里を捨てた少年   作:落ち葉崩し

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第25話 オトメゴコロ

陽光たち砂隠れ御一行は、2日をかけ砂隠れの里に戻ってくる。

 

その足でテマリは1人風影の執務室へと向かう。無事の帰還を報告するために。

 

そして他のみんなは門のところで解散となったため各々修行に行ったり家に帰ったりと様々である。

 

陽光は一人いつもの滝へと向かう。そして滝の前で胡座をかき九喇嘛を呼ぶ。

 

『九喇嘛』

 

『なんだナルト、また新技の開発か?』

 

九喇嘛は立ち上がりナルトに近寄る。

 

『あぁ、そろそろ性質変化をもう少しうまく使えるようになっておきたいんだ。俺ってば風遁はうまく使う自信あるけど、火遁はそんなに技の種類多くねぇし、火遁は3つくらいしかないらさ、なんかこうもー少し組み合わせて新しい技を作るってできるのかなってさ』

 

『ほぉ、組み合わせるか…んー、それは少し難しい話だが、血継限界というものは知ってるか?』

 

九喇嘛の問いに頷き答える。

 

「もともとそういった血を持つものは5つのチャクラ性質のいずれかを組み合わせてその血継限界の力を発揮している。有名なものだと土遁+風遁+火遁で塵遁というものだったり水遁と火遁で沸遁だったりと様々ある。

だからもしナルトがその性質を組み合わせることを目指すのならまずは同時に二つのチャクラを体内で作り出し、それを1箇所に集める修行をする必要がある」

 

九喇嘛の説明にナルトは質問をする。

 

『じゃぁこの性質変化の同時併用を行うとして、俺の場合は風遁と火遁、もしくは水遁と火遁、風遁と水遁を組み合わせるわけだけどさ、その場合どんなのができるん

だってばよ??』

 

『風遁と水遁ならば氷遁、水遁と火遁なら沸遁、風遁と火遁なら灼遁という血継限界のものが使っておるぞ。だが組み合わせで技を作るなら、これに当てはまらない術もできる可能性はある』

 

その言葉にナルトは考える。

 

『なんかよくわかんなくなってきたけど、今日はまず2つのチャクラを組み合わせる練習だってばよ!』

 

立ち上がり滝の下に向かう。

 

『ナルト、大切なのはチャクラコントロールとそれを維持し続ける為の集中力だ。いいな?』

 

九喇嘛の言葉に頷くと、ナルトはまず風のチャクラを使い滝を斬る。すると滝がナルトの手を入れた場所から横一線切れ目が入り、水が横に弾ける。

 

『ここで同時に火のチャクラを使って横に飛ばすんじゃなく蒸発させる』

 

横に弾いている水を蒸発させるイメージをしながらチャクラを流し込むと、滝の切れ目はなくなり、滝の中心部分までが一気に蒸発する。

 

『ナルト、それだと火遁のみだ』

 

九喇嘛の声に頷き、さっきと同じ要領でイメージを持ちながら風のチャクラを流し込む。

 

この修行は思っていたよりも難しく、

この日夜まで続けたが、同時に行うことは1度も成功しなかった。

 

 

疲れも溜まり、寝転がっていると滝から離れるナルトは後ろの茂みから音が聞こえたため起き上がり声を出す。

 

「誰だってばよ」

 

茂みからあらわれたのはマツリだった。

 

 

「お疲れ様です。陽光さん」

 

そう言うとタオルと飲み物を手渡して隣に座るマツリ。

 

 

「おう、さんきゅーな!」

 

ナルトは笑顔で受け取るとそれを口にする。

 

「陽光さんはすごいですね、あんな風に毎日修行してるんですか?」

 

 

マツリの言葉にナルトは少し照れながら答える。

 

「全然すごくなんかねえってばよ、俺はもっと強くなりてーんだ、我愛羅が言ってた、守りたいもののために。それにさ、俺ってば不器用だから修行いっぱいしねぇとうまくできねぇからさ」

 

マツリの隣で空を見上げながらナルトはいう。

 

その横顔を見てマツリも空に目を移す。

 

「私も陽光さんみたいに強くなりたい、守ってもらうだけじゃなく、私も守りたい、そして」

 

『隣に立ちたい』

 

最後の言葉は口にはまだ出すことはできない、自分は弱いからだ。

 

ナルトは目線をマツリに向けると優しく微笑む。

 

 

「強くなれるよ、マツリは頑張り屋さんだからな!」

 

「は、はい!」

 

頭を撫でながら言うとマツリは途端に顔が真っ赤になるもかろうじて返事はできた。

 

そしてマツリは口にする。

 

「明日から私も一緒に修行していいですか?」

 

『陽光さんが隣にいれば頑張れるから…』

 

陽光の赤く光る目を見つめるマツリ。

 

ナルトは頷き答える。

 

「おう、だけど任務がある日は勘弁な!」

 

そう言うと立ち上がりマツリに手を差し出す。

 

それを迷いながらも掴むと立ち上がらせてくれた。

 

「もう夜も遅いし帰るか、うちでご飯食べてけよ!」

 

滝から家はすぐ近くだ。

 

ナルトは返事も聞かずに歩き出す。

 

その手はなぜか離れていなかった。

 

 

 

その後家に着いた2人を見てテマリはニヤニヤしながら、カレーの皿を1つ増やすのだった。


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