「最終戦の抽選を開始する。これに選ばれなかったものは予選なしで決勝トーナメントに参加してもらう。」
ここで残るは我愛羅、カンクロウ、ドス。
このうち一人は戦わなくて済むのである。
ルーレットが止まり名前が表示された途端カンクロウはガッツポーズ。
「我愛羅VSドス」
我愛羅は砂に包まれたかと思うとその場から消え、闘技場の中央に降り立つ。
ドスも続いておりてくる。
「おやおや、あなたも運が悪い、ここで消えることになるんですから」
ドスは卑下た目で我愛羅を見つめる。
我愛羅はさも興味がわかずただ黙って睨みつける。
「おやおや、そんな目で見られては…殺したくなりますねー」
にらみ合う両者が静寂に包まれる。
「それでは最終戦、開始」
開始の合図とともにドスが仕掛ける。
超音波を発する小手を用いた近接攻撃。
だが我愛羅は微動だにせず砂でガードする。
「さすがですねぇ、でもこれはどうです」
印を組むと我愛羅の周りの砂の防御が一斉に崩れ落ちた。
「空水風」
ドスが何をしたか瞬時に我愛羅は判断した。
『あいつは俺の周りの空気中の水素を水に変え、砂を重くし、制御不能にしたのか、だがそれでは俺には勝てん』
我愛羅は焦ることなく体制を立て直す。
「その完全防御はうち破らせてもらう。行きますよ」
右腕を前に突き出し超音波で空気を振動させながら、ドスは凄まじい勢いで我愛羅に殴りかかった。
はずだった。
我愛羅は地面に手をつきなにやら術も発動させている。
「な、足が動かない!?」
ドスの足元のコンクリートの足場が砂のように変わり、下半身が飲み込まれていく。
「砂漠柩」
我愛羅は手を前に出しその手を握る。
「砂漠葬送」
その瞬間ドスは足が潰れたのがわかる。
「ぐあぁぁぁ!うぁぁぁ」
叫びとも呻きとも取れる声が室内にこだまする。
「試験官、もうそいつは戦闘不能だ。早く手当てしてやれ。今ならまだ間に合うだろう」
そう告げると振り返り歩き出す。
「しょ、勝者我愛羅」
試験官は少し驚いていた。ここまで強いやつが何人も出てくるなんて思ってもいなかった。
うちはサスケ、油女シノ、日向ネジ、この3人は予想通りだったが、砂隠れの陽光、我愛羅、この2人は規格外である。
死者を出しかねない力を持つ2人。
本選が始まるまでに、この2人に追いつくことは不可能に近い。
そう感じているのである。
そしてそれは担当上忍である4人も同じ考えであった。
我愛羅が元の位置に戻るとカンクロウとナルトが明るく迎え入れる。
「お疲れじゃん、我愛羅」
「流石だってばよ!でもちょっとやりすぎだってばよ」
2人とも笑顔だ。
でも我愛羅は違った。
「やつは何か企んでいた、いや、奴らといった方が正しいか…俺はその可能性を完全に潰しておいた。それだけだ」
その我愛羅のつぶやきにナルトとカンクロウは首をかしげるだけであった。
闘技場に勝ち上がった10名が名を連ねた。
「サイ、うちはサスケ、油女シノ、日向ネジ、テンテン、ロック・リー、奈良シカマル、陽光、我愛羅、カンクロウ、以上10名を本選出場者とする。ただいまより抽選を開始する。
1回戦から早く勝ち抜けたものからくじを引きに来てくれ。
陽光から始まりカンクロウが弾き終わり、全員が自分の番号を確認した。
トーナメント表が表示され、自分の番号を皆が確認する。
「①VS⑦」「⑤VS⓪」「③VS⑨」「②VS⑧」「④VS⑥」
次の相手は誰になるのか…