話が飛びすぎて皆さん付いてきているのだろうか……!?なんて。いやいや、ほんとすみません。
ではではどうぞ。
投げ付けられた札を斬り裂いてシヴァは霊夢に向けて飛ぶ。
「………!」
「彗星〈ブレイジングスター〉!!」
目に止まらない速さで魔理沙がシヴァに突っ込んだ。
「うぉ……!?」
「神技〈八方龍殺陣〉!」
吹っ飛んだシヴァの囲むように下から陣が形成されて突き上げた。
「グ……弱い!」
カリブルヌスを一閃して陣を無効化させると地に突き刺した。
「地盤沈下しやがれ!」
言うと同時に霊夢達の地面が急に一メートル近く沈んだ。
「何……!?」
「偽式〈マスタースパーク〉」
浮いた五人に対して魔理沙の技を放つ。
「……!霊撃!」
柏手を打つと相殺させた。その背後で紫と藍が弾幕を撃つ。
「こんなもので!」
「封魔針!」
退魔の針を投げ付けて気をこちらに向けさせる。
しかしシヴァは横にカリブルヌスを薙いで全てはたき落とす。
「これでも駄目なの……!」
「だったら力技で押すだけだぜ!」
魔理沙は一気に上昇するとシヴァの上を取る。
「そういう事ね。紫!」
「分かったわ!境符〈四重結界〉!」
「夢符〈二重結界〉!」
四重と二重、計六重の結界がシヴァを囲んだ。
「数を増やせば良いと思ったか?」
シヴァが結界を殴り付けると連鎖的に割れていく。
「そんなもの知ってるわよ。ただあんたを一時的に止めておけば良かったのよ。……魔理沙!」
「あぁ!任せとけ!星符〈ドラゴンメテオ!!〉」
真上から光の奔流がシヴァを襲う。
「ッ!これはさすがに……!」
カリブルヌスを振り上げるが威力が違いすぎる。
「うぐ…………おぉう!?」
片膝を地につきながらも耐え抜く。
「まだ耐えるか!タフな野郎だ……!」
「…………チッ、今のままじゃ分が悪いか……仕方無い。一時撤退だ」
膝の動きだけで宙に飛ぶと霊夢達目掛けてマスタースパークを放った。
「うわ……!」
散り散りになって避ける。霊夢はシヴァのいる方へ弾幕を放つ。しかしそれは虚空を切っただけだった。
「…………逃げた……?」
「どうやらそのようね」
祓い棒を下ろして大きく息を吐いた。
「……何とか生きてたわね」
「それはお互い様でしょ。……にしても大事に至らなくて良かったわ」
「…………そうね。新郷神奈を逃がしたのは大きいけどね。…………橙矢は本気で新郷神奈を救おうとしてるのかしら」
「そうでも思ってないとこの幻想郷を敵に回すような真似はしないはずよ」
「…………まったく、何をしてるのかしら」
「………けれど私達のすることは変わらないわ」
「分かってるわよ。………サティーの生まれ変わりである新郷神奈の殺害、でしょ」
………目を開けると何故か村紗が映った。
「……あれ、何でお前が………ッ」
起き上がらせようとするが痛みが走って顔を歪める。
「あ、起きたんだ……って、駄目だよ橙矢!まだ傷が塞がってないんだから」
「それより新郷は………ッ!」
「新郷?……あぁその娘なら今聖と話してるよ」
「ッ!」
痛む傷口を殴り付けてから飛び上がり、部屋から飛び出る。
「橙矢!?動いちゃ駄目だよ!」
「そんなこと気にしてられるか!」
とりあえず大広間に向かって戸を開ける。
そこにはナズーリンと寅丸星がいた。
「東雲さん。起きたんですね」
「寅丸さん!それより新郷……じゃなくて白蓮さんは!?」
「あぁ聖だったら確か………外にいる、はずだよ」
そこ言葉を聞くと同時に外へ出る。周りを見渡すと門近くに神奈と白蓮の姿を発見した。
「新郷!無事だったか!?」
駆け寄ると神奈の肩を掴んだ。
「し、東雲さん!動いても大丈夫なのですか!?」
「俺の事なんざどうだっていい!君がどうしてこんなところに……!?」
「……実は道に迷って……そしたらここのお寺に着いてて…そしたら東雲さんが吹き飛んできたんです。ですからこのお寺に……」
「………あぁそうか……。良かった、君に何か遭ってなくて……」
安堵して思わず神奈を抱き締めていた。
「へ?と、橙矢さん!?」
「………?………あ」
すぐに自身が何しているのか気付いて慌てて離した。
「わ、悪い。急に……その……抱き締めて」
「い、いえ………別に気にしてませんから」
「お二人とも、人前でイチャつくのは止してもらえませんか」
白蓮が口の橋をヒクつかせながら笑顔で言い放つ。
「あ、す、すみません」
すぐに頭を下げると白蓮はため息をついた。
「貴方達は今置かれている状況が分かっているんですか?」
「………ッ!」
神奈の手を掴んで後ずさる。
しかし白蓮は襲う仕草すらしなかった。
「……別に私達は貴方達に危害を加えることはしません」
「………へぇ、そう言って背中見せた瞬間ポックリやられたりしてな」
「だとしたら東雲さん。貴方が倒れているときにこの人を殺す時間はいつでもあったはずです」
「………………」
「少しは私達を信じてくれよ橙矢。ここの連中が皆君の味方だって事を疑ってるのか?」
背後からナズーリンの声がする。振り返ると他に星や村紗もいた。
「私達を信じられないの橙矢……?」
「ち、ちが――――」
「何も違ってないでしょう」
星が少し低い声で言ってきて思わず言葉を止めた。
「寅丸さん……」
「でしたらどうして私達にそんな構えているんですか?」
「構えている?何を言ってんだ。構えてなんか………」
自分の体勢を見て目を見開いた。
神奈の背に徒手空拳の構えをしていた。解くがすでに遅かったようだ。
「橙矢………酷いよ。私達を敵として見てるんだね」
「……………!」
悲しそうな村紗の顔を見て橙矢は初めて裏切ってしまったという感覚を抱いた。
「…………………橙矢。それが君の選んだ選択なんだ。私達を敵に回すという選択を」
「違う……違うんだ…………」
段々と命蓮寺の連中との距離が離されていくようで少し橙矢の中の何かが崩れていく感じがした。
「………東雲さん。……非常に短い付き合いでしたね」
「寅丸さ―――――」
星は宝塔を取り出すと橙矢に凝縮された光が放たれた。
「いきなりかよ……!くそ!」
足を強化させると再び神奈の手を掴んで寺の外へと跳んで星の攻撃を回避した。
「ッ!逃げた!?」
「ひとまず俺の家まで逃げるぞ!!」
着地するとさらにそこから跳躍する。
この前帰った時に道順は覚えた。その道を辿っていくだけだ。
ようやく家に着いた途端橙矢は急に崩れ落ちた。
「ッ!東雲さん!」
神奈が何とか抱き止める。しかし当の橙矢は半分放心状態だった。
(………私達を敵に見てるんだね)
「……………………ッ」
村紗の言葉が頭にへばりついて離れない。
「東雲さん!東雲さん!!」
「…………ッ。あ、あぁすまん、ちょっと立ち眩みしただけだ」
「お願いだから無理はしないでください。肉体的にも精神的にも限界が来ているのでしょう?………私の事はもういいですから」
「馬鹿言え。今お前を見捨てるくらいならあの時見て見ぬふりしてる。………ここまで来ちまったんだ。だから最後まで護らせろ」
無理矢理笑みを作って頭に軽く手を乗せる。
自分に言い聞かせた言葉を何度も頭の中で繰り返した。
そうだ、こいつを護れるのは自分しかいないんだ。……だったらこの腐れ切った命を捨ててまでも救ってやる。
今更気付いた命蓮寺の連中かなりの疑いたがり、、
では次回までバイバイです!