暗殺教室 グリザイアの戦士達   作:戦鬼

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今回、ある人を出すために最後にオリジナル設定を少し入れました


テストの時間

椚ヶ丘中学校、中間テスト当日

 

コンコン、コンコン、コンコン

 

監視役の教師がワザと机を叩くが、音の鳴る方へ顔は向けず、テストに集中する。

 

「ゲフン、ゲフン。んん、E組だからってカンニングするんじゃないぞ」

 

本校舎教師のわかりやすい集中力を乱す行為にも誰も見向きもしない、反応のひとつも見せない。テスト前日、妨害してくると踏んだ雄二は

 

「最初からわかっているなら、対処もしやすい。妨害は、言うなら地雷でも監視ライトでもない。だが、集中してる時の雑音はくるとわかっても確かに耳触りだろう。だが、お前達なら大丈夫だ」

 

何が大丈夫なのか、最初わからなかったがその対処も訓練をして皆納得した。

 

(こんなの、射撃解答訓練より楽だ)

 

射撃と同時に出された問題を答える。答えなければ減点と言う単純なルールのゲームだが、人間の脳はそこまで万能ではない。2つのことを同時にやる際、慣れない者は混乱し、答えられない。実際、始めのうちは的を狙いつつ横で出された問題を解くのにどちらかがミスをして皆失敗していた。だがその基礎はすでにE組は既にしていた。以前殺せんせーとサッカーをパスしながら暗殺をするというものだ。その説明を受けた瞬間どこか腑に落ちたところがあるのか、皆答え出す。

 

先程も言ったが、脳は万能ではない。だが、単純なところはある。たとえ瞬間に、一時的でも、出来ると脳が理解するとそう動こうとする。さらに、出来る者が現れると「あ、できるかも」と思うとそのように変化する。マインドコントロールや洗脳と言う言葉はネガティヴな方に聞こえるかもしれない。が、洗脳は脳を洗う、汚れたもの、濁った脳を洗い正常に戻す。マインドコントロールは精神をちょうどいいぐあいに調整すると言う意味にもなる。つまりは使い方なのだ

 

しかし、如何に集中力をあげても、テストの問題ができなけば意味がない。

 

(だが、先生の教えが良かったな)

 

問題に一瞬苦戦しているように見えたが、殺せんせーがマッハで教えてくれた解き方のコツ、それはまるで暗号解読のごとくであり、かつわかりやすい。E組の全員が思った「今までの自分とは違うようだ」と

 

(顔を見ないでもわかる。みんなに目は希望に満ちてるだろう。これなら)

 

「いける」と雄二が思い、10問目を解いた時、殆どの生徒が一斉にやられた。存在するはずのない問題()によって

 

 

*side雄二

 

「流石ね」

 

雄二のバイト先のとある一室。JBからそう賞賛される。

 

「自分の言った事に対するキチンとした成果で、かつ目立ちにくい順位に身を置く。私が言わなくても実行するなんてやるじゃない」

 

「本当にそう思うか?」

 

「は?」

 

風見雄二、中間テスト結果

 

英語94点、国語89点、社会84点、理科86点、数学84点 合計437点 186人中21位

 

「情報はいってないのか?ターゲットは今回E組全員が50位以内に入る事が出来なければE組から出て行くと言っていた」

 

「は、はぁあ!?」

 

JBは顔を真っ青にしていう。

 

「ついでに言うぞ今回俺は手加減したつもりはない。10位以内に入るつもりだった」

 

「なっ!?」

 

「ブランクと、日本中学校のテストとは思えない内容の難しさ、さらにテスト2日前に出題範囲を大幅に変えていた。あの理事長が考えてしかも他クラス全てにその変更範囲を教え終えたそうだ。いいか、たったの2日でだ」

 

「………」

 

言葉は出ない。それほどまでにJBは侮っていた。ターゲットの始末にこんな障害あったという事に。そして、理事長の徹底さとその教師としての有能さを

 

「なんてこと…あれが逃げたんじゃ、もうどうしようもないじゃない」

 

理解できなかった。そこまでする事に。

 

「ここに来たのは、ターゲットの逃走の報告?」

 

「いや違う。というか、それならいくらなんでも俺から言うよりも先に連絡があるだろ」

 

「…ごめん、よくわからないんだけど。ターゲットが言ったのよね?出て行くって」

 

「まぁ、ひと言で言うなら、あのクラスに救われたと言うことだ」

 

 

sideフリー

 

教室全体が重い雰囲気となっている。誰も声を出せない。

 

「これはいったいどういう事でしょうか?公平さを著しく欠くと感じましたが」

 

その中で発せらる言葉は烏間の本校舎への抗議の電話だったが、それが通じる相手ではない事は雄二もわかっていた。

 

案の定、話しは通らなかったのか電話が切られるとどうするべきか見当もつかない顔をする。雄二もこのままではいけないと思い、殺せんせーに声をかけようと思った時であった。

 

(ねぇ雄二、雄二は50位なんでしょ?)

 

(あぁ。カルマは……言うまでもないな)

 

カルマは出題範囲以上の事を教えられていたのもあり、全クラス中4位であった。

 

(じゃあさ、一緒にからかわない?)

 

誰かはなど、言う必要もないであろう。

 

(OKだ)

 

 

 

「この結果をまねいたのは先生の責任です。…君達に顔向け出来ません」

 

「なら、隙だらけだな」

 

声を出されたと同時に二方向から対先生ナイフが3本飛んでくる。そのうちの2本は同方向から来ており、別方向からくるナイフを左右どちらに避けても慌てて逃げた時スピードを大体ではあるが起動を読み取った。どっちにしろ当たるように正確に投げれていたが、これで当たるはずがないのは投げた当人もわかっていた。

 

「にゅやっ⁉︎」

 

間一髪のところで全てを回避された。

 

「まだまだ起動を読み取るには至らないな」

 

「いや、今のは雄二が声を出しちゃだめでしょ〜。相手舐めすぎ」

 

「風見君、カルマ君!今先生は落ち込んでいるんですよ!」

 

文句を無視して2人はテストをバッと出す。

 

「まぁ、見ての通り俺も雄二も50位以内だけど、抜けるきはないよ。前のクラスよりも暗殺の方が楽しいし」

 

「俺の方は正直今回の結果は納得してない。だからといって、本校舎の教師に習いたいとも思わない。先生がまだ逃げずに残るならいいんだが」

 

「いやいや、雄二無駄だってこの先生は本質はチキンなんだし、今も早く逃げたくて心はブルブルしてるだろうし」

 

「なるほど、全員50位以内でなけれ出て行くと言うのは逃げる口実だったのか……先生、怖いなら怖いって最初から言えば良かったんだぞ。別にそんな事で爆笑はしない(笑)」

 

その含んだ笑みもあり、イラっとさせるには充分であるが、さらに追い討ちが入る。2人の意図を読み取ったクラスがさらに煽りだした。

 

「なーんだ、殺せんせー怖かったのか」

 

「正直に言っても誰も何も言わないし、笑わないしー(笑)」

 

プルプルと震えていたが散々煽られて沸点の低い殺せんせーはあっという間に我慢の限界がくる。

 

「にゅやー‼︎逃げるわけありません‼︎期末テストであいつらにリベンジしてやります‼︎」

 

そこからは皆、笑い出す。先程の張り詰めた空気はどこに行ったのかというほどに明るく、その光景に烏間もビッチ先生もやれやれといった雰囲気でため息をはくが、けして悪い顔ではなかった

 

ただ、1人。雄二は安心していた。それがとてつもない矛盾と自己満足ということもわかっている。

 

逃げられては、困る。この先生からもっと様々な事を学びたい。

 

逃げられては、困る。殺すことが出来なくなるから。

 

 

*side雄二

 

「…というわけだ」

 

「なるほどね。あの怪物が負けず嫌いで、器も小さくて、煽りやすくて………なんかこれだけ聞くと、物凄く弱そうに聞こえるんだけど」

 

それは俺も思うが、それを帳消しにするくらいほかのスペックが高い。

 

「E組ね。…ここだけの話だけど、上層部は様々な意味であのクラスに期待はしていないわ。でも、あなたがそこにいる意味だけは、履き違えないで」

 

JBは目を細めて言う。どういう意味かはわかっているが俺はあえて聞く。

 

「なにをだ?」

 

「知っているんでしょ、あのクラスにあなたがいる理由は怪物の暗殺だけじゃない(・・・・・・・・・・・)

 

「JB、俺はクラスメイトを裏切れない」

 

「わかってる。私も上層部のクソみたいな考えには賛同していないわ。だからこそ、履き違えないで。あなたがやるべきこと、そしてあなたはあの怪物に麻子の時のような感情をもってはダメ」

 

「…俺にそんな趣味はない」

 

「茶化さないで」

 

……言われなくてもわかっている。でもそれでも、

 

「尊敬くらいはしてもいいんじゃないか」

 

「そう。なら、どんな結末になっても後悔はしないのね」

 

もともと、殺すことは決まっている。それで、俺の中でまた何かが壊れるとしても

 

「覚悟はできてる」

 

例えこの先壊れても、俺は生きる。麻子との約束の為に。愛国心などない。ただ、この学園生活が無事終われば少なくとも5人以上は救える。その時にようやく……

 

「あんたのとこに行く権利が得られるよ…………麻子」

 

 

*side JB(ジュリア)

 

「あの子、気付いてるのかしら」

 

いま抱いている感情が矛盾してるということに。

 

「もどかしいわね。何もできないのって」

 

私が何を言っても聞かないだろう。いつもいつも、麻子と同じで自分勝手なんだから。

 

「それにしても…」

 

あの怪物が学園を去るかもしれないとんでもない事態など、こちらの耳に入ってもおかしくないそうなれば、政府も世界も黙ってはいないはず。すぐさま何かしらの行動に出るはず。

 

「どこかで情報が制限されていた?」

 

そんなはずがない。そのようなことが起こらないように、地下の教授にも手を貸してもらったのだから。何時もはくだらない事で私を使うなと言うほどなのに今回ははっきりと文句もなく協力したのだ。流石に彼?も地球の危機には動いたのだと思った。

 

「まさか、その当本人が止めた?」

 

だが、そうだとしたら何のために?メリットなどないはず

 

「何か、私の知らないところで動いてる影があるのかしら」

 

 

*side ???

 

【今後はこれっきりにしてください。今回は良かったものの】

 

《……いえ、どの道あの教師はあのクラスに残っていました》

 

通信から流れてくる男の声にソレは機械的に答える。

 

《あの怪物の目的は理解してる、けど私は自分で確認しないと気が済まないです》

 

【聞きますが、逃走する可能性の確率は?】

 

《ある程度の憶測もありますが、10%未満でした》

 

その瞬間、連絡先の相手が頭を痛めている光景がすぐに浮かんだ。当然だろう。10%とはいえ、地球の存亡に関わっていたのだから。

 

《けど、確認はとれました。あの怪物は3月まで動くことはないでしょう》

 

〔本当にその確認だけのために今回の事を実行したと?〕

 

もちろんそれだけではない。だがそれはここで言う事ではない。故にこの場では《そうです》と言っておく。怪しまれる行動は大きくは取れないだろう。それでもやれる事はたくさんある。これ以上言っても何も出ないと判断したのか、通信が終了する。

 

《さて、次の手の準備ももう少し 。いずれくる時まで、しっかり生きて。あの教師はあなたの人生に必ず活かせる》

 

教師の中の教師であろう。そうでなければ、エンドとまで言われるクラスに入り浸りはしない。そんな教師でなければ、任せられない。

昔のように彼を、あの子を苦しめてしまうかもしれないから。

 

《後は、クラスの子ね。キチンと確認しないと》

 

機械的な音声はそれ以降聞こえない。ただ、パソコンが起動している時のような音だけが響く。暗い地下で、ただひたすら時がくるのを待ち、その時の行動を予測し、どうするかを考え、ただひたすらに…

 

 

 




雄二の成績について
今回の話で1番悩んだのは雄二の順位と点数です。
最初はトップ10に入れるつもりでしたがそれでは面白くないかなと思い、色々考えて今回の順位です

感想、意見よろしくです
次回から修学旅行編です
いつ出せるかはっきり言えたらいいんですけどね………

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