里を捨てた少年   作:落ち葉崩し

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第51話 サスケ回収任務その7

「遅い、しょうがない、僕も出るとしよう」

 

君麻呂は1人声を漏らすと走り出す。

 

少し走るだけでも体が蝕まれている感覚がわかる。

今までよりも早く走れていないこともわかった。

 

だが君麻呂は止まらない。大蛇丸のために走り敵を殲滅せんと走る。

 

そして見つける。獲物を。緑の服を着た見たことないおかっぱ男に照準を定める。

 

「十指穿弾」

 

自らの骨を玉とし、飛ばす。それはクナイや手裏剣と同じように敵めがけて飛んでいく。

 

 

「むぅ!?はぁっ」

 

ガイはそれを察知するとその場から飛び退く。そして飛んできた先を探すが、そこにはもう人はいない。

 

ガイは神経を研ぎ澄ませ敵の次の攻撃に備える。

 

空の瞬間ガイの立つ木の枝ごと君麻呂が下から蹴り上げる。それにガイも対応し飛び上がるが、君麻呂もそれを追う。

 

「下からとはずいぶん卑怯な。こい!」

 

ガイは木の枝を足場にし下にいる君麻呂に攻撃をするため踏み切る。そして加速をつけたその体での攻撃を繰り出す。

 

「木の葉剛力旋風」

 

ガイは蹴り技を繰り出す。勢いのついた回転蹴りだ。それを君麻呂は正面から受け止める。

 

「柳の舞!」

 

君麻呂の腕からは見たこともない武器のようなものが飛び出す。ガイは強引に技をそらし避けるが、そのうちの1本が足をかすめそこからは鮮血が流れる。

 

「あれをかわすか。なかなかやるな、お前」

 

そう言うと君麻呂は呟く。

 

「僕には時間がないんだ。早めに終わらせたい。だから本気で行くよ」

 

そう告げると君麻呂はうめき始める。そして呪印が体を多い体表はねずみ色に、背中から骨が突き出てくる。

 

「ふぉぉ!」

そして君麻呂は自らの背骨を完全に抜き取る。

 

「お前はこれで殺す。いつまでもつかな」

 

君麻呂がガイめがけて突進する。

 

先ほどまでとは比べられないほどの早さだ。

 

「は、はやい!」

ガイはその突進をなんとかかわすも、先ほど君麻呂が抜いた背骨が刀のように振るわれ頬をかすめる。

 

頰に小さく切り傷ができ、そこから血が浮き出てくる。

 

「やはりお前は強い。早めにケリをつけなければ」

 

君麻呂はガイの周りの木を全て薙ぎはらう。先ほどまで木が生い茂っていた場所は見晴らしのいい戦場になり果てる。

 

「これでお前に逃げ場はないぞ。殺してやる」

 

君麻呂が走り出す。

 

その瞬間ガイもまた君麻呂に向けて走り出す。

 

「柳の舞」「木の葉剛力烈風」

 

 

2人の技が重なり合い、薙ぎ払われた木々が風で葉を散らす。そして君麻呂の腕からは骨が飛び出しガイの足を受け止める。ガイの足からは血が流れていた。だが君麻呂にもダメージはある。それほど凄まじい蹴りだったのだ。君麻呂の骨は硬く、折れにくいものだが、この時2本の骨が折れていた。

 

「くっ、なかなかダメージを与えられんな。だが俺は諦めん!行くぞ!八門遁甲第4傷門解!」

 

ガイの体からチャクラが膨大に溢れ出す。それはまるでオーラに包まれるようにガイの体を包む。

 

「?なんだ?いきなりチャクラが増えたぞ?」

 

疑問を口にした瞬間後ろから衝撃を受ける。いつの間にかガイが後ろに回り込み自らをけりあげた。

 

「ぐうぅ」

 

そこからはガイの独壇場になる。

 

君麻呂の体をカチ上げ、叩き落とし、なぎ払い、様々な角度から様々な打撃を加える。

 

君麻呂は身体中の骨を使いガイに反撃を試みるが、ガイは骨ごと自分に打撃を与え、骨がところどころ折られガードが機能しない。

 

だが同時にガイの体にも限界は近づいていた。

 

『次で決めないともう体が持たない、決める』

 

ガイは君麻呂を上に蹴り飛ばすと飛び上がる。君麻呂はすでにガイが近くにいると確信し、顔の前で腕を組ガードをする。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

その雄叫びと共に上空からガイのかかと落としが炸裂し、そのまま地面まで縺れガイの足は君麻呂の腹部に突き刺さる、

 

「ぐはぁっくばっ」

 

君麻呂は血を吐き倒れる。

ガイが離れ、木に手をつき、体が傾いたその瞬間だった。

 

「危ない!」

 

誰かの声とともにガイの体は空に浮く。瞬間地面からおびただしい量の骨がとびだす。

 

 

「早蕨の舞‼︎」

 

ガイを助け出したのは我愛羅であった。木の葉との同盟のもと助けに来たのだった。

 

気絶したガイを砂の上に乗せ我愛羅は周りを見渡す。

 

「まだ生きている、そこだ」

 

一つの骨に砂を収束させる。

 

「砂漠送葬」

 

君麻呂は呟く。血だらけになった体で。

 

「おろ、ち、まる…さま。もうしわけ…ありま…せん」

 

骨の中から姿を現した状態で君麻呂は生き絶える。それを見届けた我愛羅はガイを砂に乗せたまま周りを見渡すと、西の方角に1匹の蛙と、1匹の蛇がいる。

 

それもとてつもない大きさだ。

我愛羅はその瞬間砂を動かしガイを乗せたまま空の戦場の方へ飛び立つ。まるでキン斗雲にのる孫悟空のように。

 

そして戦いは最終決戦に向かう。


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