「うわあぁあああぁぁぁっ!」
その日、堅次が一番初めに発したのは、悲鳴だった。
悲鳴を上げた理由は、朝目覚めたら二人の見知った女に挟まれていたからだ。
柴崎芦花と水上桜。二人共パジャマ姿で気持ちよさそうに眠っていた。
何でこいつ等俺の横で寝てるんだ? 堅次はすぐさま疑問を抱いた。誘った覚えは勿論無い。となると勝手に入ってきたのは間違い無い。
事情を聞く為、二人を揺さぶらして起こそうとした。その時――
「ちょっと風間、一体何な……」
何か壊れる音とよく知る人物の声が聞こえた。その方向――自分の部屋と廊下を繋ぐドアのある所へ顔を向けると、また見知った女性、高尾(同じくパジャマ姿)がドアを開けた姿勢で固まっていた。鍵が壊れた音がしたが、深く尋ねない事にした。
それを切欠に続々とよく見知った女子達(全員寝間着)が集まってきた。
「何なんだこの雰囲気と状況は……」
リビングで計七人の人間がテーブルを囲んでいる。全員が同居しており、堅次以外は全員女性だ。
最初に名前が出た三人の他、船堀、境多摩、高不動はたが彼と共に住んでいる。この時間、いつもは和気藹々と話しながらテーブルの上にある料理を食べているが、本日は堅次、芦花、桜の三人は他四人から痛い視線を送られている。痛ましそうにしているのは堅次だけで、他の二人は平然としているが。
「皆さん、風間さんにそんな非難がましい目を向けないであげて下さい」
「お前にも向けられてるんだよ!」
高校時代と変わらない空気の読めなさを遺憾なく発揮する芦花。
「じゃあさぁ、芦花ちゃんと桜ちゃんがどうして堅次君と添い寝していたのか説明してくれるぅ?」
「それには深い事情があります。実は……」
『うう……好きなゲームが原作だから借りたゾンビホラー漫画があれ程恐いとは……今日は一人では眠れません……誰か一緒に寝てくれる人は……』
震えながら廊下を歩く彼女は、僅かに開いていた扉を開ける。そこは堅次の部屋で、堅次が安らかな寝顔で眠っていた。
芦花は部屋に入り、彼の顔を見下ろす。
『私が怖くて眠れないのに、私達に普段見せない安らかな顔をして眠っているなんて……意地悪です』
「眠れないのはお前の自己責任だろうがぁ! そして普段から安らかな顔をさせろぉ!」
『だから添い寝をします。これなら私も安らかに……スゥ……スゥ……』
「何が『だから』だよ、使い方おかしいだろ! 寝付くの凄い早いし!」
「風間さんの温もりは私にとって一番安心出来るものなんです」
「やかましい!」
「柴崎さんは分かりましたけど、水上さんは?」
「それはですねぇ」
夜用を足して自室に戻る前に、堅次の部屋の扉を僅かに開ける。
堅次と芦花が同じ寝具で眠っていたのが真っ先に目に入った。
『ふーん……芦花先輩がいいなら妹だった私が駄目な理由は無いよね? という訳でお邪魔しまーす。あっ鍵は掛けとかないと』
「お前が俺の妹だった事実はない!」
「そもそも桜はどうして風間さんのお部屋を覗き込んだんですか? 幾ら同じ屋根の下に住んでいるとはいえ守るべきものはあるでしょう」
「あんたがそれを言う資格は無い!」
自分の事を棚においた発言をした芦花に突っ込む高尾。その際更に成長した巨乳が大きく揺れ、芦花と桜が非難がましい目を向ける。
「胸に目を向けてないで早く説明してほしいですの」
「ハタちゃんは『ある』から関心を寄せずにいられるんです」
「おい話を脱線させるなそれは後で幾らでもやれ」
「『日課』のおやすみのチューを」
桜の爆弾発言に、一同が固まった。
「え……お、お、おやすみの……」
「この際言っておくけど、私みんなと暮らすようになった日からみんなが寝静まった時に先輩の部屋に行っておやすみのチューをしているんですよ♪」
「あの……チューって、まさか……」
「キス、口付け」
「キ……キス……」
船堀は顔を赤らめ狼狽する。
「ちょっと風間どういう事! 何で水上さんとそういう事をしてるのよ!」
「答えによってはただでは済みませんよ……」
高尾が堅次の胸倉を掴み揺らし、芦花は手製の袋を二つ用意する。
「まあまあ芦花ちゃん達、少し落ち着こうよぉ」
「そうですの。こんな剣幕では話せるものも話せませんの」
待ったをかける多摩とはた。それによって剣呑な雰囲気は一旦収まった。
「まず事実を言わせて貰うが、俺はコイツにそんな事を許した覚えはないし、第一コイツが俺に毎日そんな事をしていたのを今初めて知った」
「一緒に居ない日はあったから毎日じゃないよ?」
「ちょっと黙ってろお前……」
「それで? 水上さんはどうしてそんな事をしてましたの?」
ずいっと桜に顔を近付け、問うはた。その表情は笑顔だが鬼気迫ってる。
「挨拶」
対して桜は意にも介さずしれっと答えた。
「ほぅ……みんなが寝静まった頃を見計らって毎晩キスとは……中々斬新な御挨拶もあったものですね……」
「起きてたら絶対突っぱねてきますからね。それとキスと言ってもほっぺに軽く当てる程度ですよ? こんな風に」
堅次の頬に唇を押し付ける。瞬間、当事者以外から黒いオーラが噴き出した。
「どういう事ですの? 今は眠る時間ではありませんのに」
「おはようのチュー」
したり顔で回答した。直後芦花が桜を突き飛ばし、堅次の首に腕を回した。
「ちょっと芦花! まさか、あんたまで……」
「違いますよ。これから朝ご飯なので、いただきますのキスを」
「いただきますのキスなんで初耳なんだけど!」
「私も初言いです。大丈夫ですよ風間さん。一分程舌を絡めるだけですから」
「え? 挨拶が……ディープキ……」
狼狽する船堀。他の四人は芦花を堅次から引き剥がす。
「何をするんですか!」
「こっちのセリフよ! そんな羨まし……じゃなくて段階を飛び越えた真似をしようとして!」
「同じ部活で部長と部員という関係なんですよ私達は!」
「そんなもん二年も前に終わってるでしょ! 今更持ち出さないでよ!」
喧嘩を始める芦花と高尾。
「堅次君、タマちゃんにも唇同士だけでいいからおはようといただきますとごちそうさまと行って来ますのキスしてほしいなぁ」
「ちょっ! おねだりなんて卑怯ですの!」
「そうですよ。唇同士なんて私もまだやってないのに。しかも先輩からしてもらうのを……」
キスをねだってくる多摩に、文句を付けるはたに、黒い笑みを浮かべる桜。船堀は未だ狼狽。
「いい加減にしろぉ! 今日休日じゃねえんだぞ! 言い争いで時間潰して遅刻する気か! さっさと準備して行くぞ! いいな!」
部屋に怒声が響き渡り、全員が平常に戻った。
「よう堅次、今日はまた一段と疲れた顔をしてるな」
「中か……」
「朝飯を抜いてきた訳じゃないんだろ? そんな顔を朝からしてると、同棲してるみんなが不安になるぞ?」
「原因はあいつ等だがな」
溜息混じりにツッコミを入れる。
現在、堅次達は大学生で、堅次は家を出て部屋を借りて六人の女性と同居していた。
それは府上学園の二年の終わり、その年の卒業式の日前日まで遡る。その日、堅次は多摩からメールを貰ったのだ。要件は待ち合わせ。内容を確認した後船堀が話し掛けてきて、真意を察してなかった(卒業祝いにご飯を奢らされると思った)堅次は彼女に話したのだった。
卒業式を終えて時間に待ち合わせ場所に行くと、多摩だけでなくはたを除く同居人が揃っていた。その時の多摩の表情は、今でもハッキリと覚えており、感じた怒気もその度に思い出せる程怖かった。
そして、全員から一斉に告白された。彼女達の普段を見て、魅力も短所もよく知ってるとはいえ彼女達を異性として見た事が無い堅次は断った。高尾や船堀からは泣かれるが、桜が理由を尋ねたのでそれを口にすると――
『だったら先輩がこれから私達をじっくりと吟味すればいいだけですよね?』
ここから先はとんとん拍子で進んでいった。
まず多摩が行った大学に全員進学する事と高校卒業(桜は高三に進級)したら全員が同居する事に決まった。堅次は当然説得したが彼女等の決意は固く、結局『全員の家族に説明し、内一家族でも了承を得られなかったら忘れる事』という至極真っ当な条件を付ける事しか出来なかった。
それにはたが加わって、次の土日に七家族の説得に出向いた。堅次は猛反発、最悪自分が殴られる事を覚悟(期待)していたが、想定外な事に親の反発は少なく、せいぜい「一線を越えない事」を強く押されたくらい、中には自分の娘の応援までしていた親もいた。自分の親ですら「あんた巡って修羅場が起きると思ってたからそこまで驚きはない」「当人達が自分で決めた事ならあれこれ言わない」と割と簡単にOKが出た。
全家族が了承した以上反故にする訳にもいかなくなり、了承。多摩が進学したのは中々偏差値の高い学校だったが、成績トップクラスの八や横縞達の助力もあって全員が(補欠もあったが)合格する事が出来、今に至る。
(まあ、家賃、食費、光熱費は分割で支払う事になってるから、金銭面での負担は思ったより少なくて済んでるって利点はあるんだがな……)
「おいハーレム王」
「その渾名やめろって何度言えば分かるんだよ!」
定着してしまっている不名誉な渾名で自分を呼ぶ千歳に怒鳴る。
この生活は高校卒業と同時に開始され、入学してすぐに発覚し、学校中の噂になった。幸い既に学校の自治会長になっていた多摩や入った千歳や中の裏での動きや自分達の保護者の説得によって事なきを得たが、一度拡散した噂を消す事は当然出来ず、堅次達の名前と顔は学校全体に認知され、『ハーレム王』という望んでもいない渾名を付けられてしまい、いじめや嫌がらせは発生しなかったものの、暫くは好奇や嫉妬の目に晒される羽目になった。
「そう呼ばれるのは慣れてるだろ?」
「高校やそれ以前からの付き合いのある連中に言われると余計嫌なんだよ!」
「あのな。高校生の時点でお前女関係で結構有名だったんだ。その関連の渾名が今までつかなかったのが不思議だったんだぞ?」
「お前高校時代俺をどんな風に見てたんだよ!」
「羨ましくないハーレムを築いてる物好き……か?」
「お前……親友や後輩もその中にいるのに随分言うな」
「私が男だったら芦花達と恋人にはなりたくない。なりたいと思えるのは船堀さんか百歩譲って高尾くらいだ。認めたくないがあの胸は男がほっとかん」
「あいつの魅力胸だけ? いや、それ以前にすげえ言い方だな。あいつ等の大半との付き合いは俺より長いのにいい所一つ挙げられないのかよ」
少し怒った感じで反論する。言ってる事は理解出来るが今の千歳の言い方は堅次にとって看過できるものではなかった。
「悪かったよ。今のは私が言い過ぎた。芦花達の事、こんなにも大切に想っててくれてるんだな」
「そりゃ三年も濃い付き合いで、今では一緒に住んでるから、大切にくらい想えるようになるわ」
「堅次、お前は俺達の事を今どう想っているんだ?」
「昔と変わらず心許せる頼れる友達と思ってるよ!」
「じゃあ私の事はどう想っているんだ?」
「お前もそれを聞くのか!?」
「いや、流れで」
「聞くな!」
後々聞かれても困るので、「結構頼れる悪友」と回答した後、授業が始まった。
学校も終わり、堅次は自宅の門前に立っていた。普段は同居人の誰か、稀に全員と一緒に帰っているのだが、昼休みに全員から『一緒に帰れない』とメールが届き、本日は久々に一人で帰宅する事になったのだ。
鍵が掛かってるのを確認すると、合鍵を差し込んでロックを解除。ドアノブを回して扉を開く。
「お帰り先輩ー♪」
入った途端桜が抱きついてきた。ほっぺにチューのオマケ付きで。
同時に芦花と高尾が来て、桜を無理矢理引っ剥がした。
「水上さん……何やってるの……?」
「いやー、衝動に抗えなくてつい……」
「おいお前等……」
「お帰りなさい風間さん」
「ただ今……じゃなくて! 何でお前等ウチにいるんだ?」
「ここは私達の家じゃないですか。私達がいて問題でも?」
「いや、お前等『一緒に帰れない』って……」
「それしか言ってませんよ? まあ話は後にして、早く上がって下さい。みんな待ってたんですよ」
半ば引っ張られる形で、堅次はリビングまで足を運んだ。
そこには予想通り残り三人の同居人がおり、テーブルにはケーキや寿司等のご馳走が並んでいた。
並べられた料理に目を通した後、堅次は全員を見回す。
「俺の記憶が確かなら、今日、誰の誕生日でも無い筈だよな?」
「はい、風間さんの記憶に間違いはありません」
「誰かが何か賞を取ったとかでも……」
「それなら風間さんに秘密にしておく理由はありません」
「答えろ!」
「風間さんが私達をどう思っているのかが改めて分かったので嬉しかったのでそのお祝いです」
「私達の事……軽口で貶されて怒る程大事に思っているんでしょ?」
「まあ、付き合い長いから……てちょっと待て!」
「大丈夫ですよ。費用は私達がお小遣いを出し合って生活費には手を着けてませんから」
「そんな事じゃない! お前等それ何処で知ったんだ!?」
顔を赤らめながら訊ねる。心当たりは一つしかないし、ソースも見当はついてる。だが彼女達の口から聞きたかった。
「ちーちゃん。中ちゃんにも訊いて裏をとった」
「あいつ等……」
予想通り、いや、中も関わってる点は予想を超えていた。
「私達とても嬉しくて、お祝いをする事にしたんです」
「……言っとくが、それは今の俺の本音だ。お前等が望む答えは――」
「はいストーップ」
寿司一貫を突っ込んで堅次の口を強引に塞いだ桜。かなり奥へと突っ込んだ為喉に詰まる。船堀が淹れたお茶を飲んで胃に流した。
「何すんだ殺す気か!」
「みんな分かってますよ。そして、私達は『今の』先輩の気持ちが知れたから嬉しいんです。今と関係無い『後の事』言って水差さないで下さい」
「そうよ。あんたは私達と同じで、みんなが大切なんでしょ? 今はそれでいいし、満足してる」
「今は今です。私達は『今』が大好きです。風間さんも同じ気持ちなら、難しい事考えないで下さい」
「先の事考えなくていいとか言うつもりはないけど、『これ』に締切とかないんだし、まだ来ない『後』の事でウジウジしていたら今は楽しめないよぉ」
「私達はいつまでも待つ決意はとっくについてますの。ですので今の私達の気持ちを存分に堪能するといいですの」
次々と言ってくる言葉に、堅次は嬉しさと申し訳無さで心がいっぱいになった。
「風間さん」
芦花が自分の顔を覗き込んできた。堅次は驚いて後ずさる。
「そんなに驚かなくても……」
「いきなり顔を間近に来られたら驚くわ! 何の用だよ!」
「私はまだ言いたい事言ってないので。いいですか、申し訳なさを感じているならそれは筋違いです。今を選んだのは私達ですし私達は今とても幸せです。そしてこの幸せがあるのは、風間さんのおかげなんです。ありがとうございます。私達、風間さんに出会えて良かったです」
それを聞いて、堅次が笑顔になった。
「……子王がお前の事、あれだけベタ惚れだったのがちょっと分かった気がする」
「風間さん、少しは空気を読んで下さい。子王さんの事が出て来たら台無しです」
「本当にお前アイツに対しては辛辣だな! そして空気読んでほしいのお前!」
「先輩はどんな時でもツッコミは忘れませんねぇ」
「こういう時までツッコミなんてしたくねぇって……もういい。さっさと食うぞ」
「その前に風間さんにやってほしい事があります」
「何だ? 余興でもやれと?」
「いえ、私達全員にキスを」
ブッと噴き出した。
「ちゃんと唇と唇ですよ」
「ちょっと待て! 何で俺がそんな事しなきゃなんないんだよ!」
「分かってないなぁ堅次君。女の子はね、ううん、特別大切な人がいる人はね、その人からの言葉だけでいつも満足出来るものじゃないのぉ」
「言っときますけどこれも全員合意してますから突っぱねるのはなしですよ先輩?」
「俺は合意してねぇ!」
「では私からお願いします」
「何であんたからなのよ!」
「出会った順で。小さい頃会った事があるので一番目です」
「その理屈なら私が一番目になるわよ!」
「長幼の序でタマちゃんからぁ」
「こんな時まで喧嘩すんじゃねぇ!」
コイツ等との生活、まだ続くんだな。
終わらせるのは俺だ。だから、その時まで存分に楽しまないとな。
「あれ?」
目を覚ますと、見慣れた自分の部屋の屋根が目に入った。周りを軽く見渡す。間違い無く風間家の自分の部屋だった。
「夢……か……」
まあそうだろう。まだ高校二年だ。
こんな夢をどうして見たのだろう? 八達が言った事の影響なのだろうか? それであんな夢を見てしまったのだろうか?
「……ん?」
両隣から寝息が聞こえる。夢と同じだ。
夢の影響が聴覚に及んでの錯覚かと思いつつ、上体を起こして見下ろす。
つい今まで堅次の隣だった位置には、実妹の之江と後輩の桜が安らかに眠っていた。しかも二人共裾をぎゅっと握っている。
「起きろぉぉおぉおおぉぉおぉ!」
そんな彼女達に最初に行ったのは、怒鳴る事だった。
「まさかこの部分だけ正夢になるとは……」
「おはようお兄ちゃん……」
「お兄ちゃんおはよう。今日も元気そうだね♪」
「だからあんたは妹じゃないって!」
「おい。何でお前等が俺の隣で寝てたのか説明しろ」
話を聞いてみると、九時半頃桜が遊びに来て、家に上がると堅次の部屋に向かい、そこでまだ眠っている堅次を発見、添い寝しようとした。之江は最初止めたが、「妹の特権」と言うと対抗意識を燃やして向かい側に。それを聞いて堅次は呆れて溜息をつきつつ時計を見る。時刻は正午を回っていた。
「お昼ご飯は私が作ります。期待しててね、私の愛妹食卓」
「待て桜! 兄貴、私も作るから漫画でも読んで待ってて!」
ドタバタしながら妹と自称妹は部屋から出て行った。
「俺の見た夢って、現実の今とそんな変わんねえ……」
夢と現実を比較して呟いたその声には、疲労感がたっぷりと詰まってた。
「お前等、今幸せか?」
昼ご飯の途中、ふと二人に尋ねる。之江は勿論、桜も顔を真っ赤にして、何も答えなかった。