召喚したサーヴァントがカオス過ぎて私はもうダメかもしれない 作:パトラッシュS
さぁ、皆さん! お久しぶり!ブエナビスタです!
前回、レ…なんとかさんと戦ったような気がしますが、無事にこうしてカルデアに帰って来れました! 豚さんの出荷という犠牲もありましたが致し方ない犠牲です。
馬みたいな名前の私ですが、無事に日々を過ごしています。セクハラされたり、同性サーヴァントからから何故か好かれたりと大変な日々を過ごしていましたが、もはやいろいろな意味で耐性がついてしまいました。
カルデアに帰ってきて早速ですが、私達はすぐに次の特異点へと行く任務を言い渡されました。
次の特異点はなんと、フランスらしいです! ヴィヴ・ラ・フラーンス♪
「ビザは持ったね!みんな! ビザ切れたら大使館行かなきゃだからね!」
「はい、ピザはしっかり持ってます! シーフードです!」
「そっちのピザじゃないわ!」
「あの…礼装はつけたほうがいいですよアルトリアさん」
アルトリアちゃんがモグモグとピザを頬張る中、私のツッコミとマシュの冷静な言葉が冴え渡る。
お腹が空いたからって出前でピザ頼むのやめてくれないかな…! 強化に使うお金無くなるんだけど…!
というかこのカルデア、豪雪地帯の中にあってピザの出前どう取ってるんだろうね…。ここ以外、人類死滅したとか言ってたような気がするんですけど。
「ん? これですか? ライバックさんに作ってもらいました」
「その発想は無かった」
どうやらライバックさんにピザを作ってもらっているらしい。
ライバックさん! あまり甘やかしてもらっては困るんですけどっ!
そんなこんなで私達はフラーンスに行く事になりました! オルレアンです! リヨンとか行けるとか胸が高鳴りまくりですな! わはは。
だが、忘れてはいけない…。そう私達にはゲテモノサーヴァントがいる事を…。
聞こえてくるでしょ? あのハーモニカの音が…。…え? ハーモニカの音?
すると、私達の目の前に現れたのは長髪の不満足そうな姿をした決闘者が見知らぬ子供を引き連れて立っていた。
「…忘れちまったよ…満足なんて言葉…」
「流石、チームサティスファクションのリーダーだぜ!」
「や め ろ」
なんだこいつ…。みたいな視線を浴びせる私とマシュ。
まぁ、なんだと言われても見ての通りなんですけどね、どうやら、決闘者はこのスタイルで今回はオルレアンに行くらしい。ミスマッチにも程があるよっ!
ちなみに編成は、アルトリアちゃんから始まり、ネロたま、ジャンヌちゃんにマシュ、そして、この決闘者…。そして…。
パッパーパーパーパパーパパパ♪ という音楽と共に拳にグローブを引っさげた聖女。
シャドーボクシングをしているところを見る限りリングインするくらいやる気満々だ。
「シッ…! シッ…! …、マスター、それでは参りましょうか」
「まずはそのグローブを置いて来なさい、後、杖はどうしたの杖は! マルタちゃん!」
「杖なんて飾りです。物理で殴ったほうが早いですから」
「いやそうだけどっ!? 聖女なんだよねっ!? ロッキーに影響されすぎだから!」
杖なんて知らねぇ! 拳で語り合おうぜ!
と意気込むこちらがあのかの有名な聖女マルタちゃんです。どうしてこうなった。しかも、魔法使う気皆無ですよこの娘。
確かにWBCのしかも伝説のヘビー級ボクサーにボクシングを伝授されたらこうなることも致し方ない気はするけれど…。
元から血の気は多そうだったからね。なんだかそう考えたらどうでもよくなって来た。
「行こう…。俺の街、サティスファクションタウンを取り戻しにっ!」
「サティスファクションタウンなんて行かないっつーの! フランスだって言ってんでしょうが!」
「俺たちの満足はこれからだ!」
全く話を聞いていない中、決闘者が連れているモブの子供がノリノリでそう言いながら追撃を仕掛けてくる。
やめろー! 私のツッコミにも限界があるんだよ!
まぁ、最近は諦めることも多々ありますが…。もうやだ、このカルデア、転職したい、実家の牧場に帰りたい…。
お馬さんとキャッキャウフフな生活を送りたいわ…、お母さん、貴女のお味噌汁が久々に食べたいです。
「さぁ、それじゃ準備はいいね! 転送するよ!」
「ちょっ! 博士! この状況見て準備出来たわけな……」
「転送」
「てめー帰ったらブッ殺…」
私が物騒な事を言う前に問答無用で博士から転送される。
オルレアンに厄介払いみたいに転送される私を笑ってください、ははは、笑いも出てこなくなってきた。
というより被害者的には私なんですけどね、あの召喚装置やっぱりぶっ壊れてると思うんだ。
そんなこんなで私達はオルレアンの地へ赴く事になったのだった。
オルレアン。
フランスの中部に位置する都市で、サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏。パリの約130km南西に位置する都市である。
中世ヨーロッパのイングランド王とフランス王の間で起こった百年戦戦争。
西暦1337年から1453年のおよそ百年間の間に数度の休戦期間を挟みながら1世紀以上に渡り続いたこの戦争は長きに渡りフランスの民を苦しめていた。
そんな戦争真っ只中の時代、このオルレアンではかの有名な聖処女が民のために立ち上がった。
ジャンヌ・ダルク。
イングランド軍がオルレアンの包囲をする中、神の啓示を受けたジャンヌの軍勢が僅か7日間という驚異的なスピードで包囲する砦を落とし、イングランド軍を撤退させた逸話は有名である。
彼女の登場により人々は彼女を聖女、救世主と呼び歓喜した。
そう、この私の隣にいる…。
「ははは、アルトリアさん降りた方が無難ですよ」
「騎士に退くという言葉はありません」
「ぐぬぬ…」
「うむむ…!」
旗の代わりに頭にトランプのカードをおデコにくっつけるように掲げてインディアンポーカーしてるこのアホな娘がそれです。
おい! キャンプしに来たわけじゃないんだよ! 特異点を潰しに来たんだよ! 何! この緊張感のなさ! ふざけんなー!
「あと3秒! あと3秒だけ待ってください!」
「ほら! アルトリアさん! 敵が来ましたよ! 敵が!」
「降り…降り…っ! 降りない!」
「あー!? そこで出しますか!普通! うわーん!負けたー!」
「はよ戦いなさいよ! 私がぶっ殺されるから! 私が!…ひぃ!?」
神回避でフランス兵から飛んで来た弓矢をイナバウワーして躱す私。腰が抜けそうになったがなんとか持ち堪えてみせた。
そのフランス兵は現在、聖女マルタちゃんと決闘者、マシュが応戦中で、マルタちゃんは一切杖を使わずグローブで殴り倒してる始末です。
てか、敵がすぐそばに来てるのにこの王様と聖処女ちゃんはなんで平気でインディアンポーカーなんてしてるの!?
「ふぅ…ギリギリの戦いでした」
「このスリルがたまらないな」
「やかましい! てか戦いまだ始まったばっかだよ! なんで来て早々いつもバトルになるわけー! もうー!」
「マスターはランサーさんより幸運値が低いのかもしれませんね、幸運を」
「今さっきインディアンポーカーで負けた聖処女の幸運に対する祈りとか神様に届くのか不明なんですけど…。ちょっと、なんで目を逸らすのかな? ジャンヌちゃん?」
不名誉な事に私の幸運値はランサーさんのそれよりも低いらしい、ハードラックとダンスっちまってばっかりだから否定のしようが無いのだけれど。
あと、盛大に敵兵を殴り飛ばすマルタちゃんのあの満面の笑み。ヤバイよ、なんだかあっちが本業なんじゃないかな…。
杖どこいったんだろ、返り血浴びての満面の笑みなんて聖女にあるまじきスタイルだよ、タラスクさん怯えてるんじゃないかな…。
「先輩、ファイトですっ!」
「マシュ、しばらく貴女の背後に引き篭もるわね」
「それは困ります。不幸にも流れ弾が当たったらどうするんですか」
「シールダーだよねっ! マスター守ってよ! ちょっと!」
満面の笑みを浮かべてそう告げるマシュに仰天する私。
最近、マシュがドSになって来てる気がする。確かに幸運値が低いかもだけど、その扱いはあんまりだと思うの…。
しかし、なんやかんや言ってもマシュは私を庇うように戦ってくれた。まぁ、冗談の範疇だってわかってるんだけどね。
マシュとは付き合い長いから、いろんな意味で苦労を分かち合う仲になってるからとても信頼しています。
おっとノロケ話になってしまった…。
さぁ、私達のオルレアンでの戦いはまだ始まったばかりだ!