我愛羅、カンクロウ、陽光の3名は試験官として、テマリは総指揮官としてこの中忍試験を支えることとなる。
木の葉からは奈良シカマル、油女シノ、みたらしアンコが協力してくれていた。
そして1次試験通過は20組60名。
これから過酷な2次試験名物、巻物争奪サバイバルが始まる。
そしてそこに現れる不穏分子。狙いは一体
広がる砂漠を囲むようにスタート地点が設けられる。そしてそこに並び立つ受験者達に手めりからマイクを通して説明が入る。
「これより2次試験を開始する。お前達にはこれから巻物を奪い合ってゴールを目指してもらう。そしてゴールは蜃気楼の先にある巨塔、中央塔だ!そこに2つの巻物をそろえてたどり着け。その際相手から奪い取る際は何でもありのバトルだ。だがこちらが危険と判断したとき時空間忍術でその戦闘をとめに入ることがある。その場合こちらが助けた班は失格。巻物はその時点で相手チームにわたる。そしてそれ以外のルールは昨日説明したとおり、途中で巻物を見てはいけない。そしてこれが一番重要だ。これはワンマンプレイで1人の力で勝っても意味が無い。皆で協力しこの試験を通過して見せろ!」
そう言うと一斉にゲートが開き試験が開始された。
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「くくく、始まりましたよ。ここにいるんでしょう。あなたが求める血継限界の忍が2人。どちらを狙うんです」
黒い髪を逆立てたような男が問う。
「白眼を手に入れるのなら血が濃いほうがいい。女のほうだ」
長い黒髪をなびかせてもう1人の男が走り出す。
それに続いてもう一人の男も駆け出した。
狙いは日向ヒナタ。木の葉の忍である。
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試験開始から3日目。ヒナタ・キバ・サイの3人は巻物をそろえ、戦闘の可能性の少ない空を飛び塔の近くまで来ていた。
「サイ!お前が一緒に受けてくれてよかったぜ!シノが中忍になっちまって他に誘えるやつがいなかったからな!」
キバのセリフにヒナタもうなずく。
「本当にありがとう、サイ君。一緒にがんばろうね!」
サイは前を向いたままうなずき応えた。
「僕もサスケがいなくてサクラがいのたちと受けるって聞いたからね!誘ってもらえて嬉しかったよ」
そうして塔が見えてきたころ3人の乗った鳥に向かって手裏剣が飛んできて直撃した。
そしてそのまま3人は落下していく。
「サイ、ヒナタァ!」
キバは体勢を立て直し着地すると2人に声を駆ける。
「私は大丈夫!サイ君は?」
「僕も平気さ。で、あいつらが敵かな?」
「あぁ、そうみたいだな。だが今は2対3だ。こっちが有利、それに俺等は負けられねぇ」
そう言うと赤丸に兵糧丸を食わせるキバ。
「サイ、援護を頼む。いくぜ赤丸、擬獣忍法獣人分身!」
赤丸がキバに変化し、その瞬間ふたりは敵に飛び掛る。
「獣人体術奥義、牙通牙!!」
鋭い回転をしながら敵にぶつかっていくと砂煙が立ち込めた。
その瞬間サイの鳥獣戯画で描かれたトラが猛然と飛び掛る。そしてそれに合わせキバと赤丸は煙の中から飛び上がり次の攻撃に備えた。
が砂煙がはれるとそこで敵の2人は平然と立っていた。
「あぁん、今なんかしたか?」
そう言うと髪を逆立てた男はあくびをし、髪の長い男に注意される。
「たとえ相手がどんなに弱くとも油断するな。そして目標以外は殺しても構わんがあの女だけは生け捕りにする。お前はそこの2人を片付けろ。女は俺が捕まえる」
「了解しました。それじゃぁいくぞこらぁ!」
キバとシノ目掛けて男が飛び出す。
「カゲロウ、さっさと終わらせんだぞ!すぐ増援が来ちまうんだからな」
挑発の男の声にカゲロウと呼ばれた男が反応する。
「わかってますよぉ、こんなやつら瞬殺してやりますよ」
そして懐から取り出すはチャクラ刀、アスマが使うものと同じようだ。
「あれはチャクラ刀、サイ気をつけろ!」「あぁさっきのがまったくダメージを与えてないのを見ると相当強いですよ」
ふたりは男と戦闘を始めた。
「キバ君、サイ君!」
ヒナタは2人に駆け寄ろうとするが、もう1人の男が立ちふさがる。
「あなた達は何者ですか?そして目的は何??」
ヒナタは構えを取り白眼を向ける。
「私の名はヒグラシ、そして目的はあなたの白眼!その眼が欲しい」
そう告げるとヒグラシはヒナタに狂気の眼を向け続ける。
「私は白眼を手に入れ、そして力を手に入れる。そしてその力を使い雨隠れの国を再建させるのだ!」
そう言うとヒナタへ突進し攻勢に出るのであった。
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「テマリさん!塔付近AブロックとBブロックの間にて中忍試験に関係ないものと木の葉の8班が交戦使用しようとしております。至急何者かを向かわせたほうが!」
「俺が行くよ」
そこに手を上げたのは木の葉の忍の畑カカシ。
「あいつらは木の葉の忍で俺達の仲間だからな。俺が助けに行く」
その言葉にもう1人。
「俺も行くぞ!」
ガイの声にカカシがうなずき紅に声を駆ける
「紅。お前は塔に直接向かい我愛羅達に伝え、そして他の受験者の安否確認をしておいてくれ。医療班の手配は」
「私がしておく。じゃぁそこの人寄せの陣に乗れ。お前らを転送するぞ」
テマリの声に3人はそれぞれうなずき陣に乗ると、その場からいなくなる。
「陽光、聞こえてただろう?あんたは今からすぐに現場に向かい敵戦力の殲滅に協力せよ」
インカムに声を通すと走りながら陽光は返事をする。
「もう向かってるってばよ!ただ反対側の端にいたから10分はかかるってばよ」
そういうとナルトは砂漠を駆けていった。
カカシとガイが到着したとき、ヒナタがひざをつきたおれた。
そしてキバは倒れサイももう限界に近いようだった。
「ガイ、お前はそっちの敵を頼む。こいつは俺がやる」
「任せろ!サイまだ動けるならヒナタとキバを少しはなれたところに運べ。ここは危険だ」
サイはうなずき何とかキバとヒナタを少し離れた丘に非難させた。
「お前らは何者だ?なぜあいつらを狙う」
カカシがヒグラシと交戦しながら問うとヒグラシはカカシに告げる。
「雨隠れを再建するため白眼の女には犠牲になってもらうのさ!」
そう言うとカカシに力のこもった体術で攻め入る。カカシはそれをかわしながら冷静に分析する。
「そうか、狙いはヒナタか。そしてお前はそんなことのために俺の仲間を傷つけたということか」
いったん離れるとカカシは写輪眼を開放した。
「お前は俺が殺す。そしてお前の野望もここまでだ」
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「貴様!なぜ中忍試験の邪魔をする!未来ある若者の努力を踏みにじるとは許せん!!」
「木の葉旋風」
ガイはカゲロウに襲い掛かる。
「くっ速いですねぇ。変な格好をしているくせに。でもこっちも負けられないんですよぉ」
チャクラ刀から水の刃が出る。
「ほう、やるな、だが俺の仕事は教え子達を守ること。木の葉の下忍は俺の教え子だ。そいつらを守るために俺は戦う!」
「第1の門、開門、第二の門、休門、解!」
先ほどまでとは比べ物にならないチャクラがガイの体にあふれる。
「な、何だこのチャクラは!?何をした!?」
その問いにガイが答えることはなくすでにカゲロウはガイを見失っていた。
「!?」
その瞬間顎を打ち抜く蹴りが炸裂する。そしてそのまま宙に浮いた体をガイは容赦なく蹴り、殴り、どんどん高く上っていく。
「はぁぁぁ、表蓮華!」
そしてガイは一番高いところからカゲロウを抱えると落下して行き表蓮華を決める。
そしてカゲロウが動けないのを確認するとサイに駆け寄った。
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「私を殺す?お前がか?できるものならやってみろぉ!」
すさまじい速さで印を組むがカカシは写輪眼で完璧に動きをコピーする。
「「風遁・大突破」」
お互いの出した風がぶつかり合い、うねりを上げる。
「ほう、お前コピー忍者のカカシか?これはいい。お前の持つ写輪眼もいただこうか」
そう告げると男は印を結ぶこともなく術を発動する。
「霞遁・風霜乱舞」
カカシの周りの地面が凍り始める。そしてその地面から無数の氷の刃が襲い掛かる。
「コイツは、血継限界か?まずい」
下から迫り来る刃に向けて印を結び対応するカカシ。
「土遁・土流壁」
カカシの目の前に壁が現れ氷の刃を受け止めたが、着地した場所からさらに刃が襲い掛かる。
『間に合わない』
その瞬間横から突風が吹き荒れ、カカシの体が飛ばされ、ギリギリのところでかわすことに成功した。
「畑上忍、大丈夫ですか?」
そのカカシを受け止め地面に下ろす陽光。
「あぁ、助かったよ。正直ちょっと危ないところだった」
そう言うとカカシは陽光に礼を言い立ち上がる。
「でもこれは俺の戦いだからさ、俺がやられるまでは出番待ってて」
カカシの言葉にしょうがないという表情を向けると、倒れた男を拘束し、水分身が塔の我愛羅のところへ運ぶ。
そして持ってきてある応急処置セットをもちガイに駆け寄った。
「その2人に手当てを。俺やこの人がやると失格になっちまう。」
そう言うとサイに手渡しサイもうなずき礼を言い手当てをする。
「カカシはどうなっているんだ?陽光」
ガイの問いに無表情で答える。
「ま、俺の出番とったんだからかっこよく決めるんじゃないですか?」
そう言うと戦闘してkるほうに目線を向ける二人。
戦闘はまさに終結を迎えようとしていた。
「お前の能力は厄介だがもう俺は負けないよ。これで決める。雷切」
カカシの右手がうなりをあげながら放電する。
「ほう、それが噂に聞く雷切か、ならばこっちもこれでお前を殺してやる」
「霞遁・雹斬」
ヒグラシの右手からは冷気の膜が折り重なり、風を切る音が聞こえる。
お互い走り出し、激突すると、雷が落ちた瞬間のような轟音が鳴り響き、激しい砂埃が巻き上がり、その砂埃はかなりの範囲に広がっていきやがて晴れていく。
陽光たちの目に映ったのはヒグラシの体を貫くカカシの姿。だがカカシも傷を負っており、ヒグラシの右腕が掠めたであろうわき腹から出血をしていた。
「な、なぜ私が・・・つらぬかれて、いるのだ」
ヒグラシはカカシに倒れ掛かったまま聞く。
「お前の技は確かにすごい、そして強かった。だが俺の仲間を傷つけたやつに。俺が負けるわけには行かない」
右腕を引き抜き、そのまま男を倒すと、巻物を出し時空堪忍術の一瞬であろう技で大きな布を出し男をくるむとその巻物へとまた回収した。
「コイツは日向の白眼を狙ってきた。こいつの処置は私達に任せともらおう」
そう言うカカシに対し陽光はまたも仕方ないなぁという表情でうなずくと、意識を取り戻した2人とサイに駆け寄る。
「今お前達に俺達はまだ力を貸していない。まだお前達に受験資格は残っているわけだが。続けるか?」
試験官としての陽光の問いに3人は立ち上がる。
「あぁ、もちろんだ!俺達はお前に追いつくことを目標にしてんだ!」
キバの言葉にヒナタとサイもうなずき続ける。
「私達が木の葉を変える。そのためにもっと強くなる!」
「僕も、サスケを助けられるくらいに強くなりたいんだ。だからこんなところで諦められないからね」
その言葉を聞くと陽光はきびすを返し歩き始める。
「それでは塔を目指して頑張ってくれ。ガイ上忍。テマねぇのところまで畑上忍を担いで行ってやってください。もう多分その人チャクラがほとんど残ってない上に出血が結構ありますから。手遅れになる前に。俺は持ち場に戻りますので」
それだけ告げると走り去っていく陽光を見送ると3人は歩き出す。
「それじゃぁ先生達、助けてもらってありがとうございました。俺達2次試験突破して、その次も勝って中忍になってきます」
もう振り返ることなく3人は前に歩き出した。
「あいつら青春してるじゃないか、なぁカカシよ」
「あぁ、本当にこの1年ちょっとで大きくなった」
二人はうれしそうに背中を見つめた。
「ところでガイ、俺そろそろやばいかも」
そう言うとカカシはガイに支えられたまま気を失い、ガイはそれを見て全速力でカカシを救護班の待つ試験監督所に走っていくのであった。