東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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第六話 好奇心旺盛な地下室の主

「ん………」

目を開けると知らない天井が見れた。

「あれ……ここ」

「やぁ、やっと起きたかい」

身体を起こして首を動かすと妹紅が玄関から橙矢のところまで歩み寄ってきた。

そこで昨日妹紅の家で寝てしまった事に気が付く。

「あぁ、妹紅か……悪いな。勝手に寝ちまって」

「気にするなよ。それより今日何か用事でもあるのか?」

「あぁ、仕事の方を…………」

そう言って洋風の時計を見る。

仕事が始まるまであと三十分も無かった。

「やべぇ!妹紅!ここから紅魔館への行き方分かるか!?」

「ど、どうしたんだよそんな急いで……分からなくもないが……」

「今すぐ案内してくれ!もう時間が無いんだ!」

急いで妹紅を家の外に連れ出すと案内してもらった。

 

「ほら着いたよ」

「わ、悪い……」

全力で走り、十分もかからずに紅魔館に着いた。

「ほんと助かった。ありがとな、妹紅。今度の休みの日に何か礼させてくれ」

「だから気にするなってのに……。しょうがないな。どうせ礼をするなら盛大にやってくれよな」

ニッと笑う妹紅にもう一度礼を言うと紅魔館へ走っていく。

時間が、時間がァァァ!

 

 

 

「間に……合った………」

何とか時間までに紅魔館に着き、近くの椅子に座り込んでいた。

「今日は遅かったわね橙矢」

声がしたので顔をあげると咲夜がいた。

「あ、どもども。ちょっと色々とありまして……」

「ふぅん……。でも大丈夫なの?今日貴方妹様の世話なんでしょう?」

咲夜の問いに首を縦に傾ける。

「でも俺がいなくなって大丈夫ですか?咲夜さんだけじゃ忙しいのでは?」

「心配無いわよ。今日は橙矢の代わりがいるから」

「代わり?」

「えぇ、貴方もよく知ってる人よ」

とそこで

「咲夜さぁん。これはどうすればいいんですか?」

メイド服の美鈴が姿を現した。

「……………………」

目眩がしたような気がした。

「咲夜さん……まさか……」

「そう、貴方の代わりが美鈴よ」

「あ、橙矢さん。おはようございます」

「あぁ……」

いつも通りの挨拶をしてくる美鈴に軽く手をあげて答える。

「咲夜さん……美鈴で大丈夫なんですか?」

橙矢は美鈴を指差しながら咲夜に問う。

「ある程度の家事なら出来るから大丈夫よ。………多分」

本当に大丈夫かよと頭をかくがなってしまったのは仕方ない、任せるか。

「すげー心配だけど……まぁ頼むよ美鈴」

「任せて下さいよ!」

元気よく返事する美鈴をよそに時計を見る。

「っとそろそろだな……じゃあ俺はそろそろ行くよ」

不安がる身体に鞭を入れて歩き出す。

「橙矢」

不意に咲夜に名前を呼ばれて振り返る。

「危険だと思ったらすぐに逃げてきなさい。あとの対処は私達がするから」

いつになく真剣な表情でそう言った。

「………大丈夫だよ」

微笑んで踵を返すと地下室に向かった。

 

 

キィ、と少々重い扉が開く。

「失礼します」

地下室に入ると………いや、地下室……というより部屋、と言った方が正しいか。

でも部屋にしてみてはかなり広い。下手すれば学校の体育館くらいある。

それより気になるのがそこらじゅうに転がっている引きちぎられたぬいぐるみや人形。

部屋の中央には棺が置いてある。

その近くには何故かベッドがある。

「………………」

近くにある頭が千切れたぬいぐるみを手に取る。

「これは酷いな……。もしかしてヤバイ精神の持ち主とかか?」

面倒な仕事引き受けたな、と舌打ちする。

 

「おにーさん誰?」

 

「――――――!!」

不意に背後から声がする。

即座に振り向く。

――そこには体格に似合わない虹色の翼を持った少女が空中に浮いていた。

すぐに気が付く。

吸血鬼の妹は吸血鬼なのだと。

「急なご訪問お許しください妹様――――いや、フランドール様。俺は一週間前にこの館に雇われた東雲橙矢というものです」

少女――フランドールもといフランは嬉しそうに笑う。

「じゃあ今日は貴方が遊んでくれるんだよね?」

「えぇ、そういうことになりますね」

「――――貴方、そう簡単に壊れなさそうだから――」

そこで橙矢の中で何かが引っ掛かった。

先程のフランの言葉だ。

―――今日は貴方が遊んでくれるんだよね?

今日は?

つまり今日より前に誰かが遊んでいた。

―――貴方、そう簡単に壊れなさそうだから。

橙矢は壊れなさそう?

つまり橙矢より前に遊んでいた者は壊れた。

壊れた。すなわち死んだ――――。

そこまで思考が行くのに一瞬もかからなかった。

が、その間にフランは目の前まで来る。

「それじゃ、遊ぼ♪」

爪が目の前に迫る。

膝を折り、避ける。

いや、避けるというより身体の力が抜けた、と言った方が良いだろうか。

それでも避けた事には変わらない。

「………ッ!」

すぐに足に力を入れると距離を取る。

間髪入れずにフランは弾幕を放つ。

「冗談だろ―――!」

こんな狭い空間の中で弾幕を放つなんて正気か!?

次々飛んでくる弾を避け続ける。

一撃でも当たったら確実に致命的だ。

「アハハッ!おにーさん避けるの上手いね!」

「フラン様もよくこれほどの弾幕を撃てますね!」

前にまで迫っていた弾をギリギリで刀を抜けかけて防ぐ。

それだけで大きく後退させられる。

「これほど避けれたのはおにーさんが始めてだよ!」

「何か褒められてる気がしませんね……!」

接近を試みて突破口を見つけ、足を強化させて跳ぶ。

その時、フランの口が三日月に歪んだ。

「そうくると思ったよ!」

「ッ!」

目の前に広がる無数の弾幕。

避けられる間もなく身体中に痛みが走る。

いや、痛みなんて生易しいものじゃない。

弾幕を喰らうのはこれで二回目だが椛のよりも比べ物にならないほど強力だ。

為す術もなく吹き飛ばされる。

後ろにあった扉をぶち破り廊下に身体を叩きつけられる。

「………中々効きますね………!」

これが始めて喰らう弾幕だったら気絶はしていた。

耐性って出来るんだなぁと今さらながら思う。

「あれ喰らってもまだ立てるんだ。おにーさん堅いね!」

「そりゃどーも」

改めてレミリアが言っていたことが本当だと分かる。

そして幽閉した理由も。

って幽閉?

「しまった…ッ!」

たった今自分でぶち破ってしまった扉を閉めようとする。

しかしそれよりも早くフランが外へ出てきて橙矢へ弾幕を放つ。

「ちょっ!?」

部屋の中に転がり込み、何とか避ける。

案の定フランが戻ってくる。

「弾幕で遊ぶの飽きちゃった……。だから今度は―――」

瞬間フランの姿が消える。

「!何処に――」

「後ろだよ♪」

「…ッ!」

背に切り裂かれた痛みが走る。

「アガ………」

倒れるがすぐに立ち上がろうとする。

しかし力が入らず四肢を地に投げ出してしまう。

弾幕を直撃した上に深く切り裂かれたのだ。普通の人間なら生きているのもおかしいだろう。

「どうしたのおにーさんもう終わり?」

フランがつまらなさそうに首を傾げる。

「申し訳……ありませんフラン様………」

腕を強化させて何とか立ち上がる。

「まだ……平気ですよ………」

するとフランの表情もパアッと明るくなる。

「アハハッ!凄い凄ーい!」

それに応えるように口の端を吊り上げる。

フランは再び遊ぶために両手を広げて――。

ピタッとその動作を止めた。

理由は簡単、橙矢の前に咲夜がいたからだ。

「……咲夜さん……?なんで……」

掠れた声で橙矢が咲夜の名を呼ぶ。

「…扉が壊れる音が聞こえましてね。最初は聞き間違いなのかと思ってましたが………」

段々と視界が暗くなっていくのが分かり、そこで橙矢の記憶が途切れた。

 

 

――――毎度毎度馬鹿みたいだな俺って。

徐々に覚醒しつつある意識の中でそう思う。

何にでも構わず首を突っ込んでそのうえ自分しか傷付かない。

まるでマゾだな……。

ふざけてやがる。

だがそれでも良いと思ってる自分もいる。

今現在この幻想郷では多分だが忘れ去られてない。

それが何よりの理由だった。

全く……お人好しも過ぎるだろ……。

視界が明るくなっていく。

………そろそろ目覚め時か………。

さて……起きますかね。

自分に言い聞かせながら目をゆっくり開けた。

 

 

「―――――ハァ」

目が覚めると見たことがあるような天井があった。

何故か動きにくい身体を起こすとそこは病室だった。

「………」

目線を落とすと執事服の下には包帯が巻かれていた。

……………………うん、服剥がされたな。

大丈夫だ。上半身だけだから。

…何言ってんだ。

寝かせているベッドから下りて立ち上がる。

だが足に力が入らずベッドに座り込んでしまう。

そりゃあれだけ喰らっておいて無事な方がおかしいよな。

観念してまたベッドに倒れ込む。

最近よく面倒事に巻き込まれてるなぁ……。

なんて事を思っていると扉をノックする音がした。

「おにーさんいいかな?」

「…………ッ!」

フランの声が聞こえた。

「な、なんでしょうかフラン様……」

「……入ってもいい?」

少し遠慮がちに聞いてくる。

「………………どうぞ」

今は何を考えても無駄だと思い、了承する。

「それじゃ、失礼するね」

カチャと軽い音を立てて扉が開く。

そして小走りしてその勢いで橙矢の隣に倒れ込む。

倒れこんだままこちらに顔を向けてきた。

「身体の方はどう?お兄様」

「えぇ、大じょ―――ん?お兄様?」

フランは橙矢の事をおにーさん、と呼んでいた。

なのに何故急にお兄様、に変わったのだろう。

「うん!何かそっちの方が何て言うか……まぁいいの!」

「…………そうですか」

呆れて言葉も出ない。

会ってまだ一日も経ってない子にいきなりお兄ちゃん扱いだ。

「あの……妹様。俺みたいな怪我人といてもつまらないでしょうし……そろそろ部屋に戻ってはいかがでしょうか?」

「そんなの嫌よ。どうせ部屋にいたって一人だもん。一人でいるよりも誰かと一緒にいた方が楽しいでしょう?」

「そんなもんでしょうか?」

「そういうものよ。何なら怪我が治るまで私が看病してあげようか?」

「ゑ」

今なんか絶望的な言葉が聞こえた気がする。

「いえいえ、わざわざ妹様の手を煩わせるほどでは無いですので」

「大丈夫だよ。どうせ何もすること無いんだし」

「………左様でございますか」

「じゃあお兄様。久しぶりに遊んで疲れたから一緒に寝よう!」

「え、でもそれじゃ看病にならないんじゃ―――」

言い終えるよりも早くフランが橙矢に飛び付いてきた。

「え、ちょっ、フランさ――――!」

怪我の事もあり、簡単に意識のブレーカーが落ちた。

…………ような気がした。

 

 

館の主が紅い廊下を歩いていく。

普段は滅多に廊下を歩かない主が歩いているのには理由がある。

それは先程大怪我を負った、らしい執事の様子を見に行くためだ。

紅魔館で唯一の執事なのだ。失っては何か勿体無い気がする。

「全く……フランたら……少しは手加減というものが分からないのかしら」

物分かりが悪い妹に今度ちゃんと叱りをやらねば。

などと思ってる内に目的の部屋の前に着いた。

数回ノックする。

「橙矢、起きてる?レミリアよ」

………………………。

「邪魔するわよ」

返事がないということは寝ているのだろう。

扉を開けると案の定彼がベッドの上で寝て………。

「ん?」

何かおかしいと思い、近付いてみる。

橙矢は寝ているのにも関わらず目を開けて、細かく言うのなら白目を剥いていた。

「ちょっと橙矢?」

軽く頬を叩く。

「…………………」

徐々に黒目が中心に戻っていく。

「………あれ、俺なにして……」

「ようやく起きたのね」

「ん、お嬢様、いらしたので」

橙矢は大して驚きもせず応える。

「えぇ、さっきね。それより白目剥いていたけど何かあったの?」

「白目……ですか?」

「ようするに気絶していたって事ね」

「はぁ……。覚えがあまり………ってそうだ、フラン様!」

橙矢が何か思い出した様に辺りを見渡す。

「フラン?フランが何かしたの?」

「何かしたと言うか何というか……」

「それで、その件のフランは何処にいるの?」

「それが分からないんですよ」

その時掛け布団がモゾモゾと蠢く。

「ちょっ、橙矢!何布団の中に入れてるの!?」

「知りませんよ」

橙矢は至極落ち着いた様子で布団を矧がす。

そこには今起きたばかりという様子のフランがいた。

「ちょっとフラン!?何してるの!!」

驚くレミリアをよそにフランは眠たそうに瞼をこする。

「あぁお姉様いたの………あ、お兄様おはよー」

「………何で布団の中にいるんですか……」

「別にいいじゃない。私はこの館の主の妹なのよ?何処にいてもおかしくないでしょう?」

そう言いながら橙矢にもたれる。

橙矢は苦笑いしながらそれを避けて流れるようにベッドから下りる。

「妹様、ここでは邪魔になりますので部屋に戻りましょう」

レミリアの前を通り過ぎて扉へ向かう。

「ちょっと橙矢」

レミリアが橙矢を呼び止める。

「?いかがなさいましたかお嬢様?」

「………貴方、今日はもうあがっていいわよ」

「……あ、えーと、すみませんよく聞こえませんでした」

「ちょっとお姉様、何を言ってるの?まだお昼過ぎなのよ?今日一日中私の世話役でしょ」

「それじゃあ橙矢が危険でしょ、あんなような事もう無いとは考えられないし」

「もうしないから。大丈夫だよ」

「安心出来ないわね。前例があるから」

「…………ッ」

橙矢は二人の様子を伺う。

これはヤバイ……本気でヤバイ。

「お二人とも、落ち着いて下さいッ」

やや口調を強めて姉妹を止めに入る。

「橙矢は黙ってなさい!」

「そうよ!これは私達の問題なんだから!」

(いや、めっちゃ俺関係してるんだが……)

いつまで経っても埒が明かないと思い、口を開く。

「お嬢様、俺は大丈夫ですからそんな心配することないですよ」

二人の中に割って入るように止める。

すると部屋を包んでいた邪険な空気が霧散する。

「………ホラ、お兄様もこう言ってるからお姉様も良いでしょう?」

フランが橙矢を押し退けてレミリアの前でない胸をは(ry

「あら、気のせいかしら、今物凄く失礼な事が聞こえた気が………。ドカーンする?」

―――――失礼しました。

まぁいいか、とフランは橙矢の方へ振り向く。

「それじゃあお兄様、行こ♪」

「待ちなさい」

橙矢の手を取り、部屋を出ていこうとするフランをレミリアが止める。

「何よお姉様」

「橙矢はこの館で唯一の執事なんだからね」

唯一の、をやや強めて言った。

フランはレミリアを一瞥してから口を開く。

「分かってるよ」

「それと橙矢、今日は三時までにしてちょうだいね」

「三時まで……ですか?」

「えぇ、そこからちょっと話があるから」

「話、ですか?分かりました。では行きましょうフラン様」

「うん!早く早く♪」

橙矢はフランに引っ張られるように部屋へ戻っていった。

 

 

三時間後――――。

コンコンとレミリアの部屋にノック音が響いた。

「どなた?」

「東雲です」

「どうぞ入って」

「失礼します」

カチャと軽い音を立てて扉が開く。

「いらっしゃい橙矢。随分遅かったのね」

「すみません、妹様の我が儘が……。それよりお嬢様、お話というのは何でしょうか」

唐突にレミリアに聞く。

するとレミリアは何か話そうとするが躊躇う。

「?いかがなさいましたか?間が悪かったのなら出ていきますが」

「あ、あぁごめんなさいね。大丈夫よ」

「そうですか?無理をしなくても良いですよ」

「大丈夫って言ってるでしょ」

―――明らかに動揺してるな。

「それでは、話とは何でしょうか?」

「…………私に付いてきなさい」

「……はい」

再び扉をくぐって廊下に出る。

――――――――――――――

「……ねぇ橙矢」

それまで無言で歩いていたレミリアが橙矢を呼ぶ。

「何でしょうお嬢様」

「今から向かうところは私が本当の家族と認めた者しか入れない所よ」

「家族………ですか?」

「えぇそうよ」

何だか嬉しいような何というか複雑な気分だ。

外の世界では家族というものに最も離れていた橙矢にとって家族とはそういう程度のものだった。

なんてことを思ってると不意にレミリアが立ち止まり、振り返る。

「…………安心なさい。私は…いえ、私達は一度家族となった者は決して見捨てないわ」

レミリアは微笑んで橙矢を手を握る。

「―――――はい、お嬢様」

(こんな自分でも家族と言ってくれる人がいるなんてな……)

嬉しくて泣き出しそうになる。

それでも平穏を保つ。

「さ、行くわよ」

心なしかレミリアの声に緊張が混じっていた気がした。

 

 

「ここよ」

フランの部屋よりももっと地下にある部屋の前に来た。

「………お嬢様、まさかとは思うんですけど」

「肉親じゃないわよ」

「……でもこれ程地下にまで閉じ込めるって事は相当危険なんでしょう?」

「………えぇ、危険よ。ただし動き出せば、だけどね」

レミリアがパチンと指を鳴らすとロウソクに火がつき、部屋を照らす。

瞬間橙矢は凍り付いたように思考が止まった。

目に映るは牢獄。

銀で出来た頑丈な格子がそれを隔てる。

そしてその牢獄の端に人らしきものが鎖で縛られ、壁に固定されている。

「―――――――――ッ!」

その者は鋭い牙を持ち、瞳は血のような緋。

なにより鎖の間から見れる微かな翼。

「―――なんで、ここにいるんだよ……」

かつて世界を恐怖に落とした張本人。

「ドラキュラ………!!」

「……えぇ、そうよ」

レミリアはふと視線を落とした。

「……彼は外の世界では死んだ、とされているけど本当はまだ完全には絶命はしてないわ。ただ大きく衰弱してるだけ」

「………殺さないんですか?」

「殺そうとしたわよ。この幻想郷でも同じことが起こらないように、ね。でもこんな不完全な状態のドラキュラを殺してもまたいつか復活するのよ」

「………つまり完全な状態にさせてから殺さないとまた復活する、ということですか」

「そういうことね。ま、これが復活するためには大量の血を飲まなければいけないから誰かこの部屋に来なければあれは永遠にあのままよ」

「………動かなければ、ですか」

「えぇ、話はそれだけ。さ、明日は宴会だし今日は早く帰りなさい」

「………そうですね、分かりました」

結局その日はレミリアと別れた後すぐにフランに見つかり、地下室へ拉致され、朝になるまで遊ばされた。

 

 

―――――その時金属が軋む音がしたが誰も気付かなかった。


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