この世に生まれてしまった以上「自分なんか生まれなければよかった」といくら叫んでもそうさせてくれる存在はほぼない。いつも頭をお花畑で夢の中に保ってくれる存在もあるが、それだって永遠ではない。いつかは強制的に引き離されるものである。小町に関していえば、浅いことは悪いことではないと俺は思う。問題は、本人の視点から、周りよりも低く思えてしまう点である。雪ノ下の様になんでも出来ると思い、実際に出来るのなら何も問題はないかもしれない。だが、小町にはそれが出来なかったのだ。ほとんどの小町の同級生は自分が浅いとは思っていないだろうし、自分が浅いと思った時点でそいつはある程度深いのだと俺は思うのだが。
小町についてここまで真剣に考えたのは初めてだろう。俺の中の小町は、いつだって明るく、とても愛らしかった。こんなことは少なくとも今の小町には言えないだろう。それにしても、自分に正直に生きるとはよく言えたものである。友達だっていない俺でさえこうなのだから。恐らく自分に本当に正直な人間なんていない。
...奉仕部前
俺はいつもの様に部室に入るが、まだ雪ノ下しか中には居らず、少しだけ頭を下げてから座る。昔と変わらないという安心感からか、自然と息をはいてしまう。
「...はあ」
正直に考えると人の不安定な様子を見ていると、自分も不安定なのではないかと不安に思うし、その分類の話をされると疲れるのである。こんなことだって小町には言えないだろう。恐らく俺がどんなに試行錯誤したかを小町が理解することはないだろう。そして、小町にどんなに苦しんできたかを俺が理解することもないだろう。
俺の頭の中でそんなマイナスな理論が交差する中、雪ノ下は少し探る様にして俺に質問をする。
「小町さんは...どうなのかしら?」
「今日は学校休みたいって言って休んでる」
「そう...」
状況だけを見れば俺達の様子は前とほとんど変わらないだろう。だが、そんな日々は長くは続かない。どんな日々も長くは続かないのである。小町の不安定な状態はこのままにしておけば何があるか分からない。奉仕部の不安定な状態はこのままにしておけばそのまま疎遠になっていくだろう。結局のところ、自分に出来ることは少ししか無いのだろう。どっちにしろ誰も救われずに終わってしまうこともあるかもしれない。俺が小町の苦しみを代わりに受けて小町が俺として生きていくことなど出来ないし、それが雪ノ下だったり由比ヶ浜だったりしても、出来ないだろう。
始まってしまったことは本人が自分から絶つか、そのまま諦めるしかないのかもしれない。もう二度と完全に昔の様にはいかないのだ。だが、もし、ある人物にとって本当に幸いなことが俺に出来るのなら、俺はそれを望もう。
続きは書くつもりですが、なにしろ初投稿なものでなれていないので感想、ご意見等が心配になってきました。何かコメントだったり、評価をして頂ければ幸いです。