何をとち狂ったか今回は夜中のテンションで書いていたので後々何書いているんだ、って思いました。
……それでも良いと思ってしまう自分が怖いです。
白狼天狗は突然の来訪者に声を荒げた。
「お、お前何でここに!」
「……………お前、こいつを頼む」
急ぎ足で少し入ると椛を寝かせる。
「……手当てしてやれ、かなりの重傷を負ってる」
そういう橙矢の方が重傷に見える。
「お前……椛さんに何をしたんだ!」
「いいから早くしろ!」
背中越しに叫ぶと外へ歩を進める。
「いいか、間違っても俺が送っただなんて言うなよ」
その時壁が破壊された。
「チッ、もう追い付きやがったか……!」
橙矢は悪態をつきながらも休憩所から出ていった。
壁から人影が出てくる。その正体が分かると白狼天狗は腰を抜かした。
「か、風見幽香……!?」
「待ちなさい、東雲……!」
地面が窪むほどの脚力で後を追っていく。
しばらく白狼天狗達は呆然としていたがやがて一人が気を取り直して椛を手当てする。
「おいお前ら何してるんだ!早く治療するぞ!」
橙矢は木々の中を走り抜けながら幽香との距離を離していた。
(とりあえずここからは離れた方がいいか……)
時々的確に放たれる光の奔流をあしらいながらも距離を離している、つもりだ。
あくまでつもりなので実際は離れているのか分からない。
枝から枝へと飛び移り、その度速度を上げていく。
(さすがにここまでは追ってこれないだろ……)
「……追ってこれないだろ……って思った?」
「え―――――」
上から声がし、声の主を確認する前に地に叩き付けられた。
「ガ………ッ!?」
肺の中にあった空気が全て出ていき、息が詰まる。
「ッ!ゴホッ、カハッ……!」
咳き込みながら上を見ると枝に腰掛けながらこちらを見下ろす幽香がいた。
「逃げるなんて酷いじゃない東雲。せっかく邪魔がいなくなったというのに」
「………椛の事かよ」
「えぇもちろんよ。私達の戦いに横槍を入れるからよ」
「……にしてもあれはやり過ぎだろ」
「……あのチワワちゃん貴方に執拗に懐いていたけど………。貴方達の関係は主従関係なのかしら。それとも恋人?」
「……馬鹿言え。それはあいつに失礼だろ。俺みたいな人間の屑と恋人や主従関係になる奴なんざこの世にいるわけないだろ」
「そう……。だったらどうでも良いのかしら?」
「…………俺が一方的に知人と思ってるからな。……それに目の前で殺されるのは好きじゃなくてな」
「ふぅん……で、貴方は私の事を恨んでいるのかしら」
「………………当たり前だ」
「それじゃそれを全て私にぶつけなさい」
挑発するように中指を立てる。
「……元からそのつもりだ」
刀を抜いて先を幽香に向け、睨み付ける。
「風見幽香……お前は殺しても赦さねぇ」
「………好きなだけ恨みなさい」
「望み通りにしてやるよ………!」
「――――そこまでにしておいて下さいますかお二人」
二人の間にひとつの人影が割って入ってくる。
「……何よ邪仙。せっかく面白くなってきたところなのに」
邪仙、霍青娥はため息を大きくついた。
「まったく……私は東雲さんを連れてきてと言ったはずですよ?なんで殺し合いなんてしてるんですか」
「良いじゃない」
「良くないです………ま、本来の目的は果たしましたので今日のところは引き上げましょう」
「え、ちょっと待ちなさいよ。私はまだ殺り足りないわ」
「文句はあとで聞きますわ。………それよりもうそろそろ準備が出来ますので」
すると幽香は目を細めて抵抗を止めた。
「………そう、分かったわ」
「では東雲さん、また近いうちに」
「待ちやがれ!!」
駆け出すがそれよりも早く地に穴が空く。そして二人が落ちる寸前、傘の先端から光が奔り、橙矢の頬を掠めた。
「ッ!」
怯んだ一瞬の隙に地は閉じられ、逃げられた。
「くそ………!」
舌打ちすると来た道を戻るまず第一に椛の事が心配だ。
足を強化すると跳んでいった。
慌てて休憩所へと戻ると白狼天狗が待っていた。
「あぁあんたか………。ついさっき犬走さんが目を覚ました。行ってやんな」
「…………行っていいのか?俺なんかが」
「何言ってるんだよ。何があったか知らねぇが犬走さんを助けてくれたんだろ?だったら構わねぇ。仮に上から何か言われたりしても適当に言い訳しとけば良いしな」
苦笑いしながら早く行け、と急かす。
「…………悪いな」
「良いよ別に。それと犬走さんがいるのは一番奥の部屋だ。くれぐれも間違えるなよ」
「了解」
戸を開けて中に入る。幽香によって壊された壁はそのままにされてある。
つまりあの後すぐに椛の手当てをしてくれたということか。
(……にしても椛の奴脇腹に穴が空いていたが………)
早歩きで言われた通りの部屋の前まで来ると声をかけた。
「椛、俺だ。東雲だ……入っていいか?」
「橙矢さん?………はい、どうぞ」
失礼するぞ、と言って入る。布団が敷かれており、その上で椛が上半身を起こしていた。
「……よぅ、もう起きて大丈夫なのか?」
「えぇ、何とか」
「………腹、見せてみろ。まだ空いてるだろ」
「……何の事ですか?」
「惚けるな。腹に穴空いてたろ。どのくらいなんだ」
「……………特に日常生活を送るには異常は無いそうです」
「……………そうか」
「……ですが少しばかり哨戒の仕事を休まなければいけないようです」
「………………」
「大丈夫ですよ。私は妖怪ですから。橙矢さんとは違い早く治りますよ」
「……………ッ」
気付いた時には椛を胸に抱いていた。
「………え?」
「………悪い。守れなくて………」
「な、何言ってるんですか」
「俺がちゃんとしとけばあんな事に……」
「そんな事ないです……よ」
「怖かっただろ……。あんな化け物相手にして」
「べ、別に怖くなんか………」
その時椛は自分の手が震えているのに気が付いた。
「……怖かったんじゃねぇか」
次いで今さらだが恐怖が一気に椛を襲った。
「………こわ……かったです。凄く……怖かったです……!」
怯えるように橙矢の胸に顔をうずめた。
「…………………………」
何も言わないでただ頭を撫でた。
「………………大丈夫だ。後は…………」
俺が殺る、とは声に出さず心の中で呟いた。
「…………………」
帰路を歩いているときに椛の言葉を繰り返し繰り返し思い出していた。
『怖かったです……!』
「………………ハァ」
ため息を吐くと進路方向を変えた。
家ではなく向日葵畑へ。
恐らく青娥は明日何かをしようとしている。準備が出来た、とか何とか言ってた気がする。
だったら何かをする前に潰す。
邪仙の家は何処にあるか分からない。だからまだいる可能性のある幽香の家を目指す。
(待ってろ化け物……。殺してやる)
地にクレーターを作る勢いで駆け出した。
今さらなのですが自身でイラストを描こうとしたのですが何せ自分、凄い絵が下手で………。
こんな物でもイラストを描いてくださる方、募集中です。
お願いしますm(_ _)m