里を捨てた少年   作:落ち葉崩し

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第28話 灼熱の太陽 後編

さて、着替え終わったナルトは考える。

 

今日はプールに来ているのだが、マスクをするかどうかだ。

 

普段は左目だけをだしたマスク姿だが、今日は右目を隠せない。なぜなら額当てができないからである。

 

しかもカラコンは右に入れてないため、右目は空と同じような水色。

 

マツリには見せたことないのだが別に隠す必要はない。

 

だがマスクは別である。

 

もし木の葉の民がいたら間違いなくバレる。そうならないようにマスクをしたまま行くことにした。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

マツリは悩む。

 

水着の上からTシャツを着るべきかどうか。

 

気合を入れて買ってきた水着を見て欲しい気もするが、恥ずかしい気もする。

 

えーい、女は度胸!と覚悟を決めたマツリは更衣室をあとにする。

 

 

更衣室の前ではいつものマスクをしたままの陽光が立っている。

 

「あれ?陽光さんマスク外さないんですか??」

 

頭にはてなを浮かべながら聞くと苦笑いしながら応える。

 

「いや、外したくても外せないんだってばよ、基本的に家の中とご飯を食べる時以外は外さないんだ」

 

そう言うとマツリの方に目を向ける。

 

「あれ、陽光さんってオッドアイなんですか!?すごく綺麗な瞳」

 

マツリが驚き覗き込んでくる。

 

「あぁ、左目はカラコンが入ってるんだ、本当は両方水色だってばよー」

 

 

覗き込まれて少し照れながら話す陽光にマツリは続ける。

 

「そうなんですね!陽光さんの瞳、すごい綺麗です!今度はカラコン外したところも見てみたいです!」

 

 

そういうとマツリははにかんだ。陽光はそれを見つめたあとそっぽを向いて言葉を出す。

 

「ま、またこんどな!それよりも早く遊ぶってばよ!プールなんて初めてだから楽しみなんだよな!」

 

そう言うと1人走っていく陽光をみて笑いながら追いかける。

 

「待ってくださいよ、陽光さーん!」

 

後ろから追いつくと嬉しそうな2人はまずは流れるプールに向かう。

 

「おー!つめてー!今日は暑いから気持ちがいいってばよ!」

 

「陽光さんオヤジくさーい!」

そう言うと笑いながら水をかけるマツリ。

 

「ぷはっ、やったな、マツリー!」

 

陽光の顔にかかると陽光は怒ったふりをして近づいてくる。

 

「ちょっちょっと陽光さん!やだなー、冗談じゃないですかー」

 

マツリが後ずさりながら逃げていく。

 

「ゆるさねぇってばよ!逃げんな待てこの!」

 

陽光が水の中を走って追いかけていく。

 

その瞬間マツリは笑いながら泳いで逃げる。

 

「あ、泳ぐなんてずりい!俺も行くってばよ!」

 

なぜか流れるプールで全力の追いかけっこをする2人、体力で陽光に敵うはずもなく、15分後、ついに捕まってしまった。

 

「ちょ、ちょっとタンマです…も、もう泳げない!」

 

そう言うとプールの端に捕まる。

 

「へっへーん、俺から逃げようなんて100万年はやいってばよ!マツリにはお仕置きだぜー!」

 

そう言うとナルトは悪巧みを実行する。

 

手の上に小さな小さな螺旋丸を器用に作るナルト。それをマツリの方に向けたまま、水を勢いで飛ばす。

 

「あば、あぶぷわ、ま、むぁってくだしゃいよぅこぽぅさん」

 

水の勢いに負け何を言っているのかかろうじてわかるが、陽光は聞く耳持たないようだ。

 

その瞬間マツリの反撃が始まる。

 

『風遁、希空波」

 

水の中に潜り印を結ぶ。すると陽光の顔の下から水の塊が飛び出て顔にクリーンヒットする。

 

「ぐばぁ!!?」

 

 

陽光からも変な声が漏れる。

 

マツリは水から上がり顔を出しケラケラ笑っている。

 

「意地悪な陽光さんに仕返しです。もっとゆっくり遊びたかったのにー」

 

最初に自分がやったことは棚に上げ陽光に膨れつらを見せる。

 

「え、俺のせい?俺のせいなの?ごめんなさい!」

 

わけも分からず謝る陽光にマツリが吹き出し笑う。

 

「謝らないでくださいよ!冗談ですから!次はあれ、あれに行きましょう!」

 

マツリがウォータースライダーを指差し告げると、2人で歩く。

 

「まぁまぁ高いですけどさっきの陽光さんのジャンプの方が高かったですよね?」

 

上まで登り列に並びながら聞くと、陽光は頷く。

 

「まぁ、ここよりも15mくらい高かったんじゃないか?」

 

さらりと言ってのける陽光に呆れ返るマツリであった。

 

 

そしてウォータースライダーを陽光が気に入り、10回以上乗る羽目になるのだった。

 

 

「あー、面白かったってばよ!何か飯買いに行ってくるけど何がいいんだー??」

 

休憩所の椅子に2人で座り、聞くとマツリが答える。

 

「ここはレストランがあるらしくて、このパスポートは最初に説明書きを見たんですけど何を食べても何を買ってもタダらしいんです。だからレストランに行きましょう!」

 

マツリに手を引かれレストランに到着する。

 

「いらっしゃいませ、あ、そちらプレミアムベアパスポートですね!こちらの席にどうぞ!」

 

通されたのはバルコニーになっており、外の景色が一望できる席だった。

 

「うわぁ、ここすごくいい景色ですね!さすがはプレミアムパス!最高ですね!」

 

 

「あぁ、マツリが満足してくれてるなら俺も満足だってばよ!」

 

この言葉に顔が赤くなるのがわかったマツリであった。

 

メニューを見ながら2人でどれにするかこれにしよう、いやこっちも捨てがたいと、悪戦苦闘しながらメニューを決めた。

 

「ご注文は以上でよろしいですか?」

 

「おう、それで全部だってばよ!」

 

 

そう告げると店員から質問が入る。

 

「こちら食後にプレミアムペアパスポートをお持ちのお客様にデザートのサービスがございますがいかがですか?」

 

その言葉にマツリがいち早く反応を示した。

 

「お願いします!」

 

女の子はデザートが好きなのである。マツリも例外ではない。

 

 

注文した料理を食べ終え、デザートが運ばれてくる。

 

「お待たせしました!こちらプレミアムパフェとカップルドリンクでございます」

 

持ってこられたのはフルーツがこれでもかと乗っている大きなパフェと1本のパフェスプーン、そして1つの大きなグラスに入ったメロンソーダに2本のストローが絡み合うように入っている。

 

「それではこちらのパフェはお互いに食べさせあいっこをしながら写真を取らせてもらっておりますので、ご協力お願いします」

 

 

そういうと店員さんはカメラを構える。

 

マツリはフリーズしてしまっていた。そこに陽光が声をかける。

 

「おーい、マツリー!起きるってばよ!」

 

 

「はっ、なんかすごい夢を見ていた気がするんですが・・・・夢じゃない!?」

 

マツリは起きて状況を再認識すると声を大きく出した。

 

「まぁまぁ、写真くらいいいじゃん、ほら、あーん」

 

こともなげに陽光はスプーンにたっぷりクリームをすくい待つ。

 

マツリは顔を真っ赤にしながらも口をあけて食べさせてもらう。

 

その瞬間をなぜか店員さんは連写したあと、ニヤニヤしながらお礼を言い出て行った。

 

 

・・・・・・・・・

 

「うまくやったじゃんテマリ」

 

 

バルコニーから裏に戻ると、先ほどの店員をカンクロウがねぎらう。

 

ボン!煙が晴れ店員がテマリに戻る。

 

「この写真でマツリと陽光をいじり倒すわよ。お父様のおかげでこちらに侵入することも簡単だったしね」

 

「「フフフフフフフフフ」」

 

2人はニヤニヤしながら笑い、悪い顔をしていた。

 

その横の椅子に我愛羅が座り、黙々と先ほど持っていったパフェと同じものを食べていた。

 

・・・・・・・・・・・・

 

「よ、陽光さん、あのその、私も陽光さんにアーんってしたいなぁとか・・・」

 

 

先ほどから陽光にパフェをずっと口に入れられているマツリの提案に何も思わず食べさせてもらうことになったのだが、アーんなんてテマリ以外にされたことは無く、それも他人の女の子にされるのだから普通は間接キスなどに緊張したりするんだろうけど、陽光にそんな期待をするだけ無駄というものである。

 

「はい、アーんしてください」

 

そういうとスプーンを差し出し陽光に食べさせた。

 

「うまいってばよ!でも俺はもういいから、マツリが食べるといいってばさ」

 

陽光にスプーンをとられ口の前まで運ばれる。

 

その瞬間に間接キスだということに気づいたマツリはそのあと一口もパフェの味がわからなかったのだった。

 

 

そしてカップルドリンクは顔を真っ赤にしながらもがんばって飲むマツリが、しれっと飲み続ける陽光を見て少しすねてしまうのだがまたそれは別のお話。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

腹ごなしを済ませ存分に楽しんだ二人。

 

浮き輪を購入し波のプールで波乗りをしたり、飛び込み台やら飛び込んだり、ビーチボールを買って遊んだりと散々楽しんだころには日が傾き始めていた。

 

「最後にあっちにあるウォータースライダーに乗ろうぜ!あれは2人の利用らしいしな!」

 

 

マツリの手を引く陽光の後ろをうれしそうなマツリがついていく姿が今日で何度目なのか。テマリ達は遠め絡みながら歯がゆく感じていた。

 

 

「それでは女性が前で男性が後ろになります。こちらの取っ手を放さないようにしてくださいねー」

 

係員に支持されたとおりの格好になり、いざ出発。

 

「きゃーーー」

 

「いやっほー」

 

 

2人を乗せた浮き輪は一人乗りのスライダーに比べてとんでもない速さで滑っていった。

 

くねくねと曲がったとおもうと、ものすごい角度で急降下し、最後は飛び跳ねてゴールした。

 

前に乗るマツリは終始悲鳴を上げていたが、陽光はもう一度生きたそうにしていたがマツリが手を引いて歩き出したためにあきらめることとなった。

 

 

「それでは陽光さん、更衣室の出たところで待ち合わせですからね!先に帰っちゃだめですよ!」

 

「わかってるって、それじゃぁあとでな」

 

二人は分かれて更衣室に入っていった。


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