もスポーツも一流とか不公平だよな、人間って」

 

わかっていたことだ、無理に決まってる

 

「だけどさ……」

 

それでも

 

「だけど勝ちたいんだ、殺せんせー。善戦じゃなく勝ちたい‼︎」

 

杉野の胸の内にある想いが溢れ出てくる。

 

「好きな野球で負けたくない‼︎野球部追い出されてE組に来て…むしろその思いが強くなった。E組の皆とチーム組んで勝ちたい‼︎」

 

本心である。このままではいたくないという

 

「それにさ、もう1人にも勝ちたい」

 

「…1人は現野球部主将なんだろうが、もう1人?」

 

誰だと雄二は尋ねた

 

「おまえだよ風見」

 

「俺?」

 

「前にキャッチボールに付き合ってくれたことがあったろ。殺せんせーにスイングショットを使うって決めたとき」

 

以前行った暗殺の前に杉野と話しておりその時キャッチボールもしていたのだ。

 

「おまえ、野球部じゃないのに上手いんだよ特に左手で投げるとさ。なんかそれ見た時にこいつには負けたくないって思ってたんだ」

 

「だが、今回はチームだろ?」

 

「あぁ。だからこれは俺の思いを伝えただけだ。暗殺ではおまえが上でも好きな物では野球では負けたくないっていうな。それでだ、おまえも投げてほしい」

 

「待て待て、俺よりも」

 

「見たらわかるんだ。おまえのピッチングは進藤にも通用する」

 

「…ずいぶんと評価されたもんだ」

 

雄二はそう言いながらため息をついたが先ほどの暗い顔はなかった。

 

「わかった。ただ、ある程度手ほどきは頼むぞ」

 

「もちろん」と杉野は了承した。

 

「で、殺せんせーは……」

 

すでにマッハで自作ユニフォームに着替えトレーニングする気になっていた

 

「聞くまでもなかったな」

 

「最近の君達は目的意識をはっきり口にするようになりました。殺りたい、勝ちたい。どんな困難な目標に対しても揺るがずに」

 

グローブとバットを触手にもっている殺せんせーはニンマリとしていた

 

「その心意気に応えて、殺監督が勝てる作戦とトレーニングを授けましょう‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメよ」

 

「即答か」

 

雄二はJBに今回の件を説明したが案の定の答えが来た。

 

「当たり前でしょう。目立ち過ぎちゃダメ」

 

「そんなことはわかってる。けど、頼む」

 

「…どうしてそこまでしたいの?」

 

JBはなんとなくわかっていたがそれでもあえて聞いた。

 

「俺は、どこかであいつらと一緒にいるべきなのかって常に思ってる。だから、確かめたい」

 

「…考え過ぎよ。でもまぁ、どうせ言っても効きそうにないしね。いいわ、やりなさい」

 

「じゃあなんで最初にダメって言ったんだよ」

 

「無駄だとしても、言うしかないのよ立場的に」

 

それに対して雄二は

 

「大変だなぁ…」

 

と心にも無い事を言ってJBを怒らせたのは言うまでない。

 

 

 

球技大会当日

 

『それでは最後に……E組対野球部選抜の余興試合(エキシビションマッチ)を行います』

 

放送後に入って来た野球部のメンバーは念入りにウォーミングアップを始める。

 

「何であんな気合い入ってんだよ」

 

「俺等相手じゃコールド勝ちで当たり前最低でも圧勝が義務だからな。マジで容赦なくるぞ」

 

「関係ない。俺たちは俺たちのやり方がある。それより、殺せん…じゃないな殺監督はどうした?」

 

「あ、そーいやそうだ。指揮するんじゃねーのか?」

 

雄二と菅谷がキョロキョロと探していると渚が「あそこだよ」と指をさす。

 

そこにはボールがいくつか転がっており、その中に殺せんせーが紛れている。

 

「遠近法でボールにまぎれてる。顔色とかでサインが出すんだって」

 

「目立ってなくないか?逆に」

 

と殺せんせーの顔の色が青緑→紫→黄土色と3段階に変わり、サイン帳を見て渚が調べた

 

「えーと……殺す気で勝てってさ」

 

「…言われるまでもないな」

 

「確かに俺等にはもっとデカイ目標がいるんだ。奴等程度に勝てなきゃあの先生は殺せないな」

 

雄二と磯貝の言葉で皆の顔が引き締まる。

 

「よっしゃ殺るか‼︎」

 

「「「「「おう‼︎」」」」」

 

1回表・E組の攻撃

 

「で、俺が先頭打者かよ」

 

「俊足の木村だからこそだろ」

 

「やだやだ、どアウェイで学校のスター相手にさ」

 

「木村、相手がおまえを雑魚と思ってるなら余裕だ」

 

木村の後ろ向きな発言に杉野と雄二がエールを送るとバッターボックスに入り構える。

 

「1発めが肝心だからなまぁ、殺るか」

 

と気合いを入れるも進藤のど真中にストレートに冷や汗をかいて棒立ちになってしまう。

 

(………わかってたけどはやいなー)

 

と思いつつもどこ呑気な木村。ふと殺監督の方を向くと早速指示を出して来た

 

(りょーかい)

 

理解した木村はバットを構え直した。

 

進藤は2球目を投げるこれもストライクと思っていた観客達だが木村はバントの構えをしてボールに当てた。

 

『あーっとバントだ‼︎しかも良い所に転がしたぞ‼︎』

 

内野手は誰が捕るかで一瞬迷った。その一瞬さえあれば俊足の木村なら楽々とセーフにできる。

 

「チッ、こざかしい…」

 

「気にすんな。いかにも素人の考える事だ。警戒しとけばバントなんてまずさせねぇ」

 

進藤をなだめた者もイラついていた。だがイラつき出した時点ですでに殺監督の術中にハマっている

 

次のバッターは渚が入り再び殺監督が指示をだす。

 

先程の木村同様に渚もバントをしたが今度は三塁線に強く当てて前に出てきたサードの脇を抜けていく

 

本来ならこのような奇策などはプロでは通用しない。が、強豪とはいえ中学生の彼らではバントの処理はそう上手くはいかない

 

だがそれはバントを出しているE組にも言える。進藤は中学生で140㎞の速球を投げれる。それを狙った場所に転がすなど至難の業である。

 

だが、彼等はしらない。E組の練習相手が文字通り規格外ということを

 

 

 

 

E組は当日まで時間があるときは練習をしていたがその相手は殺せんせー。

 

投げた球は進藤の倍以上の速さ300㎞当然打てるはずもない。わざと打たされて1塁を目指そうと分身で9人分を補えるような怪物の守備に敵わず、おまけにキャッチャーをしている殺せんせーはささやき戦術で集中を乱される

 

「これは野球か?」

 

そんな言葉を誰が言ったのか、殺せんせーのマッハ野球に慣れた頃には心も身体もボロボロになっていた。

 

「さて、それではここからは先生が進藤君と同じフォームと球種で進藤君と同じにとびきり遅く投げましょう」

 

今まで殺せんせーの球を見た後では140㎞の球など止まって見えた。とはいえ、それでも素人では打ち抜くなどできない。

 

しかし、竹林が偵察してわかった事だが進藤の持ち球はストレートかカーブで試合中9割ストレートであった。

 

なら、バントだけなら充分なレベルで修得できるのである。

 

 

 

 

渚に続いて磯貝もバントで塁に出てついにノーアウト満塁と流れはE組有利な状況になっている。当然だが観客達はどういう事だとざわめきだしていた。そして4番のバッターとして杉野が入る。構えは当然バント

 

(な、なんなんだこいつら⁉︎)

 

今までこのような敵と戦ってきたことのない進藤は混乱の中にいた。

 

(俺が今やってるのは…野球なのか?)

 

それはE組が練習していた時にも思った事だが進藤のそれは恐怖の感情が近い。どうにか心を落ち着かせ内角高めのストレートでビビらせる作戦にでる。

 

が、それが悪手となる。杉野は最初のバントの構えから打撃する為持ち直した。瞬間に進藤達は気付いた時にはもう遅い。軽快な音を出してボールは深々と外野を抜けスリーベースヒット。E組は一気に3点先制した。そして

 

『ご、5番風見君』

 

少し面倒な顔をして雄二が出てきた。その顔は「舐めてんのか」と言われてもおかしくない顔でただでさえ雄二は全校集会で煽りを入れたのもあり、周りからはブーイングが起きていた

 

(殺監督の指示は……了解した)

 

しかしそれを完全無視して雄二は構えるバントではなく、最初から打つ気満々である。

 

(な、舐めんな‼︎)

 

投げられた球は勢いがあるが

 

「ぼ、ぼーる」

 

ストライクゾーンを外れてしまう。

 

(くそ、おちつ…)「なっ⁉︎」

 

続いて雄二はバントの構えをとる。それは木村の時と同じだ

 

(これなら充分バントはいけるとでも言いたいのか⁉︎)「ざけんなっ!」

 

寸前のところで雄二はバットを引っ込めてこれもボールとなる。そこで進藤は気付いた

 

(そうか、こいつは打つ気がない)

 

E組に自分の球を見せさらに目を馴らすこと、それが雄二の目的である。それに気付いた進藤は次は冷静に2球ともストレートを出した。その2球とも雄二はバントの構えでどちらもバット引っ込めていた。

 

(だが、警戒は必要だ次はボールだ)

 

ストライクギリギリのボール球これもスルー。観客からは振ってみろとヤジが飛ぶ

 

「これでワンアウトだ‼︎」

 

投げられたその球を……またもスルーだが

 

「ふぁ、ファーボール!」

 

「ちっ」

 

進藤はストライクゾーンに投げるつもりだった。だが、その瞬間雄二の目が変わりバットを構え直した

 

(打たれる⁉︎)

 

人間はいきなりの変化についていけない。しかも進藤は3点取られた状態だ。こいつも何かしてくると思った時点で冷静でいられない。さらに杉野の時とは違い投げる寸前。まだ中学生の彼ではまともな球など投げれない

 

1塁に向かう雄二の顔を見て進藤は気付いた。こいつに自分が操られていたのだと。それは彼と他の野球部にプレッシャーを与えるには充分過ぎた。流れは完全にE組だった

 

そう、だった。彼が出てくるまでは

 

『えー只今入った情報によりますと野球部の顧問の寺井先生は試合前から重病で、部員達も先生が心配で野球どころではなかったとのこと』

 

当然そんな事ないので野球部は一瞬混乱するが出てきた彼を見てホッとする事でそのウソに信憑性を持たせた。

 

『それを見かねた理事長先生が急遽、指揮を執るそうです‼︎』

 

理事長(ラスボス)登場。試合はここからである

 




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次回は雄二が投げます


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