一色いろはは本物を追い求める【完結】   作:あんじ

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Natale

せんぱい、起きていると信じています。

今、私はせんぱいの家の前にいます。時間は午前10時。日付は12月25日です。そう、私はせんぱいとお家デートとかいうよく分からないものをする事になったので来ています。合鍵を既に持っているので勝手に入れるんですよね。

 

「おじゃまします」

「邪魔するなら帰ってください」

 

ひどいですよ。たまたま玄関前を通り過ぎようとしたら私が入ってきただけでこんな事を言うなんて。

 

「私は必要ない女なんですね」

「別にそんなミュージカルみたいに悲しまなくていいから」

「は〜い。それじゃあまずは朝ごはん作りますね」

 

今回、お家デートとかいうよく分からないものをやろうと言ったのはせんぱいです。理由として、家から出たくない。他のリア充を見たくない。等々(などなど)と言っているので仕方なく、仕方なく私が出向くことにしました。

 

「冷蔵庫には何があるかな〜」

 

覗き込むと中には沢山の具材が入っていました。しかもそれは1ヶ月分ぐらいもです。

 

「こんなに沢山、どうしたんですか?私、そんな人の彼氏はいやなんですけど」

「何を悪い方の考えしてるんだよ。昨日、小町が来てクリスマスプレゼントとして置いてってくれたんだよ」

「まっ、仕方ありませんよね。せんぱいには仕送りとか無いですもんね。それにしても義妹(こまち)ちゃんと会いたかったな〜」

 

 

義妹(こまち)ちゃん可愛くなってたかなぁ?あれ以上可愛くなられても私が困っちゃうんだけどな〜。まっ、いいです。そんな事は考えても無意味と言うことで私は大人しく料理をする事にしました。

 

 

* * *

 

「せんぱい、お家デートって何するんですか?」

「は?知るか。俺はただこんな日に家から出るのが嫌だったから」

「あー、せんぱいのバカ」

「重いから膝の上に乗らないでくれる?」

「女の子に重いとか失礼ですよ」

 

もう、せんぱいのバカ。私、そんなに重くないですし。重みがあるとすれば、その…多少胸が発達しちゃったせいですし。

 

「はぁ、片付けとかしちゃいますね」

「え?あぁ、お任せします」

「はい、任されました」

 

もういいです。夕方まで家事全般で時間を潰すしかないですよ、ここ。

 

* * *

 

夕食は豪勢でした。。まぁ、クリスマスってのもあるんでしょうけど、義妹(こまち)ちゃんのクリスマスプレゼントがあったのが1番でしょう。

 

「沢山作ったのに殆ど無くなっちゃいましたね」

「まぁ、お、美味かったしいいじゃんかよ」

「恰好つけなくても大丈夫ですよ〜っと」

 

いやぁ、せんぱいの膝の上、気持ちいいですね。なんというか落ち着く?って言うんですかね、この状態は。

 

「重いから膝の上に乗らないでくれるかな?」

「嫌です。せんぱいさっきも言いましたけど、女の子に重いは禁句です」

「はいはい。いろは以外には気を付けますね」

「まず私に気を付けて下さい」

 

はぁ、せんぱい大バカさん。さて、そろそろ明日の講義もあるんで帰らなきゃいけないんですよね。

 

「せんぱい、そろそろ明日の講義あるんで私、帰りますね」

「ん、分かった。駅まで送る」

「は〜い。準備すぐに終わらせますね〜」

 

せんぱいは立つと自分の部屋に向かいコートと財布だけを持って玄関前で待ってました。

 

「さて、準備OKなので、行きましょうか」

「はいよ、忘れ物とかするなよ」

「多分、大丈夫ですよ」

「多分かよ」

 

あっ…確か今日は12月25日ですよね?クリスマスプレゼント貰ってないな〜。もしかして、せんぱいこそ家にクリスマスプレゼントをあげるという事を忘れてませんかね?

 

「どうした?行くぞ」

「はい、今行きますよ」

 

2人で駅まで歩いて行きます。半年前まではこんな所を通る予定も無かったのに今はもう完全に覚えています。怖いですね、たった少しの時間一緒にいただけなのに、ずっと一緒に居たように思えるんですから。

 

「おい、いろは」

「はい?なんですか」

「……」

「せんぱい?」

 

あまり明るくなく、街灯が数本しか立っていない所にいるのですが…まさか!ここで私を襲うとかですか?どうやって防御しましょうか。まだ渡せませんよ、私の処女(ヴァージン)は。なんで身構える私がバカに思えてきました。なにせせんぱいはポケットから小さめの四角い箱を取り出すと、それを開けてこちらに差し出したんですから。

 

「これは?」

「その…指輪付きのネックレスって言うのか?これ、その、クリスマスプレゼントだ」

「……」

「どうした、いろは?」

「いえ…ただ、ちょっと嬉しくて、涙が出ちゃい、ました」

 

私から出てくる涙は止まらず、地面に薄いスケートリンク作れちゃうぐらいの勢いで泣いていました。だって、だって、指輪ですよ?嬉しすぎて、涙くらい出ちゃいますよ。

 

「そっか、嬉しすぎて出た涙ならいい」

「はい。これ、付けてもらっていいですか?」

「なんだと…付けられるか?」

 

せんぱいは四苦八苦しながらもネックレスを手に取り、私の後ろに回り込んで付けてくれました。

 

「これ、大事にしますね」

「当たり前だ、って言いたいけど、そうしてやってくれ」

「せんぱい、珍しく男前ですね」

「ちょっと限界」

 

そう言うとせんぱいは「早く駅まで行くぞ、時間無いぞ」と言って1人で歩いていきました。はぁ、こういう所があるからせんぱいはせんぱいなんでしょうね。でもこのギャップにもしかしたら1%ぐらいキュンと来ちゃったのかもしれませんね。




さて、どうだったでしょうか。自分的には八幡を今すぐにでもパンチしちゃいたいですね。でも、今回で確信を得たものがあります。俺の八幡、八幡してねぇのな、うん。執筆力が足りないのもあるんでしょうが、何かな?原作を読んでから書いてるはずなんだが…まっ、いいや!気にしない事にします。

では元旦の0時ピッタリに元旦話を投稿予定なので、よろしくです!

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