砂隠れの里でも暁の情報が上層部に届けられていた。
「我愛羅と陽光をどこかに隠すべきです。奴らが狙っているのは人柱力。それならばみすみすくれてやる必要はないでしょう!」
上層部の1人バキが意見を述べる。風影、我愛羅、陽光、バキ、テマリ、その他にも上忍集のメンバー10人が丸い机を囲み会議をしている。
「私も賛成です。我愛羅も陽光も狙われている可能性があるのならそれを前線に出すのは得策ではないと思います。それに砂隠れの里に置いておくのは砂隠れの里事態に影響を及ぼしかねない。里の外にて厳重に保護するのがいいんではないでしょうか?」
上忍の1人が声を出すがこれに反対するものもいた。
「いや、里の外に出すのは危険ではないか?それこそ守護に回る忍の命が危険だ。里のために死ねというのか?それに我愛羅様や陽光様が里を守られている方が安全だ」
「だが、そのために里に攻め込まれては元も子もないではないか!」
「そのためにもまずは里の守備固めが大切なのであって」
「人柱力とは里にとって諸刃の剣、今我々にその刃が落ちてこんとしているのだぞ!」
上忍集の意見は二つに割れる。
一つは我愛羅と陽光を里から追い出し、保護隔離すること。これは普通ならありえないことである。里の外の方が危険が多いからである。
もう一つは前線には出さず里の中で保護すること、もしくは共に戦うことであった。
「お前たち口を慎め!風影様の御前だぞ!」
上忍集を止めたのはバキ。
「いい加減にしろ!我愛羅や陽光は里の仲間、そいつらを追い出し自分たちに平和をもたらすなどもってのほか!第1お前たち程度では暁に太刀打ちできるかすらわからんのだぞ!そんな状態で里の外に出し保護するなど無理に決まっているだろう!」
バキの言葉に皆が黙る。至極真っ当な意見であったためである。
「まぁ、みんな落ち着いて。バキ先生の言葉は正しい。人柱力である2人を守るためには私たちでは力不足かもしれない。でも里の仲間として力を合わせよう」
テマリの言葉に半数のものは頷くが、残りの半分は納得いってないようだ。
「里のため、共に戦ってはくれないか」
我愛羅が閉ざしていた口を開く。
「俺や陽光はこの里を守るために戦う。この里を壊させはしない。そのためにも俺たちだけでは力不足だ。みんなの力を貸して欲しい」
我愛羅は立ち上がり頭をさげる。
少しの間の後。陽光が口を開いた。
「俺は戦う。我愛羅にぃと一緒に。あんたたちが俺たちに力を貸したくないというならそれはそれでいいってばよ。ならあんたたちは忍としてなにをする。里のために命かけれない奴が忍を語るな」
陽光は立ち上がり部屋を出て行った。ドアを閉めると陽光はゆっくりと歩いていく。家への帰り道を。
陽光がいなくなった部屋でまだ会議は続けられていた。
「皆の者。私は息子だからという理由で力を貸せとは言わない。戦いたくないものもいるのだろう。だが2人の力は今や里にとってなくてはならない存在になっている。その力を失わないためにも皆に力を貸してもらいたいのだ」
風影の言葉に皆が迷ったような表情になる。
そして先ほどの陽光の言葉も重くのしかかっていた。
里のために自分たちはなにをするべきなのか。そして里のためにどうすべきなのか。
それをかんがえさせられる2人の言葉。
我愛羅はまだ頭を下げていた。
「風影様や2人の言うとおりだよ。忍として、里のためにやるべきことがみんなにももうわかっただろう」
バキが立ち上がり皆に問う。
皆も頷き立ち上がる。
「我愛羅と陽光を守る。これが私たちの答えです風影様」
バキの言葉に頷く10人、それに対し我愛羅は一度頭を上げたのちまた深々と一礼した。
テマリはその姿に微笑み、自らも立ち上がり一礼する。
「うむ、ありがとう皆。それではこれより命を下す。我愛羅と陽光は門の上にある駐屯所で警備に当たってくれ。テマリは中忍2名、下忍1名を引き連れ木の葉に迎え。バキは上忍2名、中忍2名を連れて雲隠れの里へ迎え。その他のものは警備を強化するために残っている中忍下忍を集め、いつでも避難できるよう里の中で警護にあたらせろ。私は相談役に報告をしてくる。それでは解散」
「はっ!」
風影の命により、皆が動き出した。そしてそこには何の迷いもなく里のために動く忍たちがいた。
そして戦いの火蓋が落とされようとしていた。