るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

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正直ゾンビもので乗り物はそれ自体が失敗フラグ以外の何者でもないと思う。


第7話 うんてん

ついにるーちゃんが運転できるよう改造された車が完成してしまいました。頑張って調整を重ねた結果、ペダル届く、前見える(ただし一応がつきそうですが)、ハンドル良好の完璧仕様です。

なんだか前面にやたらと装甲が施されていたり(デフォルメされたりーねーが描いてある。申し訳程度に姉に媚びたらしい)、足回りが無駄に強化されたりして随分ごつくなっていますが、先ほどまではその辺に転がっているいたって普通の事故車両でした。

るーちゃんの溢れる才能は限られた資源でも容赦ない魔改造を可能としています。当然前面が装甲だらけのため視界がけっこう狭いのですが、るーちゃん悪ノリしちゃってたので仕方ありません。ゾン子さんの冷ややかな視線も気にしません。てへぺろです。

さあ、後は走り出すだけです。手早く荷物を積み込むと、助手席にゾン子さんを押し込んでシートベルトで固定します。当然もがきますが、即座に殴って黙らせることも忘れません。今はゾン子さんのわがままを聞いてる暇はないのです。

荷物を全部積み終えたるーちゃんは、さっそくアクセル全開、全力全壊です。民家の駐車場から一気に飛び出し、冗談のようなスピードで道を猛進していきます。

あまりの勢いにゾン子さんが真っ青ですが、元々血の気とは縁もゆかりもなさそうな土気色ピープルなのでそんなものは考慮しません。るーちゃんの辞書から容赦なんて言葉はあっさりと消し飛ばされました。非常事態だからこれでいいのです、たぶん。

少なくとも道中で景気よく跳ね飛ばしまくっている通行人の人々に対するよりはちゃんと配慮はしてるつもりです。シートベルトはしっかりついてます。

ちなみに無駄に頑丈に造られたるーちゃんカーは通行人を跳ね飛ばしたくらいでは何のダメージにもなりません。これにはるーちゃんもにっこり。あらゆる事故に動じない、耐衝撃性能255のなせる余裕です。

なお助手席のゾン子さんの対衝撃性能は8、いつ天に召されても不思議ではありません。必死にるーちゃんの爆走を止めようとしますが、運転を続けながらも器用に手を跳ね除け続けるるーちゃんに文字通り手出しできません。無駄な足掻きです。

こんな異常事態が起きたからか、道中には事故車両がたくさんあります。どこもかしこも通行止めです。

これでは学校まで行くのは容易ではありません。というか少々無理があります。

通れる道を探しながら、少しずつ迂回していってどうにかなるか・・・?というような状態なのです。

しかし当然というかなんというか、るーちゃんは通行止めなど全く意に介していませんでした。るーちゃんカーの耐久性と自身のスペックに物を言わせた正面突破を敢行です。

車を跳ね飛ばし、連中を蹴散らし、電柱をへし折り爆走です。横の同乗者が何やら喚いていますが、きちんとシートベルトはついています。きっと無事です。

さすがにるーちゃんカー側も無傷とはいかないようですが、その前面装甲はまだまだ健在です。デフォルメりーねーが血と埃に塗れてますがそんなことは問題ではありません。後で洗っておけば大丈夫です、多分。

もはやるーちゃんの行く手を阻むものは何もないように思われました。このまま学校まで一気に突貫です。

 

と、猛スピードで爆走を続けるるーちゃんカーに追従してくる機体が現れました。それも一台や二台ではありません。車やらバイクやらがわらわらと現れ、るーちゃんを追いかけてきます。

どうやらやたらスピードジャンキーなモヒカン集団のお出ましのようです。さっき工具店で蹴散らした連中がやられたらやり返す、倍返しだといわんばかりに襲撃をしてきたようでした。

彼らは次々とるーちゃんカーに体当たりを敢行したり、鉄パイプやら何やらで車体を殴打したりと果敢に襲い掛かってきます。装甲を前面に集中しているるーちゃんカーはこういった襲撃に対してはその辺の乗用車程度の防御力しかありません、割と脆いです。

車体は凹み、ドアは吹き飛び、あっという間にぼろぼろにされてしまいます。

果たしてこの窮地を乗り切ることができるのか、るーちゃんのドライビングテクニックが試されます。まあ、つまりは余裕です。

るーちゃんはさっそく体当たりしてきた車両にお返しとばかりにぶつかり返すとそのまま押し出して事故車両に突っこませ一台を粉砕。一度スピードを上げて前方に突出すると、手頃な事故車両を後方へ跳ね飛ばしてもう一台の車両へぶつけ、これも爆破炎上に追い込みます。

そのまま速度を落とし連中に接近すると、唐突に車体をスピンさせ、バイク数台を巻き込みことごとくを再起不能に追い込みます。この間僅か一分程度、鮮やかな逆転劇です。

続けてゾン子さんのシートベルトを外すと、敵対車両の一台めがけて彼女を蹴り込みます。

発射されたゾン子さんはフロントガラスを突き破ると、待ってましたとばかりに運転手へ襲い掛かります、当然車内は大混乱。車両は大暴走を始めます。

仕上げにるーちゃんはどこからともなく調達した赤と緑の亀の甲羅を手に取ると、残っていたバイクに狙いを定めて次々に放り投げます。エイム255のるーちゃんにかかればサイドミラー頼みの狙いであっても外すことなどありません。投げるもの全て吸い込まれるように敵に着弾し、一台残らず転倒に追い込んでしまいました。

さっきまであんなに元気だったモヒカンさん達もあっという間に壊滅状態、兵どもが夢の跡です。ふぅ、と一息ついたるーちゃんは真横を絶賛暴走中の車両からゾン子さんを回収します。ようやく新鮮な肉にありつけたゾン子さんは満足そうに助手席に収まりました。

あとは暴走車両を無視して進むだけ、と思ったるーちゃんですが、ふと背筋を走った悪寒に慌ててハンドルを切りました。

直後に横の暴走車両はフラフラと道路を外れてガソリンスタンドに突っこんでいきます。一拍置いて無駄に盛大な爆発が巻き起こり暴走車両や他の事故車両、瓦礫やら看板やらが次々とるーちゃんカーめがけて降り注ぎます。事前に回避に入っていたるーちゃんも流石に避けきれず、数発が車体をかすめていきます。回避に気を取られたるーちゃんが次に前を見たときには、まるでジャンプ台のような状態で放置されたキャリアカーが目前まで迫っていました。当然常時アクセル全開のるーちゃんに止まる術などありません。るーちゃんカーはとんでもない勢いを維持したまま大ジャンプ、本来のコースを大きく外れ、空中ゆえに制御も効かないまま近くのショッピングモールへと突っこんでいくのでした。




Q.るーちゃんはなんでそんなにレベルが高いの?
A.はぐれたメタルを乱獲したから

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