やはり心は叫びたい   作:ツユカ

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作者が展開に砂糖を吐きそうなので修学旅行は打ち切りにしたいと思います。
(本当に望むなら書きますが………)
明日からは本編を書いていきたいと思っています。

タグを増やしました。


Another world ver修学旅行 三話 順サイド

(うぷ……もう入らないよ……)

ラーメンを三杯ほど食べた順は、吐きそうなくらい満腹だった。おそらくお兄ちゃんと食べていなければ、吐いていた。正直これ以上食べたくない。平塚先生は食べたものがどこに行くんだろう……というくらい余裕そうだった。

「さて、そろそろ我々もホテルに向かおうか。」

(ほっ……やっと終わった……)

安堵すると同時に体の力が抜けるが何とか耐える。

「先生、そういや俺達部屋はどうするんです?このまま戻るわけにも行かないでしょ?」

そういえばそうだった。このまま戻るわけにはいかないだろう。クラスメイトとは少し気まずい程度だが抜け出した途端だとそれどころではないだろう。

「あぁ、それなら私と成瀬、そして比企谷、の三人部屋だ。」

……一瞬思考が固まる。しかし、すぐにその言葉の意味を理解し、顔が熱くなる。反論しようと思ったが声がうまく浮かんでこず

「うぁ……ぇ、と…」

という声を出してしまう。それを見かねたお兄ちゃんが助け舟を出してくれる。

「いや、年頃の男女が同じ部屋ってのはどうなんですか?」

少し順の言いたいことと違うがおおむね間違ってはない。しかし、平塚先生はこの質問が来るのを予想してたかのようににやりと笑うと少し芝居のかかった声で面白そうに質問に対する答えを言う。

「おや?君たちは兄妹じゃないか、それに未だに一緒に寝ていて困っているとこの間泉から聞いたのだが?」

その言葉で順は固まった。お兄ちゃんのベットに移るのはかなり夜中だ。それを見られているとは思わなかった。それもママに……しかも、それが学校の先生にも知られるのだ。恥ずかしいに決まっている。お兄ちゃんも顔を赤くしていた。

「まぁ、もちろん私も教師なのでな、今夜は一緒に寝かさないつもりだ。」

追い打ちのような平塚先生もの言葉にさらにお互い顔を赤くし、ついには下を向いてしまう。

「うん、やはりこちらの君達の方が子供らしくていい、君たちは妙に大人っぽいからな、たまにはこうした方が疲れなくて済むだろう。」

平塚先生が何かを言ったようだが、順はそれどころではなく、聞こえなかった。先ほど部屋が一緒という話を聞いてから、順の頭には一つのことしかなかった。

(お兄ちゃんに甘えられるかも……甘えてもいいかな……)

そんなことを考えていると、平塚先生の呼んだタクシーが来た。

それに乗り込み静かな車内で、順は急にお兄ちゃんと話したくなった。

『ねぇ、お兄ちゃん。部屋、一緒なんだね。』

先ほど聞いたことへのお兄ちゃんの意見を求める。

『あぁ、そうだな。ま、いつも通りだしいいんじゃないか?』

と、順の考えていたこととは違う答えが返ってくる。順はそれを肯定して、自分の意見を書こうとしたが、恥ずかしくて手を止めてしまう。

『そうなんだけどさ……やっぱりなんでもない!』

お兄ちゃんに見せてすぐに回収する。すると、目的地に着いたのかタクシーが止まった。平塚先生がお金を払った後について行くと、そこでは同級生がみんなで食事をしていた。

「さぁ、君たちは自分のクラスに行ってきなさい。そして、食べ終わり次第、私のところに来なさい。」

そう言われたが、正直先ほどのラーメンでお腹は空いていなかった。そのためその場に残っていると、平塚先生も事情を分かってくれたようで、

「部屋は601号室だ。六階だからエレベーターで行くといい。」

と、部屋番号を教えてくれる。エレベーターを見つけ、乗り込み六階を目指す。六階につくと部屋を探し、部屋に入る。そこで順の我慢は限界だった。

後ろからお兄ちゃんに抱き着くと、お兄ちゃんの匂いに満たされる。

「順?どうしたんだ?」

お兄ちゃんが聞いてきたが、順はまだまだお兄ちゃんの匂いを堪能したかったため、更に強く抱きしめて答える。しばらくそのままの体勢で、ある程度満足すると、少しだけ力を緩めて、蕩けきった声で

「充電中……かな?」

と、答えた。すると、お兄ちゃんが急に順の腕から逃げた。ぬくもりが離れていくことを感じながらも、これが普通だと思った。普通の兄妹はこんなことをしない。そのことを知っていたから、順は離れていくぬくもりに未練を残しながらも、そのことに対して何も言わなかった。しかし、それは裏切られる結果になる。

お兄ちゃんが順を強く抱きしめたのだ。

「そうか、なら俺も充電だ。」

(こんなこと、言われたら、順、もう……)

順は胸が締め付けられる感覚を覚えながら、お兄ちゃんに体をこすりつける。

どのくらいそのままだったであろうか。一瞬とも永遠とも取れる時間が過ぎ、その体勢が辛くなり、ベットへ移動する。お兄ちゃんと一緒にベットへ座ると、順はさっきのお返しと思い、お兄ちゃんを抱きしめて、頭を撫でる。お兄ちゃんはこれが好きなのだ。実際今も目を細めて、気持ちよさそうにされるがままになっている。

「お兄ちゃん、これ好きだよね?ホントは弟くんが良かったんじゃないの?」

前から思っていたことを口に出すと、お兄ちゃんはそれは違う、と言いたげに順を同じような体勢で撫でる。

「いや、俺は順を甘やかす方が好きだから兄貴でいいんだよ。」

……こんなにうれしい言葉はなかった。順はまた、胸を締め付けられながら、それでも眠くなってしまう。いつも、これをやられると順はいつの間にか寝てしまう。しかし、順は耐えようと、頑張ったが、その頑張りも空しく眠りについてしまった。




ありがとうございました!!!

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