やはり心は叫びたい   作:ツユカ

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四話 順サイドです。

先ほどの投稿のあとがきにある通り確認をしておりませんのでご注意下さい。


四話 順サイド

 

 晩御飯を食べ終わるとお母さんがお兄ちゃんにお風呂を勧めていた。お兄ちゃんは疲れてるだろうし、一番風呂に入ってもらおうと思っていたが、お兄ちゃんはこちらをちらっと見ると

『順を先にしてやりませんか?緊張しっぱなしで疲れたでしょうし。』

 と、書いたのだ。お兄ちゃんの方が疲れてるのに!そう思ってお兄ちゃんの服を引っ張って首を振って断ろうとするが、お母さんが

「順、わがまま言ってないで、早く行ってきなさい。八幡君が入るの遅くなるでしょう?」

 と、言った。でも順はこれですごいことを思いついた。思いついたことを携帯に打ちお兄ちゃんに自慢げに見せる。

『お兄ちゃんと一緒ならいいんだよ!待たせないし、きっと楽しいよ!』

 そう!お兄ちゃんと一緒には入れば待ち時間もないし、きっと楽しい!よし!こうしよ……あいた!見るとお兄ちゃんが順に軽くチョップしていた。うぅ……痛い。手で頭を押さえて痛みが引くのを待つ。

『馬鹿な事言ってないで早く入れよ。俺はこれから段ボールとか運んで汚れるんだし、今入っても意味ねーんだよ』

 お兄ちゃんにこういわれては引くしかなかった。でもただで引くのも嫌なのでお兄ちゃんにあっかんべーしてからお風呂に向かった。服を脱いで浴室に入っていく。なんだかいつものことなのに今日はやたらとさみしく感じた。頭と体を洗い終わりお湯につかる。少し熱いくらいのお湯がちょうどよかった。

(ふぅ~~~)

 一日の疲れが取れていくようだった。そのままぼーーっとお風呂に入っているといつの間にかのぼせそうなくらい入っていた。少しふらふらする頭で

(お兄ちゃんに上がったこと伝えないと)

 と考えパジャマに着替える。音符の柄のついた順のお気に入りだった。

 順はタオルを首にかけ、髪を拭きながらリビングに向かった。そこではお兄ちゃんがテレビを見てた。順は上がったことを伝えようと肩を叩こうとするが、それをやめ、驚かせようと後ろから抱き着いた。

 順は驚いた顔を見ようと、お兄ちゃんの方に顔を向けたのだが、それが間違えだった。

(あれ?お兄ちゃんの顔……近くない?)

 お兄ちゃんの顔がすぐそこにあった。順の目はお兄ちゃんとばっちりあっていてそらせなかったが視界の少し下にお兄ちゃんの唇があった。それに気づくと顔から湯気が出てくるほど熱くなり、お兄ちゃんから離れ、下を向いていた。このままだと怒られるかも、そう思い覚醒していない頭で文字を打つ。

『えっと、上がったのを知らせようとしたんだけど、普通はつまらないなって思って……ごめんなさい』

 素直に謝って、次の返信を待つ、しかし、お兄ちゃんは軽く頷いて、

『そうか、風呂行ってくる』

 と、簡素な返事をしてお風呂に向かっていった。順は自然とソファー雪崩れるように倒れ込んだ。頭にはお兄ちゃんのことしかなかった。しばらくそうしていると急に頬のに冷たいものが当たった。

「ひゃっっっ!?!?」

 それの正体は牛乳の入ったコップだった。お兄ちゃんが入れてきてくれたのだろう。それを順の前に置くと飲むように勧められる。牛乳を一口飲むと、とても冷たく美味しいものだった。火照っていた体が冷えていくのを感じた。それと同時に思考も冷静になり先ほどの声に対して呪いが発動されていないのに気づく。

『順、今、声出したけど、お腹痛くなってないよ!?なんで!?!?』

 急いで携帯で文字を打ちお兄ちゃんに見せる。するとお兄ちゃんは

『順は言葉を封印されただけで声を封印されたわけじゃない。つまり言葉を発しようと声を出すと呪いに引っかかるが、先ほどのように反射的に出てくる声は呪いの対象外なんじゃないか?』

 と教えてくれた。順はそのことに気付くお兄ちゃんを素直に褒める。

『そうなんだ、知らなかった……お兄ちゃんは賢いんだね!』

 お兄ちゃんは恥ずかしかったのか、牛乳を一気に飲んでしまった。その姿に順は少しだけ笑ってしまったが、次にお兄ちゃんに見せられた文字のせいで、それもなくなってしまう。

『順、そろそろ寝に行こうぜ』

 順はそれに反応できなかった。きょとんとしてしまう。すると不思議そうに思ったのか

『どうしたんだ?』

 と、聞いてくる。順は簡潔に聞きたいことだけまとめた文で聞き返す。

『え?順とお兄ちゃんって一緒に寝るの?』

 するとお兄ちゃんはスマホで説明してくれる。

『あぁ、泉さんから聞いてなかったのか。これから三日間、俺のベットが届くまでは順のベットで一緒に寝るんだと。』

 順はそれを何度も何度も読み返し、さらにお兄ちゃんに目線で尋ねる。しかし、お兄ちゃんから帰ってきた反応は頷くだけ、つまり肯定だった。

 その時の順はとても嬉しかった。飛び跳ねまくり、それをやめると笑顔でお兄ちゃんを引きずって部屋に連れていく。豆電球にしてから、一緒にベットに入って、携帯で、おやすみなさい!と打ち、少しだけお兄ちゃんに近寄ってから寝ようと目をつむる。しかし、睡魔は現れなかった。襲ってくるのは緊張感と不安感だった。

(もしかしたら、これは夢なのかも。順はこんなに幸せになれるわけないもん。)

 そう考えると、目が潤んでくるが、お兄ちゃんがいなくなることを想像してしまい、本格的に泣きかけてしまう。お兄ちゃんを見つめ続けているとお兄ちゃんが目を開け、目があった。順は今先ほどまで考えていたことを文字にして泣いてしまうが、お兄ちゃんに見せる

『お兄ちゃん、順、怖い。このまま、寝たらお兄ちゃんがいなくなるんじゃないかって、考えちゃう。お兄ちゃんはいなくなったりしないよね?お兄ちゃんは、比企谷八幡は順のお兄ちゃんだよね?』

 すると、お兄ちゃんは順の頭をそっと胸に引き寄せた。それだけで順は、当たり前だ、俺はずっと、一生お前の兄貴だ。そう言われた気がした。順は携帯で今、心から叫びたい言葉を文字に変えお兄ちゃんに伝える。

『順のお兄ちゃんがお兄ちゃんでよかった。お兄ちゃん、順はこれから何があってもお兄ちゃんが大好きだからね。』




突然ですが、10日まで投稿できないかもしれません。
諸事情でパソコンの使えない環境へいくので……

投稿できたとしてもスマホでなので違和感があるかもしれません。
申し訳ありません。

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