5日目の夜、ついに塔に到着した。
塔の部屋のひとつに入ると掛け軸がかかっており、それには巻物を同時にあけるよう書かれていた。
同時にあけると木の葉隠れの中忍、イルカが現れた。
ナルトはイルカを見た瞬間に体がびくりと反応する。
だがあわててその表情を裏に隠したことを我愛羅やカンクロウは気づいていた。
そしてこの沈黙を破ったのは・・・
「三人とも、サバイバルお疲れ様、俺はうみのイルカ。今回の試験の試験官の一人だ。そして君達は見事試験に合格となった、おめでとう」
そういうと笑顔を見せる。
「ま、当然じゃん、な」
カンクロウが2人に問いかける。
「あぁ」
「うん」
2人はうなずいた。
「そしてテマリさんから話は聞いたよ、『ナルト』」
イルカはその名を呼ぶと同時にひざをつく、そして地べたに頭をつける。
「本当にすまなかった、お前を守ってやることも、見つけてやることもできず、今の今までお前をほったらかしにしていたんだ、お前の気がすむなら俺を殺したっていい、許してくれとは言わない。だがナルト、俺は今でもお前を!}
「イルカ先生!」
話を途中でさえぎるナルト。
イルカに対し言葉をつむぐ。
「俺ってば木の葉では化け物扱いされてきたけど、イルカ先生と火影のじいちゃんがいるからがんばれたんだってばよ、でも砂の国での生活はこことは違った。あったかくて、いたくも苦しくも無い。みんなが俺を俺と認めてくれるんだってばよ。だから俺はもうイルカ先生たちになんていわれようが木の葉の里に戻るつもりは無い。でもイルカ先生には感謝してるってばさ。でも俺は木の葉の里の民を許しはしない、絶対にだ」
笑顔で話していたと思ったのもつかの間、イルカはその瞬間恐ろしい表情のナルトに息を呑むことになる。12歳の少年がする表情ではなかった。
「だから俺は力を手に入れていくってばよ。これからもずっと」
そう告げるとなるとは次の部屋への扉を開けると中に進んでいく。
目には涙を携えたまま。
我愛羅とカンクロウはイルカに対していった。
「あいつのことは任せてくれ。あいつをこれからは一人にしない。絶対にだ」
「まぁあいつは今俺達の弟じゃん?そしてこれからもずっとな」
そういって笑顔を向けた後イルカの隣を通り抜けてなるとのあとを追う。
そしてカンクロウが振り返り告げる。
「これ以降、あいつのことはナルトと呼ぶな、あいつの名は陽光だ」
そしてドアを閉めると次の部屋には休憩所があり、ナルトはベッドにもぐりこんでいた。
我愛羅はなるとの隣のベッドに腰掛けていた。
カンクロウも腰をかけナルトを見るもまったく動かない。
二人は目線をあわせ、ナルトの布団をポンポンとたたく同じようにベッドにもぐりこみ静かなときをすごした。
ナルトは二人の気遣いをありがたく受け取り布団の中で静かに涙を流すのであった。