東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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今回は古明地こいしを描かせて頂きました。次回はさとりを描こうと思ってます。


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ではではどうぞ。


第八十三話 破壊神の威厳

 

「霊夢!?」

抱き起こして意識の有無を確認する。気絶しているだけのようだ。

「一体何が……」

「いやぁ!東雲さん!」

突然神奈の悲鳴が聞こえて振り返る。

そこには行方を眩ましていた破壊神が神奈の腕を掴んで宙に飛んでいた。

「ッ何してんだ!!」

「貴様には礼を言うぞ東雲橙矢。我が妃をここまで連れてきてくれたことにな」

「そいつはサティーじゃねぇ!新郷神奈だ!」

「此奴が我が妃の生まれ変わりだと知っているだろう?少なくとも此奴には前世の記憶がある。それを俺が呼び覚ます」

「勝手なこと言うんじゃねぇよ駄神!」

「煩いぞ。妖怪の分際で」

カリブルヌスを顕現させると橙矢に一閃。斬撃が橙矢を直撃した。

「ッ!」

刀を寸前に引き抜いて受け止めたが吹き飛ばされる。その隙にシヴァは上空に飛んでいく。

「逃がすか!!」

足を限界まで強化させると一気に跳躍する。

「東雲さん!」

「待ってろよ!今助ける!」

ここのなかで一番高い木に着地するとさらにそこから跳躍する。高さは優に八十メートルはいっている。

その時橙矢は衝撃的なものを目にした。

雲ともいえる浮き島の上に見覚えのある人達が倒れていた。

まずは神奈の手配状を出した八雲紫、そして昨晩神奈の命を狙ってきた西行寺幽々子、魂魄妖夢。そして聖白蓮、比那名居天子。ロリっぽくて笏を片手に持っている少女。人形を傍らに気絶している少女。他にも倒れているがどれも幻想郷の実力者ばかりだった。

「ッ!これはまさかシヴァが……!」

視線をシヴァに戻した、瞬間横から文が突撃してきた。

「グ………お前何して……!」

「魔理沙さん頼みましたよ!」

どうやら文は橙矢しか見えてないらしくシヴァなど目にもくれない。

吹き飛ばされると真横から光の奔流が迫る。

「チィ!」

反応が一瞬遅れて直撃した。

「弾幕はパワー……だぜ!!」

「ッゥ!」

勢いで飛ばされていく橙矢はシヴァに手を伸ばすが当然の如く届かない。

「新郷……!」

「東雲さん!」

「待ってろ……!すぐ助けに行くからな!それまでの辛抱だ…!」

意識を手放さないように奥歯を噛み締めながらいつまでも続く浮遊感に気持ち悪くなりながら身体が地に着くのを永遠に待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡る事数十分。

破壊神シヴァは天界に戻った後新郷神奈に対して感じた違和感に気付いて再び下界へと下りてきていた。

「まさかあの人間がサティーの生まれ変わりだったとは……!」

意気揚々と自由落下をしているシヴァは自らに近付いている気配に気が付いた。

「およそ数は……八か」

重力に逆らって虚空に立つ。

「覚悟なさい破壊神シヴァ!」

目の前に急に博麗霊夢が、背後に八雲紫が現れる。

「いきなりかよ……」

カリブルヌスを手に振り抜くが金属音と共に止められる。

「お、俺のこの剣を受け止めれる奴がいるなんてな」

受け止めた魂魄妖夢は下から蹴りあげるともう一本の刀を引き抜いて突き出す。

「っと危ないな」

紙一重で避けるとカリブルヌスを構えたまま横に回転して紫と霊夢と妖夢を吹き飛ばす。

「ッ!」

「退きなさい巫女!」

霊夢を入れ替わるように比那名居天子が突っ込む。

「馬鹿が!お前一人で俺に勝てるわけねぇだろ」

「やってみなきゃわかんないでしょ!!」

「もう充分やっただろうが!」

緋想の剣を受け止めてカリブルヌスごと蹴りあげて上半身を仰け反らせる。

「貴様には用は無い。散れ〈全人類の緋想天〉」

手から緋色のレーザーを放った。

「夢符〈二重結界〉!」

シヴァの周りに結界が張られて〈全人類の緋想天〉を結界内で爆発させた。

「うお……!?」

吹っ飛んで結界に叩き付けられる。

「ッつぅ………何だ?また結界か?だったら……」

「離れるわよ!紫!」

霊夢が言うとスキマが開き、全員を飲み込むとかなり離れた位置に現れる。

「消し飛べ!」

カリブルヌスに力を込めると衝撃波が結界を内側から叩いて破壊した。その余波が霊夢達を襲う。

「こんだけ離れてるのに……なんて威力よ」

「………初めて見る私でも彼が破壊神だと分かるわ」

七色の人形使いであるアリス・マーガトロイドは上海人形を新たに二体起動させる。

「……橙矢はあれをまともに喰らったのよね」

「誰なのよそれ。私初めて聞く名前だけど」

アリスが首を捻ると呆れたように霊夢はため息をついた。

「知らないの?元々退治屋だった東雲橙矢を。てか今初めてその名前を聞いたって……よっぽど外に出てないみたいね。何?魔理沙似の人形でも作ってむきゅーってしてたの?」

「してるわけないじゃない。ちょっと忙しかったのよ」

「魔理沙似の人形作ってたから?」

「………………どうしてもそうさせたいらしいわね」

「まさか………それよりも閻魔。あんたはどうなのよ」

霊夢が一瞥した閻魔の四季映姫・ヤマザナドゥは冷たい目で前方にいるシヴァを見つめた。

「それはどういう意味ですか?私があの白黒の魔法使いの人形を作っている、ということでしょうか?」

「まだその話を持ってくるのね……。違うわよ、あんたなら破壊神に唯一対抗出来ると思って」

「私がですか?…………かなり厳しいですね。閻魔というのは地獄の王であり、ましてや神ではありません。………守矢神社辺りの神ならいけますが……」

「けど足止めくらいならいけるわよね。私達の敗北しない絶対条件はシヴァに新郷神奈を取られないこと。恐らくだけどもうすでにシヴァは気付いているみたいね」

「ちょっと待ちなさいよ。だったらこの内に新郷神奈って人が外の世界に帰っちゃうんじゃない?」

「心配無いわ魔理沙達が向かってるから」

「私そっち向かっても良いかしら」

「人形だけじゃ飽きたらず?」

「止めなさいお二人とも。………来ますよ」

「「ッ」」

映姫が注意するとシヴァが八人の前に現れる。

「逃げるこたぁねぇだろ」

「南無三ー!」

魔法を使い、身体能力を底上げしてシヴァの懐に潜り込んだ聖白蓮は下から殴りあげる。

「ゴフ……ッ!」

吹き飛んだシヴァはすぐに身を翻して体勢を整え、虚空を蹴ると白蓮を蹴り飛ばす。

「カハ……!」

「僧侶!」

一撃だけで意識が刈り取った。紫はスキマを開いて天界の一部である雲を白蓮の下に移動させた。その上に白蓮が倒れる。

「一撃で……!?」

「アリス!あんたは援護!妖夢!あんたは私と来なさい!」

霊夢と妖夢がシヴァに突撃していき、アリスは言われた通り自身と人形から弾幕を放って援護する。

「私もやってやるわ……!」

天子が突っ込み、その後ろで映姫と幽々子はシヴァの隙を窺う。

その時シヴァの視界に巨大化した萃香が映ったが無視した。前方の祓い棒を手の甲で受け流し、左右から来る刀と緋想の剣を屈んで衝突させる。

刀と緋想の剣を掴んで下に下ろすと宙で一回転し、背中をカリブルヌスの刀身で殴り付けた。ゴキッボキッと骨が折れた音がした。

「………!」

「ぁア!?」

「脆いな。まだ東雲橙矢の方が堅かったぞ」

「シヴァアアァ!」

「審判〈十王裁判〉」

「華霊〈ゴーストバタフライ〉」

「出番よ。式神〈八雲藍〉」

映姫が弾幕を放ち、幽々子が無数の死の蝶々を舞わせ、紫がスキマを開いて天子と妖夢を回収してさらにもうひとつのスキマを開いて八雲藍を呼び寄せた。

「式輝〈プリンセス天狐‐Illusion‐〉!」

「嘆かわしい!」

カリブルヌスを薙いでスペルを破壊した。

「何………!」

「式神如きが……千年早ぇよ!」

「多重結界!」

紫がシヴァの周りに無数の結界が張られるが一瞬にして壊され、藍を吹き飛ばした。

「それと閻魔と亡霊の弾幕か」

特に痛がる様子もなく弾幕の中を突き抜けていく。

「効かないなんて……!」

「まだよ閻魔様。私の蝶に触れれば……」

「触れたらどうかなるのか?」

シヴァは蝶を蹴散らしながら幽々子と映姫に迫る。

「嘘……!?」

「終わりだ!」

カリブルヌスを振り上げる。

「させません!」

映姫が笏で受け止めた。が、その上から殴り付けられた。

「閻魔様!」

「もう一度死んでみろ亡霊!〈全妖怪の緋想天〉!」

緋色のレーザーが至近距離で幽々子を吹き飛ばした。

「閻魔!亡霊!」

霊夢の近くにアリスと紫が飛んできた。

「まさかこうも容易くやられるなんて……」

「どうするのよこれ……!」

「さてどうしようか」

真後ろからシヴァの声がした。

「―――――ッ!」

紫が即座に反応してスキマを開き、二人を遠くへ移転させた。

「紫!」

「スキマ妖怪!」

「大丈夫よ霊夢――――――」

紫が霊夢に向けて笑みを溢した、瞬間背から大量の血が待った。

「紫イィィ!」

「待ちなさい霊夢!落ち着きなさい!」

シヴァへと突撃しようとした霊夢の腕を掴んで止める。

「放しなさいアリス!」

「今行ったってやられるだけよ!」

「知ったことか………!」

アリスの腕を振りほどいてシヴァへ飛んでいく。

「霊夢!」

すぐにアリスも追うがすでに遅かった。

「シヴァアアァ!」

祓い棒を叩きつけるが回し蹴りによって再び距離を離れさせる。

「ッ!」

「ゴリアテ!」

『――――――――――!!』

巨大な人形が急に出てきた。さすがのシヴァでもこれには驚愕した。

「おいおいなんだこれ……人形か!?」

「正解。但しこの子は試作品だけど……ね!」

『―――――――!』

人形とは思えない素早い動きでシヴァに持っていた剣を振り下ろす。

 

 

 

 

 

「……………いや、やはり所詮は人形か」

 

 

 

 

 

避けもせず受け止めた。

「何ですって……!」

「非常に残念だ。少しやれると思ったのだが………勘違いだったようだな」

カリブルヌスを一振り。それだけでゴリアテ人形は真っ二つに裂かれた。

「ゴリアテ―――――!」

「人形使い、貴様の作る人形には鉄を入れることを薦める」

下から振り上げられたカリブルヌスがアリスを裂いた。

「アリス!」

「残るは貴様だけか、博麗の巫女」

「………!夢想封印――――」

「無駄だ」

七色に輝く弾幕が弾かれた。

「夢想天生――――!!」

一枚のスペルカードを掲げる。

「む、それはマズいな………なら!」

シヴァも一枚のスペルカードを掲げた。

 

 

 

 

「夢想封印」

 

 

 

 

「―――――!!」

一色の弾が七つ、霊夢に向けて放たれた。

「こんなもの………!」

夢想天生を発動させた霊夢には効かない。

と、スペルが砕かれる寸前までそう思っていた。

「え―――――――」

「終いだ博麗の巫女」

カリブルヌスを先を霊夢に向けた。

次の瞬間霊夢の視界が真っ赤に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと終わったか……面倒だったな」

落ちていく霊夢を一瞥すると他の二つの影が見えた。ひとつは東雲橙矢。もうひとつは…………。

―――――見付けた。

ニヤリと口を歪ませると急降下していった。

 

 

 




話進むの早すぎだと自身でも思ってます。

すみませんm(__)m

では次回までバイバイです!

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