一色いろはは本物を追い求める【完結】   作:あんじ

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遊園地にて

「よ〜っし、遊び尽くすぞ!」

 

いや〜、恥ずかしです。テンション空回りしてます。なにせ、昨夜、告白したばっかりですから。彼氏彼女になって初めての日兼初めてのデートですよ。テンション空回りしますよ、そりゃあ。

 

「なんでそんなにテンションが高いんだよ…」

「だって遊園地ですよ?しかも、その、好きな人との。テンション上がるに決まってるじゃないですか!」

「いや、決まってないから」

 

そう、今日は遊園地に来ているんです!本当は海の予定だったのですが、なんとなんとの私がサメを発見したために、遊泳禁止になってしまったのです!それじゃあと言う事なんですが、戸塚先輩はテニスのサークルがあるとの事で今朝帰られて、なぜか瑞穂となんとかさんは戸塚先輩と一緒に帰っていったので、今日は2人だけです。

 

「まずはジェットコースターですね、行きましょう」

「はいはい。行くから引っ張るな」

 

ぎこちないですね。今までは誘惑としてやってきたので普通に腕を絡ませられたのですが、今は恋人。恥ずかしくて、爆発しそうです。

 

「ちっ、人が多いな。休みに遊園地とか普通に死んじゃうぜ」

「せんぱいは人が多いと死んじゃうんですか?凄いですね。じゃあ入場料無駄にして、そこには座ってて下さいね」

「あん?俺、舐めんな。こんぐらいで死んでたまるか」

 

くっ、普段のせんぱいならそうするって言ってそうなのに…今日のせんぱいは、強い!それに普段の私なら人が多いからと理由を付けて手を握る事だって出来るのに体が、動かない!

 

「はぁ、人が多いからはぐれるといけないからな、手、繋ぐぞ」

「…は?」

「えっ、ちょ、その顔は止めて。俺が悲しくなくるから」

「せんぱい、本物ですよね?」

「もしかしてバカにしてる?確実にしてるよね」

 

せんぱい自ら、手を握ろうとしてくるだって…今日、雪が降るかも知れませんね。やばい事態ですよ、これは!

 

「いえ、バカにはしてません。バカには」

「バカにはしてないんだな。でも、他の事、確実に思ってるってことだよね、それ」

「ま、まさか。そ、それよりジェットコースター、行きますよ!」

 

せんぱいが差し出した手を握りジェットコースターの列に向かう。

 

 

* * *

 

「さぁ、次はバイキングにフリーフォールです!」

「あの、いろはさん?これで3回目ですよ、バイキング」

「いや、あと2回は行きますよ?ここのバイキング楽し過ぎますよ!」

「お、おう。それよりもさ、昼にしようぜ。八幡、空腹、餓死しそう」

「仕方がありませんね、お昼のあとはバイキングでフリーフォール、バイキングって準備ですからね」

「1アトラクション毎にバイキング乗るのかよ」

 

いや〜、本当にバイキング楽しいですね!他のところよりもバイキング楽し過ぎます!さて、話が変わってお昼ですか。そんなことよりバイキング!って気分なので、どこでもいいんですよね、美味しければ。

 

「空いてるし、ここでいいか」

 

せんぱいが選んだのは洋食屋でした。いや、詳しくはハンバーグ専門店みたいなところでした。バイキング乗るのに重いもの食べて大丈夫なんですかね?

 

「バイキングは乗らないから、ここでいいか」

「えっ?バイキング乗らないんですか!?」

「飯食った後すぐバイキングとか吐くだろ、ふつう」

 

まぁ、いいでしょう。食べた後すぐじゃなければ問題ないみたいですし。

 

「いらっしゃいませ〜!何名様でしょうか?」

「2人」

「2名様ご案内〜」

 

2人用の席へ案内され、メニューを渡される。種類は余り多くないがどれも美味しそうでした。

 

「俺はデミグラスのハンバーグにするけど、いろはは?」

「う〜ん、私もデミグラスのハンバーグでいいです」

「じゃあ、デ、デミグラスのハンバーグを、ふ、2つ」

「かしこまりました」

 

ハンバーグは10分ほどで出てきました。いやぁ、美味しそう!

 

「せんぱい、ほら、あ〜んしましょうよ!」

「は?えっ、やだよ。そもそも同じ味で同じハンバーグでなんであ〜んする必要性があるんだよ!」

「違います!ハンバーグに意味があるわけじゃなくて、あ〜んする事に意味があるんです!」

 

ありがたいですね。お客さんもたくさんいませんし、店員も肉の焼き音で余り聞こえないと思うし。今の聞かれてたら悶死しちゃいそうです。

 

「ほら、いきますよ。あ〜ん」

「あ、あ〜ん」

「さぁ、次はせんぱいの番です!ほら、あ〜ん!」

「えっ、ちょ、くそ。我慢だ、我慢。耐えてくれよ、理性!あ、あ、あ、あ〜ん」

「ん、ん〜!せんぱいとの関節キス、美味しですね!」

「いや、まだ1口も食べてないけどね?」

 

2人で早々とお昼を食べ終えると、せんぱいは外で、日陰のベンチに座り休憩していました。夜までいる予定なので、それまでの体力の自然回復を促すらしいです。

 

 

* * *

 

さて、現在時刻午後の6時59分です。場所は

 

「観覧車からの景色、綺麗ですね」

「ん、そうだな。」

 

そう、観覧車です!いやぁ、苦労しました。観覧車のライトアップの時間ちょうどに真上にいけるように乗ったのんですから。

 

「あの、せんぱい。今日、楽しかったですか?」

「俺は楽しかったよ。久しぶりだしな、遊園地」

「そうですか…」

 

正直、私は今現在、そんなに楽しくない。だって、緊張の方が増してるからだ。夜に観覧車で2人きりとか、ベタ過ぎて逆に緊張してます。告白の時以上に緊張してます。

 

「どうした?もしかして高いところ怖いのか?」

「い、いえ。そうじゃなくて」

「そうじゃなくて?」

 

せんぱいが発した瞬間ライトアップされました。私はそのタイミングを見逃さず、すかさずせんぱいの真正面に行き、強引に顔をこちらに持ってきて顔を近づけます。

 

「ちょい、一色じゃなかったいろは、近い近い近い」

「静かにして下さい」

 

キスをする。せんぱいの唇を奪ったのは2回目でしょうか。前は緊張のし過ぎで味は覚えてませんが、今回ので覚えましたよ。せんぱいの味。私はせんぱい曰く小悪魔らしいですからね。小悪魔は小悪魔らしく何回でもせんぱいの唇を奪っちゃいますよ!

 

「一色じゃなかった、いろは」

「なんでしょうか、せんぱい」

「帰ったらお仕置きだからな、覚えてろよ」

「せんぱいのエッチ」

「強引にキスをするキス魔には言われたくねぇ」

「さ、さぁ〜て、な、なんの事ですかね〜」

 

初デート、正確にはもう何回目か分からない程したデート。でも、これほど嬉しかったデートは2回目です。まぁ、1回目はせんぱいとのデートじゃなかってですけどね。

ぎゃあぎゃあ言い争っている間に下に着き、外に向かいます。

 

「はぁ、今日はこれで帰るか」

「そうですね」

 

さて、来てすぐには出来なかった事、やりますか!

 

「せ〜んぱい!夜道は危険なので、可愛い私を守って下さいね♪」

「ちょ、お、おい、腕を絡めるな」

「いやです」

 

初デート、これにて終了です!




さて、続きですが感覚的に第2章なんですよね、このお話から。2章は連続したお話はやりません!各イベントに合わせた内容とか、その後の日常を描いたもの、未来を描いたお話を投稿していく予定です!

次はクリスマス・イヴかな?もしかしたらその前に投稿するかもしれません。まぁ、クリスマス・イヴとクリスマス両日共にお話を投稿します!実はもう完成してます。2日とも同じ日の話ですが時系列が違うという事だけ言っておきますね。投稿予定時間はPM 9:00ですのでよろしくお願いします!

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