正直言おう、2年ぶりに会った一色いろははあの時よりも可愛くなっていた。高校を卒業した今、あいつを縛る枷は無くなり、あざとい大学生へと究極進化していた。そろそろスキルレベルもMAXになってそうだよ、あの感じだと。
「つーか未成年がなんで酒飲んでんだよ」
「ダメですよ~せんぱい、そんなこと言っちゃ」
何この子、なんで涙を目に浮かべてるの?止めて、八幡そういうの弱いから。ほんとに妹キャラとかマジで天使!ってなっちゃうから。
「あれ?いろは先輩と友達なの?」
「え?あぁ、うん。高校の時にお世話になった先輩だよ」
「ど、どーも、比企谷八幡でしゅ。」
うぉぉぉ、噛んじゃった~!人前とこマジ勘弁、ほんと無理っしょ。戸部口調になるほど緊張してるよ、助けて一色!と視線を向けると何か慌ててるようだった。
「どうした、一色。まさかもう酒飲みすぎたか?」
「…あっ、いえ、何でもないです。」
というか他のやつらの視線が辛いほど痛い。何なのこいつ、普段ぼっちのくせにこんなかわいい後輩がいるとか聞いてないんですけど。って目で見ないで。
「それよりもせんぱーい、今日は沢山飲みましょうね?酔いつぶれるまで飲みますよね?」
「は?やだよ、なんでだよ。明日も講義があるし俺はそんなに飲まねぇよ」
なに?怖いよいろはす。超怖い。すごい勢いで迫るし、「今日は最後まで一緒にいてくれますよね?変な虫つかないようにしてくれますよね?」みたいなの言葉の裏に隠れてるし。
「あー、す、すいません、ビール1つ」
「はーい」
「比企谷、お前こんなかわいい後輩いたなら早めに紹介してくれよ」
「卒業してから今まで一切連絡してねぇんだよ、無理言うな」
こんなにラフに話せてる理由は2年間も同じ講義の隣の席にいるからだ。まあ、ぼっちには変わりないんですけどね?
「そういえばせんぱい、雪ノ下先輩と由比ヶ浜先輩はどうしてます?」
「ん?雪ノ下は国立の理数系大学に言ってアホガハマさんはどこ行ったんだろうな」
「なんで雪ノ下先輩の事だけ知ってるんですか?まさかストーカー?」
あの、やめてもらえませんかね、携帯で110番しようとするの。いや、だからって公衆電話とか家の電話なら良いってわけではないんだけど
「とりあえず、その2桁まで押してある携帯をしまって、最後まで話を聞け。なんでかって言うとだな、来ないだ戸塚に会ってな、近状報告をした時に聞いたんだよ。」
「そうなんですか~、それにしてもせんぱいは何にも変わってませんね、その腐ったような目も捻くれてそうな顔も」
「悪かったな」
一色さん、ちょっと前かがみになって胸を寄せるのやめてもらえませんかね?そういう事すると誘ってるようにしか見えないから
「くっつくなよ一色。暑苦しい」
「えぇ~いいじゃないですか~。久しぶりにかわいい後輩がくっついてあげてるんですから」
「そうねー、あざと可愛いよー」
くそ、胸を押し付けるなよ。世の中の男はそれされると理性が保てなくなるんだから。
3年前の奉仕部を思い出す。雪ノ下はどうしてるだろうか。由比ヶ浜は相変わらずアホしてるんだろうか。時々そういう事を考える。だがすぐに止める。俺は解を出さずに逃げたのだ、そんなやつが気にしちゃいけないと。
「せーんぱい!今日は沢山飲みましょう!」
一色と俺の時間は止まったままだった。本物を追い求めてる途中で消えたけど、俺はまだ諦めてない。本物を見つけるまで今回は追い続ける、せっかく一色にまた会えたのだ。2年前、卒業の時に言えなかった好きだの言葉を言えるように頑張ろう、努力は嫌いじゃない。面倒だけどな
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