東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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今回は布都を描かせてもらいました。
熱龍〈火焔龍脈〉をイメージして描いてみたのですがちゃんと描けてますかね?


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次回は遂に椛を描かせてもらいます!
……ちゃんと描けたらいいなぁ。

ではではどうぞ




第五十二話 Devil sisters

 

「苦戦しているようね、橙矢」

 

 

目の前に誰もいなかった。おかしい。前から声がするのに。

「………透明人間か」

「下見ろよ!」

言われた通り下を見るとレミリアがこちらを下から睨み付けていた。

「あー………すみません。見えませんでした」

「何よ私が小さいっての!?」

「そうとは言ってないです」

「うー!」

「はいはいすみませんでした………にしてもよくここが分かりましたね」

「ふん、咲夜に聞いてすぐ飛んできたわよ」

「ありがたいですね。それで咲夜さんは」

「――――ここに」

レミリアの隣に現れる。

「オーケイ、じゃああの妹様は任せても?」

「えぇ、貴方が押さえてくれたおかげで探す手間が省けたわ。神槍〈スピア・ザ・グングニル〉!」

レミリアの手に長い槍が収まる。

橙矢は頷くと咲夜に向く。

「咲夜さんは俺と地霊殿の中にいる奴等の避難。異論は認めませんよ」

「分かったわ。お嬢様、お気をつけて」

「私を誰だと思ってるの?任せときなさい」

「妹様に負けるとかシャレになりませんよ」

「咲夜、そのエセを早く連れていきなさい」

「かしこまりました」

「え、あちょっと待って咲夜さん耳引っ張らないでください……!」

咲夜と橙矢が地霊殿の中に入るのを確認すると屋根にいるフランを睨み付けた。

「フランこれはどういうつもりかしら?」

「………………」

「馬鹿仙人に協力してそのあと失踪してまさかまさかの旧都をぶち壊しにかかるとは……」

「お姉様………。貴方には分からないでしょうね遊び相手がいない私の気持ちなんか。いつも地下に閉じ込めて……私の事を愛している?冗談じゃない!口だけも程ほどにしてけよ。レミリア・スカーレット!!」

焔を撒き散らし、レーヴァテインを振るう。

「………………………………」

レミリアはグングニルを構え、投げつけた。

「ッ!」

それがレーヴァテインに当たると相殺し、消し飛んだ。

「…………!」

「愛していない?……馬鹿おっしゃい。………それともうひとつ」

フランにところから投げつけた状態で顔は見えないが、何やら震えている。

「………お姉様」

「………………」

妖力が可視できるほど濃厚になり、無限に沸いてくる。

当のレミリアは……

ぶちギレていた。

「私の事を………呼び捨てにしたわねッ!!」

「ッ!?」

(そんな事で…!?)

レミリアがグングニルを顕現させると再び投げつける。

「貴方が私を呼び捨てにしたのはいつ以来かしら……!?あの時はお互い死にかけるまで殺り合ったわね!また殺り合いたいのかしら!!」

次いで両手にグングニルを顕現させる。

その変わりようにド肝を抜かれたがフランは牙を見せて嗤った。

「それは良いわね!また殺り合いましょうお姉様!!」

「戯れで終わらせわしないわ。躾をしてあげる!」

「私だって、貴方を殺して自由になるわ!」

衝突するレーヴァテインとグングニル。

レーヴァテインを掻い潜り、懐に潜ると腹を殴りあげる。

「カハ……ッ!?」

フランが飛び退き、膝を着いた。

「チィ……!禁忌〈フォーオブアカインド〉!」

四体に増える、と同時に斬り裂かれて消えた。

「たかが貴方が三体増えたところで怖くもなんともないわ」

「…………!」

翼をはためかせて宙へと逃げる。

「逃がさないわよ!」

レミリアも翼をはためかせて追いかける。

再び交差する剣と槍。今度はフランが力任せにレミリアを押し切ると上段からレーヴァテインを降り下ろす。

「ハァ!」

槍を高速回転させて霧散させる。

「レーヴァテインは巨大な焔の剣……だけど裏を返せばただの焔………一点集中の攻撃には脆いわね」

「黙れ……!」

再びレーヴァテインを顕現させて、突撃する。

共に弾いて再び激突して弾く。

「拉致が明かないわね!」

レミリアがフェイントでタイミングを一瞬遅らせると易々と掛かった。

目の前をレーヴァテインが通り、フランの姿がよく見える。

「ッ!」

「終わりよ!」

「―――――させるかよ!」

間に人影が割り込み、グングニルを受け止めた。

 

 

 

 

 

 

「と、橙矢!?どうして……」

自由落下を始める橙矢の腕を掴み、グングニルを消す。

「レミリア様………もういいでしょう。一時的な怒りで大切なものを失うおつもりですか?」

「………!」

「レミリア様のお怒りはもっもとなことです………ですが殺すには値しないでしょう」

「…………………分かったわ。にしても早かったわね」

「よくよく考えてみたらお嬢様達が戦ってるから避難は無理だって気付きまして」

「………確かにそうね」

「そうでしょう?………フラン様も――――グァ!?」

背後を見ようとした瞬間レーヴァテインを腹に刺された。

バランスが崩れレミリアに凭れる体勢になる。

「フ、フラン……さ…ま」

「フラン!貴方何を………!」

「お兄様………変なところで割って入ってもらえないでくれるかしら?」

「フラン!橙矢は貴方を助けたのよ!?なのに……」

「煩い」

「ッ!!」

無慈悲にも降り下ろされるレーヴァテイン。

「グ……ァァァアアアア!」

腕を強化させて刀で受け止めた。

勢いを止めれるはずなくレミリアごと地に叩き付けられた。

「きゃ!」

「ガァ!?」

レミリアはすぐに立ち上がるが橙矢はまったく起き上がれないでいた。

「あ……ぐ……」

「橙矢!大丈夫!?」

「大丈夫……です……なんとか……」

「半妖と言っても実質人間のようなもの。まったく……脆いものね」

「ッ!」

続いて橙矢に気をとられているレミリアの背をレーヴァテインで裂いた。

「ッ!レミリア様!!」

「………お兄様ァ、これで戦うしかなくなったでしょう?」

「やってくれますね……!」

レミリアを庇うように立ち上がるが何故か足が震えている。

「………恐怖を感じているのね。……つまらない人」

「――――――ッ!」

腹を蹴りあげられる。五臓六腑を吐き出しそうになるが寸前で留まる。

「あら、これを耐えるのね。それじゃ、もういっぱーつッ!」

「なめるな……!」

上半身を仰け反らせて避けると身体を無理矢理捻り、フランの横へ移動すると腕に掴まり、腕の付け根を股で挟み、仰向けに倒し、ギリギリと締め上げる。

「外の世界の間接技だ……逃げられんだろ………!」

「………………………」

何も言わず立ち上がる。

「……!」

(間接は間違いなく入ってるはずだぞ…………!しかも俺がいるのにもろともしねぇ……!)

「こそこそやらないでよお兄様……やるならド派手にやらないとね!」

橙矢ごと腕を叩き付けた。

「…………ァ!!」

口から血を吐き、崩れた建物に突っ込む。

「ハァ……ハァ……!痛ぇな……」

立ち上がろうとしたが力が抜け、ひとつの木材に凭れ掛かる。

「安心してよお兄様。すぐに痛みは引くからさ」

「どういうことですか……」

「これ」

そう言ってフランが手にしたのはレミリアのグングニル。

「………………まさか!」

「死ね」

橙矢目掛けて全力投槍。腹を貫いた。

「――――ガハッ!?」

先程とは比べ物にならない量の血が口から出た。

「ぅ……あ…………」

「橙矢!!」

「…レミ……リ……ア…様………」

「お姉様は静かにしていろ!」

「……!」

蹴りあげられる、宙に浮き、地に落ちた。

「なぁんだ、お兄様もお姉様もつまらないの…………次遊ぶときは強くなっててね」

翼をはためかせると宙に浮く。

「待ち……やがれ!」

刀を掴み直すとフラン向けて投げつけた。

「んー、狙いはいいけど。威力が駄目だね」

刀身を掴み、さらに橙矢に投げ返した。

「なん……!」

慌てて鞘を抜いて受け止めようとするが――――貫いて橙矢の肩に突き刺さる。

「くそ……が………」

「お兄様がいけないんだよ?私と遊んでくれないから」

「…………………………」

「まぁいいや、今度こそじゃあね」

翼を大きく広げ、一回羽ばたくと地上への 続く階段へと飛んでいった。

「………くっそ………やりやがったな……」

その時地霊殿の中から咲夜と早苗が出てくる。

「お嬢様!如何なされました!?」

「う……さ、咲夜ぁ……」

「すぐ治療しますから……!」

言うやいなやすぐに姿を消した。

「さすがメイド長……仕事が早い……」

「橙矢さん大丈夫ですか!?」

「……んだよ東風谷か……俺の事はいいから他の奴等の手当てを……」

「一番貴方が酷いです!」

「良いんだ……………俺はやることがあるから……」

ゆっくり立ち上がると階段の方へと歩き出す。

「……俺はこのままフラン様を追いかける。………悪いな、迷惑かけて。もう俺の事は……」

ボロボロの身体を引き摺りながら進んでいく。その姿はあまりにも醜く、とても見てられない。

「………………橙矢さん…………」

突き刺さってる槍を引き抜き、刀を肩から抜いて鞘に納める。

そして足を強化させると駆けていく。

「橙矢さん!無茶ですよ!」

追いかけようとしたがすぐ横に咲夜が現れる。

「ちょっと早苗。貴方も手伝って頂戴!」

「え、あ、はい……」

咲夜を追いかけて地霊殿の中に入っていった。

 

 




今回も読んでくださりありがとうございました。
次回も二日後、投稿すると思います。

では次回までバイバイです!

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