どうもこんにちは、12月に入りましたね。
今年もあと一ヶ月です。頑張っていきましょう!
前回は風ちゃんの話書くのは結構書くの心が痛くなりました。
では、続きです。
感想、批評お待ちしております!
これから話るのはとある世界のとある所にいた奇妙な男の冒険譚だ。
男は平凡だった。凡庸で質素で無個性で普通に学校に通い、普通に友達や恋人を作り、普通に進学し、普通に就職し普通に人生を謳歌してきた。
特別でも劇的でも喜劇的でもない面白みの無い普通のありふれた人生だった。
それはそれで幸せな人生を送っていたと思われる。とある歌の歌詞にあるように何でもないようなことが幸せなんだと思うというフレーズもあるくらいだ。
だが人間とは変化がなければ怖くなったり、前に進むことをやめて停滞したままでいることに不安を感じたり、または変わり映えのない日常を退屈に思えてしまう時もあるだろう。
そう、男はどこか退屈していた。いつも同じ日常。毎朝電車に揺られながら通勤し、仕事が終わるとまた電車で帰る日常。決まったパターンで変化のない日々、それでも自分でお金を稼ぎ自由にお金を使い豪遊していた悪くない楽しい人生だったと思う。
ふと、現実を逃避してなんとなくつぶやいたらいつの間にか違う世界に紛れ込んでいた。いや迷い込んでいたと表現すべきだろうか。
何も知らない場所、人間関係、調べてみるとかつて漫画であった物語の舞台であるという状況。主人公やヒロインたちとの出会い、それはそれで楽しい日々だった、ここの世界が現実だと思えるくらいにのめり込み、自由な学生生活を送ることが出来て有意義だった。
いつしかフィルターを通して見ていた景色がいつしか近くにあって、かつて学生時代に恋をしていた様な、その懐かしい日々を思い返す程に。そう、今は恋をしているのだ。まさかまさかである。風ちゃんの告白で本当の意味で気付くという鈍感主人公っぷりを発揮してしまったり、そして風ちゃんをひどく傷つけてしまった。だからこそけじめをつけなくてはならない。
かつてこの世界に住んでいた自分、記憶にない自分、突然この世界にやってきた自分の意識の前にいた人物。同じ人間だが中身は違う、前任者がいるのだろうか。そしてそいつは消えてしまったのだろうか、それとも…記憶を忘れてしまっているのだろうか。
長々と語ってしまったが、結論として今この世界にいる、それだけだ、たったの一言で完結してしまうのだ。それだけ分かれば充分だ。
そんな私なのだか、ある女性に恋をしている。その相手は橘万里花。もう今更説明することないだろうね。涼から告白されてからの日々は小野寺の誕生日プレゼントを買いに行ったりしました。ちなみにラベンダーのアロマオイルを購入しました。心が落ち着くんだよねこの香りは。
おいおい万里花に告白しないのかよって。ちょっと待ってくれ、あいつと顔を合わせるのに度々緊張したり、中々告白の良いタイミングがなかったとか言い訳をつらつらと並べてみる。
今は小野寺宅で涼と春ちゃんと小野寺の誕生日ケーキをみんなで作り終えて現在春ちゃんの部屋でスタンバっております。
クラッカーをそれぞれ装備しており準備万端だ。
「なんかこういうのドキドキしますね。」
「だよなあ。お、誰か帰ってきたみたいだ。小野寺かな?」
「多分お姉ちゃんだと思います!」
「よし、春ちゃん静かにね。さあ気配をなくすのだ、絶をつかうんだ。」
「はい、絶ですね。って、出来ませんよ。」
「涼を見てみろ、出来ているだろう?あの空間に溶け込む自然な感じを見習うんだ。」
「なんで出来るの!?」
「もう先輩はー、そろそろ小野寺さん来ますね。」
そして扉をコンコンとノックして入ってくる小野寺姉。
「春――、もう帰ったの?」
部屋に入ってきた瞬間に三人で左右からクラッカーをならしてこう告げるのだ。
『誕生日おめでとう!!』
「うわーびっくりしたあ!ありがとう三人とも。」
「これで17歳かあ、年を取ったねぇ。」
「いやまだまだ若いからね。二見君も来月だっけ?もうすぐ誕生日じゃん。」
「今はちょっとだけ年上だから後輩面しよっか?」
「いや、それはいいかなーなんて。」
「ですよねー。」
「「先輩、馬鹿なんですか?」」
「わー、二人の風当たり強いなあー。あ、そうだ。このケーキ三人で作ったんだぜ!食べよーぜ!」
「嬉しい!ありがとうみんな!」
「ケーキにろうそくたてて…」
「6本くらいたてようか。」
「年の数だけ置くのはさすがにねえ。」
「じゃあ電気消しますねー!」
室内の照明を消してあるフレーズを発する。
「ハッピウィバアスデウィートーユー、ハッピバアスデウィートーユー♪」
「なんでそんなダミ声なの二見君。」
「馬鹿は放っておいてしきりなおしますね。」
「風ちゃん中々の毒舌っぷりだね。」
「先輩の対応はこんなんでいいかなーなんて、ぷぷっ。」
「ひどいよー。」
『ハッピバースデー!小咲ちゃんっ♪』
「ありがとねー!」
それから男1人どこかはぶられながらの誕生会という名の女子会にいつの間にか変わっていた。ケーキをみんなで食べたり、プレゼントを渡したりおしゃべりしたりと楽しい時間を過ごすのだった。
それから時が流れてある朝の登校中、見慣れない制服を着た黒髪ロングの女性が校門の所にいた。なんだか見覚えのあるような…あ、そうだ。万里花の着ている制服と同じだ。というか今更なんだけど制服って前の学校のままで良いって普通なのだろうか。学校指定制服とかじゃないのか。自由な校風なのだろう知らんけど。やっぱりこの学校やはり妙に大きいし、深く考えないことにしよう。
きょとんとしてて何か探しているみたいだし声をかけてみようかな、おそらく篠原御影という名前だったような。愛しさとせつなさと心強さというフレーズが苗字を聞いたらイメージしてしまうのは仕方ないだろう。
「どうしたの?誰か探してるのかな?」
「ああ、お兄さん。はい、実は人を探しているんですが…良かったら職員室の場所を教えてくださいませんか?」
「ええよー、じゃあ案内するよ。」
「ありがとう。」
と、職員室まで案内している途中に万里花の姿が目に映った。
「貴一さん、おはようですわ。」
「ああ、おはよう万里花。」
「あら…?御影!?なしてこがん所おると~!?」
「キャーー!万里花!!久しぶりば~い!」
「こがん?ば~い?わっかんね~。」
「良かったあ、ちゃんと会えたっちゃ~!」
「どがんしたん急に…。」
「やっぱり二人知り合いな訳ね。」
「ええ、彼女は篠原御影。私と同じ中学の友人です。」
「御影ば言います。どうぞよろしくです。」
「よろしくなあ、俺は二見貴一だよ。」
「そいで、なしてこがん所にいるんかいな。」
「たまたまこっちに用事あったけんついでに顔を見てこー思っち。」
「それなら教えてくれりゃよかとに…。」
「仲良いねえ二人とも。」
『親友ですからっ』
「こっちにはどれくらいいられるん?うち今から学校ばってん。」
「へへー、そいが実は…。」
『ん?』
「えーっと、今日は皆に紹介する人がいます。」
あ、そうそう担任の先生はおっさんになったんだよね。キョーコ先生みたいな若い女教師が良かったんだけどなあ残念だよちくしょう。ちぇっ。
「本日急遽1日体験入学をすることになった…」
「篠原御影と言います、よろしくお願いしま~す!」
そう元気よく声を発する御影さん。1日だけ警察署長とかなんかお通ちゃんとかアイドルのそういったイベント思い出すなあなんて。クラスで沸き起こる喝采。おそらく美人だねーとかそんな感じだろう。男子諸君の喜びようは共感できるよ。
「…相変わらずやる事強引とね。」
「へへーどがんしぇやけん万里花の学校がどがん感じか知りたかったとよ。」
そうキャぴキャぴと話している二人。ここは空気を読んで二人だけの空間にしましょうね。クールには去らないが視線だけ送ることにするよ。
「私は万里花と同じ中学出身ばい!一年の頃からずーっと親友とよ!」
「その紹介は恥ずかしいですわ。」
「へー、橘さんの中学の話って聞いたことないや。」
「え?万里花話しとらんと?私たちの中学は…。」
そこからの話は長いので割愛。とりあえずすっげーお嬢様学校に通っていて体が弱かった万里花が最初休んでいて、それで登校してみると性格のせいかクラスで浮いていじめられてたのだが暴虐の限りを尽くしていじめグループを壊滅させたらしい。
なんというかどこぞのアークデーモン羽原を思い出すな。そして学校の全権力を手中におさめて一年生にして裏の支配者になったらしい。またその武勇伝は後輩達に語り継げられているそうだ。お嬢様学校なのにどこぞの世紀末みたいな感じじゃないか。
「って、なんだそりゃ!」
「まあ昔の話ですわ。」
「なにその昔やんちゃしてましたーみたいな感じ。」
「ふふっ。」
「はあ、それにしてもこん学校はべっぴんさんのおおかね!」
「まあ、それはわかるけども。」
そして桐崎さんや小野寺に抱きつきにいったり髪の匂いをかぎにいったりと中々の変態っぷりだな。というかおっさんみたいだな。いやおっさんだ。
「わい、私の女にならんと?」
と、キリっとした表情で言うお嬢さん。こうしているのを見ると何か気が合いそうだな。
「なかなかやるなあいつ。」
「気にしないでください。中身が少々おっさんなだけです。」
「そうだ万里花!大事なこと忘れとったばい、あんたん言うとった超ウルトラ激イケ婚約者、見てみたいばってんどこんおると?」
「ブファッ!?くくく、なんだそりゃ。」
横でなぜか固まっている万里花。そして廊下を指差して、
「あ!廊下に超絶美女が!」
「ほんとね!?」
肩にちょいちょいと指をあて一言、
「貴一さん、ちょっと。」
「え?なぜ俺?」
廊下に連れて行かれ、ひそひそと話してくる。
「え、楽を引っ張るとこじゃないの今のって。」
「いえ貴一さんですよ。」
「んで、どうしたの?」
「実は1日だけ…本当に1日だけでいいので…!」
「?」
「私の恋人になって頂けないでしょうか。」
「ぶゥぇえ!?なんでだよっ。」
「えーーー。」
「それで理由があるんだよね。」
「はい。私と彼女は長い付き合いでして当然婚約者のことも知っているのですが私がうまくやっているのかずっと心配していて。」
「え?婚約者って楽のことじゃないの?」
「なので私うっかり超絶ラブラブウルトラハッピーに交際中だと嘘をついてしまって。」
「スルーされてる。というかばかなの?死ぬの?というか楽じゃないからバレバレじゃんかよ。」
「お願いします1日でいいので話をあわせてください。貴一さんの演技力をいざここで発揮してはもらえないでしょうか。」
「むむむ俺の演技力を買うと。まあやるだけやってみますか。ばれても許してね。」
「お願いしますね。それにあの子にはあまり心配かけたくないので。」
「そっか。なら今日だけは恋人だね。よろしく万里花。」
「ええ、貴一さん。」
屋上にて、今は万里花と御影さんの三人で会話中。
「なーんだ朝案内してくれたお兄さんが万里花の婚約者やったとか。」
「ええ、彼女とは仲良くさせてもらっています。」
「まあ万里花が話したほどイケメンじゃなかね。」
「なーに言いよるばい、話したとおりイケメンばい!」
「ねえそういうの俺の前で言わないでくれないかな。なんかグサっとくるからさ。」
「ふふ。ふーむなるほどねいつも万里花がお世話になっとります。」
そう言って頭をぺこりと下げる御影さん。
「いえいえこちらこそ。」
そして耳元でぼそぼそと
「それで彼氏さんどうやったと?」
「ん?なにが?」
「なんがって万里花のおっぱいの揉み心地にきまっとるばい!」
「ブゥッ!!あんた、いきなり何言ってんだよ。」
「へ?もしかしてまだ揉んでらんと?」
「はっ!もももも!、も!、揉んでないとは言ってないぜお嬢さん。」
そう背景にゴゴゴゴ…と効果音をつけはっきりと告げてるのだ。
「そんなの揉んでるに…」
「貴一さんっ!」
「ぶわっ!なぜ今ボディーを打つんだ万里花。痛いじゃにゃいか。」
「にゃいか?とりあえず言葉を選んでくださいよ貴一さん。」
「ああ…かしこまりんこ。」
「は?」
「すみません、わかりましたよ万里花さん。」
「それで揉んどらんと?」
「まあ…。」
本当は揉んだことあるんだけども。朝のトラブル的な意味で。
「わい、そいでも金玉ついとーと?」
「ついてるよ!」
「なんで手ば出さんね!ウチの万里花の胸は見た目よりおおきかよ?多分びっくりすっとよ?」
そういいながら手をわきわきとさせる。
「大きいのはそりゃあ知ってるさ。」
「そうかね。なら尚更もったいなかね。せっかく万里花が中学ん時から婚約者んため言うて毎日揉んで大きくしたとに。」
「ギャぁ!?みかげそいどこで!?」
「ねえその話詳しく聞いていいかな?御影さん。」
「貴一さん!!ちょっと何良い声で言ってるんですか!」
「実はですね…」
「ほうほう…グハッ!万里花なんばするとね!」
「貴一さんちょっと黙りましょうか?」
「二人ば本当に仲良いね。まあおっぱいはよかね。二人にもタイミングがあると思うし。じゃあキスはどこで?ほれほれはずかしがらんと~!」
「おい万里花言ってやれよどかんと。」
隣の万里花の脇腹に肘を軽く当ててみるのだが。反応がないただのしかばねのようだ。
そしてぺっと下につばをはく御影さん。
「いきなりきついなあんた。」
「だってあんたらもう一年とよ!?一年!そいでキスもまだやなんてそいでも金玉ついとん…。」
あ、一年って設定なのか。転校してからって意味ね。
「金玉金玉言うなよ。」
「…金玉。」
「ねえそれもう金玉って言いたいだけだよな。」
「金玉~。」
「万里花は言わないの、口チャックね。」
「かしこまりましたわ。」
「はあ万里花、あんたがそいば奥手な女の子やったとは知らんかったばい。」
「いや、そいは…。」
「よし決めた!わたし!あんたらがキスするまでは今日は帰らんけん!あんたらのよか雰囲気なれるよう取り計らっとっとばい!大丈夫お姉さんに任せんば安心して!」
そう言ってクールに立ち去る御影さん。
まあこういうのもありかもしれないなあ…そのまま本当に付き合えたら幸せなんだけどなあなんて。この機会に告白するのも…果たして言えるだろうか
。
なんだろう、今日はなんだかばたばた騒がしい1日になりそうだな。
前に進めるだろうか。頑張るぞ!
とりあえずここまで。
感想、批評お待ちしております。