自分なりにいきますんでよろしくです!
はやくガロの新台打ちたいな・・・・。
「いらっしゃいませ~」
只今、海の家でアルバイト中です。さあさあどんどん客をさばいていくぞとテキパキこなしております。ちなみにイカみたいな女の子はビーチにはいませんでした。残念だゲソ。今の時期は海に訪れる人も多くお店もかなり忙しくずっと動き回っています。ホールにキッチン両方こなせるので重宝されているのです。さすおにと言っても良いんですよ?
ようやくお客さんの波も一息ついて休憩中。
「さすが、二見君、来てくれて本当助かったよ。」
と、声をかけてきたのはこの海の家の店長の稲葉さん。おそらく年齢は30代くらいだろう、中々ダンディーな筋肉モリモリマッチョのおっさんだ。また、ほかの店員は大学生だったり若い人が中心だ。
「いや~ほんと繁盛してますね。」
「今年は例年より多いね、嬉しい限りだよ。あ、そうだ。ちょっと落ち着いてきたからせっかくだし泳いできなよ。」
「そうですね、ちょっとひと泳ぎしてきます。」
と、まあ泳ぎにいきますか。いや、あえてナンパでも…。
ん?なんだか向こうのほうが騒がしいな。なにかあったのかな、少し様子を見に行こう。
「…なんだあの美女軍団……」
美女だと!?どれどれ………って覗いてみると知っている顔ぶれが。確かに海のイベントがあるのは覚えていたが、場所が被るとはさすがのご都合主義だな。
普通に入っていくのもつまらないし、よし……
「君、どっから来たの?良かったら一緒に素潜りどう?」
「え!?え、えっと、なんで素潜り?って二見君!?」
そう、声をかけたのは小野寺さんでした。
「あれ?なんで貴一がここに。バイトってここだったん?」
「集か。そっ。向こうの店でアルバイト、んで今休憩中。まさかここで会うとはな。それにしても、なんと、まあ、眼福ですなあ」
「だよなだよな、水着すばらしいですなあ」
「ビキニ良いよな、あ!あのパレオの子、可愛い!」
「おふっ、あっちにはFクラスだとう!?」「なんだと!?」
「まったく、お前たちは…」
そう言って声をかけたのは鶫だった。でかい……。零れそうで心配だな。
「めっちゃ似合ってるじゃん!ああ……生きてて良かった!!」
「急にどうしたというのだ!?そう、じろじろみるんじゃない!」
て、照れながらも拳が飛んで来たが回避する。集は命中したのか吹き飛んでいた。
ちょっと離れたところに楽達がいるな。
「さあさあ楽様、サンオイル塗って頂けますか?」
楽め、なんてうらやましいイベントを、けしからん。
「いやいやなんで俺が…」
「本田は今日からサンオイルが大嫌いでして……」
「また、乱暴な嘘に出たな!」
そーーーっと、後ろから、楽の肩に手を回し、
「まあまあここは彼女のためにオイルを塗ってあげなよ」
「ん?誰だ!?…って貴一かよ!なんで!?い、いや、無理!無理だって」
「大丈夫だ、言うとおりにするんだ。いいか?サンオイルは直接だとひゃん!ってなるから、手のひらになじませて暖めてから背中にゆっくり広げていくんだ。オッケー?」
「オッケー?じゃねえよ!」
と、アタフタしつつも恥ずかしがっている楽。
「あんたもなにデレデレしてんの!!」あ、楽も吹っ飛んで行っちゃった。
「しゃあない、じゃあ代わりにやっちゃいますか」
「むぅ……仕方がないですわね。よろしくおねがいしますわ」
「それではいきますよ」
と、予想外の展開に。試しに言ってみて断られる流れになるかと思っていたが、承諾をもらえるとはな。ここで止めるってのはもったいない、据え膳なんとかでもあるし、そうしよう。
サンオイルを手のひらに垂らし、少し馴染ませてから背中にそっとなぞっていく。ちょっと遊んでさわさわとゆっくり広げていく。
「んっ…」
ありゃ?なんかいかがわしい何かに聞こえるのは気のせいだろうか。
「冷たくない?大丈夫?」
「ええ、すこしひんやりしますが、気持ちいいですわ」
「なら、良かったよ、続けるね」
ほわ~っとリラックスしているようだ。てか、背中スベスベ!なんなのこれ!すごいぜ、手を離したくなくなる、この吸引力…侮れないな。これは楽には荷が重いな。おもにハートが。
「橘って、結構楽に積極的だけど受身には弱いよね」
「そ、そ、そ、そんなことは!…ないとは言えませんわね」
背中に足、肩と塗っていき、お尻付近を塗っていたときは声が漏れていてなんかエロい感じになったが周りの目、特に本田さんに絞められないように自重した。
「よし……これでバッチリだよ!」
「ふぅ…ありがとうございます…」
「あまり無理しないようにね」
「ええ…それでは行ってきますわ!」
「がんばっ!」
そしてちょっと海で泳いだりビーチバレーをしたりした。そろそろお店のほうに戻りますか。
「んじゃ、俺、戻るわー」
「そっか、頑張りな!夜にバーベキューするからバイト終わったらこっち来なよ」
「マジ!?じゃあ終わったら合流するわ!」
「じゃ、またな!」
「「「「「「またねー!!」」」」」」
よし、もうひと働きしますか。あ、まさか今日があの悲劇のキムチの日になるのか。今、思い出したぞ、ああ、あれか、迷シーンがついに来てしまうのか。いや、雑念は振り払え、今は自分の為す事に集中しよう。
「お待たせしました~いか焼きです!」
「ありがとーお兄さん」
「ごゆっくりどうぞ、お姉さん方」
「おーい!二見君ちょっと厨房入ってくれる?」
「はい!まかせてください!………おあがりよ!!」
料理スキルもあるのです。大人なめんな。
リズミカルに、基本に忠実にこなす、少し味を濃い目に調整。作業を効率化、丁寧に早く、早く、パフォーマンスも欠かさない、なんだこの高スペックな調理スキルは。エミヤさんかな。
「「「お疲れ様でした」」」
今日のアルバイトも無事終了。さあて、バーベキューのほうに行きますか。
「おーーやってんなー」
「貴一か!お疲れさん!」
「二見君のバイト先、すごい繁盛したてね」
「ほんとなんなのよあの無駄に高い調理技術は」
「まあ自分、エンターテイナーなんで、楽しませなくてはいけないかなと」
「変なの」「はいはい」
素っ気ない反応、そんなこと言うと泣いちゃうぞ?
「この焼き鳥うめえな、さすが楽だわ」
「素材選びと下処理が大事なんだよ」
「素敵ですわ。楽様!」
「………」
なんか桐崎さんの様子がおかしいな、あれは……かなり楽を意識しちゃってどきマギしてる感じやなあ。まあ、あとは若い二人に任せましょうかね。
「こんなん食ってたら酒飲みたくなるわ」
「二見君、私たち未成年なんだけど」
「やだなあるりちゃん、冗談だよ」
「なんか本当に飲んでそうに見えるのは気のせいかしら」
「そんな訳ないじゃないですかー」
「…そう。そういえば小咲たちいないわね」
「多分今ラブコメしてるんじゃないかな」
「……まさかね」
「波打ち際の静けさにいいムード、ひと夏の揺れ動く感情。もしかしたらもしかするかもよ」
「そうなってくれればいいんだけどね」
「まあ小野寺には荷が重いかな」
「あなたって、なんだかんだ小咲のこともわかってるのよね」
「まあ人を見る目があるんですよ、知らんけど」
そう、先の展開は見えているがもしかしたら自分の知らないルートに分岐するのかもしれない。あのいまわしき事件がまた起こることなど・・いや起こらない可能性もあるんだ。だから、信じよう、小野寺がんばれと、そう心の中で祈るのであった。
あれ?ものすごいスピードで誰かがこっちに走ってくるぞ。
「るりちゃーーーん!!!」
「ぐえっつ!」
るりちゃんから変な声が聞こえたぞ、ある意味レアだな。
ああ、そうか。この感じだとそういうことか。
あの状況では自分に出来ることは少なかった。いや出来たはずだ、だがどこか変えてしまう事、変わってしまう事に恐くなる思いもあった。この空気感が心地良いのだと。永遠に不変なものはない、だがしかし自分の手でそれを覆す勇気がまだ自分にはなかったのだ。
ああ、やるせないなあ。その呟きは波の音にかき消されていたのであった。
次の日も楽達は海に出ているようだ。
今日もガヤガヤたくさんの人達が訪れている。アルバイトが中心でそこまで絡めなかったが桐崎さんの様子が完全に恋してんなあって感じで悩んでいるようだ。
ちょっとだけ援護しようかな。
「桐崎さん、楽のこと考えてるの?」
「ブッ!!!な、な、な!!!そんな訳ないでしょ!なんであいつのことなんか!!」
「表情に出すぎだね、説得力…ないよね」
「く……」カァ…と顔がプチトマトみたいな色になってきている。
「いやー青春してますねえ。」
「二見君にはお見通しなのね、なんでもわかるのね」
「なんでもはわからないわ、知ってることだけ知っている」
「急にどうしたの?」
「いや、なんかこう言わないといけない気がして」
「ぷぷっ、変なの」
「まあ、素直になれなんて桐崎さんにはハードル高すぎだと思うけど、まあがんば」
「失礼ね、私だって……無理かも、緊張しちゃう」
「まあ、がんばってね」
「あれ?今日の花火は来ないの?」
「今日の晩はお店のほうで打ち上げでね、行って来るわ!」
そういってお店に戻る。ちょっとエールだけ送る、自分に出来ることはとりあえず今はこれくらいかな。
だがしかし自分の思い通りとはいかず、それからあの二人は夏休み中会わなかったらしいのだ。
すれ違いがあっても、不器用なあの二人でもいざという時はきっと大丈夫だろう。
文化祭もなんだかんだうまくいくはずだ。期待しているからな二人とも。
明日からまた仕事か。
次回から文化祭へ突入、
批評、感想お待ちしております。