やはり心は叫びたい   作:ツユカ

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お久しぶりです。モチベが保てず全然書いてなかったです。
申し訳ありません。
これからはぼちぼち頑張ります。
応援お願いします。


六話 順サイド

 眠っていたお兄ちゃんが目を覚まして、勉強が始まった。順は学校の勉強は嫌いだったけどお兄ちゃんとの勉強は好きだった。お兄ちゃんは算数、順は国語をやっていた。漢字の問題でわからないところがあると、お兄ちゃんにシャーペンで質問を書く。

『セイセキのセキって糸偏だっけ?』

 お兄ちゃんは算数の問題に行き詰ってるみたいだった。

(珍しいなぁ……まぁ、お兄ちゃんにわからないのに順が分かる訳ないか。)

 悲しいことだがお兄ちゃんの方が順より賢い。お兄ちゃんは順に勉強を教えてくれるくらいに頭がいい。本当に高すぺっく?というやつだ。

 お兄ちゃんの肩を軽く叩いて、こちらに気付かせてから先ほどの紙を見せる。それに対してお兄ちゃんは頷くだけの返事をする。どうやら合っていたみたいだ。順は得意げになりお兄ちゃんに少しどや顔を見せるが、頷いてからすぐに自分のやっていた問題に移る。そのため順のどや顔は見られなかった。

(ほんと、珍しいなぁ。いつもなら頭、撫でてくれるのになぁ。)

 少しだけ物足りなかったが、勉強に集中することにした。

 ぴぴぴぴ

 お昼を知らせてくれるアラームが鳴った。順とお兄ちゃんは伸びをしてから、勉強道具や消しかすを片つけた。それが終わると、順は洗濯に向かって、お兄ちゃんはキッチンに向かった。

 

 洗濯を終えてリビングに向かうとお兄ちゃんは座っていて、ナポリタンが盛り付けてあった。一緒にいただきますと口パクで言い、食べ始める。食べ終わって、洗い物も終わった時にお兄ちゃんがスマホを見せてきた。

『そういや、昼から食材買いに行きたいんだが、来るか?』

 という誘いの内容だった。順は悩みもせずに頷いて、急いで携帯で文字を打つ。

『着替えてくるから待ってて!』

 それを見せると、順は走り出した。部屋について白いワンピースを引っ張り出す。お兄ちゃんとはよく買い物に行くけど、おしゃれはちゃんとするのが順が自分で決めたルールだった。急いで着替えて、鏡で確認してから玄関に向かう。

『お待たせ、さ、行こ。』

 携帯をお兄ちゃんに見せて、靴を履いて外に出る。外は強い日差しで、溶けそうなくらい暑かった。

(うわ、暑い……帽子持ってくればよかった……)

 今更後悔しても仕方がないと順は家の前の道路に出た。振り返ってみるが、そこにお兄ちゃんはいなかった。

(あれ?なんで……あ、そういうことかな?)

 順はお兄ちゃんの行動に思い当たることがあった。少しだけ顔が熱くなる。木陰に移動して、携帯で文字を準備してお兄ちゃんを待つ。少しすると、お兄ちゃんが戻ってきた、順の麦藁帽子を持ってきてくれた。それを順の頭にかぶせてくれる。順はさっき用意した携帯の文字を見せる。

『ありがと、お兄ちゃん』

 順はお兄ちゃんに向けて笑顔を向ける。お兄ちゃんは照れたのか、顔をそらして、頷いて、バス停に向かってしまう。そんなお兄ちゃんを追いかけながら、順は幸せな気分になる。こんな時間がずっと続かないかなぁ……

 

 いつものスーパーについた。食材を買うらしいのでカートとカゴをお兄ちゃんは取ってきた。生鮮食品から見ていくお兄ちゃんの言う通りに動いていく。と、そこで順はいつもの視線を感じた、おばちゃん達から感じるのだがなぜ見られているのかが分からない。今日はお兄ちゃんに聞いてみることにした。

『ねぇ、なんでおばちゃんたちっていつもこっち見てるのかな?』

 お兄ちゃんは答えに悩んだような素振りを見せながら

『見られてるのか?俺は別に感じないし、気のせいだろ。』

 ごまかされた気がする。

 

 バスから降りて、家まで歩く、荷物は全部お兄ちゃんが持ってくれてる。

 家に帰ると、お母さんの車が止まっていた、順とお兄ちゃんは走り出す、リビングに入るとコーヒーの匂いがした。お母さんを見つけると、順はお母さんに飛びついた。これはお喋りが出来ない、順のお帰りの挨拶だ。これをするとお母さんは順の頭を撫でてくれる。

「あら、順。おかえりなさい。八幡も。」

 お兄ちゃんは頷くだけの返事をして、台所に向かっていく、お母さんは順の腕から抜け出してお兄ちゃんの方へと向かっていく。すると、後ろからお兄ちゃんを抱きしめた。

(え……)

 お母さんはお兄ちゃんに耳打ちで何かを話している。順はなんだか、嫌な気分になる。お母さんを睨んでしまう。

「ん、わかったならいいの。そろそろ離さないと順が怒りそうだしね。」

 と言いながら、お母さんはお兄ちゃんを離した。お兄ちゃんがそれにつられて順を見ると、いきなりお腹を抱えて大笑いした。それはもう珍しいくらいの大笑いだった。

 順は何となくむしゃくしゃして、お兄ちゃんを力強く抱きしめた。お兄ちゃんの匂いを感じる。その中に少しお母さんの匂いが混ざっていた。順はそれを消す勢いで強く、強く、抱きしめる。お兄ちゃんが腕をバンバンと叩いてギブアップしてきた。お母さんの匂いが少しなくなったのを確認して、順はお兄ちゃんから離れた。

「あらあら、順のブラコンは進行してるわね……」

 と、誰もいないと思っていた、この空間から声が聞こえた。

(あ、お母さん、いたんだった……)

 顔が急激に熱くなる、そう思ったときには順は二階の部屋に向かっていた。




久々すぎてこういうのだったかと思いながら書いております。

本当に大変長らくお待たせしました。


誤字、脱字はごめんなさい

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