一色いろはは本物を追い求める【完結】   作:あんじ

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海だ![2]

「せんぱい、もっともっと前へ!」

「はぁ…はいよ」

 

海っていいですね!まさかせんぱいが私を浮き輪に乗せて押してくれるなんて!なんか夢を見てるみたいです。

 

「はぁ…天使の水着姿が」

「え?もしかして口説いてます?ごめんなさい、いきなり天使とか言われても無理ですし、水着姿とかエッチな発言する人はもっと無理です」

「誰がお前を天使なんて言うか。この小悪魔が」

「天使なのに悪魔なんて…罪ですね、私」

「はいはい、Guiltyでござんすね」

 

ぶぅ〜。せんぱいのバカ。そこはせめて「はいはい天使ですね」的な発言してくれればもしかしたらキュンってしてたかもしれないのに。まぁ確率は1%未満ですけどね?

 

「いやぁ、ずいぶんと遠くに来ましたね。まるで人間がゴミのようだ!」

「いや、そんなに人様バカにすんなよ。そんな事言ってると後で痛い目に会うぞ?」

「でも、そしたらせんぱいが助けに来てくれるんですよね?」

「─ッ。はぁ、俺の視界にいたらな」

「せんぱいって優しいんですね」

「えっ?なんて?」

 

聞かれてないよね?最後の言葉を聞かれてたら危うく舌を噛んで死ぬところでした。ほんと急に優しくなるせんぱいはずるいです。

 

「ふぅ、そろそろ向こうに戻りましょうよ」

「はぁ?いや、ちょっと待て、さすがに疲れたからもう少し休ませろ」

「えぇ〜せんぱいのヘタレ」

「クッ…事実だからなんも言えねぇ」

「でも今日の私は天使なので許しちゃいます!」

「はいはい、天使様ありがとうございます」

 

あっ…キュンってしませんでしたね。残念99%の方が働きました。

それにしても海って綺麗ですよね、ほらちょっと向こうになんか出っ張ったヒレ見たいのが泳いでますし。…出っ張ったヒレ見たいの?

 

「せ、せんぱい。あれ…なんですか?」

「あぁん?」

「あの出っ張ったヒレ見たいのってなんですか?」

「…よし、ちゃんと掴まっとけよ」

「えっ?だからあれなんですか?」

「ハァハァ…俺に足りない物は!それは!速さが足りない!!」

「ちょっ、せんぱい、聞いてます?」

 

わけが分からないがせんぱいは物凄い速さで浜へ向かっていく。あのヒレみたいな角みたいなのが泳いでるのは何なんだろう?

浜に着くなりライフセーバーの人の所へ出向くなり海に入るのを禁止され、かつ浜から離れるようにとも言われた。

 

「せんぱい、あれなんですか?」

「あれか…はぁ、サメだよ、サメ。しかしよく見つけたな、危うく下半身無くなっちゃうところだったからな」

 

サメ…私ナイス。さすが天使ですね、人々の危機を救いました。まぁ、せんぱいはさしずめムハンマドってところですかね。さて、こんな時に役立つのがオネダリですね。

 

「せんぱい…あの、ですね。なんか、その、ご褒美くれたらなって」

「えっ?」

「ダメですか?」

「えっ…いや、その、うん、俺が出来る範囲なら」

「じゃあ、頭ぽんぽんして貰えますか?」

「ふぇ?…それで一色が良いって言うんならいいけど」

 

あっ、せんぱい確実に私が高価な物を頼むって思っていましたね?残念、今日は天使なのでそんな事はしません。明日なら確実にそっち頼んでます。

 

「じゃあ、せんぱいどうぞ」

「今かよ。はぁ、はいよ」

 

く、くすぐったい。でも気持ちいいですね、さすがはお兄ちゃんですね。なんか手つきが慣れてます。…まさかね?女慣れしてるとは思いませんし。

 

「じゃあ、みんなのところに戻りましょう!」

「お、おう」

 

いやぁ〜、せんぱい絶対にドキドキしてますね?こんな天使な私が腕を絡ませてくるんですから。胸、意識的に当てるようにするとせんぱいの反応が面白過ぎます。だってチラチラと私の胸を見てくるんですもん。顔を真っ赤にしながら。これで女慣れしてないのは分かりました。

さて、今の時間は12時。ちょうどお昼時ですね、今日は海の家で何かを食べる事にしますか。

 

「せんぱい、この後どうします?海には入れなさそうですし」

「えーっと、その、どうせ1泊するだから早めにホテルに行きゃあいいんじゃないんですか?」

「なんで敬語なんですか?まぁ、それは置いておいて、ホテルにチェックインしてボーっとしてるんですか?」

「温泉って言うものがあると思うんですが?」

「あぁ、温泉入ってご飯食べて寝ると」

「いや、年寄りじゃねぇからそんなに早くは寝ないけどね?」

「チッ、ですよね〜」

「ねぇ、なんで今舌打ちしたの?ねぇなんで?」

「さて、みんなは見る限り片付け始めてますけど、私達はどうします?」

「一色は別に片付けなくてもいいんだぞ?」

 

なんかせんぱいが優しすぎる気が…

 

「ただ、俺は片付けないからそのまま一色のだけ残るだろうけど」

 

しませんでした。ただのイジが悪い人でした。目も腐ってて性格も悪いし容姿も普通と…さすがせんぱい!クオリティ低すぎです。

 

「はぁ、せんぱい急ぎますよ!」

「いや、ちょっと待てよ。手を離してくれない?じゃないとコケるし、そのまま一色もみちずれにするかもしれないから」

「あっ、じゃあ」

 

って、せんぱい…手を離してって言っておいていざ離したらコケるってどういう事ですか?まぁ、そこがせんぱいらしくて良いと思いますけど。人を巻き込まないようにするのにも回りくど過ぎですけどね!




なんか、ごめんなさい。テスト終わったら風邪引いちゃって書き上がってる物しか投稿出来なかったんだけど、治ってきたから新しいのも出せるようになりました!

今回は嘘は付かないぞ!更新速度を上げます。今回の八幡逃走劇並に。
あと2話…多分、第1章のクライマックスがそこで待っているでしょう。
クリスマスまでにクリスマスまで持っていきたいんで週末は2話連投とかありえるんで。

では次回をお楽しみに!

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